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熱くぬめる夜の底には、 生気のない死者の気配。 死の匂う呼吸に満ちて。
そしておまえは笑いながら
神経症の強迫観念さながら 滑り落ちる音を数える指先 ねえ、あそこに見える。 偽りの赤に溺れてゆく、 奇形の小さな心臓の骸。
ときときと時を刻むみたい
動かない器官のなれの果て 河の向こうの具現のカタチ
巨大なその、ねじ曲げるもの
掌に憩う平穏を殺し 退屈を注ぐ脳髄の左の辺り 鉛色の熱いそれは思考と記憶を奪ってゆく 今、直面する時 時は刻まれ、頬には苦悩の縫い跡 絞り出す血すらなく 残されたのは、擦り切れた躯 この喉からほとばしる 聴いてゆけ。憐れんでゆくその前に 侵されるものの苦痛の声と 殺されてゆく魂の叫び その時視界は灰色に変わる無音の世界の中 静寂を紡ぐ 明日につながる眠りを貪り また苦痛の今日を終わらせてゆく |