赤い獣
by 水町留歌さま




赤い獣の飼育をはじめた。

真っ赤に逆立つ、たてがみのような髪。
美しく、しなやかに、しかし力を秘めた筋肉の乗った、長い手足の体。扇情的な、引き締まった腰の線は、そこに鞭の赤い跡を走らせてみたくなる。

そいつは空のような青い瞳で俺を見上げて、ねだるような視線を送ってくる。

ここで甘い顔を見せてはいけない。
きちんとしつける為には、こいつの思い通りにさせてはいけない。
俺は目を奪うような媚態で、檻に手をかけ立ち上がる、そいつの首につけられた黒革の首輪を、鉄の棒の隙間から引っ張り、そして突き飛ばした。

檻の床に尻餅をついたそいつは、一瞬驚いたような表情を浮かべた後、すぐに不敵な笑みをその唇の端に浮かべる。

(分かってるよ、アンタは俺が欲しいんだろ?
 でも、それはアンタのプライドが許さない。
 だから、こうやって、オレを閉じ込めて、わざと乱暴にするんだ。
 いいぜ、アンタに付き合ってやるよ)

そんな、聞こえるはずのない、獣の言葉が頭に響く。

ふるり、と体が震える。

燃えさかる紅の獣に、のしかかられ、引き裂かれ、腸を引きずり出され、何もかも残さず喰らい尽くされる。肌を走る灼熱の涎と、肉を食む高熱の牙。内側に穿たれる、煮えたぎった鋼鉄のような牡の性器。
そんな妄想に、体が震えた。
無意識に首筋に腕を回し、自分を抱きしめるようにすると、バカにしたような表情で、獣は俺を見つめる。

(欲しいんだろ?これがさ)

床に座り込んだまま、広げた股間に手をやって、自らのものを弄って、そそり立たせて見せる。
まだ若い体には不釣合いな、太く逞しく、そしてばかばかしい程に大きいそれが、威嚇するように、腹のあたりから続く、赤く燃え上がる繁みの中から立ち上がる。
浮かんだ血管や膨らみ張り切った先端は、ひどく年月をかさねた男のようなのに、その肌はつやつやと滑らかで、色もピンクとオレンジを混ぜ合わせたような、人形の頬のような色をしている。
そのギャップさえも、この獣は自分の魅力にかえて、俺を喰らい尽くそうと、視線と熱い吐息で、誘い込もうとする。

まだ、ダメだ。
もっとしっかり調教してからでなければ、危険。
こいつに喰われて、魂まで引きちぎられるのは、ごめんだ。

俺の思惑をよそに、獣のやることしか考えていないオツムは、俺を誘うためだった事を忘れて、自分の指で作り出した熱に犯されだしている。
ゆっくり、握りこんだ右手が上下にスライドし、左手はその下の二つの膨らみを捏ねるようにしている。
唇から突き出された舌が、プルプルと、何かを求めるように震える。
わざと聞こえるようにしている吐息と、その下の淫猥な言葉のかけらが、ピッチを上げて、やがて裂けるような声になる。
白い粘液が、上を向いた先端からほとばしる。
一度、二度、三度。
二度目のほとばしりが、俺のズボンを汚す。
黒い布の上で、犯すように、馬鹿にするように、ゆっくりと落ちてゆく精液。
床に力なく身を横たえ、とろんとした目で、それを見上げてる獣の唇は半開きで、舌がだらりと垂れている。
後始末をしようともせず、体に落ちた液体を、冷たくなるがままにしているのが、いかにも獣じみている。

まず、屈辱と痛みを与えるために、大きく上下する広い胸に、ピアスをつけよう。
そこに鎖を通して、引き回すことからはじめよう。

俺はふとそう思った――――






 こんなおいしそうなジェットを、ハッピーバースデーなハインさんへ☆
 ぷちマッチョなジェット、どうもありがとうございました、留歌ちん☆
 首輪に鎖つけて、他にもあんなこととかこんなこととか、ピアスを亀(削除)
 いっそ刺青を先(削除)
 あ、何か自主規制が働いてますな。やばいことをこれ以上言い出す前に退散。
 ハードゲイジェットの生みのご母堂さま、これからもこんなおいしそうなジェットをよろしく。ハインさんと一緒に楽しみましょう。
 水町留歌さま、どうもありがとうございました!!


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