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Gary MooreとNeil Carter萌え、2万字越えだよ。
- 2025/01/12(Sun)
さて、Gary Mooreばっかり聞いて早数年。いい加減萌えがたまって来たので吐き出す。2万字越えだよ。
ニワカGMファンのうわ言なので、まあ生暖かく見守ってやって下さい。
元々興味はないでもなかったと言うか、好きになるGが口を揃えてGary Moore好き!!と言うので(John Sykes、John Norum、Vivian Campbell)、へーと思って一応聞いたがその頃はまったくぴんと来ず、おまけにちょうどGMがブルーズに傾倒して超ブルーズ寄りアルバムを出したタイミングだった。
その時のBurrn誌上でのライターたちの発狂ぶり、混乱ぶり、惑乱ぶりは忘れられない。どうしたGM!!!一体何があった!!!気が狂ったのか???と言う感じで、一応自分も聞いたと思うが、当然ながらさらにピンと来ず、同様に、一体何があった?????でそれきりになった。
その頃好きだったGと言えば前述の3人と、そして忘れてはいけない、Yngieが世界を震撼させの真っ最中。
そういう自分の心中にGMの入る隙間はなく、数年後に「After The War」のPVを見たけど全然ピンと来ず、まあ何しろバンドとしてはJudasとかAcceptとかベテランバンドが好きだったにせよ、G単体では若者の音ばかりに耳が行って、GMはお世辞にもルックスで可愛いと言うタイプではなかったし、あの頃の自分には、Gを弾いて歌う彼をかっこいいと思える要素がなかった。音に興味が持てなければ余計に。
同じアイリッシュのVivは明らかに可愛い枠だし、その他は自分はゲルマン系の見掛けと音の趣味萌えだったので・・・。
89年頃にVow WowとDoomにほぼ同時にハマって、Vow繋がりで池さんにPurple Chainsに誘われたのは人生最大の幸運のひとつだった、と言う話はまあ今は置いておいて、このVowドハマりで、Neil Murray激萌えが発生した。
元々それ以前に、今も売れ続けるWhitesnakeの「Whitesnake」を超気に入って、それでSykesに惚れて、VivとAdranに惚れて、そしてここにNeilがいたので、新たにNeil目当てにあれこれ聞いて、しかしここでもNeilと仲良しのGMには一向に気が引かれない。
Vow以降のNeilの参加アルバムやバンドには残念ながらVowやWhitesnakeほどは燃え上がれないまま終わって、でもNeil萌えは今も熱(苦し)く健在。
さて、世の中にインターネットと言うものが普及して、特に動画サイトが現れると、古い音源や映像に簡単に手が届くようになった。
なので当然ながらここで、昔ちょっと聞いていいなって思ったバンドってどうしてるかなって検索してみるわけで。
で、色々探してみるそのバンドやらミュージシャンやらの中に、数年前やっとGMが入り、今聞くと割といいなと言うことになって、「Corridors of Power」とか「Victims of the Future」辺りの曲が好きだなあと言う感じになって来る。
偶然かどうか、この辺はNeilが参加してて、そうなると検索中に出て来るPVに、青年Neilがちらちら映るようになる。この頃のNeilの可愛いことったら。Vow辺りは目が潰れる激美形なんだけど、GMとやってる頃はほんとにきらきら青年で、Gary MooreとNeilで一緒に検索すると、この頃の美青年Neilの画像が山ほど出て来ると言う、Neil萌えライフハック(違)。
しかもこの辺りのアルバムは、Neilがアルバムタイトルとかに案を出したと言う話も見掛けて、さらに加速するNeil萌え。
半分くらいはNeil目当てでGMの動画を探し、そして幸か不幸か、GMはLiveが勝負の人で、The LonerのGソロで落ちた。
え?こんな泣きむせぶみたいな音出す人だった?? いやそういうのが売りの人だったろう。Burrnでもいつもそう書かれてたろう。あの頃はそうなのかーと思っても実際に自分の耳には全然アピールしなかったんだもの。
聞けば聞くほど、こんな情緒しかないような、胸をかきむしりたくなるような、泣きたくなるような、ほんとうにメロディー自体がむせび泣く声みたいな、Gソロだけでアルバム作ってくれよ!!!と思うような人だったか。
ぶっちゃければ、インストで退屈でないアルバム作れるのは自分にとってはYngieだけで、後はまあNorumがもしかしたら・・・と言うので、自分が好きなのは北欧系の、ああいういかにも雪に降り籠められて陰鬱な雪空を見上げて小さくため息をつくと言うような、あるいはそれを吹き飛ばす炎みたいな息苦しいくらいこちらを圧倒する系の、そういうGソロやインストが好きなんだと思ってた。実際そういう音が大好きだった。今も好き。
GMのインストが全然退屈でないのは、タイミング的に今の自分の好みにハマったからか、それとも自分の趣味が変わったからなのか、それは分からないけど、この頃はでも、GMの歌と歌声にはそれほど魅かれてなかったと思う。
「After The War」の頃には、この人歌わないならアルバム聞いてもいいんだけど、と思ってた。この頃の自分を生き埋めにしたい。
ほんとに、かなり真剣に、歌わなければもっと売れるのでは?くらいの暴言を感想として吐いてた。まあ自分が好きなのがJudasのRobさんとかVowの人見さんとかなので、まあ仕方ないね。
だからまあ、正直に今言えば、あの頃は彼の声が好きじゃないどころか、多分耳障りで嫌いくらいのレベルだったと思う。彼に入れ込まなかったのは、あの声のせいだったかもしれない。
さて、山ほどのLive音源と映像を見て、時々出て来るNeilには引き続き萌えつつ、今度は好きな曲ができ始める。
前述のThe Loner、それからEmpty Rooms、Thunder Rising。その他色々。
特にThunder Risingは87年のツアーが超お気に入りで、最初に入るDr.の音がもうサイコー。Thunderの解釈が、JudasのDesert Plainsの大好きなDr.と同じで、そこでもさらにお気に入りが加速する。
この辺で、好きな曲のアルバムやらクレジットやらを調べる。Neil Carterの名前が頻繁に出て来るようになる。Neilダイスキーの自分にとっては、Neilの後釜みたいな人で、同じ名前かー混乱するなーと言うので、彼をNCと勝手に表記し始める。
UFOにいて、そこからGMに行って、ブルーズ傾倒時代からはほぼミュージシャンからは引退状態で、音楽学校でずっと講師をやってると。今現在は最近亡くなったKeyboardの後釜として、UFOに元気に復帰中。
Bも弾く、Gも弾く、Keyも弾く、曲も作る、ステージでは客煽りもやる、歌も歌うし、GMの隣りでハイテンションにバッキングGを弾く。良く言えば才能あふれる器用な人だし、悪く言えば心臓にものすごい毛の生えた人だと思った。
だってGMだよ??あのGMだよ??? あのGMの隣りでG弾ける? そんな度胸ある人この世に何人いる?
この辺から、彼の声が好きになり始める。むしろGMの曲はGMだけが歌え!!それ以外は合わん!とまで言い出す。なんと言う手のひら返し。この辺は自分でも今も呆れてたりする。
インストが時々ある&GMは少なくとも半分くらいは自分で歌う、と言うので、他Vo.がいるLiveもあるんだけど、GMが頑張ってる間は彼はお休みと言うのは割と気の毒と言うか、まあ正直GMの曲には合わないのでは?と言う感じで、単純に自分が好みでないVo.ばかりGMが選んでると言うことなんだろうけれども。
アルバムでも他の人が歌ったりしてるけど、正直Phil Lynott以外でGMの曲は聞きたくないなあ、みたいな。GMの曲はGMだけが歌うべき、とか言い出す手のひら返し。
さて、「Thunder Rising」を神曲と言い出してから、目がNCに行くようになった。87年の映像では若干落ち着いてて、ひとりでDuran Duranに擬態しつつ、暑苦しくKeyを弾きメインVo.を取り、The LonerではGMとふたりきりでスポットライトを浴びる。
83年から85年辺りまでは、むしろGを弾く姿が目立って、ただただ暑苦しいロック野郎で、見た目が英国ポップ・ロックなのでうっかり騙されると言うか、GMもあの見掛けだし、メディアもワイルド強面と言う扱いだし、そういう意味でワイルドさではGMにひけを取らない人に思えた。
GMが赤を着ることもあるけど、まあ大体黒なのに対照で合わせるように白の衣装が多い人で、見掛けもGMとは真反対、ふわふわ金髪の天使みたいな見た目で、こういう人がGMそこのけに、ステージを走り回りGをかき鳴らし客を煽り、あれ?これは誰のバンド?と言う感じになると言う。最高。
そして多分ダブリンでのLiveの映像で、軽くインタのような映像も入って、その時にこの人はゲイだと思った。何が一体どうしてそう思ったのか分からないけど、ゲイだと確信した。まあ割と最初からこの人ゲイだって思ってはいたんだけれども。
NCがゲイであることと、彼の出す音と、GMと一緒に作り出す音には何の関係もないけど、まあそう思った瞬間に、自分の中で、GMとNCの関係性が変化したわけで。
いやまあ、GMとNCが一緒に作った曲をそうと知らずに大体気に入り、何しろGMがとにかくそれ以前とは違う感じにのびのび楽しそうにGを弾いてて、明らかにNCとの共演/競演関係と言うのがGMにとてもいい風に影響してるようにしか見えず、これは最高にいいパートナー状態なのでは?となった。
AdrianがVandenbergの時に、リーダーで作曲全部やってアルバムジャケットも作ってMCもやって、と言う、やらないのは歌うことだけ状態で、そこにものすごく重圧があったのではと考えてて、だからWhitesnakeで、その辺全部Coverdaleに任せられる気楽さ、Gさえ弾いて好きな時に曲を作ればいい気楽さに気づいてしまったんじゃ、と言う。
もちろんAdrianはその後また自分のバンドを率いることにするわけだけど、Coverdaleとは相変わらず仲良しみたいだし、Adrian的にはもう好きなことを好きなようにやるだけ、と言う気持ちなのかなあと。
話がそれたけど、GMも同様に、それ以前に不満があったわけではまったくなくて、でももっとGを弾きまくりたい、何も気にせず、あ、マイクのところに戻らなきゃ!とか慌てたりせずに、ずーっと思う存分Gを弾いてたい、と言う気持ちがあったんじゃないかなあと。
明らかに、様々な人たちと組んで、様々なことをして、でも一応長続きしたのはNCだけだったと言うのは、NCと出会って、GMはやっと演ると言う責務(同時に楽しさでもある)を一緒に平等に分け合ってくれる人を見つけた気持ちだったのかなあと。
そしてNCと一緒に作ったEmpty Roomsがシングルとして売れて、普通に世間にアピールできるようになったと言うか、GMを世界的に売れるミュージシャンに導いたのはNCだったんじゃないかなあと。
もちろんそれ以前にはThin Lizzyですでに十分認知されてたろうし、Thin Lizzyファンの熱狂レベルは想像以上なわけだけれども。
ちなみに、GMを当時の米国のHRキッズに紹介したのはVivだったようで、GMはいいぞ!とVivが言ったから、と言う流れだった模様。
すごくどうでもいいけど、日本だとTUBEがバンドごとGMファンらしい。
さて、Thunder Risingの87年の映像を繰り返し見る。そうして突然気づく。あれ?声出てるのにGMは歌ってない?あれ?
この辺まで、NCはコーラスをちょっとだけ歌う、と言う程度にしか認識してなかった。そこまでNCに見入ってるわけじゃなかった。NCと言う器用なミュージシャンを、すげえなあと見てはいたけど、そこにVo.の技量も入るとは認識してなかった。
そして気づく。Thunder RisingはむしろツインVo.な曲では???? っつかこの人やたらメインでVo.取ってない? ってかむしろVo.はこの人なのでは???
GMとNCは声質が結構似てて、正直どっちが歌ってるのか良く聞かないと分からない。そしてNCのせいかどうか、GMの曲は意外とコーラスが多い。
いわゆる美しいと言う枠ではないけど、GMとNCのコーラスは合ってると思う。
最近のインタで、NCもこの辺のことを、「一緒に歌ったら意外と声が合った。自分がメインで歌えばGMの負担も減るし」みたいなことを言ってて、自分が感じてたのはそれほど的外れでもなかったと思った。
何が起こったのか分からないけど、この瞬間、Thunder Risingで(半分)歌ってるのがNCと気づいた瞬間、雷が落ちたみたいに彼に落ちた。あ、好き、ってなって、以来NC萌えになった。
NC萌えと言うか、GMとNC萌え。このふたりの作り出す音と、このふたりの関係性が好き。
音楽的なパートナーであり、共作者であり、わかりやすく言えば、音楽的には夫婦(あるいは夫々)のこのふたりが好き。
GMに、これほど近づいたミュージシャンは他にいなかったんじゃないかと思う。Philは音楽的にも親友としても親(ちか)しかったけど、Philの私生活のアップダウンに付き合うのは相当に疲弊したと思うし、そのせいで、音楽的親しさが遠のいてしまったところはあるんじゃないかと思う。
Philは多分、彼氏にはいい人だったんだと思う。でも結婚相手はNCだったんだよ。音楽的にも精神的にも極めて安定してる、Neil Carterと言うミュージシャンで、GMは初めて心置きなく、何の心配も不安もなくGに没頭できる状態になれたんじゃないかなあと。
GMをそういう状態に持って行けたのはNCだけだったんじゃないかなと、萌え抜きでも思う。
87年のツアーは、GMを大体真ん中、NCを向かって右、Bob Daisleyが左、Dr.のEric Singerは身長の1.5倍くらいの高さにいて、GMとNCがそらもー仲良くいちゃいちゃいちゃいちゃ・・・。Daisleyは左の後ろの方で黙々と我関せず、そちらに視線もやらずにBを弾くし、Ericは何も見えてなくてただただDr.を叩けるのが楽しいヒャッハーって感じ。
このツアーの時はNCはあんまりGは弾かず、マイクは彼用に置いてあるけど、滅多とそこには出て来ずに、ほぼKeyに専念。
圧巻なのがThe Lonerで、日によっては20分を超えるんだけど、スポットライトが当たるのがほぼGMとNCのみ。NCは曲中ずーっとステージに背中を向ける形でKeyを弾いてて、最後の最後で突然ステージ側を向いたNCにライトが当たる。そしてNCに駆け寄る形のNCと、ほぼ隣り合わせで、顔を見合わせて、ものすごくいい笑顔でふたりでにっこり(NCはGM側を向いてるので後頭部だけしか見えないけど)。
一体何を見せられてるんだ・・・? このふたり、一体何なの?
って思うよね!!!絶対思うよね!!!!何なのこのふたり!!!!
なぜかステージ向かって右側でGMとNCが思う存分いちゃつく、Daisleyには左側に避難所を与える、と言うこのフォーメーションはこのツアー1回きりで、他の時は、向かって右からNC、次にDaisleyy、そしてGMと言う、いちゃつくふたりの緩急帯にされるDaisleyカワイソス。
可哀想だから87年のツアーは避難所作ってあげたんでしょ???なのになんで89年は元に戻るの?なんで?Daisleyイジメ???
大変どうでもいいが、89年のNCは、どこかで振り切ったのかどうか、それまでのエセ英国ポップ路線青年擬態をやめて、完全にゲイのモテかわコーデに全振りしててハゲワロタww。
そして次のアルバムでGMはブルーズに全振りして、NCとの夫々関係解除。
GMはその後はブルーズ系のミュージシャンといっぱい一緒に演って、アルバムもそちら路線にほぼ固定 (ただし、「Dark Days in Paradise」はちょっとロック路線に戻り。このアルバム大好き。もしかするとGMではいちばん好きかも)。
NCはUFOのサポートをしたりもしつつも、基本的には表舞台からは引退して、後継者育ての方へ進む。
ちなみに、自分のサイトも持ってて、そこで「今はパートナーと幸せ」みたいなことも言ったりしてる。ゲイだと彼がはっきり言ったことも、そもそもそんなことを口にしたのも見掛けたことはないけど、Wife等とは言わずにパートナーって言うってことはそういうことだよねやっぱり、と勝手にひとりで思ってる。
そして2010年頃、突然GMとNCが再度一緒に演るー!!!!20年ぶりー!!! 同時期の来日時にはNCはまだいなかったっぽいけど、その後は何度かふたりで一緒に演り、何かの記念の単発企画かと思ってたら、きちんとツアーとアルバムの予定を立てて、きちんと活動する予定だったそう。
残念ながらGMの急死で頓挫。NCはでもそのまま表舞台に復帰して、今はUFOにいる。
2010年のGMとNC、GMはまあ相当にお腹が大変そうで、でもまあ演奏も特に危うげとかそういうこともないし、若干声の出が怪しい時もあるけど、これはまあGMに限らないと。
一方のNCは、なんとスキンヘッド。ふわふわの髪をさっぱり剃り上げて、神々しい顔立ちを全部見せ。
この変化はちょっとショックで、「自分はNCを見た目で好きなの??そうなの???」ってちょっとの間悩んだ。でも3回くらい見たら慣れたし、スキンヘッドでも相変わらずの紳士的なワイルドさで、さすがNCって思った。好き。
きりっとスーツを着て、GMに比べると全然老けてない。一緒に並ぶとちょっとGMが気の毒な感じで。でもふたりとも懐かしそうに、楽しそうに、嬉しそうに一緒に演ってる。
Empty Roomsが、テンポを間違えたかと思うほどゆっくりな演奏で、それが何だかGMへの気遣いみたいに思えて、そして相変わらず、NCへ親しげな笑みを向けて、NCは何かもう慈愛としか言いようのない視線でGMを見る。
色々あった、時間の隔てもあった、でもそれも全部ひっくるめての、今のふたり、と言う空気。あー。あー。あー。あー。
GMが存命なら、アルバムも聞けたのか。新たな、このふたりの作り出す音が聞けたのか。20年前の延長の、でも新しいふたりの関係を見れたのか。
NCも演奏は大丈夫だったけど、声が出ない。GMとの以降は歌ってなかったのかなと思う。Thunder Risingはもう声が出し切れない。聞いてて辛い。でも好き。好き。
GMにとって、NCが特別な人だったように、NCにとってもGMは特別な人だったんだと思う。
Separate WaysやNothing's the sameが切なければ切ないほど、ふたりのことと思い合わせて辛い。
NCと一緒にいたら多分生まれたかった曲だから、余計に切ない。
好きな曲が、意外とNC以降に多い辺りで、自分が大人になったからなのかなあどうかなあと考える。
2019年末くらいから、毎日ほぼGMしか聞いてない。たまには他のも聞くけど、翌日GMに戻る。
そろそろ外でも隔離状態で聞きたいので、ついにワイヤレスのヘッドフォンを買おうかなって思ってる。iPhoneの音楽プレイヤーってどうなんだろう。
ウォークマンはもう容量いっぱいなんだよね。中消せないアルバムばっかりなんだよね。
原爆の曲と言うと、AlcatrazzのHiroshima Mon Amourがあって、まあアレは歌詞の内容的にアレなので歌詞は意識から消してるんだけど、GMも原爆についての曲を書いてて、それはもうストレートに戦争やんな!!!!!と言う内容で、しかも曲中、日本音曲への敬意でか、三味線っぽい音を入れてて、真摯で律儀な人だなあと聞くたび思う。
最近GM繋がりで、自分はもしかするとScott GorhamとBrian Robertsonが割と好き?とか思い出してる。
そしてGMが結構長いこと一緒に演ってた、Gary Husband(Dr.)の音が好き。
なぜか知らないが、もうひとりGary Fergusonって言うDr.の人とも一緒に演ってて、お互いにGaryって呼び合ってたの??混乱しない???って思うなど。
いやほんとに、なんで今さらGary Moore?って自分でも思う。ここ数年ずっと思ってる。
そして過去の自分に、なぜGMの声が嫌いだって思った????って問い詰めたい。
今の自分には、なんぜGMの声が突然好きになったの????って訊きたい。なんでだろう。
GMとNCが好き。よう書いた。終わり。
TUF13総括雑感
- 2011/06/12(Sun)
さて、TUF13が全部終わり、JDS対Lesnarは、Lesnarの体調不良で対Carwinに変更、それは結局JDSが勝って、次の試合は対VelasquezでHeavy Weightのタイトル戦になる。
とりあえずTUF13総括雑感。
始まった時はひとまずLesnar目当てで、JDSことSanたんにはそれほど興味もなく、ふたりのよそよそしさで、ああ何か冷たい空気満載になりそうだなあと予感。特にLesnarは基本的に目も合わせない。
Sanたんはわりとフレンドリーに、主には英語の問題でたまに「ええと?」みたいな戸惑いは伝わって来るくらいで、まあ頑張れや、みたいな。
まずは選手の選抜。Lesnarは口調は親しげなんだけど、声音が超何て言うか・・・冷たいってんじゃなくて、全然親しみがない感じ。ロボットがしゃべってるみたいだったよ。何か面白い人だなあ。親しくならないと打ち解けないタイプなのかも。
Sanたんは、何か仕草も言動も最初っから超親しげで、感情表現が豊かってか、ものすごい怖そうな顔(ゴリラ系)なのに、舌っ足らずな危なっかしい英語と、笑うとなくなる目と、いっつも微笑んでる口元のせいで、格闘技のコーチってより保父さんみたい。
チーム分けは、今回はDanaたんが事前にコーチたちから欲しい選手を聞き出して、それを選手達に伝えるって感じで。
その後選手達は合宿所(House)に連れて行かれて、今回はごく自然に、2階の寝室はLesnar陣、階下はSanたんチームになったらしい。
こいつは基本的に、自分の過去を長ったらしく語るとか、戦うのは家族(父親、母親、兄、姉、弟、娘、息子、妻)のためとか、どの国から来た云々とか、そういうのを口にする選手はまず大成しないと思ってるので、試合前にそれを長々語る選手は「あーあー」と生暖かく見守ってる。
でまあ今回、それをほとんど口にしなかったのが、RamたんことRamsey Nijem。
コーチに選ばれたのは真ん中辺り(自分が欲しい選手順に呼ぶので、最初が有望、最後は期待薄、という感じになる)、体格的にもWelterとしてはごくごく普通、見てて特に目立つわけでもない、外見的には埋もれた存在だった。
最初の試合は3戦目だったか、相手はけっこうやりそうな感じのCharlie Radar。スキンヘッドで眼力があって、背もけっこう高い方だったか。
一方のRamたんは、いっつも人を食ったようなヘラヘラ笑い、Houseのみんなから"Stripper Ramsey"と呼ばれて(すぐ全裸になって踊るから)、足の爪全部に薄紫ラメ入りペディキュア、好きなテレビはGlee。何この絵に描いたようなゲイキャラ。
これが、彼の演技なのかどうかは知らない。ただ幸いに、こういうゲイネタをやっても反感を買わないタイプらしくて、みんなこの冗談(・・・かな?)を、テレビも雑誌もネットもない退屈なHouse生活の潤いにしてたらしい。
「みんな、オレがこういうことするのテレビで目立つためだって言ってるけど、オレ普段からこんなだし。父さんは、おまえはおかしなヤツだって言ってるよ。」
この辺りもヘラヘラ笑いながら言う。
そして計量の日、Ramたんのペディキュアに気づいたLesnarが、ものすごい嫌そうに、
「・・・Charlie、頼むからあのペディキュア野郎に勝ってくれ。」
と言ってたって言う。この人は基本的に、こういう冗談は一切受け付けないタイプらしい(体育系堅物。ホモフォビアも強そう)。
この辺りから、Sanたんとの相性の良さがよく見えて来て、つくづくLesnarの方へ行かなくてよかったなあと思い始める。
Lesnarは真面目一辺倒と言うか、選手と個人的な部分で親しくなろうというところはまったく見せず、上に行きたいヤツで見込みがあると思えば手を貸すのにやぶさかでない、という態度。
一方Sanたんの方は完全にみんなのお兄ちゃんで(半分以上は彼より年上なんだけど)、厳しく体育会系にしごくよりも、(負けたって)よくやった!おまえらすごいよ!って褒め殺して伸ばすタイプ。
Serraたんよりもいっそう、負けたとしても諦めずに最後まで戦ったということに、コーチとして喜びを見出すタイプで、この辺りは、ノゲ兄弟にまったく同じように扱われて来たせいだろうと思う。
この点で、LesnarとSanたんはまったく相容れない。どっちがいいとも悪いとも思わない。
Sanたんがこういうタイプなのは、ほぼ100%、彼がブラジル出身というせいだろうし、ノゲ兄弟が、格闘家を育てるよりもむしろ、子どもたちをまともに育てる(刑務所に出入りしない、犯罪に手を染めない、普通の仕事に就く、というそういうレベル)ためにはまず健全な精神を、という辺りを理由にジムを始めた、という辺りに理由があると思う。
ノゲ兄がTUF8でコーチをやった時も、勝ち負けよりもまず、ここから逃げ出さないこと、真っ直ぐ自分のしてることに向き合うこと、という方を大事にして、チームの勝ち負けは二の次的な空気があって、選手にもそういう風に対応してたというのを見てたので、この辺はもう文化と生活レベルの違いとしか言いようがないと思う。
純なアメリカ人が、生活的に絶対的に恵まれてるとは思わないけど、こういうことは、他人を傷つけることを目的としてる分、まずは自分も相手も大事にするという精神を!というのはごく自然なことだと思う。
偶然なのかどうか、ブラジルは日系も多くて、柔術を習ってる人たちが多いから、勝ち負けよりもまずはそういう武道の精神を、というのは、格闘技にはまずあるべき姿勢だろうなあと、とにかく誰か殴りたくて仕方ない、というアメリカ人選手たちを見てて思ったりする。
Lesnarとの態度の違いで、ひたすらSanたんのいい人っぷりが露呈したTUF13だった。Lesnarが悪いって言ってるわけじゃなくてね、Sanたんはほんとにいいおにーちゃんだったよ、って言う話。
空気は何となくSanたん優勢で、負ければ負けるほど空気の悪くなるのは仕方のないLesnar側。おまけに、Ramたん系の道化くんであるChrisが、軟派に見えるのにぎりぎりで試合に勝っちゃって、何であいつだけズルイ!的にチームメイトに反感買いまくり。
実際、試合っぷりを見ると、何でこれで格闘技やろうと思ったの?という感じで、のらりくらりかわしてる間に試合が終わって、運良く勝っちゃいました的な。
Ramたんと違って、なぜか道化役でウザがられちゃうタイプのChris、自チームの戦略とか弱点を観察して、Sanたんチームに情報流してるに違いない!このスパイ野郎!という感じになっちゃう。
このことでチームメイトのTonyとちょっとやり合う羽目になる。このやり取りで、Tonyの短気がちょっと伏線。
Chrisいい子だと思うんだけどなあ。誰の悪口も言わないし、陰口も叩かないし、"オレさまヌゲー"的な大口も叩かないし。他のチームメイトに、オレは頑張ったのにおまえら何だよ、なんてことも一切言わない。何か同性に嫌われるタイプらしいよ。何でだろう。ウザいのか。
Lesnarがチームに思い入れがない(勝てない→本気で練習してない→やる気あんのか)ので、選手に対して親身というのが見えず、選手はもちろんそれでいっそうLesnarの言うことを素直に聞かない。
これが、Lesnarの選抜一番だったLenの負けの後にひどくなる。
Lenは自分が負けたのを、Lesnarが個人的事情でその日傍にいなかった、Chrisのスパイ野郎がやっぱり情報流してやがった、オレが頑張ったのに!という愚痴ダラダラで、選抜一番という気負い、そしてうぬぼれがあった分、負けが受け入れられなかったらしい。
Lenは典型的な口だけ選手で、負けた後に、Wild Cardで、選ばれれば返り咲きのチャンスが与えられるんだけど、これの前に膝を痛めたことで、Danaたん的には健康な選手の方が望ましいと言うことで負けたままになり、またこれも素直に受け入れられず、Danaたんに、オレ、最終戦で雄姿見せますから!とわけのわからないことを吹いて失笑される始末。
Houseでも、オレ以上に頑張って試合やったヤツって誰がいるよ?名前挙げてみろよ!と吹きまくって顰蹙買いまくり。
正直見てて、頼むこのバカ男をHouseから追い出してくれ、と思った。女々しいって言うと女性に失礼だよねーって感じ。終わったことをグチグチグチグチ、黙れこの負け犬!って鏡に向かって言ってろ。
Ramたんすら、
「Lenは自分のことを、身長2mで体重100kgのマッチョと思ってるみたいだけど、ただのWelterだし。別に強そうでも何でもないし。」
と、かなりバカにした口調で言っててワロタ。
さて、Wild Cardで2回戦の組み合わせが全部決まり、ここまでは割りとSanたんチーム優勢だったけど、2回戦ではLesnar組が割りと優勢になる。
それでもSanたんのおかげで、チームの空気が暗くなるとか悪くなるもなく、しかもRamたんは勝ったので、チーム全体がお祭りみたいな感じ。
2回戦で、Wild Cardで再登場の権利を得たChuckは、初戦で負けたZachと再戦になる。Zachは勝てるさとけっこう自信満々。が、結局Chuckの怒涛の攻めに手も足も出ずに負けて、挙句両目を、手術必要なくらいに傷めて、その段階で、もう多分一生試合はできないと医者から宣告。
うわあああになるHouseの空気。
さて、2回戦が終わると、顔ぶれはRamたん以外は全部Lesnarチームになって、2回戦段階で、SanたんはRamseyが多分最後に勝ち抜くと言い、LesnarはTonyが勝者になると言い、そしてなぜか、準決勝にちゃっかり進んでる超ダークホースのおちゃらけChris。
準決勝は、Danaたんが大体仕組んだ通り、Ramたん対Chris、Tony対Chuckになる(最終戦で、Ramたん対Tonyにするため)。
対Chris戦はもー予想通りの運びで、Ramたんがパンチしまくって勝ち。今回のChrisにLuckはなかった。
Ramたん勝つと、リング内でみんなで踊り狂い。
さて、後1戦残すのみになったTUF、最後の最後でTonyが切れた。
そろそろ終わりと言うので、みんな浮かれたせいもあって、お馴染みの酒盛りのターン。酔ったCharlie(Ramたんの初戦相手)がTonyにちょっかい出して、Tonyがいきなりそれにキレた。
見てる方も豹変、という感じの変わりっぷりで、本人以外はTonyのキレっぷりを誰も理解してなくて、Charlieはヘラヘラやめろよーとか言ってるし、傍で眺めてるClay(Ramたん2戦目相手。弟とお父さんの遺骨の粉で刺青を入れてる)は、ほらほらTony、ダメだぞー乱暴はいけないんだぞーとかのん気にやってる。
Tonyだけ本気でキレてて目が据わってる。
やっとTonyのキレっぷりが伝わって、騒然となるHouse内。もう酒盛りどころじゃねー。
いくら無名の、有象無象の格闘技選手って言っても、一応はそれでお金をもらってる人たちなので、本気になれば半殺しくらいわけないわけで。そういうわけで、みんなはさっさと間に入って、ふたりがこれ以上本気にならないようにしてる。
面白いなあと思ったのが、Clayは徹底的にお母さん口調でふたりをなだめて(ダメだぞー怒るぞー仲良くしなきゃー)、ああこの人はこういう風に育てられたんだなあと、何か彼のほのぼのした家庭環境を覗き見した気になって、うっかりこんな場面でなごんだ。
Tonyがメキシコ系というのが関係あるのかどうか、今にもつかみ合いになりそうなふたりの間で体張ってるのが、メキシコ人のJavierと、中近東系ドイツ人のNordinだったのにちょっと何か、なるほどなーと思うものがあった。
Zachは最初からTonyなだめ役で、無理矢理TonyをCharlieから引き剥がして別の部屋へ連れて行こうとしたり、ずっとふたりの間で、Tonyを止めようと体張りまくり。自分の顔もまだ殴られたらヤバイし、アザだらけなのに。健気だなあ。
こういう場面ですっと体が動く人ってすごいなあって思った。
GSPたんとKosのTUF12でも、東欧系選手がキレた時にまず止めに入ったが、眼鏡くんでアジア系の選手で、ああ育ち方が出るなあと思った記憶。
このケンカ、ちょっかい出したCharlieがいちばん悪いんだろうけど、そのくらいでそんなキレる?というTonyは、正直TUFは勝ち抜いたけど、これから先超一流目指すなら、その幼稚なところを先に何とかしないと、という感じ。
挙句、よくある離婚のモメ事の流れで、親権問題でひとり息子に会えないらしいCharlieに対して、"テメーの息子はどこにいるんだよ!言ってみろよ!"と、暴言吐きまくり。
この暴言でTonyはHouse内で完全に孤立。準決勝の相手のChuckは、CharlieとはTUF以前にジムメイトで練習相手という関係もあって、
「あいつ、絶対叩きつぶす。オレがあいつの夢なんか全部奪ってやる。」
殺伐として参りました。
でまあ、結果としてChuckは負けて、Danaたんが目論んだ通り、Ramたん対Tonyでの決勝。
で、Ramたんはこの試合で、1R4分手前でKOという、信じられない流れで負けて、身も世もない風情で大泣き。
個人的に、敗因は、今までは試合は全部自分との戦い、という風に言ってたのに、対Tony戦は、酔ったせいのケンカ騒ぎで、絶対オレが勝つ、みんなのためにTonyを負かす、というような感じになってしまい、不必要に気負っちゃったのと、後はちょっと悪い意味で自信過剰になってたんだろうなと、Tony戦見てて感じた。
Tonyは完璧にRamたん対策してて、Ramたんのレスリングも全部防いで、Ramたんにまったくペースを掴ませず、正直Tonyは全然好きなタイプの選手じゃないんだけど、あの試合見て、彼の本気にちょっと鳥肌立った。
Ramたん、次は謙虚に頑張れ。
そして同時にあった試合にChrisも参加で、何と相手はTonyに負けたChuck。これが見事に勝った。Tony対Ramたん同様、Chuckに全然自分の試合をさせない試合運びで、誰が見てもChrisの勝ちな、見事な試合だった。
正直、このChrisとRamたんだと、Chrisの方が勝つかもしれないと思った。
さて、Ramたん、知らなかったんだけど、GSPたんの秘蔵っ子だったJonathanと、TUF11の勝者になった選手とジムメイトで、事前に、TUFに参加する心構え的なことを叩き込まれてたらしい。
House内の空気に飲まれないこと(噂やら陰口に参加しない、諍いに巻き込まれない)、自分のことだけ考えること、日記をつけること等々。それであの落ち着きっぷりかー納得ー。
まあ、言われたところで、実行できるかどうかは性格が主だと思うので、Ramたんは基本的に人さまのドラマには興味がないタイプと見た。
GSPたんの時も感じたけど、格闘技というのは、殴り合って相手を傷つけることが目的ではなくて、誰のこともなるべく傷つけないためにこそ訓練する、というのがほんとうのところなんだろうなあと。
かなり怪しげなところでの、何か怪しげな人との対談だったけど、日本の格闘家が、仏教と武術の繋がりについて的な話し合いをしてて、結局あらゆることを意識するということは、ようするに究極の姿が武術なんだ、というような話で、個人的には対談の胡散臭さはともかくとして、この流れには納得した。
結局は対誰かなのではなくて、対自分自身、ということ。
Sanたん(そしてGSPたんも)が、相手に対して敬意を払わなきゃいけない、相手を大事にしなきゃいけないって言ってて、リングでも、試合後にちゃんと自選手に、相手のところに挨拶に行くように言ってたり、こういう態度は絶対に必要だと思った。
相手を大事にするというのは、結局は自分を大事にするということで、何しろ、「金網の中で殴り合う見世物になってお金を稼ぐ」という道を選んだ段階で、こういう選手たちには必ずどこかに人として問題があるわけで、その問題の部分を直視させて、それから「殴り合うというのはどういうことか」→「それは相手を傷つけたいという欲求であってはならない」ということは叩き込まないと、結局ただの殺し合いになる。ただでさえ、とにかく怒りを発散したいというだけで、この仕事を選んでる人間も少なくないわけで。
見る側はその殺し合いを見たいのかもだけど、お金を稼ぐなら、選手たちはなるべく五体満足でリングを出なきゃいけないわけで。そうなれば、いかに自分も相手も傷つけずに試合を終わらせるか、ということになる。
大事にしてる相手を殴れる、というのは、表現が殴るということにたまたまなってるだけで、100m走ってどっちが早いか、というのと基本は変わらない。
だからまあ、ようするに、相手を大事にするというのは、自分自身に健康な自尊心がないとできないことなんだよ、と。
この辺りを徹底しようとしてるノゲ兄弟、そしてSanたんは、もっとこの辺りをきちんと評価されるべきだよなあと思う。
何つーか、家にお金があったとか、そういうことではなくて、育ちの良さってのは財産だなあとしみじみ思った。
育ちが良いって言うのは、物事を素直に受け入れられるか、いい悪いまるっとひっくるめて、そういうものとして、まるっと受け入れられるかどうか、理不尽な怒りに流されないだけの強さがあるかどうか、結局、健康的に愛されたかどうか、これに尽きるんだろうなあ。
ノゲ兄弟もSanたんも、究極のところは、「自分のところに集まって来た子たちにできる限りの健康的な愛情を示して、「そういう風に愛される価値のある自分たちだと言うこと、だから勝つことに値する自分たちだと言うこと、だからこそ、負けることや自分も弱さを恐れる必要はない、ということ」をまず最初に叩き込もうとしてるように見える。
この、健康的に自分を愛するということが、Ramたんはごく自然に身に着いてるけど、Tonyはどうかなと思う。このどうかな、という部分が、これから先Tonyの弱味になるんじゃないかなと、ちょっと思ってる。
Tonyのことが選手としてあんまり好きじゃないのは事実だけど、せっかくTUFを勝ち抜いて3年契約結んだわけだし、決勝で見せた伸びのまま、選手として伸びて欲しいなと思う。
Ramたんは、多分中堅にたどり着くのに2、3年かかると思うので、その間に多分、今の膠着Welterにも動きと入れ替わりがあるだろうし、その入れ替わりの時期に運良く伸びて、タイトル奪取戦に入り込んでくれたらいいなと思ってる。
今回のTUFは、ノゲ兄弟とSanたんの、コーチとしての指針みたいなのがよく見えたなあと思う。
Sanたんは、コーチとしてはまだ全然実力がないけど、人を導く、導く段階で力を与える、という点では、Lesnarより資質のある人だと思う。
さて、次はタイトル戦だSanたん。
Ramたんも頑張れ。次の試合で、今度は見事な勝ちを見せてくれ。
ふたりとも、むさ苦しいTUFに、超萌えを与えてくれてありがとう。お疲れさまでした。
Type O Negative/"World Coming Down"実況レビュー
- 2010/03/16(Tue)
ジャケ裏のPeteに死相が現れてる。ライナーノーツの欝っぷりが半端じゃない。音的には多分いちばんまとまってた頃。ライブの出来が超ステキな頃。
World Coming Down (1999)
イントロ、Skip It。
CDが音飛びしてる音。Kennyの声。
1曲目、White Slavery。
また欝〜っとなる音から始まる。超Black Sabbathっぽい感じ。ねじれた方向にうねってて、ちょっと頭痛がしそう。
何と言うか、床で死に掛けてる感じ。ああ内臓が機能停止し始めてるんだなーって、動かない体で冷静に考えてる感じ。
何かもう、ただひたすら重くて暗い。これが1曲目って正気の沙汰じゃないだろ。
印象としてはむしろアルバム最後の曲って感じかなあ。
途中でちょっと明るくなる。明るくなるというか、音が高くなる。望みが見えると言うよりも、いよいよ死ぬ段になって、「ああやっと逝ける」って微笑してる感じ。あくまでそっち方向。
Gソロが繊細に始まって繊細に終わる。ソロの後でBの音が静かに鳴って、声だけになったところで、また賛美歌みたいな高い音が入る。
相変わらず歌詞は聞き取りにくい部分が割りと多い。Nightmareと繰り返されるところを見ると、明るい内容でないのだけは確か。Pepsi Generationとか入ってるのは、相変わらずのシニカルなジョーク。
どの音も、妙におとなしく(控え目という意味ではない)演ってる印象。葬送歌って感じだ。
Sinus。
女性が笑う声? 笑うというか、狂気じみたはしゃぐ声? 鼻をかむ音? 鼻炎で苦しんでますという気配。叫び声。
2曲目、Everyone I Love Is Dead。
Gのちょっと淋しげな音で始まり。
太くて低い声。丁寧に語るように歌う声。後ろで、シンプルなGのリフがずっとじゃーじゃー鳴ってる。
一時盛り上がり。真っ当にMetalな音。
歌メロはちょっとダサい感じで、垢抜けないというか・・・何と言うかこう、あがいてるような感じ(多分わざと)。
途中で入る、Goddam Itという歌い叫びが何だか悲しい。
サビの部分でちょっと繊細さが増して、何と言うか、何もかも丁寧なのに、投げやり度が増す。
Bの音が妙にメロディアス。
メロドラマ的な部分や妙に大仰に凝った部分がなく、垢抜けないっぽい感じがむしろ素という感じで、妙に胸にしみる。
Goddam Itという歌い叫びと、Everyone I Love Isという控えた声の対比が、ものすごく切ない。
Goddam Itと歌い叫んで終わり。最後に高音のノイズみたいなのが入る。キーボードの音だ。
3曲目、Who Will Save the Sane?。
いきなり3拍子。何だろう、ちょっとだけぽいっけど、ジャズじゃなくて、南部の路上で聞けそうな、妙に凝ったメロディー。
自然に体が揺れる。
Dr.の手数が割りと多い。どのパートもそれぞれメロディアス。うるさくなくて、絡み合いがうねってて気持ち良い。でも全然爽やかじゃなくて、安物ウイスキーで酔っ払ってる感じ。
歌詞に割りと言葉が詰まってて、音楽的にどうこうよりも、とりあえず言いたいことを言ってみましたという感じなのか。
印象としては優しい感じのメロディーなんだけど、穏やかと言ってもいいと思うんだけど、明日の朝二日酔いで大変ですねみたいな、そういう雰囲気。
投げやり、負け犬、そういう言葉が浮かぶ。
Peteがほとんど無理をせずに歌ってる。高音やむちゃくちゃな低音を使わない、ごく自然に出る声だけで歌ってる。
聞かせる曲だなあ。さり気なく凝ってる。でも大仰じゃない。こけおどしじゃない、素直に出た音、という感じ。強引さがない。
Liver。
観客の声? 車から降りて小走り? 病院? 人の声、水音、グラスや何かが触れ合う音? 小さな爆発音? パトカーの音、ピーっという電子音。ドアが閉まる音? 電話が鳴る。眠そうな女性の声が答えて、それから叫び声。落ちてゆく音?
4曲目、World Coming Down。
目の前の闇が、いきなり振り払われるような、そういう印象の始まり。何かとても広大な感じ。空から音が降って来るような。
LPだったら回転数間違えたかなと思うようなテンポ。うっかりリズムに乗り損なう。
中域よりちょっと高い声を使って、歌い上げるような、そういう歌い方。テンポはうんざりするくらいトロいくせに、メロディーのリズムはちょっと前乗り。
Kennyがサビを歌う。Peteの声より華やかで、リズムも実はしっかりしてたりして。
頭上にこう、延々と何かが広がってゆくような、そういうメロディー。
突然地上に降りる。Peteの声とDr.だけ、Gの音がしみるように時々流れる。
導く声というのか何と言うか・・・ほんとに空から語り掛けられてるみたいだ。
なぜか天使が見える。
多分歌詞を読めばそのままだと思うけど、Peteが何もかも、包み隠さず吐き出してるような、そういう印象。告白と言うのか懺悔と言うのか。
なぜか不思議と、切ないとか淋しいとか、そういう感情は湧かない。ただひたすら、両手を広げて、彼を抱きしめたくなる。
珍しくきちんとアルバムの中のあるべき場所へ納められた曲だと思う。すげえ、信じられないくらいに良い曲だ。
人間の、絶対に失うことのできない、優しさのようなものを感じる。包み込まれるみたいな、包み込みたくなるような、ただ人としてそこに在って、互いに抱きしめ合うとか、尖った感情とか誰かを傷つけそうな衝動とか、そういうものが一切ない、悟りの境地みたいな、そんな感じ。
気がついたら泣いてましたとかでもおかしくない。
5曲目、Creepy Green Light。
ちょっと高めのBの音。ちょっと不安になるようなメロディー。
不気味で、でも魅かれずにいられないような、そういう音。
わりと感情的な曲。泣いてるような、わめいてるような、そういう印象。
なぜか、Peteが地面に転げて泣いてる姿が浮かぶ。
特に激しいというわけでもないのに、ざくざく草の生えた地面を切り裂いてるような、そういう圧倒感。暴力的ではなく、ただちょっとかかとをつい後ろに引くような、そういう圧迫感。
オルガンの音。教会の雰囲気。Gの音が割り入る。
ある種の混乱状態を、とりあえず吐き出してみましたという感じなのか。歌詞読んでもよく意味がわからない。悲しんでるらしいことだけはわかる。
誰かにぶつけられる怒りや悲しみではなくて、ただひたすらひとりで耐えるしかない系統。
内容は内向してるけど、音的には外へ向かって拡散してる印象がある。
6曲目、Everything Dies。
カオスな感じのGの音で始まり。みんなでせーので音出してます、みたいな。ちょっと素人臭い。
Peteの低音地を這う声。ただ叫んでるだけ。
突然優しくて切ないGの音と、Bだけになる。
ささやくような、Peteの声。後ろで鳴る、ちょっと叩くようなピアノの音。
ちょっと無理をしてる感じの、Peteの透明な声。似合ってないところが、この曲の不安定さに似合ってる。
音数が少ない(そう聞こえる)せいか、曲の透明感が強調されてる。
シンプルなロック。優しくて、切ない。
下手すると超女々しい。Peteの声で歌われるとたまらん。
力抜いて演ってますというのか、あんまり気負ってない感じ&ある意味成り行きで作ったらこうなりましたみたいな感じで、そのせいかメンバーの素が見える感じ。
途中でいかにもらしく、低音の歌い叫びが挿入、無理矢理っぽさが何だか可愛らしい。
何だろう、妙に可憐な曲。道端に1輪きりで咲いてる、雑草の花って感じ。可憐なままで終わりかと思ったら、音が重くなって、ぶ厚くなって、突然死刑場にでも引きずり出されたかと思った。
可憐な雑草が、大きくて重いブーツに突然踏みにじられたような、そういう印象。突然切れて終わり。
Lung。
男の苦しむ声? 咳。息を吐く音。電子音。女性が泣く声。咳の音。子どもの無邪気な声と女性の泣き声。
7曲目、Pyretta Blaze。
何だかサイケなイントロ。いきなり後ろ頭を軽く殴られたような感じ。
海を渡る風? 妙に爽やかなメロディー。ちょっとらしくないっぽい感じなので、カヴァーかと一瞬思う。
普通にトロい感じの、ちょっと古臭い感じのロック。ザクザク刻むGのリフが浮いてていい感じ。
サビ部分でとってもポップ。何が起こったかと思う。爽やかさが増して、そのせいでよけいにちょっと不気味に感じる。
Dr.がいい。うるさ過ぎず、音が多過ぎず、ちょうどいい感じで後ろで鳴ってる。
ちょっと勘違いした、夏の終わり辺りを表現してみましたみたいな、なぜかそういう印象。
ああ、あんまり怖くないホラーみたいな、そういう感じか。不気味で何となく気味が悪い。でも魅かれずにいられない。
音は安定してるのに、曲の不安定さが最後で増す一方。薄気味悪いなあと思う間にFO。
8曲目、Hallows Eve。
Bがべんべん。のくたろ〜んと始まる。人気のない、夜のどこかの工場の敷地内という印象。
サビを歌ってるのはKennyか。
Peteはわざとまた訛り強調して歌ってるのかなこれ。
曲としては真っ当と言うか、さり気なく重ねた音が凝ってていい感じ。
なんでここでPeteがきれいに歌うのorz 相変わらず不安定と言うか、聞いてると面食らう展開だなあ。
Gのリフが立ってていい感じだ。Peteが歌う後ろで鳴る音が、みんな妙に美しい。不安定な印象のくせに、音のひとつひとつはみんな麗しい。
綺麗な薔薇には棘があるの反対で、美しくないはずのものを美しく感じてしまうその感情に対する戸惑いというのか、そういうのが湧く。
何だか、目の前にいる誰かに、ちょっとバカにされて笑われてるみたいな、でも悔しさよりも悲しさが湧くような、そういう感じ。自分が惨めなのが悲しいというような、そういう感じ。
Dr.のオカズがいいなあと思ってる間にFO。誰かの哄笑が聞こえたかと思った。
9曲目、Day Tripper (Medley) ("Day Tripper" / "If I Needed Someone" / "I Want You (She's So Heavy)")。
いきなり首をくくりたくなるような音で開始orz
Paulが聞いたら怒り狂う予感。ちゃんとMetalだよ! 超冒涜アレンジ! でも気持ちいいよどうしよう!
Day Tripperはぶっちゃけ、歌うのはけっこうめんどくさい曲で、それをつまらなくない感じにしてるアレンジはすごいと思うし、Peteはよく歌ってると思う。本気ですごいと思う。冒涜アレンジだけど。
ビートルズもまた、あのメンバーだからこそ出せた音なんだと、再認識させてくれる。
さらっとオリジナルをなぞってやるとただつまらない曲になる(オリジナルが演ると別)ところを、アレンジと声で聞かせてるのはすごいと思う。
そしてI Want Youはさすがと言うか・・・このまま「オレらの曲でーす」って言ってもおかしくないと思うよ。これはオリジナルこそが、「え?ビートルズ?え?」っていう曲だしな。
うっとりしてたらいきなりブチ切れて終わり。工エエェェ(´д`)ェェエエ工
総評。
始まり方も終わり方も、聞いてる人間を驚かせるための冗談と見た。
相変わらずの構成。1曲目がこれですか、最後はカバーでいきなりブチ切れですか。なんかホントにCDに何かあったのかと思うじゃないか。
重いのもトロいのものたくた〜んぶりも相変わらず。October Rustよりもダサさが見えるようになって、むしろ人間味が増したと言うのか。酔っ払える度も相変わらず。今回はよりヘヴィーに、まさにコカインか何か決めてますという感じで。
傾向としては、自分の内側にいっそう深く向きつつも、そのせいかよけいに実際の「死」(自分のものとは限らず)に近くなって、そのせいで思想の向かう方向がよけいに普遍的になったと言うのか。
個人的度が増してるはずなのに、向かう方向は外へ向かって拡散、というか、テーマがもっと人間の根源に向かってるような気がする。
October Rustの美しさが、ある意味青年になりたての人間の、非の打ち所のない完璧さによるものだとしたら、WCDは、そこから大人になって、成熟したゆえに現れてしまった欠点による不安定さが生み出す安定感と言うか、ORとは別の方向での完璧さとでも言うのか。
まったく完璧ではない。徹頭徹尾不安定さがつきまとう。触れたら切れそうな鋭い美しさではなくて、むしろ手を汚しても触れてみたいと思わせるような、うっかり庇護欲をそそるような、そういう妙な魅力。
アルバムとしてまとまってるのかどうか、それすら今はっきりとはわからない。全編に漂う息苦しさ、闇の中で窒息しているという閉塞感、けれどなぜか、どこかに救いがあると信じられるような、奇妙な爽やかさと広大さ。
「どうせみんないつか死ぬんだ、死んだら焼かれて骨になるだけ、骨になったら誰とも見分けがつかなくなる」とでも言うような、突き抜けたような開き直り。
何だろう、妙な無邪気さを感じる。飾らないと言うか、何かをさっぱり脱ぎ捨ててしまったと言うか、素直と言えば言える、でもどちらかと言えば、ヤケになってめんどくさいことをやめてしまったと言うような、きれいな服を脱いで、みっともない下着姿を晒してるような(裸ではないところがミソ)、そういう印象。
絶望ではなく、諦観。人生とはこういうものだと、若気の至りではなく見切りをつけてしまって、でもまだ実際には若いから、死は遠いという、そういう立ち位置。
もう自殺はしないけれど、代わりに酒と薬に溺れて、消極的に死へ向かうという、そういう態度。
もう(死に対して憧れだけを抱ける)子どもではないのだという、避けようのない淋しさ。
高校生の頃に、自殺未遂(実際に実行したのか、実行以前に見つかったのかは不明)で閉鎖病棟に入院させられてた頃のPeteは、確実に、思春期の不安定さだけのせいではなく、物理的に脳の中のバランスがおかしくなってたと思う。
TONを始めて、30も半ばを過ぎて、頭の中は落ち着いたけれど、それでもいわゆる普通にはなれず、この辺りから人嫌いが若さ特有のものではなくなって、ほんとうにもう1枚の皮膚的な感覚になってしまって、ああやっぱりどこかがおかしい(単なる事実)んだという認識に、本人自身が落ち着いたんじゃないかなと思う。
何と言うか、アルバム全体に流れるトーンは、どこか淋しげだ。孤独を強く感じる。
ほんとうに死を目前にしたら、この人はどういう態度を取るんだろう。
Peteの、人間としての成熟を感じる。ここまで(女々しい)素を、女々しく剥き出しにできるほど強くなったという驚き。
さらけ出した本音が、まとめてみたら偶然うっかり美しくなりました的な、芸術的昇華の点が高い作品。Peteの感じる孤独の深さゆえに、、テーマが結果的に普遍的なものになってしまったという辺り、結局どこまで行っても人は人である、ということなのか。
Type O Negative/"October Rust"実況レビュー
- 2010/03/15(Mon)
前作と打って変わって、過剰な演出はほとんどない、音楽だけのみっしり詰まった1枚。脳が融ける。
October Rust (1996)
Bad Ground。
ズーっというただのノイズ。ある意味イントロに非常に相応しい。Josh曰く、「CDか機械に何かが壊れたかって思わせる冗談」だそうで。まったくもうww
Thanks from the Band。
笑い声。バンドメンバー全員から一言ずつありがとう。こちらこそありがとう。
1曲目、Love You to Death。
そして1曲目がこれかああああああああああorz いきなり欝になれるピアノの音、Peteの低い声。
ライブになると非常にこう、ドス度の増すバラード。アルバムだと、ひたすらのた〜んくた〜んとたるい音が続く。
水死体になって、流れのゆるい川を仰向けに流れてるって感じ。
好みはあるかもだけど、この1曲だけでこのアルバムを聞く価値があると思う。この1曲だけでTONをすごいバンドと言うだけの価値のある曲だと思う。
とにかく延々とたるい、切なくて胸が締めつけられる音が続く。何もかも絶望に満ちた無気力と言うか・・・決して無条件に美しい(だけの)曲ではないと思うけど、こんな美しい曲を聴いたのは10何年ぶりかと思った。
特に盛り上がるようなフレーズもなく、とにかく延々と延々と、地を這うような音が続く。
そして最後に、Peteが少し高くなった声で、Am I Good Enough For You?と繰り返す。この人がこんな言葉を繰り返すというところがまた切なくて泣ける。
最初から最後まで、胸をかきむしるように、ただただ淋しくて切なくて、悲しい曲。
2曲目、Be My Druidess。
ノイズっぽく始まる。べんべんべんなB。サイケというかテクノっぽいとも言うのか、この曲だけ聴くとロックバンドに思えない。
細くて高めの声。普通に歌う声。後ろでBがずっとべろんべろん。脳が揺れそう。
歌詞はまあ、官能小説系なので、歌い方もそういう感じに。Bloody Kissesに比べると、こういう歌い方が板につきつつある。鬱陶しさやわざとらしさが減って、わりと自然に色っぽい。
そして突然声が低音になる。地獄の底ですかと言いたくなるような声で、官能小説な歌詞は勘弁して下さいorz
後ろで鳴ってる音は特に印象的とも思えないけど、途中でちょっと調子が変わる辺りで、妙に耳に残る。
湿った暗い森の中、という感じ。メロディアスではあるけど、ドラマティックな部分は抑え気味。わりと淡々と進んで、淡々と終わる感じ。
メロドラマという印象は非常に薄い。曲としての盛り上がりには欠ける(でも欠点じゃない)けど、やたらと大仰でないところが好感触。
3曲目、Green Man。
何かの作業の音?
爽やかな感じのアコGの音で始まる。そこへ入る、んべべべんなBの音。これもまた爽やかっぽいPeteの声。
優しいGの音、優しいPeteの声、鳥の声も入る。優しい旋律。
穏やかな、透明な空気の匂い、孤独というわけではなくて、ひとりという印象。
歌詞はちょっと自然に関わることなせいか、曲もそういう感じが強い。ただひたすらに穏やかで優しい。ちょっと民俗音楽っぽいフレーズもある。
Peteの歌い方が丁寧。歌い叫ぶとか投げ捨てるような歌い方は一切なし。語るように、ほんとうにギター1本でひとりで歌ってるよみたいな、そういう感じ。
空や地面に向かって声と音が広がってゆく。誰かのためではなくて、誰かに向かってではなくて、内側からあふれて来るものを、外へ向かって放っている、そういう曲。空気の匂いがする。
どの音もでしゃばらない。どの音も全部バランスよく絡まって、何もかも、ただそこに在る、ただそれだけ。
突然ぶつ切れで終わり。
4曲目、Red Water (Christmas Mourning)。
キーボードだと思うけど、ちょっと金管っぽい音で始まる。
水面を叩くような感じのキーボードの音に重なる、ぎーぎー言うGの音。
静かな小さな部屋で、何か床に置いた何か硬いものを、手にした道具で叩いてるような、そういう情景が浮かぶ。その行為に意味はなくて、ただそうしたいから、本人もどうしてかわからないままそれをやってるっていう、そういう感じ。
Gの音は割りと鋭い。
Peteの声は、何と言うか泣くのを耐えてるような、そういう印象。
途中の鈴の音みたいなKeyの後ろで、妙に耳につく音で、Bが鳴る。
淋しくて悲しい。みんながいるところで、ひとりきり。孤独という感覚に襲われる。
Gはぎーぎー後ろで鳴るけど、ほとんど目立たない。誰か、少女らしい誰かが泣いてるような声。教会辺りで聞けそうなコーラス。
きれいで、悲しい曲。聞いてると泣きたくなる。これもブツ切りで終わる。
5曲目、My Girlfriend's Girlfriend。
Dr.の音、妙にファンキーでサイケでキャッチーなKeyで始まる。とにかく奇妙にポップ。
そこへ入る、まるで戦車がガガガみたいな、PeteのドスDeath声。なにごとorz
何と言うか、人工的に着色されたすごく色鮮やかな花壇を踏みにじる戦車って感じorz
歌詞はまあ、つまり「オレの彼女の彼女」とそのまんまで、「3人で手を繋いで街を歩くとみんなが振り返る〜」とかそういう能天気系の、意味は特にない系。ただひたすらにポップでキャッチーなフレーズの後ろで、ザクザクGやらBの音が聞こえる。
真ん中で麗しいフレーズになる。Peteの声も麗しい。
PVも非常にドン引きな意味で印象が強いけど、曲のアレンジだけでもドン引けるすごい曲。
最後近くに入るBのソロ(?)がすげえ好き。かっこよすぎ!
6曲目、Die With Me。
人の声。アナウンスの声? 飛行機の飛ぶ音?
アコGで開始。ささやくようなPeteの声。
優しいラブバラード、なのか? 声もGの音もKey(ピアノ)の音も、全部優しい。背中や頬を撫でる手みたいに、優しい。
別れを嘆いている内容の歌詞と思うんだけど、相手がいわゆる普通の女性なのか、それともこれもお母さんのことなのか、お母さんと思うのはまずいかもだけど。
Peteのマザコンは真性なので、実はお母さんのことですって言われても全然驚かない。この人が(歌の中で)心底優しいのはお母さんに対してだけだしなあ。
いつまでも優しいまま。ただひたすらに優しい。淋しげに、悲しげに、優しい。誰かの穏やかな死を看取るのはこういう感じかと思う。
最後の最後で、Dr.の音が強くなって、ちょっと変わった感じのフレーズが続く。突然ぶちっと終わり。
7曲目、Burnt Flowers Fallen。
ヤギとは羊の鳴き声。
うねうね〜んと始まる音。これもBだな。ちょっと東洋っぽい感じのフレーズ。
Keyが入って、ほんの少しだけうねうね〜ん度が下がる。
Bの音と歌メロのうねうね度のせいか、脳が揺れる。歌メロの後ろで鳴るBの音が何気に超かっこいい。
盛り上がりはあるけど、特にメロディックというわけではなくて、むしろ曲自体は平坦。ただとにかくそのうねうね〜んの繰り返しのせいで、酔っ払える。トリップソング。
これも何だか美しい。花畑で気持ち良く、ちょっと行き過ぎに酔っ払って、ああ空が高いなあ青いなあってぼんやり思ってるような、そういう感じ。
歌詞は4行程度を延々繰り返し。高めの声で歌い方は丁寧。激しさは抑え気味に、ちゃんとそこに在って、Bがさり気なく感情表現豊か。
8曲目、In Praise of Bacchus。
うね〜んとしたGで始まる、うね〜とした高い声が入る。ちょっと突然で面食らう。
割りと普通のスローなロック。ちょっと吐息の混じる、つぶやくような歌い方。声は高い。
リズム隊の音がけっこう低めで、ちょっと音が太くて地を這う感じ。
声はエフェクト掛かってて、こもった音にしてある。後ろで効果音がけっこう鳴ってて、曲のシンプルさとは逆にアレンジは妙にゴージャス。
歌メロ部分は抑え気味(Bloody Kissesまではドラマティック過剰なんだけど)。
歌い方が、下手すると気持ち悪い系。曲全部気持ち悪い系というか、粘着質。でろ〜んどろ〜ん。
ハモンドオルガンの音に、さらにつぶやくように歌う声。そこからサビ部分に戻る。オルガンの音はそのまま後ろで鳴ってる。
Dr.が入って、それなり普通にロックかなという流れに戻って、粘着はそのまま。音とか声がたくさん重ねてある。
突然切れる。情緒もへったくれもないのはなぜ。
9曲目、Cinnamon Girl (Neil Young cover)。
ちょっと元気がいい感じに始まる。これもまた何事、という感じ。
基本のメロディーは爽やかな感じなのに、それをブチ壊すGの音とBの音。ざくざくじゃかーんみたいな。
明るいのか爽やかなのか不気味なのかよくわからないブレンド具合。とりあえずうねうね〜んな音に脳が揺れそう。
Peteの歌は普通。オリジナルよりも色気増しかな。これはこの人の歌い方のせいってことでひとつ。
MGGとは違う意味で、ちょっと可愛らしい感じ。しかしなぜかちょっと不気味な感じもあって、どうしたらいいのか戸惑う。
そしてちょっと真ん中で盛り上げるために(?)ドスDeath声を使うPete。
GとBのザクザク具合は相変わらず。
何と言うか、サイケなDeath Metal風味とでも言うのか。
爽やかに終わり。
10曲目、The Glorious Liberation of the People's Technocratic Republic of Vinnland by the Combined Forces of the United Territories of Europa。
飛行機が飛ぶ音? 重い曲。叫ぶ声。軍歌の響き、みたいな印象の曲。飛行機の飛ぶ音で終わる。インストと言っていいのかこれ。短い。
11曲目、Wolf Moon (Including Zoanthropic Paranoia)。
きれいな、どこか宗教音楽めいた感じの曲。Bの音がうね〜んときれい。麗しい。
重い。暗い。ちょっと不気味。非常に真面目で真っ当なホラー映画のサントラって感じ。馬鹿馬鹿しいとか安っぽい感じは全然なくて、開拓時代のアメリカの夜、辺りのイメージ。
音が全部丸い。尖ってるけど、鋭さはない。穏やかというわけではなくて、物静かと言うか。
非常に麗しい印象。怖くて、きれい。
クラシックっぽい音に聞こえるのは、途中でバイオリンぽかったり、そういう音が入るからなんだろうなあ。
物悲しい、何か人でないものが、淋しいとか切ないとか、そういう感情を表してるような、そういう印象。
物悲しいまま終了。
12曲目、Haunted。
高音の、金属の楽器が鳴ってるような音。
ピアノの音。ゆっくり曲が始まる。
詠唱みたいな歌い方。何もかもうね〜ん。
黒衣、何かに向かって捧げるために歌、感情の昂ぶりらしいものは特にない。
急に暗く重くなる曲。声も低くなる。地の底から聞こえるような低音。不気味な、何か古い弦楽器みたいな音、Peteが歌わずに語る、訛りがきつい。
音が増える。バレエの公演でも見てるみたい。
過剰ではなく、ドラマティック。正直10分あって長いと思うのに、長さにうんざりしない。
不気味で美しい。醜悪で美しい。何と言うか、恍惚となる。引きずり込まれる感覚。
大仰に劇的ではないのに、物語を語られたような、充足感ではないけど、脳がいっぱいになった感じ。
何の情緒もなく突然切れて終わり。
Bye from the Band。
Peteが「じゃあまたな」と言うのが、最後でまたブチっと切れる。ある意味興醒めというか、突然現実に引き戻されて、ちょっとめまいがする。脳の揺れが止まらない。
総評。
Bloody Kisses同様、いきなりこれでアルバム開始ですか、という曲順。最初に雑音とメンバーのしゃべりが入るので、その辺りでちょっと興醒め気味に救われる感じ。
1曲目の1音から暗闇に引きずり込まれる。ここだという盛り上がりのようなものは特になくて、MGG辺りでちょっと明るくなるかと思う程度。CGでもちょっと爽やかに救われるかな。
とにかく全体がどろ〜んぐた〜んうね〜ん、特に後半は全部のっぺりの暗闇の中。
完全ダウナー系。マリファナの酔いでもなくて、何だろう、睡眠薬の飲み過ぎ? 脳ミソが直に揺さぶられてその内融ける。
前作までが怒りを主に歌ってたのと対照的に、October Rustは、タイトルの印象通り物悲しさとか、人生の無常さに対する諦観というのか、そういうのを主に感じる。
物悲しい、切ない、淋しい、でもなぜか、絶望感は薄い。そこはもう突き抜けてしまってるのか、それとも方向性が違う闇なのか。とりあえず生きているという匂いはする。
全般Bの音が激好み。低く鳴る音がたまらない。声よりも感情豊かな気がする。
いわゆるメロドラマ的にドラマティックな部分が薄れて、非常によく出来た、心理描写で盛り上がる(ラストに特に救いはない)長編小説を読んでるようか感覚。
曲調がどれも似てるせいか、アルバムひと続きという印象が強まってて、でも1曲1曲、きちんと差異が際立ってる・・・のは構成のおかげか。
ある部分、まとまり過ぎなくらいによくまとまってると思う。単調だけど、ぎりぎり単調になり切らずに、あちこちに印象的なフレーズがさり気なく、目立たなく差し入れてある。濃淡のある闇、あるいは、闇の中で見える、物の形や影。
これをMetalと言っていいのか、いわゆるGothだのDoomだのに入れてしまっていいのか迷う。かと言って普通のロックではなし。何と言っていいものか迷う。こんな疾走感のないアルバム、よく作ったな。
どの曲も好みどストライクで、アルバム全部同じ曲調って、まるでお気に入りの曲だけ集めた自分用ベストって感じ。個人的には捨て曲が1曲もないって怖すぎる。
Peteの発音は、わざとなのかどうか、非常に聞き取りにくい。Layneとは対照的。歌詞にはほとんど言葉を詰め込んでないのに、歌詞見てもどこを歌ってるのかたまにわからなくなる。
ブルックリン訛りを強調してるという話も聞いたけど、どっちかって言うとロシア語訛りじゃね? ってか、普通に英語に聞こえないんですが。
この声(と発音)と歌い方がTONの顔だと思いつつ、実はこの人のBが超好きだったりして。
メロディーが非常に成熟したなあと思う。前作までの幼稚さがまるっと抜けて、いわゆる大人のためのロックというわけではなく、むしろ内向度は前作の比じゃない。世間の基準ではなく、Peteの個人的基準として、「成熟した」という感じがする。
Peteの個人的事情の発散の方向と、世間の求める方向が偶然一致したと言うか。
メロディーの美しさとかいわゆるバラードの集合体ということを考えれば、売れない方がおかしいと言えなくもないけど、内容の内向性を考えると、どマイナーのままでもおかしくなかったと思う。
売るために作った内容ではなく、ぶっちゃけるとただのPeteの個人的な日記。ただ曲が異様に良い、捨て曲がない、メリハリつけようとか色気を出さずに、これでいいんだと押し切ったところが個性になった、稀有なアルバム。
わざと残したアマチュア臭さと、曲の終わりが時々ブチ切れなのは、多分メンバーの照れ隠し。そういう意味では、恐らくこれはほんとうにある種の素を剥き出しにした作品なんだと思う。
ねじれた方向に美しいアルバム。ただひたすらに醜悪に美しい作品。LYDT1曲だけでも聞く価値のあるアルバム。
Type O Negative/"Bloody Kisses"実況レビュー
- 2010/03/10(Wed)
一応オリジナル盤。ヨーロッパでは曲順が違ったりとか、いくつか違うバージョンがあるらしい。未発表の曲とか入ってるって、買ってから知ったよorz
Bloody Kisses (1993)
イントロ、Machine Screw。
金属の扉が開閉する音? 女性のものすごい喘ぎ声orz
1曲目、Christian Woman。
いきなりこれが最初なのか。ここでは単数形(Woman)なのに、なんでDVDとかだとWomen(複数形)になってたりするんだろう。謎。
繊細な、重々しい曲調と歌い方。懺悔の声にも聞こえて来る。
曲だけ聴いてるとものすごい何か切ないんだけど、歌詞読むともうorz
いやまあようするに、信心深い女性が神に恋をしていて、それは肉体的な愛でもあってみたいな、そういう内容なんだけど・・・。
半ばでアコースティックになって、そこでずーっと延々、Peteがものすごい普通の声で、「彼女は神を知りたがっている、愛したがっている、もっともっともっと奥深くで(多分、遠回しに、体でという意味)知りたがっている」って、どこのラブソングですかという調子で歌い続けてる。
その後で急にまたロック調に戻ったら、「キリストはおれとそっくりなんだぜ」と、ビデオでは半裸でB弾きながら歌うのが見れるorz この部分は本気で歩く猥褻物と化すPete。
1曲目から9分弱。とりあえず酔え!惚れろ!これぞTON!
2曲目、Black No.1 (Little Miss Scare-All)。
次がこれか! 次がこの曲か!!!
べべべべんという、ぶっといBの音のイントロ、吐息の多い、太いけどかすれ気味の、一言一言やけにはっきりと発音する歌い方で始まる。妙に単調なくせに、印象的なベースライン。後ろでこっそり鳴る、不気味なKey。
Gが入ってそれなりに激しさは増すものの、深夜の森という雰囲気はまったく変わらず、墓地の近くですかと、ちょっと首の後ろの毛が逆立つ。
そんなところで、ちょっと曲調が妙に明るくなって、そこはKennyが歌う。「染めた髪の根元が伸び始めてる」という歌詞。笑うところ?
とにかくひたすら不気味、繰り返される、意味の良くわからない、でも聞いてるうちにトリップできそうな、Black Black Black No.1というコーラス。
妙に優しいKeyの音、そこへかぶさる、ささやくような、あるいはちょっと泣き出しそうな、それとも語りかけるような、Love Loving Youという歌詞。そしてKennyの声が続けて歌う、Lovin You Was Like Loving The Dead。ここのDr.の音が好き。
またKeyの音、それから心臓の音? Keyの音がちょっとゴージャスになって、でもフレーズが不気味さを増したところで、またGがちょっと激しくなって戻って来る。
これはアルバムバージョンで、PVで聞けるシングルバージョンとはアレンジがかなり違う。
11分もあるのかorz PVは4分くらいだもんな。倍ですかorz
ちなみにBlack No.1というのは、髪染め剤の番号で、いちばん黒いヤツのことらしい。
あんまりそうとはっきりわかる風ではないけど、一応珍しくきちんとGソロが入ってる。身の丈に合った感じに(ひどい)。
どうと言うような特徴のある曲ではないと思うんだけど、とにかくひたすらな不気味さとわけのわからなさと、そして妙に耳に染みついて忘れられなくなるフレーズ、とにかく奇妙に印象の強い曲。
しかし、これこそがTONだ!と思うと大変な勘違いと後で気づくorz
PVは非常に(良くも悪くも)印象が強い、曲だけで聞いても印象が同じようなのはさすが。しかしあのPVは超損をしてるような気がするよママンorz(←このPVでドン引いてそれ以上TONを聞こうと思わなかったヤツ)
Fay Wray Come Out And Play (Interlude)。
何語だろうこれ、原住民の儀式みたいな感じ。逃げる(?)か怯えてる女性の声。叫び声。生贄の儀式とかなのかな。
3曲目、Kill All The White People。
いきなり突っ走るパンキッシュ。タイトル通りの曲。
歌詞が途切れたところで、みょ〜にサイケくさいGの音が入る。気が抜ける。
どよ〜んと音が重くなって、何だろう、軍隊の演習の様子とかなのかな、そういう音が入る。機関銃の音?
Bのフレーズがかっこいい。歌詞のリズムが実は好き。
4曲目、Summer Breeze (originally by Seals and Crofts)。
白人どもを殺せ、と歌った後でこれかorz
オリジナルのさわやかさは、とりあえずちょっぴり残ってる気がするけど、薄気味悪さをよけいに増すだけな気がする。
とても可愛らしく入るKeyの音の浮きっぷりが逆に怖いorz
Gの音がちゃんとMetalなだけに、オリジナルに対していたたまれなくなるorz
ちなみに、毎度カバーのたびに歌詞を変えることが多いPete、この曲に関してはオリジナル側からクレームついて、歌詞の変更ができなくなったとか何とか。いやカバーを許してもらえただけ寛大さに感謝って感じだと思うorz
何かホントに、吸血鬼が獲物の話をしてるような雰囲気。
5曲目、Set Me On Fire。
前の曲と途切れないまま、まるで続きみたいに始まる。歌詞にSummer Girlと入ってるので、そういう意図で作った曲なのかな。
この中ではわりと短い曲で、Drの音とKeyの音が印象的。
Popと言えば言える曲調なのか。その割りには、何だかよくわからない、「何なのこれ?」的な雰囲気があって、明るいとも言い切れない、かと言って切ないとか淋しいとかそういうわけでもない、単に耳に気持ちいい音符を並べてみました的な感じが、逆にちょっと気味悪い(そして曲は全然気味悪い感じじゃない)。
印象が薄い割りに、She Sets Me On Fireというメロディーは妙に耳に残る。
Dark Side Of The Womb (Interlude)。
赤ちゃんがむずがる声。機械がぶつかるみたいな音? 女性の声?
6曲目、We Hate Everyone。
明るく始まる、これもまた何だかふざけてるのかというような曲。
後ろでドコドコ鳴るDr.。
歌詞が過激な割りに、Peteの歌い方はごく抑え目で淡々としてて、ああからかってるんだなあという感じのコーラス。
途中で展開、うね〜んとお得意の落とす重い流れ。不気味な声。わざと言葉の途中の音節で切って、言葉を聞き取りにくい感じにしてるのかな。訛りも強調?
そして突然、妙にメロディアスなフレーズが始まって、やけに淋しげな感じになる。
少し感情のこもった声でWe hate everyoneと繰り返す。ものすごく悲しげで淋しげ。ちょっと可哀想になる。
最初のおふざけに戻る。かわいそうに思ってた気持ちがここで吹き飛ぶorz
曲の〆部分の音が外れるのが、あれはきっと揶揄の表現。
7曲目、Bloody Kisses (A Death in the Family)。
ドラマティックなイントロ。とりあえず前の曲の余韻(?)に浸ってると面食らう。
ドラマティックな流れの割りに、メロディーラインらしいラインがあんまりない。Peteの声より、Bの方が歌ってる感じ。
あ、これはお経だ。うね〜んうね〜んと言う感じの歌い方。
曲調がちょっと鋭くなって、Peteの声も急に高くなる。
大きくて重い石の下敷きになって、一応じたばたもがいてる感じ。助かるとは思ってないけど、一応悪あがきはしておく、というような。
Keyの音せつねー。
これもまた映画みたいな感じで、曲が長い&メロディーらしいものがないわりにドラマティック&ほとんど台詞みたいな歌詞。
LPだったら、これがB面の最初かな。CDで6曲目と続けて聞くと、ちょっとそれどうなのという気分になること請け合い。
最初っから最後までひたすらドラマティック。でも歌詞は非常に単純で特にひねりも見当たらない。含みは山ほどありそうなので、いろいろ深読みできそうで面白い。
3.0.I.F. (Interlude)。
バイクとか車の音?
妙な儀式でもしてるみたいな、何だか不思議で気味の悪い歌(?)声。気持ちが悪い。怖い。夜聞いたらトイレに行けない。
女の子たちがはしゃいで遊んでる声? ニュース音声? 車やバイクの音? 事故?
8曲目、Too Late: Frozen。
曲が始まる、途切れる、誰かが笑って"Fuck You"と言う声。最初からまた始まり。
妙にうるわしい声のコーラス。
ノリのいい曲、色っぽい系のPeteの歌い方。
切れのいいDr.の音、GとBのリフ、その合間を縫うように歌詞がぬろ〜んとのたくる。
また重い展開。どろ〜ん。のたくる歌に引きずられたような音。
I'm Freezingという歌詞は、寒さに震えているという意味か、声が震えるエフェクトつき。ライブの時は喉を叩くPete。
最初のBのイントロが戻って来る。コーラスがまた妙にうるわしい。Gソロ、なのかなこれは。
雪の女王とかそういうのをちょっと思い出した。
9曲目、Blood & Fire。
わりと真っ当なロックっぽいイントロ。
わりと普通なPeteの声。
後ろでぎゅいんぎゅいん鳴るGの音が何だか珍しい感じで微笑ましい。
いろんな意味で普通な感じ。初めて作った曲です、みたいな感じ。
アコースティックのG。ここからちょっと雰囲気が変わる。いきなり暗い小道にぶち当たった感じ。
どうしていつも、詠唱っぽいメロディーが、ある意味脈絡なく差し込まれるんだろう。好きだ。
そして一応Gソロらしい音。
またアコースティックなフレーズ。Peteの語り。吐息を混ぜてしゃべるな。
Gがけっこう出張ってるのと、曲自体が至って普通のロックなので、何かみんなで戸惑いながら演ってる印象。「これでいいのかな?これでいいの?」みたいな。
普通に盛り上がって終わり。
10曲目、Can't Lose You。
何だか不安にさせる音で始まったと思ったら、みょーに色っぽいというか、ちょっと面食らう感じのメロディー、シタールの音かなこれ(キーボードだろうけど)。
全部の楽器が、単音をうね〜んうね〜ん鳴らしてる感じで、合奏と言うよりも、集団でマリファナで酔っ払ってるようなイメージ。
Peteが低い声で歌う。色っぽい系。
面白いというか妙と言うか、物悲しいくせに、どこかこう、思わず笑みがこぼれて来る、おかしいという意味ではなくて、何だろう、一種微笑ましいとでも言うのか、そういう雰囲気。
歌詞は、タイトル通りの、I Can't Lose Youだけ。ひたすら繰り返し。みんなでマリファナで飛んで、それぞれ好き勝手に楽器弾いてます、というのは言い過ぎかな。
ある意味典型的なトリップソング(自分的には)。
何もかも流れに任せました的アレンジ。誰も何も深く考えてない。Blood & Fireが、あれこれ凝った割りに今ひとつ印象深さが足りない感じなのとは逆に、何も手を加えない、ただ流れるに任せただけなのに、それがゆえに引きずり込まれてそこから逃れられません、という感じがする、妙な曲。
なぜか突然終わる。一瞬CDに何か起こったかと思う。心臓に悪いからやめて。
総評。
「曲がどれも長すぎる、反社会的ハードコアから、突然メロドラマ調ロックになって戸惑う」というような評価があって、とりあえずそれには賛同。
ただ、一端入り込んでしまうと、このどれもうんざりするほど長い曲は気持ちいいだけになるだろうし、凝ったアレンジも、微笑ましいレベルで無駄にゴージャス、「無理にゴージャス」じゃないからいいんじゃないかと思う。
本人たちも、前作までの反社会ハードコアからの自分たちの変化に戸惑ってる様子が見えて、自分たちが行きたい方向へ向かいつつも、まだまだいろいろと手探りという感。
メロドラマ部分はいっそうメロドラマに、ハードコアなパンクは相変わらずなノリで、そのギャップが冗談にもなるし、可愛らしくもあるし、いろんな意味で微笑ましいアルバムかもしれない。
聞く人をおちょくる姿勢は相変わらず、気の利いた冗談と言うにはちょっと泥臭くて垢抜けない風はあるけど、これが彼らの魅力なんだろう。
全部で70分前後あるのかな、みっしりと言うには少し力量が足りてないところは、まあ若さってことでひとつ。
でもとにかく、伝えたいことがあるんだ!という毎度のPeteの表現力の部分には感嘆。展開の強引さも、これはJoshのおかげか、以前よりもずっとなめらかにドラマティックになってると思う。
下品に猥雑な感じのアルバムジャケット、これもまた印象が強い。アルバムはほぼジャケット通りの印象。
内容の混沌っぷりのせいか、中身の印象はやや散漫。惚れないと単につまらないアルバムになっちゃうと思う。曲調の変化のせいか、Joshが目立つ(keyでもアレンジでも)ようになって来た気がする。
全部じゃないけど、Peteの発音がちょっと舌が回ってない、つたない印象。わざとなのかなどうだろう。元々歌い回しが上手いとか、そういうタイプではないので、言いたいことがあふれるとメロディーに乗せ切れなくなるのか、あるいは歌と思うと言葉にしにくくなるのか。歌い叫びがほとんどないので、とりあえず「歌う」ということに目覚めたのかもしれない。
10年前だったら、曲はいい、アレンジの大仰さに負ける歌が残念、という評価で落ち着いただろうな。今では、この残念に聞こえるはずの歌の中に、逆にその技量の足りなさゆえに、歌う本人の心の叫びが生々しく立ち現れる。表現力でごまかすことのできる歌の上手さがないからこそ、「ここで歌われていることはほんものだ」と感じられる。このほんものの部分が、TONの魅力なんだろう。
1曲目からChristian Womanで9分、その直後にBlack No.1、そして締めはCan't Lose Youという、とにかく大胆な構成に驚く。メロドラマな曲の間に入る、パンキッシュなKill All The White Peopleとか、分裂症気味な感じがたまりません、と言っておく。
初代Dr、Salの最後のアルバム。少年が、青年に変化して行く過程のようなアルバム。
Type O Negative/"Origin Of The Feces"実況レビュー
- 2010/03/08(Mon)
Liveだよん、という設定で録音されたアルバム。観客の声だの中断の様子だの、そういう演出が入ってる。
Origin Of The Feces (1992)
1曲目、I Know You're Fucking Someone Else。
You suckの声援。チケット代のことをPeteがあれこれ言ってる。StupidだのAss Holeだの、観客を煽り続ける。後ろに流れてるのはGlass Walls Of Limboのメロディー部分? 何か機械の音。
うね〜んと曲が始まる。オリジナルはUnsuccessfully Coping With The Natural Beauty Of Infidelityなんだけど、イントロ部分はさらにのろくた〜ん。さて、歌い叫びが始まったよ。
一応似非ライブ設定なので、Dr.がさらに歯切れ良く突っ走る(突っ込むという意味ではなく)。
みんな何かノリ良く演ってるなあ。
なぜか半ばで歌うのをやめて、Peteが妙にきれいな声で(別の曲を)歌い出す。観客のブーイング。そして「Fuck You!」という掛け声。歌うのをやめて「Fuck You, Too」とにこやかに答えるPete。うわあ。
1stの元曲より、わざわざさらにドラマティックに演奏してるなあ。楽しそう。完全に観客(と世間全部)おちょくってますからって感じに。そしてしっかり女性の喘ぎ声(&どうもPeteの喘ぎ声も少し多分orz)も入ってるorz
すいません、これ生で聞いたら赤面するいやまじで。
半ばのコーラス何を叫んでるのかと思ったら、ここで女性に対する卑語の連発かorz
ドスdeath声の歌い叫びの後で、突然普通の声でナルシスティックに歌ってくれるのが何とも。観客全部男(友達)だろうに、この人のこういうサービス精神にはほんとうに感嘆する。
ってかさ、こういう煽りをしておいて、「おれはホモじゃない!おれに近寄るな!」っていうのはなんかさ・・・。
いろいろとほんとうに自業自得だという気がして来たorz
ようするに、似非ライブの会場全部で、「女なんかクソっくらえだよな!そうだろ!」ってことか。うんうん(憐れみの視線)。
観客の声援。Peteがべんべん弾くB。笑い声。
2曲目、Are You Afraid。
ドラマティックで、ちょっとぞくぞくするKeyのイントロ。歌詞通り、ちょっと控え目なPeteの歌。
歌詞が過激な部分は歌い叫び。この部分は、個人的に泣き叫んでるように聞こえる。
3曲目、Gravity。
ぶつっと音が切れて突然始まる、カウントの声と曲。観客の声は聞こえない。
このバージョンは最近のライブでやってる大体そのまま。1stよりもっと洗練されて、曲としてまとまってる印象。
1stでのタイトルはGravitational Constant: G = 6.67x10-8 cm-3gm-1sec-2。
ひたすら能天気な展開。外で裸で踊り狂ってるような印象。内容は殺伐なのに。
また途中で曲が止まる。Peteが「落ち着け」とか観客に行ってる・・・これか、例の架空の爆弾騒ぎがどうのは。
いろいろ効果音入って楽しいってか、曲の妙な明るさとあいまって、おもちゃ箱みたいな印象の曲。
まあ、TONの明るいは、「ヤケになって突き抜けた後のどうしようもない絶望感の上の明るさ」なんだけど。
また曲が止まる。こういうのが好きだねほんとに。ここで爆弾の話(ヨーロッパではナチとして糾弾されてるTONに対して、誰かが抗議の爆弾を仕掛けたとか何とか、そういう設定)をPeteがしてる。騒ぐ声がやや大きくなる。犬の鳴き声。拡声器で呼び掛ける声。
4曲目、Pain。
観客の声。パトカーのサイレンが去ってゆく音。「Here we are again. This is your lucky day, ha?」と言うPeteの声(爆弾はなかった、あるいは無事に取り除かれた、ということか)。
1stのPrelude To Agonyの、Jackhammerape〜Painと題された部分がこの曲。
PTAのいちばん過激な部分。歌詞の内容はまあある女性に対する復讐(の妄想)って感じで。これは10年前だったら聞いた瞬間吐いたと思う。
この場に男しかいなくて、ノリノリで聞いてるんだと思うとカルトみたいで怖い。曲調は素直なハードコアなので、聞く分にはいいんだけど。曲は嫌いじゃないだけに歌詞がなあorz
「(次が)最後の曲なんだぜ!」とPeteが言うと、観客からブーイング。
5曲目、Kill You Tonight。
1stのXero Tolerance。ああ、真ん中の「Into Someone I Don't Know」のところが気持ちいい。
情緒もへったれもなく、突然音が切れて終わり。
6曲目、Hey Pete (music from Jimi Hendrix's "Hey Joe" with new lyrics)。
この曲は、アルバムのきれいな音もいいんだけど、ライブで生で聴いたら、歌詞はともかく後ろに反り返るみたいな感じのリズムが気持ちいいと思う。さすがジミヘン。
Peteは歌い叫びが絶好調になるとRの音が舌を巻く。すでにこの頃からってことは、TON以前もそうだったんだろうな多分。
わりと頑張ってカバーしました的に終わる。
7曲目、Kill You Tonight (Reprise)。
「Baby, tonight, you (will) sleep (at) Kenny's house」とささやく吐息交じりのPeteの声。その後で照れ隠しのようなわざとらしい笑い声。何かこうこいつら何なの?orz
5曲目で唐突に終わってしまったKill You Tonightの続き。
異様に美しくキャッチーなキーボードのフレーズにかぶさる、Kill You!というコーラスに、うっかり心が騒いでしまう自分を何とかしたいorz
Peteのふざけた歌い方にはさらに磨きがかかって、問い詰められても全部冗談で逃げる口実のように聞こえる。まあ、おふざけがすごい分、彼自身の傷つきっぷりがさらに露呈するだけだよね、という見方もできる。
ライブではノリノリでハイになれそうな曲だ。ドラマティックな展開は相変わらず、でもナルシスティック度はまだ低いか。
突然曲は、ピアノっぽい和音(ちょっと乱れた音)で終わる。その後に続く、不快ではない雑音。夜の外の音?
アルバム本編はここで終わり。次は、ジャケ差し替え後に追加されたもの。
8曲目、Paranoid (Black Sabbath Cover)。
これをあの曲だと言われて誰がわかるかっつーの。初めて聞いた時は、同じフレーズ使ったオマージュ?と思った。カバーだとは思わなかったorz
昔風に言うと、シングルの回転数でLP回しちゃいました、になるのか。逆だっけ?
ぶっちゃけ、この曲聴いて、Peteの声が異様に色っぽいのに気づいた。声だけじゃなくてまあ歌い方というか。
これはこういう人なんだよねと思ってたけど、こういう吐息交じりみたいな、自己陶酔タイプの歌い方も、「おまえらこういうのが好きなんだろ?バーカ」という彼らしい揶揄なんだろうなと今は思う。
まあしかし、Bの音もみょーに色っぽい人なので、基本音楽における官能的な部分に、ごく自然に魅かれてしまう人なのかもしれない。
この人の怖いところは、この激ナルシスティックな表現というのが許されてしまう、というか本人の見かけにぴったりで、その点でも受け入れられちゃうという辺りか。本人の冗談が冗談になりませんでした、もう今さらやめるのもできません、的に。
そしてさらに、本人もこういう表現がきらいじゃない、むしろ好きじゃね?というところに気づいてしまってΣ(゚д゚ ;)ガーンとなったに違いない。
総評。
ライブという設定のせいで、演出がいろいろと過剰ww 作ってた本人たちがいちばん楽しかったろうと思われる。
元気にハードコア。自由の国では何を言ってもいいんだ!自己表現だぜ!という感じに。まあ、その自由度すらおちょくってる感がなきにしもあらず。というか、自由というのは他人の自由であって、彼らの自由ではないんだ、という辺りか。
差し替え前のオリジナルのジャケットにすべてが現れてるよ、ということでひとつ。
似非ライブということで、妙に盛り上がる感じが、歌詞の過激さとあいまってちょっと怖い。フレーズのキャッチーさに乗せられて、一緒にKill you!とかI Know You're Fucking Someone Elseとか一緒に歌ってる自分がいちばん怖いですorz
単純に心の底から楽しめないっぽいのは、多分こいつの頭が固いせい。それでも、これを吐かずに一緒にノリノリで歌おうとする辺り、無節操にもほどがあるな自分orz
いわゆる(架空の)ライブでのMCというのを聞いてて、Peteという人は、存在自体がジェンダーに対する幻想というもののパロディなのかもと思う。
2m超えの身長、(染めてるけど)漆黒の腰まで届きそうな長髪、とんでもなく低い声、そういう部分だけ並べれば確実にこの人は超男性で、実際、ホルモン的にも男性部分が過剰らしいし。
そういう外見で、ものすごい情けない歌を歌う。浮気されてフラれた恋人をネタにして、現実には絶対にできないから、妄想の中で彼女を殴り殺したり電動ノコギリやら斧で叩き切ったりする。彼女を貶めて、彼女の相手もついでに同じように貶める。その貶めこそが、彼自身を貶めることだと知ってるかのように、彼女への復讐はやけに具体的で生々しくて、そのくせ結局は現実感が薄い、いかにも妄想めいた文面だったりする。
そして彼女を(妄想の中で)殺した後で、「天国で彼女に会うんだ」と言う辺り、個人的には工エエェェ(´д`;)ェェエエ工って感じだ。
勝手な解釈だけど、自殺の理由に彼女を使ってるだけじゃね?という感じで。
彼女に対して、「おまえは、おれに自分自身を憎ませる、おれは自分が大嫌いだ」と叫ぶ。いや彼女に責任転嫁してんなよにーちゃん。
ここまで来ると、林先生お得意の、「その女性はあなたの妄想の中にだけ存在するのではありませんか」と真顔で訊きたくなる。
まあ、1stに続いて、このアルバムも、基本女性に対する憎悪の部分は全部妄想だよ、という辺りで結論できたら気分が楽だ。
実際にこの彼女という人が浮気したんだろう、ということはまあ信じるとしても、彼がこれほどの憎悪を抱く理由になった、とは思わない。単に、Peteが自己憎悪を深めるきっかけになっただけじゃないかと。
だってさー、「こんなひどい女なんだぜ!」って世界に向けて言うって、「はい、おれは全然女性を見る目がないバカです」って白状するのと同じだぜー。この聡明な人がそれに気づかないってありえない。
女性に振られた→なんでこんな女に→そうかおれがどうしようもない屑だからか→自己憎悪→憎悪を他人に転嫁して表現→その方が自分の痛みは少ないぜヒャッハーという流れじゃないかと。
正直なところ、世間一般で言うところの、「女々しい」という部類に、Peteはあてはまると思う。そして、いわゆる自虐的に自分を切り売り(わかりやすい例としては売春)してるという部分に、こいつは彼の中に(一般的に世間で求められてる)女性性というのを非常に強く感じる。
自分が他人(Peteの場合は、一応異性である女性)に対して性的な感情を抱かせることができる、それを利用して他人の関心を得たり利用したりする、男女どちらもやることだけど、女性の方が、これを(無意識に)やることを社会的に求められる傾向が強いような気がする。
極めて男性的な外見で、"女々しい"心情を吐き出し、女性的(女らしい、という意味ではない)な意味合い濃く性的に振る舞うことを厭わない、彼のやってることは、どれも性向が今ひとつ一致せず、どちらにも向かいつつ、ひとつに絞れずに迷走しまくってるように見える。
まあその迷走っぷりが魅力なんだけど(鬼)。
そしてまた、彼自身も、迷走しながらも自分のやってることはちゃんとわかってるんだろうしな。過剰に男を求める面々を揶揄して、自分を女々しいと言う輩には暴力も厭わないぜという態度で、極端に男らしい外見に、ほんとうに14歳の少女くらいの傷つきやすさを内包して、カテゴライズ大好きアメリカ文化の中で、彼はどこにも入れずにずっと苦しんでるんじゃないかと、そう思う。
歌詞の中で彼女に与えてる生々しい苦痛こそ、彼自身が現実で味わってる苦痛の表現なんじゃないかと、ふと思う。その苦しみの、ちょっとわかりにくい表現が、1stとこの2ndな気がする。
ここで彼が殺したいと思ってるのは、現実に彼を振った現実の女性のことではなく、女性に転化した彼自身なんじゃないだろうか。
Peteの、極端な男性らしさと女性らしさが、(差し替え前の)ジャケットから歌詞から曲調から、何もかもすべてに込められてる、そういうアルバムなのかな、と。いろいろと意味深長に考えられるアルバム。
俺得、Type O Negative/"Slow, Deep And Hard"実況レビュー
- 2010/03/07(Sun)
アルバム初聞き。そのまま実況してみる。誰得。自分だけ楽しけりゃそれでいい。
Slow, Deep And Hard (1991)
1曲目、Unsuccessfully Coping With The Natural Beauty Of Infidelity。
見た目が小難しい気な超情緒的なタイトル、訳してからリアルでポカーン。要は"よくも浮気しやがったなこのクソアマ"。ざっくばらんに"I Know You're Fucking Someone Else"というタイトルでファンには通じるらしい。
パンキッシュなハードコア。歌うと言うよりは吐き出してる声と、スッタンスッタンスタタタスッタンな典型的この手のDr。歌詞が1フレーズ終わったところで、妙にうにょ〜んダーク系リフ。
ちなみに12分超え。どういう展開するつもりだ。
音作りはわりとシンプルな印象。素直にそれぞれのパート重ねました、的に。
元のリフに戻ったところでGソロ。わりと普通に速弾き(下手だけど)ソロ。そしてベースのソロフレーズが入る。
歌がまた吐き出したところで、アコースティックな展開!! 女の人の喘ぎ声が後ろに聞こえるよママンorz
メロディ展開はドラマティック系プログレ風にしてみました、みたいな。
ダーク展開へ戻る。メロディよりも、コード挿入メインのジャカーンジャカーン、みんなで一緒に。録音のせいか、こいつのPCのせいか、バスドラの音があんまり聞こえない。
また元メロに戻る。そしてメインフレーズの、"I know you're fucking someone else♪"が入る。卑語の繰り返し。歌詞の内容は正直吐きそうなタイプだけど、歌い方が妙に明るいというか、ヤケっぽい感じなので、酔っ払いの表現と思えなくもない。
かと思ったら、一転ハモンドオルガンの音が入って、Peteがまともに歌い出した。
また怒りのこもった声に変わる。オルガンの音は相変わらず。
スネアの音の軽さは気になるけど、それぞれのパートの絡まり具合はいい感じかな。
そして元メロに戻る。また酔っ払いの吐き出し声。I know you're fucking someone elseの繰り返し。このメロディ部分で、この男に同情するのは絶対無理。むしろこの男のなっさけない惨めさがとってもよく表現されててすごい(誉めてる)。
歌メロ終わったところでGソロ。Drがドコドコドコドコ。Gソロはちょっとおぼつかない感じ。若いなあ。
そしてジャカジャン!ときちんと終わったところでなぜか拍手。終了。
2曲目、Der Untermensch。
これはタイトルはドイツ語かな。そう思うせいなのか、イントロがちょっとRammsteinっぽい?
1曲目同様、1曲がいくつかのパートに分かれてる、という作りらしい。
異様にドラマティックなフレーズが続く。
そして一転、またパンキッシュなハードコア。よくある、みんなで叫ぶコーラス。すごい懐かしい感じのハードコアだなあ。初期スラッシュってか、ドイツ辺りのB級バンドを思い出す。
そしてまたベースがうねるドラマティックなメロディーに戻る。
ドス声の後ろで淡々となるキーボード。この奇妙さ加減が妙に耳に残る感じ。コードをじゃーんと弾き鳴らして妙に間の開くところは、Black Sabbathっぽいかな。
Peteの声が若い。歌うというよりは言いたいことをメロディーに乗せて叫んでる感じ。
キーボードの音が前に出て来る。やけに透明感があってきれい。女性的っていうのとは違うけど、こう、鉄屑にきれいな布が掛かってるような、そういう印象。
Dr.は鳴りっ放し。わりと嫌いじゃないなこういう音。1曲目よりスネアが太いかな。
PeteのBの音が妙にうねうねで、どっちかって言うとプログレっぽい感じ。あんまりハードコアな音じゃない。
どうもこの頃すでに、BなのにGみたいな弾き方をしてるみたいで、そういうフレーズにまた戻る。個人的に、PeteのBの音はけっこう印象的だと思う。
非常に、典型的ハードコアの、醜悪系の音なんだけど、後ろに流れるキーボードの繊細な美しさ(でもでしゃばらない)が浮かずに、醜悪さをいい意味で深めてる感じ。この醜悪さが、好きな人間にはたまらない。
この曲も9分orz
3曲目、Xero Tolerance。
何かを切る、電動ノコギリらしい音がイントロ。キーボードの音にかぶさる、Peteが何か言う声。笑う声。
妙に不安をかき立てるリフが少し、その後で相変わらずの歌い叫び開始。Gの音がけっこう入るけど、速弾きするにはちょっと指がもたついてる感じ。
変態リズムが一瞬入る。Into someone I don't knowと繰り返すここの部分がすげえ好きだ。リズムが歯切れがいいと言うにはちょっと足りない感じがむしろ生々しくていい。
そして、ホラー映画ですか?みたいな感じのキーボードが後ろで鳴って、I Kill You Tonightと歌ったところでオルガンの音だけになる。うーん、マジでホラー映画みたい。
不気味さや薄気味悪さは薄い。ただひたすら誰かの怒りが怖い、という感じ。
オルガンが散々出張った後で、突然のパンク展開。ふざけてるとしか思えないメロディーと歌。そして異様にキャッチーなキーボードのフレーズ。そこへ続くKill youの繰り返し。
この展開、ものすごい好きだ。バカバカしさと美しさの対比がまさにバカバカしくてたまらん。
そしてDr,が実はちょっとトリッキーな感じで超好み!
そこからまたホラー映画的メロディーに戻って、わりと普通に重めのメタルという感じの音になる。Peteの声は相変わらず歌い叫び。
突然アコースティックのG。どうも土を掘ってるらしいスコップっぽい音。ああ、なるほど、そういうことか。多分。
FOで終わり。
4曲目、Prelude To Agony。
お葬式?と思うようなイントロ。重くて暗いメロディー。これBの音だよなあ。後ろで何かひきずるかのような声。
比較的普通に重くて暗いメタルなリフ。Voi Vod辺りをちょっと思い出す。
イメージとしては、重いもの(棺とか)を引きずってる、そしてそれがどこかにぶつかって壊れる音がしてる、という絵面。ギーギー言ってるGの音が、割れるガラスの音みたい。
ちょっと明るくなって、音の作り方がまさにBlack Sabbathとかあの辺りを思わせる。
ザカザカザカザカ刻むタイプのメロディー、歌い叫ぶのと、きちんと低くささやくように歌う声が交互に来る。
酔っ払いでブチ切れ中と、ちょっと素面になってでもキレたままイッちゃってる人格の表現なのか?
また地を這う音へ戻り。
ここで初めて、宗教的な匂いが始まる。お葬式で歌ってるみたいな、低い声。鎮魂歌ですって言われたら信じる。これを聞くとやっぱりTONだなあと思う。
ジャカジャカ展開へ。Gのリフが普通にMetalしててちょっと気持ちいい。
ここからいきなりうね〜んBだけの音に落とすorz 急展開orz
DOOMも展開凄くてライブで大変だったけど、TONも憶えてないと一緒に乗れないorz
歌い方は基本酔っ払いの歌い叫びなので、歌詞の内容の困ったちゃんが冗談にぎりぎりなるかもしれない感じ。
しかしうね〜んと入るBの音の不気味さがたまらん。ドラマティックというか、まさしく「曲で物語を語ってます」という感じに。
どよ〜んとしたリフの中でGソロ。メロディーがちゃんと合奏してるのかどうか不明な感じが不安定でいい感じに脳が揺れる。
機械の音と女の人の叫び声。まあ、そういうことなんだろうなこれ。
聞いてると眠くなりそうなおも〜いどよ〜んメロディーが続く。箸休めみたいに、Dr.の音メインになって、Peteさまが叫ぶ。そして唐突に終わる。
5曲目、Glass Walls Of Limbo (Dance Mix)。インスト?
鎖を引きずるような音? 何かを一斉に叩く(ちょっと鋭い)音? 地を這うような何かを訴えてるような声。
歌詞はないメロディーだけを、Peteの低い声がきれいに歌う。これも鎮魂歌とか葬送歌とか、そういう感じ。
これがDance Mixって何の冗談だよorz
しかし7分近くあるので、また何か笑える展開をしてくれるのか。
中世、一種の収容所に閉じ込められて、そこで強制労働をしてる人たち、彼らを思って外の家族たちが泣いてる、それを、武器を持って見張る人たち、というような絵面が浮かぶ。
まさしく映画のサントラみたい。Peteの歌のメロディーは、ちょっと映画のゴッドファーザーを思い出す。
始まったままゆっくりFOで終了。
6曲目、The Misinterpretation Of Silence And It's Disastrous Consequences。
ざーっという、耳障りな雑音。プレイヤーのせいではなくて、これはこういう音をわざと入れたものらしい。
彼ららしい冗談。
1分続くんだぜorz
7曲目、Gravitational Constant: G = 6.67x10-8 cm-3gm-1sec-2。
まず叫びから始まる。別バージョンがこの後にも色々と出る、TONの代表曲のひとつ。
非常に粗い印象。歌い叫びがいっそう酔っ払いっぽい。でもGのソロっぽいフレーズがちょっと可愛らしい。
他のバージョンよりもシンプル。が、半ばで突然きれいな声のコーラスが入って、ちょっとびっくり。
んべべべべべんんべべべべべん、というPeteのBが妙に気持ちいい。
何だろうな、展開の時のメロディーの流れとか音が突然クリアにきれいになるやり方が、ほんとに宗教音楽っぽい。これが気持ちよくてたまらないというわけで。
ライブに比べると、メロディーの運びが美しい。叫ばずに歌ってるので、うっかりどこの女性歌手の歌ですかと一瞬勘違いする。
歌詞をそれなりに叫んでるけど、一応聞き取れるようにきちんと歌ってるので、ちゃんとCrushing Meと聞こえる。
苦悶の声、みたいなのが入る。ちょっと不気味。
また展開。歌い叫んだ後で、地響きコーラスが入る。妙に美しくて困る。
Suicide is self expressionと歌った後で、また地響きコーラス。後ろのDr.のバスドラの入れ方が好き。
キーボードはどんな時も絶対にでしゃばらない。でも後ろで妙に印象的。
コーラスのメロディーは単純だけど、Dr.の手数の多いのがけっこういい音で、こちらの方がむしろいい感じにメロディアス。
そしてゆっくりゆっくりFO。
アルバムのオリジナルはここで終わり。リマスター盤にはボーナストラックでもう1曲。
8曲目、Hey Pete (Pete's Ego Trip Version)。
一応Jimi Hendrixのカバー。GのKennyがVoを半分くらい担当。
さすがジミヘンということなのか、アレンジに気合が入ってると言うか、ちゃんと頑張ってると言うか。
Kennyがメインで歌ってる感じ。歌詞はPeteがちょっと書き換えてて、オリジナルは銃、この曲は斧になってる。そしてオリジナルはただ逃げるけど、こっちでは「天国であの子に会うんだ」で終わる。まさしくTONバージョン。
Gの音がちゃんとMetalしててちょっと笑う。そしてKennyはVoをとてもすごく頑張ってる。その分、Peteの淡々とした普通の声で歌うのが不気味。
ある意味、浮気した恋人を殺した男に声を掛ける友人(Kenny)と、その男(Pete)の対比が、あらゆるところに現れてて、これはようするにそういう演出なんだろうな。
Dr.のアレンジが好き。手数が多くて凝ってるけど、モタつきも突っ走りもないのでメロディーのひとつとしてちゃんと曲にハマってて好みだ。
ちょっと待てよ、「彼女に天国で会うんだ」って歌ってるのKennyに聞こえるんだけどorz あれ? それともこれはそう聞こえるだけでPeteなのかな。ライブ音源あったら今度確かめてみようっと(叫んで歌うPeteらしい。Kennyと声の聞き分けが今ひとつ)。
女性を殺した後で、どうするんだよ?と訊かれてる辺り、後ろのDr.がマーチっぽくスネアを延々叩いてるのは天国(むしろ地獄)への行進ってことか。
オリジナルよりさらに不気味な感じと、Kennyの一生懸命声とPeteの淡々単調声がクセになる感じ。妙に気持ち悪くて気持ちいい。
総評。
まず、若い!青い!粗い! 普通にハードコア。元気に暴れてる感じ。
曲がすでに長い。展開はやや強引に感じることもしばしば。努力は認めたい。背伸びして無理をしてるという印象は薄い。出したい音と本人たちの実力はそれなりにつり合ってるけど、それを完璧に表現するにはちょっとお金が足りない、という感じかな。とにかくひたすら若い、青い、荒々しい、激情の塊まりみたいなアルバム。怖いものなんか何もない、ただひたすら真っ直ぐな情熱。
そういう風に曲を組み立ててるせいだけど、きちんと絵面の浮かぶアレンジはすごいと思う。ここですでにこのドラマティックさ加減は凄すぎる。ってか、なんでハードコアでこんなドラマティックなのww
曲全部が全部まるごと好き!というのはともかくも、どの曲も必ず印象的なフレーズかアレンジがあって、そこへ来るたびに耳がすっと吸い寄せられる。この辺りはJoshの手腕かな。
曲が長くなるとどうしてもダレるし、飽きるし、印象が薄くなる。そこをとにかく何とかしようとしてる努力が見える。緩急激しいのはすでにこの頃から。とりあえずハードコア色が好みの方向でちょっと安堵。
歌うベースというのは珍しくはないけど、Peteは元々自己主張の激しいタイプのBらしくて、全編うねうねうねうね弾きまくってる感じ。この頃から、Bの音はすでにみょーに色っぽい。
Keyはちゃんと存在は主張しつつ、でもそれほど重要な位置を占めているという印象は、まだない。
Dr.はBの音に負けずにけっこう印象が強くて、ハードコアはどこまでもハードコアらしく、Sabbathの時はまたそれらしく、ジミヘンもそつなくこなすぜ、という非常に手堅い、でもきちんと自己表現のできてるDr.という感じ。
独特な個性は薄い気がするけど(主にPeteのせい)、バンドを支えるんだぜ!という部分は非常に頼もしい。
浮気した恋人についての、殺意と憎悪に満ちた内容というコンセプトアルバム(言い切った)。
妙に下品な歌い方、そのくせ荘厳なハモンドオルガンの音、時々入る素面なPeteの声のせいで、嫌悪感が湧くはずのところで笑いがこみ上げる。そしてうっかりうっとりする。
錆びた鉄屑に、ものすごく柔らかそうなきれいな布がたまたま姿良く絡まってます、という感じ。
いかにもファーストらしいアルバム。録音状態はチープだけど、いろいろ精一杯頑張ってる感が微笑ましい。
内容はシリアスだけど、それを本人(たち)は笑い飛ばすためにアルバムにしました、という感じなのかな。どこまでが冗談かは永遠に不明。個人的には、この女性がちょっと気の毒。
TUF2、全話一気見の週末。
- 2009/09/13(Sun)
TUF2全話一気に放送! Spike TVありがとう! らっしゃんとまっちゃんとりっちゃんをいやってほど堪能したよ! ものすごい土曜日だった。
朝の9時から始まって、最後の決勝戦のイベントまで含めた12話、14時間半。全部見れた自分は超ヒマ人。
各話、始まる前に、らっしゃんとWelter勝者のJoe Stevensonが、ホストとしてその回についての小さなエピソードとネタバレを、ダイジェスト映像つきで盛大にやってくれるというオマケつき。これはありがたかったのかどうかww ちょwwおまwwこいつ誰が勝ったか知らないwwとか思いながら見てたww
とりあえずPCは使わずに、ひたすらエピソードだけ追った。
正直なことを言えば、2についてはまったく興味がなくて、誰が出てるとか誰がコーチとかも、今回の全話放映でちらっと調べてらっしゃんがいるということに改めて気づいたくらいで、らっしゃん目当てに全話見る気になった、ということで。
一応今現在、こいつが知ってる程度に知名度のあるこれ出身の選手は、らっしゃんことRashad Evans(HW勝者)、前述のJoe Stevenson(Welter勝者)、誇り高きアイルランド男のMarcus Davis、それからKeith Jardine。かすかに憶えてたのはSeth Petruzelli。
らっしゃん以外で唯一黒人選手だったwelterのMelvin Guillardは、地味ながらも今はLight WeightでUFCにいるらしい。
KeithがGSPたんとわりと仲良しらしいのは、これでのらっしゃん経由の繋がり(階級が同じということは除いて)だったのかと、初めて納得。
基本的に、前知識はほとんどない状態で見て、まっちゃんが好きでないこいつは、まありっちゃんことRich Franklinを楽しむさと言うことで、とにかくうきうきテレビの前に坐った。
コーチは、welter王者のまっちゃんことMatt Hughes、そしてmiddle王者のりっちゃん。たまにRandyも顔を出す。らっしゃん贔屓のこいつは、基本らっしゃん中心にエピソードを見る、という大前提。萌え交じり注意。
コーチであるまっちゃんとりっちゃんは、階級が違うせいもあるのか、互いに対する敬意はきちんとあるようで、まっちゃんがわりときちんとりっちゃんに接しててびっくり。最初は例の、口のでかいイヤなヤツという印象が非常に薄い。
最初の48時間は、選手たちに普通に練習をさせて、誰がどのレベルかをコーチたちが見極める。いちばんレベルが低い(と思われた)選手をこの後振り落とす。そして自分のチームに誰が欲しいかもこっそり決める。
この48時間でHWの選手がすでに怪我で脱退。あまりのスピードに唖然。さらに、もうひとりのHWが、「こんな刑務所みたいな生活に耐えられない」(ホームシックの模様)と戦線離脱。これにもびっくり。
後の選手については、「あそ、じゃあ帰れ」とあっさり言わずに、コーチ&Danaたんの3人がかりで説得。まっちゃんがすごい真剣に引き止めてるのにちょっとびっくりした。
そして48時間後、welterで最低レベルに選ばれた選手が、生き残りをかけて、他のwelter選手と試合をさせられることになる。
「試合したいヤツを選べ」と言われて、選ばれたSammy Morganは当然面白くなさそう。勝てるぜ!と思われたわけだからなあ。
最低レベルとは言っても、評価のための練習ってのがそもそも吐くほどきついわけで、らっしゃんは見てたら悲鳴上げてたりして、うわああとびびった。コーチ連は、「これからこれがずっと続くし、オレたちはこれを毎日やってるわけだから」という感じ。当たり前だけどプロってすげえ。
りっちゃんもまっちゃんも、「素人みたいなヤツを鍛えるわけじゃなくて、すでに素質があって出来上がってるヤツをもっと強くするための場所」というようなことを言ってて、まっちゃんはいつものあの皮肉っぽい笑いのまま、「友達作りにキャンプ来てるわけじゃないしね」と言わずもながのことを言う。まっちゃんが言うと重々しく聞こえる&皮肉に聞こえる。さすがまっちゃんだ。
この段階ではまだコーチ同士での感情はごく普通な感じ。
さて、選ばれた最低クン(ひでえ)、なんと規定体重より20lb(約10kg)重いというので2日で減量することに決定。何となく世話焼きの他の選手&りっちゃんが、減量に付き合うことにしたらしい。
まずは当然食事制限。それからYMCAのサウナに行く。みんなで彼を励まして、初日に8lb落とすことに成功。が、この段階ですでにぐったり&目が死んでる。翌日同じことを繰り返して15lbまで落とすけど、そこでキブアップ。みんなで励ますけどダメだった。
床に横たわったまま「もうダメだ、もうダメだ」としか言わない彼に、半分は呆れたように、「服着せてやれ」と言うりっちゃん。
試合はせずに彼は離脱。「体重制限はしてて当然、今すぐ試合しろって言われてできるコンディションなのが当然、君らここに遊びに来たのか? プロ舐めてんじゃねえ」と全員を叱るDanaたん。
うん、見ててこいつも、うわこいつら甘!と思ったので、現場にいたDanaたんは殴りたいくらいだったろうなあ。
そしてやっとチーム分け。りっちゃん、まっちゃんの順で欲しい選手を指名してゆく。りっちゃんがまずKeithを選ぶ。まっちゃんがJoe Stevensonを選ぶ。らっしゃんはりっちゃんのところに行くけど、基本可もなく不可もなく、期待は全然できない、というレベルの選手だと思われてたらしい。
Danaたんも、最初の48時間の間に、「Rashadが多分HWでいちばん弱い」というようなことを言ってた、ような記憶。
さて、チーム分けは無事終了。これから各選手、生き残り開始。
3、4話辺りから、まっちゃんの、批判というほどではないけど、りっちゃんと自分をコーチとして比べる発言が多くなる。
基本は、「オレの方がコーチとしては優れてる」「Franklinがどうするか知らないがオレはこうする」「Franklinがこれこれこういうことにちゃんと気づいてるといいけど」などなど、おまww黙って自分の仕事だけしてろよwwと言う、いい感じにまっちゃん節炸裂開始。
なんつーかこの人は、神経に障る言い方が非常に上手い。恐らく半分くらいはわざとやってるんだと思われる。他人を挑発する→弱みを見つける→そこを試合なんかで攻める材料にする、な感じに。
さらに癪に障るのは、まっちゃんという人は、口のでかさと実力が超比例してるわけで、「だってほんとのことじゃないか」と反論の余地がない。普通の人ならいくらほんとうでも絶対に言わないだろうということを、まっちゃんは平気で、本人の目の前で口にする。しかもそれが相手に神経を逆撫でするのを承知、というよりも逆撫でするために言う。そして大抵は、言われた人間が言い返せないのを承知で言う。
何だろうなこの性格の悪さ。奥さんとか親しい友達とかには普通にいい人だといいんだけど。まっちゃんの周りにいる人たちが、まっちゃんの実績に対する敬意だけで一緒にいるんじゃないといいな。ちゃんとまっちゃんの人となり(見える性格の悪さに隠れて見えない部分)で友達してるんだといいな。
なんつーか、いわゆる頑固親父的に、真顔で「おまえダメ、やめて帰っちまえ」とか言うならともかくも、へらへら笑い顔で、「おまえwwそれでプロとかww軽く死ねるしww」と、まさにそういう感じなので、Matt SerraたんとかGSPたんとかとあんまり仲良くない(格上の人ということに対しての敬意はあるとしても)らしいのも納得。
このまっちゃんの性格というか態度のせいのまっちゃんチームの空気の悪さについては後述。
各話、チーム対抗でゲームみたいなのをする、勝ったチームが誰と誰が試合をするかを決める、そして負けた方はそこで終了。勝った選手は2回戦的な試合までは待ち。
必ず勝てそうな選手を選ぶ(いちばん弱そうなのから潰してゆく)か、いちばん強そうなのを選んで、負けてくれたらラッキー、勝ったらしばらく試合はしないという状態に持ってゆくか、その辺りでチーム全体の戦略を練る。
Welterはまっちゃんチームが大勝、HWはりっちゃんチームがボロ勝ち。コーチの教え方のせいかなと思うほど見事に分かれた。
エピソードが進むにつれ、各チームの選手の数にバラつきが出始めちゃったので、途中で怪我で戦線離脱したとかいろいろ理由もあって、補欠的に後からやって来た選手がwelter、HWとも1名ずつ、それからチーム間で選手の移動もあった。
選手の移動は、適当に誰でもと言うわけではなくて、やっぱりコーチが、「この選手ならいらない」という感じに選ぶわけで、そういうのでドラマを作るのが目的とは言え、やっぱり空気が悪くなる。
ここでもまっちゃん節炸裂で、補欠でやって来たwelterのJason Von Flue、即答でりっちゃんチームに移すまっちゃん。もうまさに「おまえイラネ」という態度丸出し。ここまで来るといっそ潔いな。
移動させられたJasonは、そういう演出なのか本気なのか、「Fuck you Matt Hughes」と中指立てて繰り返す。いや、まっちゃんの目の前ではやらなかったよさすがに。
Jasonが移されたタイミングというのが、Jasonは試合に勝った直後で、顔中縫った傷だらけ、当分試合はできません、戦力にはなりません、下手すると途中で脱退です、という状態だったという感じで、この試合に勝った時も、補欠で後から来たから実力はよくわからないし、まあ負けるだろうけど適当に頑張れば?という感じに試合に出されて、でも接戦だったにせよJasonは、ブラジル人で実力派と見られてたJorge Gurgelに勝ったのに、まっちゃんはそれを喜ぶという態度も見せず、「あ、そ、勝ったの、よかったね。オレはトランプゲームに忙しいから邪魔スンナ」という・・・何かね、マジであれはテレビ側の演出だったと信じたいよ! チームの選手たちもさすがにあれには唖然だったよな。
まっちゃんのそういう態度はチーム内に伝染してたのか、Jasonが病院で傷を縫ってもらって(40針! しかもJasonは目元を縫ってもらうのにビビりまくって泣きそうな状態なのを、他のチームメイトに慰められてた)遅くに帰って来たら、もうみんな寝てて、Jasonはせっかく勝った日に、誰からも祝ってもらえずに傷の痛みに耐えながら、ひとり淋しく遅い夕食。あれは心が折れる。見てても心が折れそうだった。
そういうわけで、この辺りから、まっちゃんはもう遠慮もせずに何だかなという空気をまきちらしながら自分のチームをしごいてたわけで。
このしごきも、勝ち抜き戦に負けるたびにチーム全体に対するお仕置き、八つ当たり的雰囲気が強くなってて、実力差を考えもせずに、選手の上に乗っかってまっちゃんが殴りまくるとか、怪我させるとか、もうねまっちゃんアンタやばいよソレみたいな。選手側も、「チャンピオンだし、コーチだし」という感じに、敬意もへったくれもなくただ黙ってるだけって感じだった。
「オレは負けるのが大嫌いだ。特に精一杯やりもせずに負けるヤツを相手にしてるヒマなんかない!」と正論言ってて、非常に正しいだけに、まっちゃんの態度がやり切れない。
一方りっちゃんは、これもまっちゃんとの対比の演出なのか、まあ元々の性格だろうけど、厳しいけど褒めて伸ばすタイプ的コーチで、「よし、一緒に頑張ろうな、おまえはよくやってるよ」という感じで、チームの空気もわりとのびのび。チーム内でもみんな仲良しっぽい感じだったし、見ててうわ空気悪っ!ということはなかった。
負けた試合でも、負けた本人が泣きそうになってごめんごめんって言ってるのに、「謝る必要なんかない、おまえは精一杯やったんだ」という感じで。
まっちゃん側だと、もうまっちゃんが「負けやがってこの腰抜け腑抜け野郎、コーチのオレのことバカにしてんのかオマエ」という態度を隠さない。
何かもうね、大してドラマ的に盛り上がるわけでもないけど、見てて胃が痛かったよまっちゃん。
でもまあ、正直なところ、勝ってなんぼのプロ世界では、まっちゃんの方が正しい。負けたら去るしかない。負けたら何を言っても負け犬の遠吠えにしかならない。まず勝て、話はそれからだ。
さて、ここでらっしゃんの話。
5話目でいよいよらっしゃんの試合。まっちゃん側がゲームに勝って、らっしゃんを指名。この段階で、らっしゃんは負けるだろうと思われてた。
ふたを開けてみたら、相手(Tom Murphy)の腰の引けっぷりがひどくて、とにかく全然攻めない。こいつでも殴ったら倒れるんじゃなかろうかと思う腑抜けっぷり。
らっしゃんは挑発するように、妙な身振りをしたり、踊ってみたり、明らかにバカにした態度で試合を進めて、いかにもらっしゃんらしい試合だった。
Tomは勝つと期待されてただけにがっかり感がすごくて、まっちゃんは明らかに不機嫌。
試合後に、らっしゃんに、「おまえみたいな戦い方は大嫌いだ。おまえがオレのチームじゃなくてよかった。Richがどう思ってるか知らないけどな」と面と向かって言う。一瞬で凍る空気。らっしゃんは、「どう思おうとアンタの勝手。とにかく試合に勝ったのはオレ」と不機嫌になりつつも、ケンカは避けてその場を去った。りっちゃんもドン引いてた。
このらっしゃんのCorkyっぷりに、まっちゃんが神経を逆撫でされただけじゃなくて、らっしゃんとどうやら仲良しだったらしいまっちゃんチームのHW、Mike Whiteheadもらっしゃんに腹を立てて、以来口を利かないとかそういうことになったらしい。
見えないところで何かもっと感情的な部分があったのかと思うけど、見てるだけには、Mikeが勝手にらっしゃんを親友認定、らっしゃんはみんな仲良しな方がいいやなというだけだったように見える。Mikeからの絶交云々は、あまりらっしゃんには堪えてないように見えた。
そしてMikeの試合に、らっしゃんが選ばれる。Mikeは初めての試合。
TUF内では珍しいことではないのかもだけど、理想の形としては、1回戦目は初戦同士で試合と思ってたので、初戦のMikeにらっしゃんが2戦目というのは正直意外だった(他の初戦の選手を選ぶと思ってたので)。
Mikeは、まっちゃん曰くこの中でならいちばん強いHWと言われてたので、今回もきっとらっしゃんがボロ負けするねと思われてたのに、ふたを開けてみたら、Mikeのボロ負けだった。前回のTom同様、とにかく一方的に殴られてるだけ、何もしない。こいつでも殴り倒せそうな情けなさだった。
途中でまっちゃんがキレて、壁に向かって水のボトルを投げるは、「オレは本気で言ってんだぞ、おまえふざけてんのか!」とMikeをほとんどひっぱたきそうになるとか、へらへら笑いのないまっちゃんが怖かった。
さすがに今回はふざけた身振りはなく、けっこう本気でやって、らっしゃん大勝。この辺から、らっしゃんて実はすごくね?と認められ始める。
TomとMikeのあまりの情けない試合っぷりに、らっしゃん勝たせる話が最初からついてて、八百長なんじゃないかと思うほどひどい有様だった。まあそんなことはないと思うけど。
らっしゃんは無事に準決勝にたどり着いて、ここで同じチームのKeithと対戦することになる。Keithはこれが初戦。対してらっしゃんは3戦目。ここでもえええええ?何この不公平?って感じだった。まあいいけど。
Keith戦は、初めてのまともな試合で、殴り合い引き倒し合い乗っかってぶちのめし合い、ちゃんと試合らしい試合だった。それなりに接戦ではあったけど、らっしゃんがあぶなげなく勝ち。らっしゃんすげえ。
ところでこのKeith戦、同じチームなので、セコンドをコーチのりっちゃんが一緒にやるわけには行かず、コインの裏表でどちらかがまっちゃんがセコンドということになる。そしてらっしゃんがまっちゃん側へ。
以前の衝突があるので、当然らっしゃんは面白くない。「いやほんとだよ、コインの裏表は間違いなかった、オレもちゃんと確かめたから」とりっちゃんが言うほど、まっちゃんセコンドを嫌がるらっしゃん。当然だよなあ。
りっちゃんは、試合のための練習をそれぞれにやるのが非常にやりにくそう。弱点を突くように練習しなきゃだけど、お互いの弱みをばらすというわけにも行かない。いちいち、「あいつには絶対に言わないから、何か問題があるなら教えてくれ」って言わなきゃいけない。コーチも大変だ。
さてそれでらっしゃんとまっちゃんの話。
まっちゃんは当日までらっしゃんとはほとんどコンタクトを取らなかったらしくて、らっしゃんはそれならそれで勝手にしろという感じに、ひとり黙々といつも通りに練習。戦略立ても相談もなし。
そして当日、控え室でウォームアップしてるらっしゃんのところに、まっちゃんが子連れでやって来る。すっごい可愛い5歳くらいの金髪の男の子(だったと思う)。まっちゃんの息子だろうけど、膝に乗せた彼の頭を撫でる時にはすごい優しい目つきになってるまっちゃんに、うっかりちょっと惚れそうになった。
ちなみにこの息子連れの理由を、「もしかしてらっしゃんと乱闘になるかもという懸念があって、子どもの前なら暴れないだろうという計算の上かも」と思ったのは内緒。
不信を隠さない態度のらっしゃんに、「前に言ったことは言ったこと。勝つことが試合の目的で、それを果たすためにオレはここにいる」と言うまっちゃん。「おまえが勝つためならオレは何だってやる」と言うまっちゃんに、やっと警戒を解くらっしゃん。
すげえなと思ったのは、いやこれも当たり前のことかもだけど、「寝技に持ち込む時はオレのいる側にまで連れて来い、そしたらオレの指示がちゃんと聞こえるし、相手には向こうの言ってることは聞こえないから」ってまっちゃんが言ってて、そんなの戦略の内にも入らない基本中の基本の動きなのかもだけど、そういうことまで冷静に考えながら試合ってするもんなんだなあと、素人はびっくりした。いやアドバイスがあまりにも現実的だってのにびっくりしたんだけど。
Keithに勝った後で、「いろいろあったけど、アンタには感謝してる。セコンドをやってくれてありがとう」とまっちゃんにちゃんと言いに行ったよらっしゃん。
この辺りはまあ、その後またちょっといろいろ印象が変わったりとかもあったみたいだけどねらっしゃん。
ひとまずエピソード内では、まっちゃんとらっしゃんは和解。
ここから萌え語り。
まっちゃん、ただひたすらにイヤなヤツという部分の印象も、予想通り深まったけど、同時にプロの凄さというのも予想通りに見せてくれた。
双子の兄(弟?)がいるとか、体格的なコンプレックスとか、まあいろいろ理由はあるのかもだけど、性格の悪さはともかく、プロとしての彼の発言には誰も反論できないっていうのは事実だよなあと。
その辺りがあるからこそ、自分のチームの控え室にまでわざわざやって来て、自分のwelterの選手を、まっちゃんに面と向かってバカにされても、その場ではとりあえずまっちゃんとケンカするようなことをりっちゃんはしないんだろうなあ。
まっちゃんが性格の悪さを剥き出しにすればするほど、それでも敬意を払われるまっちゃんの凄さ、というのを思い知る羽目になる。
ってか、基本選手とか弟子に当たる人たちを格下に見てるせいなのか、頭を撫でたりする仕草がわりと多くて、HWの背の高い選手の頭を撫でたり肩を叩いたりしてるのに、うっかり萌える。おまえら可愛いねーと言う感じなのが萌える。優しいお父さんな顔つきにも萌えた。
まっちゃん萌えで、Sammyが準決勝でLuke Cummoとやった時に、これが初戦のSammy、試合の方向が読めず、ダークホースのLukeを下せるか!と思いかけたところで食い下がったけどやっぱりダメだった。KOされて失神したSammyのところに素早く駆け寄ったまっちゃん、気がついたSammyが負けたと瞬時に悟って動揺するのに、「いいから大丈夫だから、誰でも負けるし、オレだって同じ目に遭った。みんな誰でも1度は負ける。オレだって負けた。心配しなくていい、大丈夫だから。おまえは一生懸命やったんだ、それで充分だ」ってすごい、もう信じられないくらい優しい声で言ってて、Sammyの首やら胸やら撫でながら、Sammyが我慢できずに泣き出したのに、ずっと声を掛け続けてた。
控え室に行った後も、ずっと泣いてるSammyを、仕方ないなあという感じの笑顔で辛抱強く慰め続けるまっちゃん。いつもの性格悪さとの落差にびっくりして、うっかり惚れそうになったorz
いやもうあれは惚れるだろ! あんな弱った時にあんな顔と声で慰められたら恋に落ちるね! 一生まっちゃんに着いて行く!とか思っても責めない。
りっちゃんは、うっかりマジで惚れそうになる。りっちゃんかっこいいよりっちゃん。
りっちゃんは初めて見た試合がAndersonたん相手で、手も足も出ずにあご蹴られまくってた姿が印象的だったので、しばらく後までそんなすごい人と思わず、最近になって以前の試合とか別の試合とかを見て、うおりっっちゃんすげえ!になってる。
厳しい人だけど、基本思いやりの深い、きっちり必要な分だけ世話焼きになれる人だと思う。まあ元高校教師(しかも数学!)なので、ようするにおバカな生徒の相手するのには慣れてます、なのかもな。
まっちゃんがうぜー親父なら、りっちゃんは頼りになる兄貴って感じ。りっちゃんも選手たちの頭を撫でたりとか、そういう仕草にハゲ萌える。
まっちゃんと並んでなんか話してるとか、そういうところでも何か、チャンピオン同士にだけ通じる空気みたいなのがあって、何かいい感じだった。
個人的には、あるゲームの時に、やったら選手が体を痛めるからとりっちゃんが棄権した時に、まっちゃんの肩越しに、「ウチは棄権させてもらう」って言った時の、ちょっとしてやったりな感じの表情がお茶目で可愛かった。
そしてこのゲームに参加するはずだったりっちゃんチームのJorgeが、棄権に腹を立てて(先にやったまっちゃんチームのJoe Stevensonをライバル視してたので)、相棒になるはずだったHWのBrad Imesになだめられてるところがまた何か体格差のせいか(175cm対2m、でも実際は多分もうちょっとある)、お父さんになだめられる駄々っ子みたいで可愛かった。
そしてらっしゃん、詳しいことは知らないけど、どうやら8人とか兄弟姉妹がいるらしくて、長男に近い方なのか真ん中なのか末っ子側かはこれまた不明だけど、どうもそういう育ち方で、ごく自然に誰かの世話をする人になってしまうみたいで、試合当日の誰かの荷物を持ってあげてたり、脱落して去ってゆく誰かが荷物をまとめるのを手伝って最後まで見送ってたり、自分以外唯一黒人選手の、自分よりかなり若いMelvinの髪をバリカンできれいに刈ってあげてたり、初戦だったTomの髪も刈ってあげてたり、何このお兄さんキャラ。
荷物をまとめる時も、シャツとかちゃんとたたんで丸めて詰め込んでるのを見て、荷作りに手馴れてるのか、自分用のスペースが少ないので整理整頓が身に着いてるのか、どっちだろうと思った。
何か話す時も、他の選手にありがちな自分がいかに強いかを延々と語る(説得力はほとんどない)のとは対照的に、基本人間観察好きなんだろうなあという、そういう意見を述べる感じが多かった。
大学で心理学やったせいだろうと思うけど、思った通り、「オレの挑発的な態度は、Matt Hughesに学ばせてもらった」(半分くらいは多分皮肉)って言ってて笑った。
かと思うと、Mike戦で右拳を痛めて、腕を吊った格好で病院から戻って来て、「試合には勝ったけど・・・もう戦えないって言われたんだ、オレはもうダメなんだ」って泣いた振りでみんなを驚かせたとか、そういうお茶目なところが可愛いじゃないか。らっしゃんのこの冗談に引っ掛かった時に、どのチーム関わらずみんなが本気で心配そうにしてたのが印象的だった。
まっちゃんに対する、あんまり口にはしない(少なくともテレビでは見えない)反感のせいか、チーム間での敵対心というのはそれほどでもなかったみたいで、個人的にライバル視云々はあったみたいだけど、相手チームの不幸は蜜の味、という感じがまったくなくて、そういう点がTUF2はさわやかだったなあ。
そう言えば、とてもらしい感じに、ボクサーか何かの大型犬を飼ってるらしい。奥さんはわりと小柄な、すごいシャープに可愛い感じの人だった。照れくさそうに、「もうすぐ婚約するんだ」と言ってたらっしゃんがラブリー。
もうひとつ、チーム同士の競争っていうのは、生き残り戦というのもあるんだけど、自分より弱い選手を確実に叩き落して自分が生き残る、というそういう流れに持って行くためのものらしくて、それについてDanaたんが、「今季は、UFCとの契約のために勝ち抜くことよりも、ライバル同士でオレの方が強いんだという証明をしたいと言うことが主眼になりがち」と言ってて、ああなるほどなあと思った。
何ていうか、上を見るよりまず下を見ろっていうか、「まずは真の己れを知れ」ということか。
自分と同程度の実力と思うのは大抵実力が上で、自分より格下と思うのはまず間違いなく同程度の実力、というのはどの世界でも同じなんだなあ。
上に上がるためにこそ、まずは自分の正しい立ち位置を知れ、ということなのか。
TUFというのは、こちら側からは見てて楽しいただのドラマだけど、中にいる選手たちにとっては、自分を知るためのチャンスなんだなあ。
何ていうか、深いよなあ。
それともうひとつ、これはこいつの自分勝手な印象。
ただの偶然かもだけど、黒人選手のMelvinとらっしゃんは、両方りっちゃんのチームだった。そして比較的肌の浅黒いJorgeも。
まっちゃんはわりと敬虔なキリスト教徒みたいで、それと何か関係があるのかどうかは知らないし、多分関係ないと思いながら、まっちゃんは真っ当な意味で偏狭なのかと思う。
普通程度に、見掛けが違う、宗教が違う、しゃべる言葉が違う、文化が違う、という辺りに、素直に偏見があるのかなと。普通ならそれを取り繕うところを、まっちゃんはもしかして取り繕う気がない人なのかなと。
徹底したプロ主義でありながら、それでも100%は実力だけで人を判断することはしないのかもしれない。
これはむしろ、こいつの、まっちゃんに対する偏見かもしれない。TUF2を見ながら気になった、そんなこと。
いや面白かったなTUF2一気見。Spikeは他のシーズンも同じことやってくれるといいと思う。
今季はらっしゃんがコーチだぜ! 来週から始まるぜ! 楽しみだぜ!
Rob Halford、Judas Priest、Metal God
- 2009/09/11(Fri)
Rob Halford、言わずと知れた、自称他称ともにMetal God、Judas Priestのボーカル。
出会いは背徳の掟ことDefender Of The Faithだったけど、こんなに長い間、変わらずに好きでいられるとは思わなかった。
いずれアルバムがCDで手元に来たら実況レビューをやるので、音についてはその時に思う存分語るとして、とりあえずRobさんという人について語ってみたい。
主には過去の記憶に頼って、単なる噂だったり、ゴシップだったり、誰かがどこかで垂れ流した憶測だったり、そういうものも交えて、信憑性のないRobさんそしてJudas萌え語り。
Robさんがいかに神かという話。多分。
Wikipediaで見たら、Turbo以降、休止時期も長かったせいか、あんまりアルバムは数出てなくてびっくり。そしてDrのScottももう在籍20年になるのか・・・早いなあ。
そしてDaveのことが気になってこれもWikipediaで見てみたら、やっぱり今は刑務所なのか。17歳の知的障害のある少年を強姦した容疑がどーのというニュース見た時はほんとにリアルで○| ̄|_だったけど、いまだ無実を主張してるのを、あーあーもうと痛々しく思えばいいのか、やっぱりそうか!って思えばいいのかよくわからない。
そしてDaveがGlennと年が変わらないという事実にちょっとショックを受けている。そんな歳で刑務所って、あの人生きて出て来れるのかなあ。何か改めて○| ̄|_
さて、そういうわけでRobさん。
出会った時にはすでに30半ばを過ぎてて、まだガキだったこいつには当然まぶしい大人だったわけで、GのGlennは親父と歳が変わらない、そもそもJudas自体がすでにベテランバンド、と言うわけで、完全に後追いだったこいつは、その時点ですでに10枚出てたアルバムを、輸入盤屋やら、地理もわからない新宿を巡って、何とかかんとか手に入れた。もちろん全部レコード。
Robさんは自分でも聞きたくないと言ってる1st(レコード会社の移籍やら何やらで、彼らが1stと言う時は、正確には3枚目のSin After Sinを指すことが多い)のRocka Rollaもけっこう気に入って、Sad Wings of Destinyの美しさにうっとりしたり、なんでこれが日本盤は廃盤なんだよと憤ったり、その後黄金のスペクタルことPoint Of Entryのレコードも廃盤でCD買うしかなかったり、同時期に聞いたIron Maidenにはほとんど心を動かされずに、ひとまずJudasに心を据えて、そこからいろんなバンドを聞くことになった。
Judasを聞くきっかけになったのは、当時同学年の近所の友人で、彼女はすでにHR/HM系洋楽にハマってて、こいつがLep Zeppelinが好きだと言うので、Zepに似てるよと勧められたのが最初だった。
生まれて初めて聞いたJudasはFreewheel Buring。ステレオから流れるほんとうにカミソリみたいなG、それから、もっと鋭い、Robさんの声。Plantさんに似てると思ったかどうか、記憶にない。でもZepに似てるとは、確かに思った。
あの曲が、その後のすべてを決めたとしか思えない。あれこそが、永遠にこいつにとってのHeavy Metalであり続けるんだろう。
長い長い間、そして今も、Defender Of The Faithはこいつにとっての至高の1枚だ。これ抜きに音楽は語れないし、HMも語れない。Judasの最高傑作であり、非常に正しい意味でHM最高の名盤であり、とにかくこのアルバムの何もかもが最高のレベルだと思う。非の打ち所がなさ過ぎる。完璧すぎて、まさに神の1枚。大袈裟じゃなくて、本気でそう思ってる。
Judasにハマって最初のリアルタイムのリリースがTurboで、デジタルがどーのポップがどーの、とにかくメディア側の御託の多いアルバムだったけど、Robさんの声の表現という点では、これこそ黙って聴いて惚れろ、話はそれからだって感じで。このアルバムで、官能と言うのが、直接に性的表現とか性的行為によらないのだと言うことを思い知った。当時はガキのたわ言だったけど、今になってもまったく同じことを思う。
下品な表現で、ほんとうに、●●とか×××とか、Locked Inを聴くとそう感じる。Robさんすげえと思った。心底思った。
出会いのほぼその瞬間から、誰かから聞いたのか読んだのか、彼がゲイだというのは事実として自分の中で認識されてたので、その後ゲイ雑誌でRobさんの名前を見ても、驚くより先に、そういうところで記事になって語られてる事実に笑いを禁じ得なかった。
全身革、鋲を山ほどつけて、でもシャープとかセクシーとか、そういうのとはちょっと無縁の感じの、どこかユーモラスな印象のRobさんは正直とっても可愛かった。
本人はものすごく地味な人なんだろうなと、今は思う。だからこそ、ああいうものを身に着けてステージに上がらなきゃならなかったんだろうなと、今は思う。
当時のRobさんの印象と言うのは、こいつの周囲では大体きっぱりふたつに分かれてて、ハードゲイなかっこいい大人の男か、気をつけないと仕草が優しくなっちゃうオカマちゃんか、どちらかだった。
普通にインタビュー記事や写真で見るRobさんは大人な男の印象だったけど、いわゆる生に近いRobさんを見ると、どことなく気の弱そうな、ただひたすらに優しげな儚い印象で、どうも実際は後者に近いらしいというのは、冗談めかして語られるツアーレポの内容から察せられて、Robさんの声を神扱いしてるこいつの心中は、どこか一部で、彼をただただ可愛らしい人として受け入れるのを拒んでたような気がする。
Judasから突然DrのDaveが脱退した時、こいつの中でこいつの神であるJudasは一度終わってしまった。Ram It Downをどうしても好きになれなかったこいつは、PainkillerでJudasに完全に絶望し、それ以前のJudasは変わらずに大好きだった(愛してたという言い方の方がより正確)けれど、その後のJudasはほぼ完全に無視して数年を過ごした。
そしてRobさんがJudasを脱け、自分の半分くらいの歳のミュージシャンたちと一緒に演り始め、それは確かにRobさんだったけど、そのRobさんはこいつには神の人ではなかった。
Daveの後任のScottが新しい恋人なんじゃないかっていう噂もあった。日本にツアーに来る時には、必ず恋人同伴だったし、GのKenちゃんと一緒に暮らしてたのは、あれはただの同居じゃなくて同棲だったって話もあったし、一緒に演ってる若いミュージシャンの中にいたゲイの子たちともあれこれあったとかなかったとか、何と言うか、惑う、という言葉がこれほどぴったりな人もいないなあと、Robさんを見てて思う。
PanteraのPhilに片思いしてたとかねー。あの頃やたら入れてた刺青はPhilから紹介された彫り師の人のだったとかPhil専属の人のだったとか、そんな話もちらほら聞いた。
やっと世間にカムアウトしたのも、売名行為的に取られてた部分もあったみたいだし、ゲイだと打ち明けてしまった後のRobさんは、何だかとても痛々しく見える。
声域が広いとか、高音がすごいとか、でもRobさんのすごさはそれだけじゃなくて、あの、ほんとうに歌うために生まれて来たような喉の靭さとか、呼吸をするように歌うことに対してもう体が反射的に反応してるところとか、ただ歌が上手いとかどうとかを越えて、音楽というものを声で聴かせて感覚的に伝えてくれる、あの表現力の深さと広さとか、Robさんはほんとうに、歌うためにこの世にいる人なんだなあと思う。
歌うということが、自己表現ですらない、ほんとうに、ただ呼吸をするのと同じだという空気を、Robさんから感じる。呼吸をしないと苦しい、死んでしまう、歌うことも同じ、そういう風に。
Robさんの幸運は、Judasというバンドにいたこと、いることだと、しみじみ思う。
音楽の才能に恵まれたことが、Robさんを本当に幸福にしたのかどうかは知らない。その才能のおかげで得られるものは多かったと思うけど、ただの人としてのRobさんは、それはただそういう表情に見えるというだけのことなのか、時々とても淋しそうに見えることがある。
今現在、あるいは比較的近い過去に、家族に近いレベルの恋人がいたのかどうか、そういうことが気になったりする。 こいつも含めてある種の人たちに、本気で神呼ばわりされるRobさんは、でも賞賛ではなくて単純に愛されることを求めてるように見えて、その辺りは自由主義を享受したらしい例えばFreddy MercuryとかElton JohnとかDavid Bowie辺りと、付き合いがあったのか世代やジャンルの違いでなかったのか、彼らとはまるきり姿勢が違うように見える。
Robさんは、限りなく神に近いところにいる、けれどとても普通で普通でありたいと思っている人なのか、それとも、人に似せた姿でこっちに来てしまった、神である人なのか、一体どちらなんだろう。
ゲイであること、音楽の才能があること、どちらも、普通になりたい、普通に愛されたいだけのRobさんをそうさせてくれない障害でしかなくて、でももう歌うことが呼吸することと同義になってしまえばそれを捨てることもできなくて、変わらない声を相変わらず高く張り上げるRobさんは、けれど昔よりもずっと痛々しく見える。
Robさんの声は、深くていつも淋しげに聞こえる。どれだけ激しく吐き出すように歌っても、それは怒鳴り声ではなくて泣いている声のように聞こえる。
Layneが苦しみを歌ったように、Robさんは哀しみを歌ってるのだと思う。
それは歌詞ではなくて、歌い方ではなくて、ただほんもののため息のように、Robさんの声が哀しいのだろうなと思う。
Robさんに影響されたと思ったことはなかったし、Robさんみたいになりたかったと思ってたという自覚もなかった。でも、ぶっちゃけた話、おじいちゃんと言ってもいい年齢になったRobさんを見て、それでも相変わらずの格好で相変わらずの声で相変わらずの歌を歌うRobさんを見て、こういう風に、常に迷いながらでも前に進めたらいいなと思った。
こうしたいと思うことをしながら、こうありたいと思う方向とは少しズレた方へ行ってしまっているように見えるRobさんを、淋しそうでどこか哀しそうだと感じながら、でもきっとこの人は、これもまたこれと、どこかで達観して受け入れているように見える。積極的にではなくて、淡々と受身に、自分に求められているイメージに添って、そうやって生きて行くことを、少し苦笑いしながら、ちょっと肩をすくめて受け入れているように見える。
人とは違うということの哀しさと淋しさを、20年前よりももっと強く全身に滲ませて、だからこそ受ける賞賛を、今は素直に受け入れてるように見える。
歌うということと同義のようなRobさんが大好きだ。声も、いつまで経ってもイギリス訛りの穏やかな話し方も、誰かが聞いているとかいないとかそんなことは関係なしに、ただほとばしる声を止められないという歌い方も、人を殺せそうな高音も、Robさんがこちらに伝えようとしている形のない何かも、みんな全部大好きだ。
Robさんをこんなに好きだと知らなかった。
日本を離れる時に持って来るために選んだカセットテープの中に、もちろんJudasも入ってて、Sin After Sin辺りを聞きながら、JudasとRobさんのすごさを改めて思い知って、出会った時と同じように好きでいられて、また新たに惚れ直せるその音に、ほんとうに心の底から感嘆した。
そしてまた今、Judasに新たに惚れ直してる。すごさが色褪せるどころか、聞くたびに増す一方で、Rocka Rollaから35年経って、こんな音をあの頃に作り出した彼らというのが、ほんとうに信じられない。Judasすげえよ。
過去の記憶の中ですら、成長し続けてる彼らと、ほんとうに孫みたいな新たなファンさえ狂喜させる彼らは、ほんとうに文字通りにMetal Godだ。
最近気づいたけど、とりあえず英語に関して言えば、歌う時にメロディに言葉を乗せるリズムとかタイミングってのも好みとかセンスがあるんだなあと思った。
Amanda Marshallの曲はすごい好きなのに歌もすごいタイプなのに、なぜか聴いてると、どこかでずれて入れ込むタイミングを外されるような感覚に陥る。Geoff Tateの最近の歌い方もそう。
メロディに言葉を詰め込むのはともかく、それをリズムの中にきちんと昇華させてない、言葉の音が余ってもたつくのが耳に引っ掛かるらしい。
この辺りは、下手すると、1語1語きちんと歌おうとする非英語人の方が耳に気持ちよかったりする。ScorpionsのKlausとかVandenbergのBertとか、歌い方が妙に色っぽいところが好みなだけかもだけど、無理せずに歌詞にもたつく感じがないのがいい感じ。
Maroon 5のWake Up Call辺りは、そこを逆手に取って、淡々とした曲の中で、各パートの複雑なリズムの絡み合いを聞かせてくれる。無自覚にAlice In Chainsもそう。
Robさんはもう、自分だけの世界にイッちゃってるって言うか、Diamond & Rustのアコースティックバージョンを聞くと、Kenちゃんのリズム感のなさに思わず失笑。それを無視して自分で歌い上げるRobさんとの対比がほとんど冗談。
Layneも割りと、後ろのリズムを無視気味に勝手にうねって歌うタイプだけど、この辺りはOzzy(Layneが影響されたと公言してた)的ボーカルという点でひとくくりにできるんだろうか。あるいは、もっときちんと、Plantさんタイプと言うべきなのか。
Robさんが、いわゆるきちんとした音楽の勉強をしたことがあるとは思えないので、歌い方にせよビブラートにせよリズムのセンスにせよ、先人をコピーしてる間に勝手に身に着いたものだろうなと思いつつ、この辺りもオリジナリティという点では反論があることは予想できても、Robさんの天才っぷりを否定することは絶対にできないと思う。
Robさんがすごいなあとしみじみ思うのは、表現の幅の広さによる、色や形がはっきりと見えそうな、匂いさえわかりそうな、音楽世界の構築の仕方か。
人見さんも、声でその場の空気を一変させてしまう人だけど、人見さんが酔わせてくれるタイプなら、Robさんはほんとうに、そこで物理的に建築を行って、人をその世界に物理的に引き込んでしまう人だと思う。
Geoffが、その辺りでちょっと迷走してる印象なのとは対照的に、Robさんはもうその世界に住み切っちゃってると言うのか、ほんとうにやっぱり別世界の住人で、やっぱり神に近い人なのかと思う。
歌の上手さだけじゃなくて、声域の広さだけではなくて、Robさんは"それ"を演じてるように見せていて、やっぱりそこに生きてる人なんだろうなと思う。好むと好まざるに関わらず、Robさんはまさしく"本物"なのだと思い知る。
こういうことを伝えたい、見せたいで歌ってるわけじゃなくて、歌ったことを、聞いたこちらが勝手に解釈してるだけのことで、Robさんはただ、呼吸をすると同じ意味で歌ってるだけ。言葉に意味はないし、メロディの展開に意味はない。あるのはただ、Robert Halfordという神が、そこで普通の人間である我々と同じように呼吸してるというだけの話だ。
Robさんにとって歌うということは、単なる体の反射と反応に過ぎない。歌うことで、そのメロディの中に生きて、そのメロディをよりよく表現するために、手足が動く、Robさんは文字通り表現者であり、表現するために生きていて、表現とは彼にとっては呼吸と同じことだ。
Robさんそのものが、歌うことそのものだ。
長い間大っぴらに言えなかったけど、DaveやSimon PhillipsのJudasが大好きなこいつにとっては、Scott Travisは鬼門に近い。ぶっちゃけ、自分では絶対に聞かないタイプのDrだったりする。
Racer XやPaul Gilbert自体、テク偏重で、今時の言い方だと「萌え」がない。あーすごいねすごいね体力勝負だねハイハイワロスワロス的反応しかできない。Yngwieに萌えはあるけど、Paulにはない。
そんなわけで、ScottがJudasに入ったって知った時の絶望感ときたら○| ̄|_ あの時のことはいまだ忘れられない。裏切られたというか、絶望の淵に叩き落されたというか、Daveが脱けただけでも心が全治3年くらいのショックだったのに、Scott加入で永遠に完治しない心の傷を負わされる羽目になった。
そしてPainkillerを聞いた時の、予想通りのあの○| ̄|_っぷり。ほんとうに、心を叩きのめされた。
しかもRobさんがScottを誘ったとか、メンバー全員で気に入ってるとか(いやもちろん気に入らないなんて言うわけないけど)、その後の、予想もしてなかったRobさんの惑いっぷりとか、何もかもScottのせいだ。Scottは無実だけど、悪いけど責めさせてくれ。
そして世間的な、Painkillerに対する、「HM至上の名作!Judas的にベストアルバム!」という評価も、同じようにこいつの絶望に、さらなる重みを加えてくれた。
結局あれは、時代が変わってしまったということだったんだろう。こいつにとってのJudasは、永遠にSad Wings of Destinyであり、Defender Of The Faithだけど、時間がちゃんと進んでる世間ではもっと新しい音があふれてて、そこですら至上のバンドとして君臨できるJudasのすごさを、今なら割と素直に受け入れることができる。
世間の流れに迎合しつつ、はっきりと新しいファンの好みに媚びながら、それが卑しくならないどころか、まるで国民思いの君主のように、ただひたすらに崇め奉られるJudasの凄みというのは、今はこいつの好みではないにせよ、昔からきっと一向に変わらないJudasの、自分たちの作り出す音楽に対する姿勢に他ならない。
今のJudasがあるのは、明らかにScottのおかげだ。Scottがいなければ、明らかにPainkillerはなかったし、Painkillerがなければ、今のRobさんもJudasもいない。DaveではなくScottだったからこそ、「何もJudasがやる必要はない極めてTrashに近い今時のHM」的音を、JudasがJudasのままとことん突き詰めたというその凄みが、今のJudasからあふれまくってる。
迷走した時期はあったにせよ、デビュー以来ほとんどメンバーの移動がないというのは稀有なことだし、Scottが腰掛けではなく、ただのお仕事でもなく、きちんとJudasに惚れ込んでもう20年も一緒にいるのだということは、Judasにとっては何よりの幸運だと思う。
ツーバスがうるさい、手数のやたら多い、前に突き進むだけのScottの音は、ほぼ全面的に好みではないけれど、ライブで聴く彼の音は、アルバムよりは薄くなりがちな音を下から支えてくれてて、引きずられてか、Ianの音も、昔よりはずっと激しく聞こえる。
こいつひとりの絶望はともかくも、Scottが、Judasが神として君臨するために必要なメンバーだったことは間違いがない。
Dave本人か、DaveタイプのDrと交代して、Judasがこいつの神だったJudasに戻ってくれるという希望は、とっくに捨てた。その希望はあまりにもバカらしいし、そうなればきっとJudasは、「古臭い古参バンド」としてどこかの山裾にでも埋もれて、行方知れずになってしまうのが目に見えてるからだ。
大好きだったバンドが悉く姿を消して、個々のメンバーの行方すらよくわからない中、少なくともJudasは相変わらず、むしろ以前以上に神がかって世界に君臨してるこの状況を、素直に喜ぼうと思う。
たとえ、街中の店に行っても、最新アルバム2枚しか置いてない状況だったり、AmazonでどうしてかDefender Of The Faithだけは他のアルバムよりも3倍くらい値段が高かったり、在庫がなかったりしても、Judas Priestで検索をかければ、山ほど出てくる情報と、新しいアルバムがちゃんと世界レベルでニュースになる彼らの今の状況を、とてもありがたいと思う。
Judasは神だ。永遠に神だ。後は、Robさんが、ただの人として幸せになって欲しいと思う。
Ianが、Robさんの妹と離婚してたってのを初めて知った。彼らはもう義兄弟ではないけれど、Judasの面々は、もうずっと家族以上に強い絆で結ばれてるんだろうなと思う。
Ianと妹の付き合いをきっかけにJudasに入ったRobさんは、Ianと無関係になったことは関係なく、相変わらずJudasにいて、今日も叫ぶ声で歌ってる。刺青とひげとスキンヘッドと革と鋲で全身を鎧って、その力強い声とは裏腹に、どこか淋しそうに、どこか哀しそうに、Robさんはきっとずっと歌い続けるだろう。
こいつはそんなRobさんを神と崇めて、ずっとずっと遠くの、世界の端から、上向いて眺め続ける。愛してるという言葉が安っぽく足りないくらい、Robさんが大好きだ。これからもずっと、同じように好きだろうな。
Vivian Campbell
- 2009/08/09(Sun)
Vivian Campbellというギタリストの名を初めて意識したのは、彼がWhitesnakeに入ってから。
Sweet Savege時代から、すでに地元ではギターヒーロー的扱い、その後は元RainbowのRonnieに見出されてDio加入という経歴は知ってたけれど、Dioがまったく好みアンテナに引っ掛からず、おまけに当時はYngwieだのJohn Sykesだの、もっときらびやか(音だけではなくて、メディアの露出的に)なギタリストがいっぱいいて、正直Vivはその中に完全に埋もれてた印象だった。
John SykesからWhitesnake、ちょうど知った当時にSykes脱退とかクビとか、そんな流れだったか、地味なおっさんバンドだったWhitesnakeが、とってもアメリカの匂いのするバンドになって、そこにVivがかのAdrian Vandenbergと一緒に並んでいた。
Adrianがどういう立場のギターヒーローだったのかはよく覚えてないけど、オランダという、HR/HMはおよそ似合わない国で、自分のバンドを率いてて来日したこともあって、ジャケットの絵も自分で描いたし、何しろ身長194cmってのでインパクト抜群(ああそれに、最初のギターは自作だったとか、そういうのもあったよね)、日本人の好みに合う音だったせいか、音作りの面でも評価は高かったということで、隣りに立ったVivはこれまた印象薄くてちょっと可哀想だった記憶。
ぶっちゃけた話、当時から背の高い男に弱かったこいつはAdrianに興味を引かれて、それからVandenbergを気に入って、そのAdrianとペアのギタリストとしてVivを意識し始めたんだったような気がする。
いくらルックスが好みとは言っても、Gが好みじゃなければそこで終わる話なわけで、残念ながらDioが好みでなかったので、VivについてはWhitesnakeで一生懸命Gを弾いてる姿に惚れたと言うのか、まああんまり大声では言えない類いの恋みたいなものだった。
当時のVivは、Whitesnakeでは最年少、奥さん連中含めても最年少、みんなからBabyって呼ばれてるって記事を読んで萌え狂った記憶。Dioをクビになった経緯も、Ronnieの不愉快っぷりが逆にVivに対して憐れを誘う形で、何と言うか、不憫な弟を見守るような、そういう心持ちだった。
アイルランド人であると言うことを、機会があれば口にするのも、今思えばあの国(と言うのにも、いろいろと含みがあるとして)出身であるということをとにかく誇りたかったんだろうなと、そこもまた涙を誘う。
YngwieやSykesと比べられ、彼らに比べればテクばかりに先走った音の情緒のなさをこき下ろされたり、Ronnieに押さえつけられてたせいなのか曲作りの面で評価されることも少なかったり、ある意味、大物ミュージシャンに見出され続けたばっかりに、不遇を囲つ羽目になったという、あの頃のVivにとっては良かったのかどうか。
Vivの不憫さはともかくも、確かに音的には今ひとつ好みだ!と叫ぶには決め手に欠けてたというのが正直な感想。とは言え、それでも何か引っ掛かるものがあったからこそ、Whitesnakeでの、彼のこれからの音に期待するぜ、次のアルバムはばっちし自分の音でソロ弾いてくれよ!と思ってた矢先に脱退。ものすごい脱力だった。マジで泣いた。
Vivのことを、ミュージシャンという人間として大好きだったから、これでまた活躍する場を奪われちゃったのかと、Whitesnakeで名前は売れたとは言え、アルバム自体にはまったく関わってない立場では、ギタリストとしての評価にはまったく繋がらないという、何かほんとにいいように使われて捨てられちゃったのかと、ひとりで絶望した。
当時25、6だったVivは、今なら「まだまだ若い! まだまだ先がある!」と言えるけど、こいつにとってはすでにとっくに大人だった人で、それこそ目の前の道をすべて塞がれてしまったような、そんな感覚に陥ってた。実際にVivがあの時の状況をどう感じてたかはともかく、こいつにとってはVivはあそこで一度終わってしまったも同然だった。
当時まだRonnieとは和解してなかったし(すんな!と思ってたけど)、David Coverdaleとも円満なわけもなかったし、大物ボーカルににらまれてこれからどうするんだろう、とひとり戦々恐々。
ForeignerのLou Grammと何かやってるらしいと聞いた後で、小さなニュースはぽろぽろ耳に届く中、ある日突然静かにRiverdogsというバンドでアルバムが出た。
メンバーの名前も顔もまったく知らない。なんでこんなところにVivが?と面食らった。誰かに請われて、ゲスト的に参加したんだろうかと思ったけど、ちゃんとメンバーだし、ひとまず正式にVivがいるバンドらしい。ジャケットから伺えるバンドのイメージの地味さ加減が、WhitesnakeやDioとまったく重ならない。いやほんとにどうしちゃったんだVivと、思いながらアルバムをとりあえず聞いた。
1990年のことだった。それ以後、そのRiverdogsのアルバムは、こいつの中で「絶対に聞け!」的アルバムのリストから外れたことがない。これからも、きっと外れることはないと思う。
地味と言えば地味な、でも素直にいいと言える音だった。すべてのバランスの良い、メンバーみんなが楽しんで演ってるのがありありとわかる中身だった。バンドと言うのは、本来こうあるべきだと言う、そのまんま辞書にでも載っけたいような、ものすごくあたたかな空気の漂う内容だった。楽しそうなVivが、とても幸せそうに見えた。こいつも幸せだった。
結局派手に売れることはなく、でもいまだ好きだと言う人が意外と多いバンドで、VivがGだったと言うよりも、リーダーでVoのRobがひそかに人気の高い、知る人ぞ知るバンド。
Vivが伸び伸びとGを弾いて、歌って、とても楽しげに等身大で演ってる、それがRiverdogsだった。誰かに遠慮することもなく、誰かを意識して気負うこともなく、Vivian Campbellというミュージシャンが、本来の彼らしさだけで好きなことをしている、そういう音を聞かせてくれた、いまだ唯一のアルバムだと思ってる。
ミュージシャンであるVivに本気で惚れさせてくれた1枚だった。
そしてまったく売れなかったけれどバンドとしてはうまく行ってたRiverdogsに心を残しつつ、Lou GrammとShadow Kingでアルバム発売。これも悪くないアルバムだった。声が好みかどうか、正直ノーコメントとして、曲やGソロは好き。これも素直にいいアルバムだと思う。
残念ながらバカ売れするようなアルバムではなかったし(PVはちゃんとあるけど)、少なくとも日本のメディアが騒ぐようなバンドではなくて、Vivがアルバム製作以外でどうしてたのか、この辺り動向は一切不明。
そして1991年、Def LeppardのSteamin'が薬とお酒過剰摂取で急死。翌年新しいGとして加入したのがVivだった。
ある意味順当な人選でもあったし、ものすごいショックなニュースでもあった。
Defのメンバーとは、Sweet Savageの頃から知り合いだったし、年の頃も同じ、して来た苦労も似たようなもの、Gが欲しいバンドと、バンドに入りたいGと、完全に利害が一致したんだろうけど、個人的にはVivをギターヒーローだと思ってたこいつにとってのDef加入は、WhitesnakeにVaiさんが入った時くらいの、「・・・宝の持ち腐れ?」だった(Defに対してどうこうはない。単に音とか方向性が合わなくね?という素直な疑問の結果)。後、Riverdogs再開って夢があったし。
正直なところ、10代からずっと一緒にやってる、すでに血の繋がった兄弟みたいな英国人バンドに、アイルランド人がひとりぽつんと入るっていうのも心配だったし、Def Leppardという売れ売れバンドに入ったことでメディアの露出が増えるということは単純にうれしかったけど(実際テレビでライブとか見れるようになったし)、とにかくVivがやってけるのかどうか、ものすごい心配だった。
こちらの心配をよそに(当たり前だ)、テレビで見るVivは楽しそうにステージを駆け回り、やっと腰を落ち着けられる場所を得たと言う風で、とにかくとても幸せそうに見えた。
Phil辺りとの、何だかピリピリしてるっぽい空気はあったものの、とりあえずは新しいバンドメンバーとして受け入れられてるのだと言う風には見えた。
Philの音が、たまたまだったのかどうか、やたらと気負ってる、Vivを意識してるように見えて、Defの中でとにかく溶け込もうとそれなりに肩の力を抜いて後ろに引いた印象のプレイをしてるVivと、ひどく対照的だった。
その後Unpluggedを見て、Philの対抗意識のあまりの強さに、元々Defファンではない(アルバムは好きだけど、メンバーには興味がない)こいつはちょっとげんなり。
やたら速く弾こうとしてみたり、無駄に手数を多くしてみたり、とにかくVivよりいいGなんだ!というのを証明しよう証明しようとしてる感じで、「いやいいからDefらしい音で弾いてくれればいいから」と、JoeとSavを間に置いて向こうの端にいるVivが、本人の印象は薄げに、でもG的にはしっかり印象深いフレーズでプレイしてるのが何ともこう、Phil的に可哀想な感じだった。
元々Sweet Savageの頃も比べられたって言ってたもんなあ。当時からすごいG!呼ばわりだったVivのことを、当時からひそかにPhilがライバル視してたとしても不思議はない。
そもそも音的にタイプが違うし、Philはテクだの速弾きだのには興味なさそうなGだし、比べるもへったくれもないんだけど、PhilはどうもViv加入に心穏やかではなかった様子。
個人的には、イギリス人対アイルランド人という図式もあるんだろうし、Vivひとり、あの中では兄弟的絆も築けずにひとりぼっちでも全然不思議はない。Vivはそういうことも含めて、Defを永住するバンドとして、そして仕事として、きちんと受け入れているように見える。
Defに入ってから、作曲面でどのくらい貢献してるとかさせてもらってるとか、Gソロはどうよとか、正直なところVivの活躍には期待してない。しようにも、させてくれないだろ?という先入観で。
Defにいる限り、仕事の面では心配はないけど、ミュージシャンとしての本領を発揮するVivを見ることはないだろうと勝手に思ってる。
だからこそ、VivがいまだRiverdogsのメンバーと親しくしてて、サイドでライブやったり、あるいは好きなミュージシャンと一緒にソロアルバム作ったり、そういうところで彼らしさを発揮してるのをいいことだと思ってる。あれも、Defのメンバーとしての基盤があるからできることだろうし。そういう点で、Defにはとても感謝してる。感謝の方向が間違ってるかもだけど。
Sykesみたいな華やかな艶やかさとか、Yngwieのとにかくすげえよという音作りとか、そういうぱっと目につく派手さはないかもだけど、Vivの音はとても深くて、心の中に染みとおって来る音だと思う。
Vivの音は、大音量でみんなで一斉にどたどた演る時よりも、生のGと声だけでやってくれる時に、いちばん美しさが際立つ音だと思う。年を重ねるにつれて、ただひたすらに深みが増してると言うのか、どんどん魅力の増してるVivの音だなあと思う。
今はさすがにないけど、ほんとに数年前まで、Vivに対しては息子を見守るようなそんな気持ちだったから、Defに落ち着いてくれて、すでに17年過ぎて、Vivian Campbellという名前ではなくて、DefのGという形で語られることが当たり前になって、そんなにもう一挙一動を心配して見つめ続けなくてもいいと言うのは、正直少し淋しい。
Defに入って10年目を迎えた辺りで、Vivはもう誰からも心配されなくていい、自分の好きなことをやるスペースをきちんと確保した、大人のミュージシャンになったんだなあと、そんなことを思う。
こんなに長い間、好きでいられるGになるとは思わなかった。死ぬまで好きな人たちとライブやって、アルバム作ってて欲しいなあ。Riverdogsの面々とずっと仲良くやってて欲しい。
RiverdogsいいバンドだよRiverdogs。
Defがいつか、ツアーをやめて落ち着いて、もうそろそろいいかってことになったら、Riverdogsの面子と、アルバム作ってくれないかな。RiverdogsUとか、そんな感じに。そしてまた、非売品のアコバージョン集めたCD出してくれるといいよ。一生懸命探して手に入れるよ。
そしていつか、またAdrianと一緒にやってくれないかな。再結成したVandenbergに入ってもいいよ。Adrianと、思う存分ソロ合戦するといいよ。
そんな夢。