ホーム > 負け犬の遠吠え - 雑感 > 2002年08月 > 2002/08/30

 
物書きとしての、絵描きに対する雑感、または偏見<笑>
2002/08/30(Fri)
 絵描きと物書きの間には、広くて深い溝がある。
 こいつはわりと昔から、絵描きの友達が多くて、まあ、同人ってのはそもそも絵描きの方が多いんだろうけど、そういうわけで、たまに、意見の違い何かがあったりして。
 特に本を作ると、こいつはひたすら地味に撤するのに、絵描き氏たちは、比較的派手にしたがる。今思えば、こいつの地味趣味は、単に絵心のなさを、隠すための手段だったらしい(大笑)。
 物書きのくせに、昔から映像に対する、妙なこだわりがあって、その辺が、絵描きに対するコンプレックスになって、現れるらしい。
 物書きとしての自分に自信がないかと言えば、そんなわけはもちろんなくて(笑)、自分なりに、量的にも時間的にもそれなりのものを書いてる(質のことを言及しない辺り・・・)って自負があるので、物書きとして、経験はある、と。
 絵で出来ることと、字で出来ることは、違う。同じなわけは、ない。
 そういう部分で、たとえ物書きで地味に活動してるとしても、それなりのものを表現してる、と思う。大したもんじゃないけど(苦笑)。
 でも、やっぱりたまに、打ちのめされる。絵が描けたら、と思う。今さら始めようと思わないのは、やっぱり自分は物書きだと思ってるからなんだろうけど、絵描きの集団の中に入ると、そこに入れないものを、やっぱり感じる。
 特に最近、ネットで作品発表の場を得て、ますます絵描きと物書きの溝が、広くなってるのを、感じる。
 昔は、どちらも、生み出すものの形は違っても、手段は似てた。どちらも、紙の上に、筆記用具を使って、作品を生み出してた。今は、コンピューターで絵を描いて、字を打つ。
 紙は必要ないし、筆記用具も必要ない。コンピューターで作業するための、ソフトとハード。それは、字と絵で、全然違う。
 こいつはもう、絵描きの人たちが、どんなソフトとハードを使って、"絵を描いて"るのか、想像もつかないし、使われてる道具の名前も、よくわからない。つまり、話についてゆけない。
 こいつは昔から、絵を描く過程ってのに興味があって、例えば、イラスト1枚、どういう風に仕上がって行くのか、ってのを、機会があれば、ぜひ逐一観察してみたいと思ってたりする。
 マンガ描くのも、近くて見てたいな、ぜひ。コマ割りとか、ネームとか、知識としては知ってるけど、実際の作業は、ほとんど見たことがない。
 
 今現在ハマってる、サイボーグ009で、好きな作家さんが3人くらいいる。
 ひとりは、わりと頭の中の構造が似てるらしくて、正直どうやら影響し合ってるらしい。本人、これ読んだら、殺されるかな(苦笑)。
 互いにファンだと言い合って、アレ描いて、コレ書いてと言い合ってたりして。こういうのは、すごく楽しい。彼女との間にも、もちろん例の溝はあるんだけれど、でも我々は、どうやら表現方法は違っても、表現したいことと、表現できることが、わりと似てるらしい。
 非常に趣味のいい人で、表現したいことがあって、手段がたまたま絵だった、というタイプ。
 もうひとりは、何というか、ファンキーな作家さん(笑)。
 絵柄がわりと可愛いせいなのか、何を描いても笑って許せる、というか、彼女の作風、ということですべてが受け入れられてしまう、もしかすると非常にラッキーかもしれないタイプ。
 人からの影響は、あまり受けない、比較的一匹狼的存在かな、という感じ。信奉者が多くて、本人もすごく気さくな人にも関わらず。
 これまた、表現したくて、たまたま絵を選んだ、というタイプ。
 3人目は、何というか、妙に色っぽい絵を描く人で、わりと自分のことを距離を置いて眺めてる、そういう感じ。
 孤高の人、というのが、こいつの印象。恐れ多くて近づけない(笑)。
 何というか、とにかく言いたいことがいっぱいあって、それが絵、というか、原稿全体からあふれてる感じ。でも、全然うるさくない。
 同じく、表現方法が、絵だった、っていうタイプの作家さん。
 こんな風に、マンガっていうのが、日常生活の中にここまで浸透すると、マンガ描いてて、マンガ読んだことがないってのは、ほとんど不可能に近い。
 マンガが好きだから、マンガを描く。それはそれでごく自然なことだと思う。少なくとも、マンガ好きなくせに、物書きやってるこいつよりは、よっぽど自然な流れだと思う。
 でも、マンガが好きで、マンガ描いてるのと、表現したいことがあって、マンガって手段を選んだってのには、大きな違いがある。それを最近、強く感じる。
 もちろん絵がうまくなきゃ、まず話が始まらないんだけど、うまいだけの絵ってのもまた、話が進まない。
 絵も描けないくせに何を言うって声が聞こえるなあ(苦笑)。
 絵がうまい人は、今時いっぱいいる。でも、いわゆる読める作家さんってのは、意外と数が少ない。こいつはやっぱり、読める作家さんが好きらしい。
 純粋にイラストレーターって人なら、話は別だけどね。
 もちろんイラストにだって、"読める"部分は込められるはずだけど。
 何ていうか、物書きってのは、"読む"ものを書くのが前提で、絵ってのは"見る"のが前提なんだろうけど、でも、実のところ、絵だって"読む"ものじゃないかと思う。
 物書きの方が、読む部分があからさま(っつーかそれしかない)ってだけで、絵だって、本来は、読むもんじゃないのかなって、思う。
 これはでもやっぱり、絵の描けない、物書きの、悔しまぎれの偏見かなあ。
 物書きだってでも、"見る"部分に、ちゃんとこだわってるよ、って言えるけど・・・まあ、読み手がどこまでそれをわかってくれてるのか(苦笑)。
 それとも、他の物書きの人たちって、そういう"見る"部分には、あんまりこだわりがないんだろうか?

 久しぶりに、好きなジャンルで絵描きの知り合いができて、こいつは単純にうれしい。
 そう言えば、偶然か、どの作家さんも、文章を読むのが好きな人たちらしい。文章を書くように、絵を描くってのは、ありかな? 絵を描くように文章を書くってのが、ありえるように。



- Tor News v1.43 -