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2016年

1月の短文s

冷たくなった小さな体を、焼いて灰にする弔いの後で、涙が頬で凍る吹雪の朝。(1/5)

まだなめらかな毛並みのせいで、ただ眠っているだけに見えた。曲がらない足たちの冷たさが、別れの時を教えていた。(1/5)

31日前にあの子が残して行った染みを、またひとつ拭き取る、日曜の午後。(1/31)

4月の短文s

部屋に広がる陽だまりの中で、猫が大きく体を伸ばす仕草に聞く、春の足音。(4/2)

#ふぁぼしたフォロワーさんをイメージして小説の書き出し一文@fbkさん
伸びた背筋のせいかどうか、人混みで頭ひとつ抜けているように見えた。
すれ違いながらちらりと流し見て、肩で揺れた髪の作る線が、風の中に鮮やかに刻み込まれる。
視線を外せないまま、歩く人の群れへ紛れてゆく、そのすっと伸びた背を見送った。

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