7
綿流し当日。
結局ひかりは昨日家に帰ってから一歩も自分の部屋から出て来ない。
ノックしても返事は返って来ず、父も母も心配するばっかりだ。
どうしたんだと理由を二人に訊かれたが、俺は首を横に振った。
落ち着いたら話す、とだけ言うと父はそれ以上何も訊いては来なかった。
「ったく、昨日家に帰ったら話を聞くって言ったのに」
そんな悪態を吐きながら、俺は家の前で圭一達が来るのを待っていた。
今日は待ちに待った綿流し。気になることもあるが、楽しみなのに変わりはない。
(けど、主役がいないと始まらないよな・・・・・・)
俺が心の中でそんなことを思っていた時、3つの影が遠くから見えて来た。
「お、来た来た。おーーーい!」
俺が大きく手を振ると3つの影もそれに答える。
「こんばんは、浩二くん」
自転車を止めると降りずにその場で足を地面に付けながら、レナが午後の挨拶を交わす。
言い忘れたが今は夕方の6時だ。
「おっす浩ちゃん。元気にしてたかな?」
同じように魅音も自転車を止めると地面に足を付け、やはり降りずにそのまま待機モード。
「よう浩二! 今日の綿流し、初めて同士楽しもうぜ!!」
圭一も同じようにしながら元気良く楽しもうぜ宣言をする。
「当り前だ! そう言えば圭一もはじめてなんだっけ、綿流し」
「ああ! だから今からもう楽しみで楽しみで仕方ないぜ!!」
圭一はオーバー過ぎるとも言える言動と行動があるが、俺はそう言うハイテンションな性格は嫌いじゃない。
「あれ、ひかりは? まだ準備中?」
一人足りないことに気付いた魅音が主役(ひかり)がいる家の方を見る。
魅音はまだ知らないのだろう。昨日の出来事を。
「ひかりは・・・・・・その・・・・・・」
昨日のことを言うべきか。いや、ひかりは部活メンバーの誰とも馴染めてない。ましてや昨日の出来事でますます溝が深まってしまうのではないか。 しかも
魅音は仲間意識が強い。圭一を怒鳴ったなんて言ったらどうなるか・・・。
「それにしても、昨日は圭ちゃんも災難だったねー」
へ?
「昨日?」
「うん、昨日圭ちゃんがひかりちゃんにデリカシーン無いことしちゃったんでしょ。だめだよ圭ちゃん、都会の女の子は繊細なんだから」
魅音が圭一の肩をバンバン叩きながらそんなことを言う。いや、ちょっと待て。
「だから悪かったって言ってるじゃないか。昨日謝り損ねたから、今日謝ろうと思ってたんだが・・・・・・ひかり、まだ怒ってるのか?」
「え、え?」
ちょっと待てお前ら、おかしいぞ?
「いやあのな、悪いのはいきなり大声で怒鳴ったあいつで・・・と言うか魅音、なんで知ってるんだ?」
「だって、圭ちゃんとレナが話したから。『ひかりを怒らせるようなことをしてしまったんだ、どうしたら良い?』なんてものすごく切羽詰った表情で圭ちゃん
が言うもんだからね〜。で、私はレナから昨日の事を聞いたわけ」
なんだ、そうだったのか。
「それにしても・・・・・・そこまで気にしてたのか、圭一」
「ああ、まぁな。それに、困ったことがあったら一人で抱え込まないで仲間に相談するって決めてるからな」
「仲間・・・・・・」
「それでどうだ、浩二。ひかり・・・・・・呼んできて貰えないか?」
圭一が、普段の彼からは想像出来ないような表情で懇願して来る。
「それは・・・・・・俺がアイツの兄貴だから?」
「違う、俺はお前に仲間同士として、お願いをしてるんだ。頼む!」
そう言うと圭一は頭を下げようとする。しかし俺はそれを寸の所で止めさせた。
「待て圭一、頭を下げる相手が違う」
「浩二・・・・・・」
「解った、呼んでくる。外の声、アイツの部屋にも聞こえていただろうが、たたき出してでも連れて来てやる。ちょっと待ってな」
俺はそう言うと一目散に家へと入る。
背後からの、圭一のありったけの感謝の声をバックに。
正直、仲間と言われて嬉しかった。
まだ雛見沢に来て、皆と出会って日は浅いけれど、それでも圭一は俺を仲間と認めてくれた。
それはきっと、レナや、魅音も、同じはずだ。
だから、そう。だからこそ。
「おい、ひかり、いるんだろ? 出て来い!」
俺はひかりの部屋のドアを乱暴過ぎるとも言える感じでノックをする。
「出て来いひかり! 圭一がお前に謝りたいって言ってるんだ。外の声、聞こえてたろ? ひかり! お前にも非があるんだ。だからお互いに謝るんだ! お
前、このままで良いのかよ!? このまま誰とも仲良く出来なくて、それで良いのかよ!! 良く無いだろ!? だからひかり、いい加減に出て来い!!」
一体何分くらいドアを叩いただろうか。依然ひかりからの反応が無い。
「ったく、この強情妹が・・・・・・」
俺がそう呟きながらダメ元でドアノブを回した。いや、どうして最初にそうしなかったのだろうか。
思えばひかりの部屋のドアノブは鍵が掛けられない筈なのだ。
あ、そっか。だからいつもひかりの部屋を訪ねるときはノックが基本だった。
まさか着替えシーンとばっちり遭遇!なんてギャルゲーだけの世界のうれしどっきりハプニングイベントがリアルで体験できるなんて誰が思おう。
俺はゆっくりとドアノブを回すと部屋の様子を伺う。
「ひかり・・・・・・ルール違反だが入るぞ? 返事をしないお前が悪いんだか・・・ら」
そう言いかけて、俺は頭の中が真っ白になった。
目の前にいるのは、倒れているひかり。
苦しげな吐息。
大量の汗。
そして近くに転がっているカッターナイフ。
―――カッターナイフ?
「おい・・・お前、まさか!!」
俺は真っ白だった頭を何とか復帰させ、急いでひかりの側へと駆け寄る。
ひかりを抱き寄せて仰向けにすると、すぐさま両の腕を確認した。
「―――――― よかった、切ってない・・・・・・」
しかし安心は出来ない。ならばどうしてひかりはこんなにも苦しそうなのか。
俺はもしやと思ってひかりのおでこと自分のおでこをくっ付けてみた。
「熱っ!」
信じられないくらい熱かった。苦しかった原因はそれか。
「ええっと・・・こう言う時どうしたら・・・・・・!!」
ひかりを抱えながら俺は混乱した。こう言うことは初めてじゃない、前にもあったじゃないか。ああけど、あの時は状況が違いすぎると言うかあの時はただの
風邪で親もいた。けど今はいない。熱も絶対40度近くある。ああくそ!どうしたら・・・・・・。
その時、俺の頭に中に、圭一のある言葉が浮かんできた。
『困ったことがあったら一人で抱え込まないで仲間に相談するって決めてるからな』
そうだ、そうだった。
俺一人であれこれ悩んでても仕方ないじゃないか。あの時だって、俺は両親に助けを求めたんだから。
「ちょっと待ってろ、ひかり」
俺はひかりをベットに寝かすとすぐに圭一達が待っている玄関へと向かった。
助けてくれ! そう、叫びながら。
それから2時間後、ひかりの様態はどうにか安定に落ち着いた。
側には圭一、レナ、魅音。そして、遅いから心配になって駆けつけて来た沙都子と梨花ちゃんもいる。
「まだ安心は出来ない状態です。一応注射を打ったので今は安静にしてますが、油断はしないでください」
そう言いながら、入江診療所の院長である入江先生は立ち上がった。
俺が圭一達にひかりの状況を話すとレナは落ち着いた表情で家の電話から入江先生を呼んでくれくれたのだ。
それから20分足らずで先生は来てくれて、診察してくれた。
「ありがとうございます、先生」
「いえいえ、患者を診るのが私の仕事ですから。そして当然、治して見せます」
「皆、すまない。折角の綿流しなのに・・・・・・無駄にしちまって」
俺が暗い声でそう言うと、魅音は笑いながら言う。
「気にしなくていいよ! それに、仲間をほっといて祭を楽しむような奴を、私は友達とは認めないね」
魅音の言葉に、正直涙が出そうになる。圭一もレナも、同じように頷いている。
「けど・・・ひかりはまだ皆と馴染めてないし」
「大丈夫なのですよ。皆が皆、いきなり仲良くなれることは無いのです。時間を掛けて、ゆっくり絆を深めていけば良いのです」
梨花ちゃんが、歳に似合わない大人な言葉と表情をする。
いや、そんなことを言うのは失礼だ。
「おーほっほっほ! 梨花の言うとおりですわ!」
沙都子がお決まりの高笑いをしながら梨花の言葉を肯定する。
「私も、最初は上手く馴染めなかったけど、魅ぃちゃんのお陰で今のレナがいるんだよ♪」
「俺もだ。俺も、仲間達のお陰で今がすげー楽しいんだぜ!」
「仲間」と言う存在を、俺は強く意識した。
ひかりは確かにまだ皆と仲良く出来ていない。けど、皆がひかりのことを思ってくれてると思うと、不覚にも涙が出てきた。
「皆・・・ありがとう・・・」
「偽善ぶるのはやめて・・・・・・」
「え?」
背後から、声がした。ひかりの声だ。目が醒めたのか。
「ひかり、お前今なんて言った?」
どうして聞く必要がある。やめとけ、戻れなくなるぞ。
「偽善ぶるのは・・・やめてって、言ったのよ」
どうしてそんなことを言う? 今からでも遅くない、やめさせろ。それ以上言うと怒るぞ、と脅せばいいだけだ。
「何言ってるんだよ、お前?」
何困った顔して言うんだ。違うだろ浩二。怒るんだろ? 何故怒らない。
見ろよ、圭一達、困っているぜ。兄であるお前がしっかり妹を叱らないとダメだろ。
「そんなこと言ったって、騙されないんだから」
ほら、もう我慢の限界だろ? 何我慢して歯軋りしてるんだよ。 はは、そうだよな、自分(おまえ)はそうやって義妹(ひかり)の言動に我慢してきたんだ
よな。懐かれてからはあまり怒ることも無かったが、心の隅ではまだ許してないんだろ、あの事?
だったら遠慮することは無い。怒れよ、仲間を侮辱した事と『アイツに殺されかけたこと』と合わせても、充分お釣りが来るじゃないか。
「ひかり・・・別に私達は・・・・・・」
魅音が困ってるぞ。仲間が困ってるんだ。さあ、思いっきりやれ。
そら、アイツが身を起こした。チャンスだ。その右手をあイツの頬に思いっ切りブツケルンダ。
「帰って・・・帰っッ!」
――――― 叩いた。
パァンと部屋中に音が響いた。
気付いたときにはもう遅い。ひかりは信じられないような眼差しで俺を見つめる。それは、周りの連中も一緒だった。
「おに・・・・・・い・・・・・・ちゃん?」
「なんだよ、何そんな目で見てるんだよ。お前が悪いんだぞ。仲間を偽善者扱いしたお前が! 謝れよ!! ああそうだ、昨日のことも、圭一が悪いんじゃな
い。お前が全部悪いんだからな!!!」
「ちょ、浩ちゃん落ち着いて!」
「くっ!」
どうかしてる。ほんとにどうかしてる! くそくそくそ!!
俺は乱暴にドアを蹴破ると部屋から出て行った。
どうしてこうなってしまったんだろう。楽しみにしてたはずの綿流しなのに。本当なら、ひかりも皆と打ち解けていって、楽しく屋台荒しをしてたはずなの
に。
勿論、恒例の部活対決もあって、普通のお祭りより2倍も3倍も楽しくなるはずだったのに。
どこで・・・どこで歯車が狂っちまったんだ!
夢中で走りすぎた所為か、息が上がっていた。
気付くといつのまにか古手神社に来ていた。
人はまだらでどうやらお祭りも終わりに近いようだ。
「はぁ・・・・・・」
重く深い溜息を吐くと、カシャっと言う音がした。
このカメラのシャッター音には聞き覚えがある。
「富竹さん・・・」
「やあ、浩二君。また会ったね。どうしたんだい、一体?」
「君が、後原浩二君?」
富竹さんだけかと思ったらもう一人いた。
誰だろう、富竹さんの知り合いだろうか?
「そうですけど・・・・・・あの、あなたは・・・・・・?」
「ごめんなさい、自己紹介がまだだったわね。私の名前は鷹野三四。入江診療所で働く看護婦よ」
彼女、鷹野さんはそう言うと口元を緩めた。
そして物語は、始まりに向けて静かに、ゆっくりと加速する。
8
私とお兄ちゃんの出会いは、最悪だった。
ほんと、もしタイプスリップできるなら昔の私を引っ叩いてやりたいくらい。
「けど私・・・叩かれたんだ・・・・・・」
つっと頬を伝う涙を拭うと、少し叩かれた頬が痛んだ。
だけど、心の方がもっと痛い。
「――――― お兄ちゃんも・・・あの時は辛かったのかな」
嫌われた。きっとお兄ちゃんに嫌われた。
部屋の中は今は私一人。あいつらは帰った。否、追い返したと言う方が正しいか。
「なんか・・・・・・惨めだなぁ」
――――――――――――私は声を殺して泣いた。
俺は神社に続く石階段の2段目辺りに腰を降ろした。
富竹さんもそれに続くが、鷹野さんは立ったままだ。
「お祭り、もう終わったんですかね?」
俺はただ下を向いたままそんなことを呟いた。「終わった」ことを確認したって悲しくなるだけなのに。
「そうだね。けど、今回は奉納演舞が無かったから、村人寂しそうだったな」
そうか、奉納演舞が始まる前に梨花ちゃんが家に来たから、奉納演舞は行われなかったのか。
俺の所為だ・・・・・・。
梨花ちゃんは、この日のために必死に練習してきたんだろうに。
「けど、老人達は奉納演舞の再開を希望しているそうよ。オヤシロ様の祟りが起こるからって必死なのよ」
鷹野さんが、なんだか愉しそうに目を細めた。
失礼だが、少し不気味とも言える表情より、俺は彼女の言った一言が気になった。
「オヤシロ様の・・・祟り?」
そう言えば、最初に出会った頃、富竹さんも言っていた。
「ずっと気になってたんです。何なんですか、オヤシロ様の祟りって」
「そうね・・・・・・教えてあげるわ。くすくすくす。後原君は4年前に起きたバラバラ殺人は知ってる?」
バラバラ殺人? それが祟りとどう関係あるって言うんだ?
「いえ、知りません。俺、この村に引っ越してきてまたほんのちょっとなので」
「あらそうだったの。それじゃ教えてあげるわ。正確にはダム現場監督バラバラ殺人事件。4年前、ダム工事の現場監督が殺された。
つるはしで滅多打ちにされ、両手・両足・頭部をバラバラにしてそれぞれ犯人達が持ち去ったのよ」
「”達”ってことは、複数犯ってことですか」
「ええそうよ。だけどね、犯人の一人が良心の呵責に耐えられなくなり、自首したの。そして他の犯人も捕まったのだけど・・・・・・」
「けど?」
鷹野さんの次の言葉を代わりに代弁するかのように、富竹さんが口を開いた。
「見つかってないんだよ。犯人のうち逃亡した一人と、持ち去られた遺体の右腕はね」
「―――な」
遺体が、見つかってない・・・・・・
「えと、それが崇り・・・・・・?」
「結論に至るにはまだ早計よ、後原くん。更に話は続くんだから」
「まだ、あるんですか?」
「バラバラ殺人の翌年、ダム推進派の夫婦が旅行先の崖から川に転落した。その翌年、ダム抗争に日和見だった古手神社の神主が謎の奇病で死去。さらにその翌
年、転落死した男の弟の妻が撲殺体で発見された」
鷹野さんはまるで謳うように次々と事件の概要を語っていく。
「けど、それって崇りと言うよりはただの殺人事件のような気がするんですが・・・・・・」
「話は最後まで聞くもんだよ、後原君。実はね、それらの事件は全て、綿流しの当日に起きてるんだよ」
「え」
「後原くんは『神隠し』って知ってる?」
「えっと、確か子供が突然いなくなるって言う・・・あれですか?」
「そうよ。それと同じことが、先ほど語った事件の中で起こってるの。
一つはダム工事現場バラバラ殺人。遺体の右手とそれを持ち去った犯人が見つかっていないのは言ったわよね」
「・・・・・・・・・・・」
「転落事故に関しても夫の遺体は見つかったけど一緒に落ちた妻の遺体が未だ見つかっていない。神主の病死にしてもその後を追うように妻が遺書を残して入水
自殺。勿論、遺体は見つかっていないわ。去年に関しては転落死した男の弟の妻を殺したと思われる犯人が失踪した」
鷹野さんはそこで言葉を切った。そして目を弓のように細めると決定的な一言を告げた。
「それが、オヤシロ様の崇り。一人が死に、一人が消える、伝承に法(のっと)られて行われた事柄なの」
「伝承?」
「雛見沢にしか知らないふるい伝承にね、『オヤシロ様の崇り』で人が死ぬと、オヤシロ様の怒りを鎮めるために、生贄を攫って来て底なし沼に沈めたという話
があるの」
「それが・・・・・・オヤシロ様の崇り。 それじゃ今年も、誰かが殺されるってことですか!?」
別に、崇りを信じているわけじゃない。だけど、毎年一人が殺されて一人が消えるなんて、考えられなかった。
「そうね。一体誰が消えて、誰が殺されるのかしら♪」
その時、俺は今まで経験したことの無い悪寒を感じた。
危険だ、この女は危険だ。そう俺の体が警告音を発している。
「俺、帰ります。失礼しました」
俺は簡潔にそれだけ述べると古手神社前を後にした。
「あの日・・・」
私は、カチカチと音を立てながら、カッターナイフの刃を押し出す。
「あの日も、私は今のように熱を出した」
私は、そっと、カッターナイフを右腕に当てた。
「その時お兄ちゃん、必死になって看病してくれた。何度も何度も酷いこと言ったのに、それでも一所懸命・・・」
私は、カッターナイフを一気に引き降ろす。
流れる鮮血。
自然と痛みは無い。
だってもう、痛みなんて感じないもん。
けど、少し苦しいな・・・・・・。痛い、痛いよ、お兄ちゃん。心が、痛いよ。
「あ、あは・・・」
ぽたぽたと血が落ちる。
腕を伝って、ぽたぽた、ぽたぽた。
「あははは・・・はは・・・は、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
もう、何もいらない。こんな命なんていらないと思った。
お兄ちゃんに嫌われて、誰も信じられない世界なんて、詰まらないから。
ああ、けど、どうしてだろ。
薄くなりかけた意識の所為か、お兄ちゃんの幻が見える。
必死に、何かを叫んでる。
だけどもう、何も聞こえない。
お兄ちゃんの叫びをBGMにして・・・・・・私は・・・・・・眼を閉じた。