プロローグ    ――――どうしてこうなってしまったのだろう?    単刀直入に言おう。私は、人を殺した。  直接的にではなく、間接的に。  勿論、逮捕されることも、留置所行きにされることも無かった。  葬式に参加した時、死んだ相手の両親に涙された。  そんなことされても困る。  だって私は、人を殺したのだから。  ぶっちゃけて言えば、「虐め」である。  彼女にしてきたことをいちいち挙げると限が無いので伏せて置く。    だけど私からしてみれば、あの程度の虐めで自殺するとは考えられなかった。  彼女は遺書を遺し、ビルの屋上から飛び降り自殺をした。  私は、恐怖した。  もしかしたら、彼女の遺書には私から受けた虐めが原因で自殺しました、とか書かれているかも知れない、と思ったからだ。  いつ警察が乗り込んできて家宅捜査するのか、私はいつ捕まるのか、気が気でなかった。  だけどそれは私の杞憂に終わった。  警察は公式に自殺と発表。捜査は以後、行われることは無かった。  後から解ったことだが、彼女は私以外からも「虐め」の対象となっていたらしい。  私は、思った。  彼女を虐めていた内何人が、自分の罪に気付けたのだろうかと。    私はあれ以来、住み慣れた町で暮らすのが怖くなった。  ――――だったら、引越ししよう。  幸い私は一人暮らし。お金は両親の遺産とかコツコツ溜めたお小遣いがあるから大丈夫。  引っ越す場所はあまり人がいない所が良い。そして今住んでいる此処よりもっともっと遠い所。  そんな時私は、祖母が生まれ育った「雛見沢村」と言う場所を思い出した。  ××県鹿骨市。寒村、雛見沢村。  友人達の話だと、かなり「ど」が付くほどの田舎だと聞かされた。  私は家の都合と適当に嘘を並べて学校を中退し、雛見沢村への引越しを決めたのだった。 ねえ、私は本当に捕まらないの? そんなの私が知るわけないじゃない ねえ、私は本当に罪に問われないの? そんなの殺された人しか知らないわ ねえ、私はどうしたら赦される? そんなのあなた自身で考えなさい          Frederica Bernkastel  ひぐらしのなく頃に  闇潰し編