ありふれた日常(告白 続編)
野立信次郎×大澤絵里子


いつものバーで飲んだ帰り道、野立のマンションへと二人で歩く。
人通りの少ない道に入ると、いつものように野立の腕に絵里子が腕を絡めてくる。
人通りの多い場所では恥ずかしくてできないところが絵里子らしい。
仕事では自信満々に振る舞っているくせに、こういうところは奥手というか不器用というか....
美人のくせに浮いた噂が少なかったのはその辺が影響しているのだろう。

ま、俺だけが絵里子のそういうかわいい部分を知っていればいい....なんてな。

仕事以外の時の絵里子は少しほわんとして柔らかい表情をする。
もちろん長いつきあいの中で知っていたことだが、それを毎日見られることに幸せを感じずにはいられない。

絵里子のこういう表情、毎日見てても飽きないな。

ふっと笑みをもらす野立に絵里子は

「あんた、ちょっと飲みすぎたんじゃない?さっきから妙にヘラヘラしちゃって」

と少しあきれ顔だ。

「俺もそう思うよ。酔っぱらいすぎて絵里子が美人に見えてきた」

間髪入れずに頭をパシっと叩かれる。

「そんなこと言うやつとは一緒に寝てあげない」

腕絡めたままそんなこと言っても全然説得力ねーぞ。
野立の頬が自然とゆるむ

「お?拗ねてんのか?かわいいな、絵里子」
「ばーか、そんなわけないでしょ」

いつものように軽口の応酬が始まる。

今夜は満月が夜道を明るく照らし、風も心地いい。
酔い冷ましと散歩を兼ねて少し回り道をして帰ることにした。

家に着くとすぐに野立が絵里子の唇を塞いだ。絵里子もそれに応えて舌を絡める。

「シャワー浴びてくるね」

そう言って絵里子は野立から一度離れるが、何か思い出したのか引き返し、内緒話をするときのように野立の耳に手をあてて囁いた。

「あのね、最近ピルを飲みはじめたの。だから今夜は何も着けないで、して?」

いたずらっぽく笑うと絵里子は風呂場へ向かう。

その腕を掴み、野立は絵里子をベッドへ押し倒した。

「そんなこと言われて、大人しく待ってられるか」

絵里子の首筋に吸いつきシャツのボタンを外しにかかる。

「やっ、ちょっと待って....」

抗議の声をあげるが聞き届けられるはずもなく、観念して野立に身を任せた。
シャツがはだけ絵里子の肢体を野立の唇と舌がなぶり味わいながら、絵里子の白い肌に紅い薔薇を咲かせていく。
スラックスが引き下ろされ、絵里子の下半身を覆うものはショーツだけになった。

いつの間にかブラのホックも外され、野立の両手が胸の膨らみを円を描くようにゆっくり撫でまわし、少し尖ってきた頂を親指と人差し指で摘み転がす。

「っん...は..ぁ..」

絵里子が思わず声を漏らす。
胸を愛撫し続けながら野立の唇が絵里子の唇に襲いかかった。
舌を絡めあい吸いつき唾液を味わっていると絵里子が野立の背中に腕を回し抱きしめた。

絵里子がもどかしそうに太ももを擦りあわせる。
野立がニヤリと笑い右手でショーツの上から秘所をなぞると、絵里子の身体が小さく震えた。

「もう濡れてるぞ」耳元で囁かれる。
「や..ぁっ...言わない...で.....」

絵里子は吐息まじりの上擦った声で抗議するがそれは野立をいっそう煽るだけだ。
耳を甘噛みされてから耳の奥に舌を捻こまれ舐め回されると、
ぴちゃぴちゃという音が頭の中に響きわたり絵里子の意識がぼんやりとしてくる。
するとショーツ越しに触っていた野立の指がショーツをずらし、直接絵里子の敏感な部分に触れる。
ゆっくりと形をなぞるように前後に指を移動させたり、その先にある蕾を弄ぶ。
それを繰り返しているうちに絵里子の中から液が充分に溢れだし、野立の指が動くたびに水音が響く。
不意に指が蜜壷へと差し入れられて絵里子の内側を撫で、掻きまわす。
その間にも野立の左手は絵里子の乳房を執拗に揉みしだいている。

いやらしい野立の指の動きと、耳の中でうねる野立の舌の刺激と卑猥な音に、絵里子は自分でも驚くほど敏感に反応し嬌声をあげる。
たまらなくなった絵里子は野立の熱く堅くなったモノをズボン越しに撫でさすった。
ワイシャツを脱がせ、ベルトに手をかけるがうまく外せない。
そんな絵里子を見かねて野立が上体を起こし脱がしやすいようにしてくれると全てを剥ぎとることができた。

自分のショーツも脱ぎさり、野立の膝の上に跨ると、自分がされた時と同じように絵里子は野立の右耳に舌を差し入れる。
野立の左耳を手で塞ぎ、野立の中を絵里子の舌の音だけで満たすと徐々に野立の息づかいが荒くなる。
野立の右手が絵里子の股の間に伸びてきて秘所をいやらしく撫でまわし、
左手は乳房を弄び固くなった蕾を愛撫する。
その刺激に身体の奥が疼き絵里子の腰が自然と動いてしまう。

「ねぇ野立、もう我慢できない....」

瞳をうるませ哀願する絵里子を、野立はゆっくり押し倒して仰向けにした。

野立はこのまま絵里子の中に入りたい欲望をかろうじて抑え、絵里子の入り口に自身をあてがい、わざと先端だけこすりつけて焦らす。
そうして絵里子を何度も煽ると絵里子は一層よがり、乱れて野立を求める。

「はぁ.....あぁ....ぁ...んッ......野...立.....お願い....っ....!」

そんな絵里子の姿に堪らなくなった野立は一気に挿入した。
直に触れる絵里子の中は温かく、その締めつけですぐにでも果ててしまいそうだ。

最初はゆっくりと腰を動かし、絵里子の反応をみながら角度を変え、速度を変えて攻める。
頬を上気させ腰を揺らしながら喘ぎ、野立の名前を呼ぶ絵里子の痴態は、いとも簡単に野立を煽りたて昂らせる。

「絵里子、ごめん、もう限界」

「私も、もう、だめ....早くきて...!」

野立が腰の動きを速めて何度も下から突き上げると絵里子が悲鳴のような声をあげて身体を大きく反らせた。
それと同時に野立は低く呻き絵里子の中にすべてを注ぎ込んだ。

荒い息を整える間も野立は絵里子の髪をなでて頬や額にキスをおとしてくれる。
そのやさしい刺激に絵里子は幸福感で満たされる。
絵里子も負けじと野立にキスの雨を降らせた。
そうしてじゃれあっているうちに、めずらしく野立が先に寝息をたて始めた。

絵里子は野立の寝顔を愛おしそうに見つめて囁く

「ねぇ野立、愛してる」


数ヶ月前は野立とこうしているなんて考えもしなかったし、つきあい始めた頃は不思議な感じがしたものだ。
でも今は、野立が側にいないことが想像できない。
どうしてもっと早くこうなっていなかったんだろうと少し悔しい。


警察に入ってからずっと野立と一緒だった。
それが当たり前で、自然にそこにあるものだった。
絵里子が他の男とつき合っていようが、何年もアメリカに行っていようが、
何があっても野立は変わらずにいてくれるという安心感があった。
それがなければ組織の中であちこちぶつかりながら前に進んでこれなかっただろうし、
ピーピーの件もなかなか立ち直れなかっただろう。

変わらずそこにあるもの、そんな確かなものなんてあるはずないのに、
なぜか野立が側にいてくれることは信じて疑わなかった。

でも今はわかる。
その当たり前は、当たり前なんかじゃなかった。
野立がさりげなく与え続けてくれたものだ。

つきあい始めてようやくそれに気づいたとき、愕然とした。
なんて不器用で遠回しな愛情表現なんだろうと。

もしかすると野立の想いが報われない可能性だってあったのに.......


何でそんなことができるの?
あんた本当にバカじゃないの、と泣きそうになる。


聞いたところで、こいつのことだから「自分の出世のためだ」と笑ってはぐらかすんだろうけど。


もっと早く好きだと言ってくれたらよかったのに。
そんな筋違いな八つ当たりの感情が無いこともないが、
それよりも、今まで気づかず、無意識に野立に甘えてきた自分自身に腹が立つ。

もっと早く気づいていればよかった。
もっと早くこうなっていたかった。

どんなに願っても過去は変えられない。
だからこれからは、私がどんなに野立のことを想っているか、思い知らせてやろう。

そう思っているうちに絵里子は眠りに落ちていた。

翌朝、野立が目を覚ますと隣に絵里子はおらず、キッチンへ向かうとちょうど出かけるところだった。

「おはよ。今日は早いじゃない、もう少し寝てたらいいのに」
「なんか目が覚めちゃってな。絵里子こそ早いな」
「うん、対策室行く前に寄りたい所があって。ちょっと気になる事があるのよね」
「例の事件か....早期解決を頼むぞ。俺の点数になる」
「ったく朝から調子いいんだから。朝食おいてあるからパン焼いて食べてね」

テーブルの上には食パンとハムエッグ、サラダ、コーンスープが用意されている。

「おぅ、さんきゅ」

野立の頬に軽くキスをして出かけようとする絵里子を引きよせ、強引に唇を塞いだ。

口紅がとれちゃったじゃない、そう文句を言う絵里子に
全然抵抗しなかったくせにと笑いながら答える。
絵里子がちょっと悔しそうな照れたような表情で「行ってきます」と言った。


なぁ絵里子、こんな何でもない日々を一緒に積み重ねていこうな。



凛とした絵里子の背中を見送りながら野立は心の中で呟いた。




せっかく早起きしたし、俺もあいつを見習って今日は早めに出勤すっかな。
大きく伸びをして眠気を振り払う。

外は雲一つない快晴。今日もいい日になりそうだ。

野立は鼻歌をうたいながら食パンをトースターへ放り込んだ。






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