野立信次郎×大澤絵里子
「うーん、誰もいない庁内って新鮮かも」 正月明け。まだ仕事始めの日では無いが、一足先に片付けてしまいたい仕事があった木元は 2日から自主的に出勤していた。 「せっかくだからあの分析も進めておこうかな」 対策室の前まで来て、電気が点いていることに気付く。 「あれ?もしかして他にも誰か来てる?」 扉に手を掛けたところで話し声が聞こえ、思わず手を引っ込めた。 「・・・複数?」 そっと耳をそばだてると、どうやら室内にいるのはボス。 「ごめんね、手伝わせちゃって」 「遠慮すんな。旨いお節ご馳走になったしな」 話の相手は、どうやらあの参事官らしい。 「お蔭で明日からの仕事始めもスムーズに進みそうだわ」 「もう帰る?」 「そうね、もうお昼過ぎだし・・・どっかで何か食べてく?」 「いいな。じゃ、遠慮なく」 「え?…ちょ、っと、野立?」 会話が途切れ、静寂が対策室を包み込む。 不穏な空気を感じ取った木元の耳に次に聴こえてきたのは、妖しい声。 「んっ…ね、え…誰か来たらどうするのよ・・」 「仕事始めは明日だろ?」 「だからってこんなところで・・あんっ!」 「仕事始めの前に、姫始め・・・ってやつ?」 「アンタってほんとヘンタ、、」「なに?」 抗おうとする絵里子を押さえつけ、野立は強引にその唇を奪い、動きを封じ込める。 二人の息遣いと共に聴こえてくる淫靡な水音。 木元は動揺を禁じ得ないものの、内の様子も気になり、扉をそっと開けてしまった。 彼女の目に映った光景、それは― 普段のカチッとしたキャリアスタイルとは異なり、柔らかさのあるブラウスにマーメイドスカートを纏ったボスの姿。 一方の野立は、こちらもスーツではなくダンガリーシャツに質の良さそうなコットンパンツ。 二人とも若く見えるのは決して服だけのせいではないだろう。 意外な服装に目を奪われていると、視線が向けられていることも知らずに、野立の手が絵里子のブラウスをたくし上げ 彼女の肌を蹂躙していく。 「やっ、だ、のだ・・て・・・」 「普段仕事しているところでするのって、燃えるだろ?」 「何、言って・・んのよっ」 抵抗しようとするも、その声にまるで迫力は無い。 「ね、お願い、、服、汚れちゃうから・・・」 「ああ・・・」 絵里子に嘆願され野立が彼女のブラウスをするりと脱がせ、側らのソファに掛ける。 外の明るさと室内の蛍光灯の元、その肌が露わになる。 「ボス・・・すっごい色白い・・・」 わかってはいたことだが、こうして目の当たりにすると同性でもドギマギしてしまう。 「絵里子・・・」 彼女の白い肌に野立が唇を寄せ、強く吸い上げる度に絵里子の甘い嬌声が響く。 おもむろにブラも外してしまうと、野立は先端の尖りを躊躇いなく口に含んだ。 「・・い、やっ!」 「感じ過ぎじゃね?・・・年末からしばらくしてなかったから俺もちょっと我慢きかないけど・・」 野立が手際よく自分の着ていたシャツを脱ぐと、引き締まった背筋が見えた。 「・・・え、野立さんって意外と筋肉質?」 そんな二人の芸術的ともいえる体に、木元は視線を外せなくなってしまった。 そうしているうちにも野立の手が絵里子の腰におり、するりと下着に手がかかる。 「・・・もう濡れてる」 「ん・・もう、やめてよ・・」 つぷ、とその指を入れれば、彼女の口から甘い嘆息が漏れる。 くちゅくちゅ、と厭らしい音が他誰もいない対策室に響き渡る。 この先の展開を息を呑んで見つめる木元。 「い、やぁっ!」 一際大きくあがった声に驚いてみると、絵里子の両脚に顔を埋めている野立の姿。 「えええ、、ちょ、どうしよう。。」 見てはいけないと思いながらも、そんな気持ちとは裏腹に目が釘付けになったまま動けない。 野立から与えられる快楽に必死に耐え、決して大きくはないが形の良い胸を自らの手で覆い隠そうとする絵里子。 唇を噛みしめる苦悶の表情に、得も言われぬ興奮が沸き起こる。 「はっ・・・う、もう俺、限界・・」 こちらも苦しげに囁くと、野立が彼女の上に被さった。 「・・あっ、んん・・っ!」 リズミカルに律動する野立の逞しい背中を、絵里子の華奢な手が這い回る。 紅く塗られたマニキュアが二人の絡む妖艶さを更に増している。 パンパン、と響く音が続き、廊下に響くのではなかろうか、と木元がやきもきしていると 絵里子の啼き声がひときわ大きくなり、続いて野立の呻きが響くと、対策室内に静寂が取り戻された。 「・・・はっ、あ・・・」 「はぁ、、すっげぇ、出ちゃった・・・」 「もう、汚さないでよ?職場なんだから・・」 一部始終を見てしまっていた木元。気付いたら体に力が入らない。 「どうしよう、動けない・・・・でも戻らないと見つかっちゃう・・・」 体に力を入れようとすればするほど、鉛のように感じてどうにも動けない。 「俺ちょっとタオル取ってくるわ」 「!」 やばいやばいやばい、このままじゃ見つかっちゃうーーーーー! 「・・・みー・・。真実?」 「・・・・ん・・?」 遠くから自分を呼ぶ声に薄らと目を開けると、そこには自分の母親の顔。 「え・・・?あれ?」 「ちょっとアンタ大丈夫?ずっとうなされてたから様子見に来たんだけど」 仕事の疲れがまだ残ってるんじゃない?と続ける母親に、体を起こそうとしたところで 布団越しに足の上に実家の飼い猫が2匹、丸くなって寝ているのに気付いた。 「アンタ達・・・・・」 どうりで重かったわけだ・・・だから動けなかったんだ・・・。 「何か悪い夢でも見たの?」 「えっ。。。ううん、いや、大丈夫・・・・」 「明日から仕事でしょ?今日中に支度して自分の家戻んなさい」 「はーい。。」 「あけましておめでとうございまーす!」 対策室内に無駄にやる気元気花形の声が響き渡る。 「あんた正月早々煩いのよ」 「ひどいなー、ボス。今年もよろしくお願いします!」 「おう、なんや新年早々。もっとまったりしたいんじゃ俺は」 「初日でも仕事は仕事。ばりばり働いてもらうわよ?」 「おはようございます・・・」 「あれ、木元?・・・いつもより早いけど、なんか元気ないわねー。風邪でも引いた?」 「えっ、いえ、、大丈夫です、、」 絵里子の声に自分が見た夢を思い出してしまい、なんとなく目を合わせることができない。 「よー、全員揃ってるかー?お、なんだまみりん今来たの?」 そして更に顔を会わせたくないもう一人の上司。 「今っていっても、まだ9時前ですし遅刻してませんよ」 視線を逸らしたまま答える木元に、野立がちょっかいを出す。 「まあまあ、今年もよろしく頼むよ、まーみりん」 「そんな手で触らないでください!!」 彼女の肩を叩こうとしたところで、もの凄い形相で睨まれ、野立は思わず怯んでしまった。 「・・・アンタなんかしたの?野立」 「いや、何もして・・・ないはずだけど。。」 「あ・・・ごめんなさい、つい・・・」 「つい、って?」 「なんでもないです!現場検証行くよヤマムー!」 「どうしたのかしらね、あの子。。」 「もしかしてみられちゃったか?」 「何をよ?」 「ナニをw」 SS一覧に戻る メインページに戻る |