番外編
芯子が角松を追いかけて角松の実家に。 「シングルパーァアア!」 「……え?」 「……アンタ、なに逃げてんだよ……!」 「おま、なんでこんなとこに」 「こっちの台詞だ……っ呑気にネギの収穫か、はっ、ご勢が出ますねえ!」 「あら、芯子さん?」 「……どうも、ご無沙汰してます……」 「ちょうど休憩にしようと思ってたのよ、お仕事でいらしたんだろうけど、良かったら寄っていって? お茶くらいしかないけれど」 「ありがとうございます……私も、お母様にお話したいことがあって参りましたので」 「おい、なんだよ、お前がおふくろに話したいことって……もしかしてアレか。お宅の息子さんに付きまとわれて困ってますー、ってか? そうだよなあ、お前には工藤が居る。わかったから、もう、いい」 「わかった? なんだ、それ……んなこと言いに来たんじゃねーよッ!」 「……二人とも、早くいらっしゃい」 「突然一郎が帰って来てね、有給とったから来た、って私もう、びっくりしちゃって。初めてだったから」 「……偶にはって思ったんだよ」 「そうしたら、芯子さんまで。……なにか、嬉しいお知らせ?」 「嬉しい知らせだったら、二人で一緒に来てるよ」 「あらでも、お仕事の都合ってこともあるから」 「……お母様」 「はい?」 「先日、一郎さんに結婚を申し込まれました」 「おい」 「俺の実家で一緒にネギ作って暮らさないか、って」 「もういい」 「私は、お断りしました」 「もういいって言ってん」 「よくない! 全ッ然よくない! ……アンタ、やってもないことで疑われてんだよ? 悔しくないの? 嫌疑掛けられて、なのに二係守るために辞表まで書いて、でも出さずじまい。そんでアタシが工藤にプロポーズされたから焦ってアンタまでプロポーズ? 全部中途半端なまんま実家に帰ってネギ収穫して! 誰がアンタみたいな半端モン……」 「芯子さん」 「……」 「せめて! 自分の疑い晴らしてから、やめんだったらキッチリ辞めな……」 「……」 「工藤の方は断った」 (アタシ、アンタのこと好きだよ。でも、……ゴメン。どーっしてもほっとけない奴がいる。ゴメン、な。ありがとう) 「でも、アタシ、アンタの『プロポーズを断った』覚えなんか、ない」 (ネギぃ? ……悪いけど、まだ隠居生活する気にはなれないんで、な) 「断ったも同然だろあんなの」 「調査ってのは裏とってこそじゃないの? 今回の疑いのこともそう。『やったも同然』だったら、『やった』ことになんの? 『断られたも同然』なら、『断られた』ことになんのかよ」 「……断ってないのか」 「……お茶、入れ直してくるわね」 角松母がお茶入れに行く。 「アタシはもう、逃げない。絶対アンタから逃げない」 角松母帰ってくる。 「……母ちゃん、わり、俺」 「……次に来るときは嬉しい報告期待してるよ、一郎」 帰路にて。 「……決着着けたら、結婚してくれるか」 「着いてから言え」 「……なんでこんなとこまで来たんだよ」 「……決着着けてから答えてやる、よ」 ※※※ ガチで小ネタですが、こんな感じで妄想してたんだ… SS一覧に戻る メインページに戻る |