01.脳が溶けそうだ
セラヴィー×どろしー


それは何の前触れもなく突然やってくる。


チャチャ達はその日は修学旅行2日目で、ニャンコハウスには誰もおらず、夜はセラヴィとどろしーが共同で利用する様になっていた。
「これで準備完了ね。楽しみだわ、昨日の続き♪」
「買ったものですかどろしーちゃん。昨日は僕がおやつを作って持ってきたのに。」
「まあまあセラヴィー、どろしーちゃんの焼け焦げたお菓子を食べたら、せっかくのDVDもつまらなくなっちゃうわよ」
「ほれもほうれふへ。へひはへふ」
「いいっ加減にしなさいよセラヴィー、おやつは食べさせないわよっ」

どろしーは腹話術を妨害するべく、セラヴィーの口に指を入れた。

「まあ、はめてろろひーひゃん。はひまるはよ」
「あんたねー。」

DVDが始まるので、そこで痴話喧嘩は中断された。


DVDは魔法の国で今流行りの続きものホラー映画だった。そんなものは普段は見ないが、流行っているということ、ホラーなので子供達には見せられないという理由で、

ふたりで見ることになっていた。

しばらくしてセラヴィーは、自分が見ることに集中してないことに気がついた。
見ようと思うのに、一向に内容が頭に入って来ない。

なぜだろう…?

隣ではどろしーが必死になって見ている。あるシーンで、とうとう顔をセラヴイーの腕の中に埋めてしまった。「大丈夫ですか?」
腕にしがみついている彼女を自分の体に引き寄せて言う。

「セラヴィー、見てないの?」

冷静なセラヴィーの反応にどろしーは一時停止を押して聞いた。

「何となく集中出来ないんですよねー」
「どうして?」
「さあ〜」
「さぁって、あんたが借りようって言ったんじゃない。昨日はうざったいほど怖がってたし」

少し膨れるどろしー。映画の内容が怖かったのでまだセラヴィーの腕の中にいた。口腔を掻き回した彼女の指も思い出してセラヴィーはだんだんと思考が麻痺する感覚に戸惑いはするが止める気は起きなかった。

「脳が溶けそうだ」

セラヴィーのそのつぶやきを無視して、どろしーは再び再生のスイッチを押そうとしたが、その手首はセラヴィーに捕まれ、そのまま押し倒された

「セラッ…」

抗議の文句は口で塞がれ、舌で思い切り口を掻き回された。

「なにすっ…や……やめっ」

息苦しさの為の息継ぎが、快感混じりの吐息に変わるのに時間はかからなかった。

首筋、胸元に深いキスをしながら、
その胸に微妙な加減で力を加えると、何ともいえないといった風に吐息が漏れる。

「ほん…とに…ぁ」
「なんです?」

聞くだけ聞くが、その手の動きも、全身で拘束するのも止めない。

「愛してる…ですか?」

前の情事にて、うっかり言ってしまったことを引き合いにだされ、羞恥心で顔を真っ赤にしながら、どろしーは抗議する。

「違うわよ。こんなことして子供達が…」
「3日前も聞きました。3日前はいましたけど、今日はいませんよ。いてもいなくても止めませんけどね♪」
「…ぁぅ…セ…んっ………いつか、ポピィ君やしいねちゃんが感づくわよ」

どろしーに淡い想いを寄せる少年の名前が彼女から発せられたことに、心の奥底で真っ暗な闇がうねるのを感じながら、セラヴィは秘部の膨らみを撫でた。

「後始末は完璧にやりますよ。」

優しく冷酷な話し方に、背筋が凍るのを感じながら、同時に襲いかかる官能の波に、ひと極高い声が、部屋に響いた。

「どろしーちゃん、声が大きいですよ。」

耳元で、そっと囁いてからかうセラヴィー。

「誰のせいだと思ってんの…よ」

羞恥心と屈辱感とそれをも呑み込む快感がどろしーの声を高く霞めさせる。

「僕のせいですか。」

それが却ってセラヴィーの征服心を煽って、指を水壷に出し入れする音が、淫らにコダマする。濡れそぼったソコは薄い桃色に染まり、欲望の棒を求めて、本人の意思と関係なく蠕きはじめていた。

「止めて欲しいですか?」

欲に反り立ったソレの注挿を繰り返して白く柔らかな耳朶を甘く噛みながら、セラヴィーは聞いた。

「っ…はぁっ…あぁ…ん」

答えは無く喘ぎだけが返ってくる。その返事に満足すると、頭を突き抜けそうな想いそのままに腰の動きを早くし、そのまま欲の塊を二人のモノでぐちゃぐちゃに溶けた中に吐き出した。

それから暫くの間、セラヴィーはどろしーをソファの角に閉じ込めるように軽く抱きしめて、休んでいた。

「服を着たいから少しどいて」

穏やかな静寂を先に破ったのはどろしーだった。

「…もう帰るんですか?」

永遠に知られたくない不安が、つい口をついて出た。

漆黒の瞳が碧緑の瞳を捕えて少しの間放さなかった。何を思っているのか読むのは無意識に拒否した。

「どうしたの。セラヴイー。」

いつもの調子で心配そうにどろしーが聞いた。安堵すると共に何も変わらない雰囲気に、彼女の意思を感じて、セラヴイーは答えた。

「寝ぼけてただけですよ。そうですね、どろしーちゃんは最近ウェストが気になるようですから手伝いましょうか?」

と、いつもの調子で答えた。

痴話喧嘩後、ビデオの続きを二人で見たが、二人とも余り内容に集中できないまま、けれど、文字通りホラーなワンシーンの、

「脳が溶けそうだ。」

に、何故か、二人顔を合わせて思わず苦笑いをするのだった。






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