これからも
藤川一男×冴島はるか


藤川は自分より背の高い冴島を背負い冴島のマンションに向かっていた。
久しぶりの休みがたまたま冴島と重なり、冴島に勇気を振り絞り食事に誘った。
返ってきたのはわかりましたの一言でこうして二人は美味しいと有名な場所で
食事をとった。

その後の居酒屋で冴島は少し飲み過ぎたらしくふらふらだったのでこうして
今冴島を背負い彼女のマンションに向かっている。
朦朧とする意識の中で何とかマンションまでの道を聞き出したどり着いた。

冴島から鍵をもらい中に入る。
彼女をソファーに寝かせ冷蔵庫に向かい水を出して冴島に差し出す。
けだるそうに起きて水を飲み空のコップを藤川に渡した。
渡すときに冴島はポツリと言葉をもらす。

「すいません・・・迷惑かけて・・・」

「大丈夫だよ。もとはといえば俺が冴島を飯に誘ったのが悪いんだし・・・」

冴島は藤川の言葉に反応しすかさず言葉を付け足す。

「そんなことないです。料理も美味しかったし・・・何より楽しかったですから・・・」

藤川は呂律も上手く回らない口調で必死に弁解してる冴島を愛しく思った。

しかし、藤川は激しい動悸に襲われていた。
バクバク心臓がいって落ち着かない。

「俺、帰るな。」

「あっ、ちょっと待って・・・」

冴島が立ち上がろうとしたらふらつき藤川に倒れ掛かりかばった藤川は
ちょうど冴島に押し倒されたような体勢になった。
冴島は何故か顔が俯いている。

「冴島、悪いんだけどちょっとどいて・・・」

藤川は押し倒されている状況にあたまがパンク寸前で起き上がろうと冴島に
催促をする。
冴島は起き上がり一歩下がった。

「大丈夫か?冴島どっか打ってない?」

藤川の優しい声に耐え切れず冴島は涙をこぼした。

「なんで、いつもそんなに優しいんですか?」

「えっ、なんでって言っても・・・」

藤川はなぜ冴島が泣いているかわけがわからないが嗚咽も漏らす彼女を
見てあたまで判断する前に身体が動き冴島を抱きしめていた。
冴島は酔っているのといきなりすぎて反応ができない。
ただ、藤川の抱きしめる力が増すばかりだ。
2分ぐらいだろうかそのくらい経ったら藤川が力を緩め数十センチに距離で見つめられる。

「泣いてるお前みたら抱きしめたくなったんだ。ごめん、こんなことして・・・」

「あなたは私のことどう思っているんですか・・・ただの同僚ですか・・・」


「」

「えっ、聞こえないんですけど・・・」

「お前が好きだ・・・冴島・・・」

いきなりの告白にあたまが真っ白になり黙り込む。

「俺、帰るから・・・」

「いい逃げですか・・・」

冴島は藤川に腕をつかむ。
藤川は冴島から顔をそらした。

「私も好きです。藤川先生が・・・だから、今日は一緒にいてください。」

藤川は冴島の返答に驚き目を丸くした。
だが、一回目を閉じ深呼吸をする。つかまれていないほうの手で冴島の
目頭にたまっている涙を拭う。
そのままいつもは纏められているが今日は下ろされている冴島の髪を梳く。
その感触がくすぐったいのか冴島は目を細める。
梳いていた手を頬に沿え冴島に近づく。
唇が触れる数センチ手前で冴島は藤川の口の前に手を出した。

「何だよ、ここまで煽っといて寸止めか?」

「違います。メガネ取っていいですか・・・」

冴島の思いもよらない返事に藤川はただ頷く。

冴島の手が藤川の顔に近づき横のつるも部分に手をかける。
カチャと音がして外されるといつもは見れない藤川の顔があった。

「見えますか?メガネなしで・・・」

「大丈夫。軽い近視だから・・・遠くが少し見づらいだけだ。」

藤川はメガネを取ると少し幼く見えた。
藤川は腕を取って引き寄せそのまま唇を重ねた。
一瞬離しほぼ重ねたままで低い声でつぶやく。

「一緒に居てって言った意味お前わかってる?」

「当たり前です。子供じゃないんですから・・・」

冴島はいつもとは違う男の目をした藤川から目をそらせない。

「酒の勢いじゃねえからな・・・俺はちゃんとお前が好きでこんなことするんだからな。」

「わかってます。私もそうですから・・・」

冴島の答えに聞き再び唇を塞ぐ。
冴島が時々漏らす声に興奮している自分がいる。
優しくしたいと思っても理性との戦いはしのぎを削るものだ。
長いキスが終わると二人の間のすぅーと糸がかかりすぐに消えた。

「藤川先生は以外と経験されている方だったんですね・・・」

「何で、俺だってそこまで多くはなかったけど・・・」

「女性の扱いなれてるじゃないですか・・・藤川先生は絶対モテないと思ってたのに・・・」

「俺だって一通りは経験してるよ。彼女の一人や二人過去にいたっていいだろ?」

藤川はこの状況で馬鹿にされる自分は今まで冴島にどのように映っていたのかが
ものすごく気になった。

「それはそうですけど・・・」

「お前だって彼氏いたろ・・・それと同じだ。」

藤川は中々納得しない冴島に痺れを切らせ、首と膝の後ろの手を入れ立ち上がり
横抱きの状態にした。

「ちょっ、いきなり何するんですか!!あぶないですよ!!」

「ごちゃごちゃうるさい!!今、俺はお前が好き、お前も俺が好き。この事実だけあれば
十分だろ。これ以上蛇の生殺し状態にするなよ・・・」

藤川の断言するような言葉に圧倒され小さくはい・・・としか答えられなかった。
藤川は寝室のドアを開けベッドに冴島を寝かせる。

「最終確認だ。今ならまだ止めてやれる・・・本当に俺でいいのか?」

「嫌なら最初に蹴り飛ばしてますよ・・・いいんです。藤川先生に抱かれたいです。」

藤川は少しふて腐れた顔をしてる。

「あのさ、先生って呼ぶのやめろよ。ここは病院じゃないんだぞ。」

「でも、じゃあ先生はなんて呼ばれたいんですか?」

「カズとかかな・・・俺のあだ名これぐらいしかなかったし・・・」

「じゃあ、私もはるかって呼んでください。私も違う呼ばれ方がいいです。」

「いきなり、名前?ちょっと恥ずかしくないか?」

「私はこの状況の方が恥ずかしいですけど…///」

冴島の言葉に現在の体勢に気付き藤川は一気に顔を赤らめた。

「お前はごちゃごちゃうるせー」

藤川はそう言うと冴島の首に顔をうめる。

「……痕は残さないで下さい…あの服じゃバレるんで…」

「わかってる、迷惑はかけない。そんなこと出来るほど度胸ねえよ…」

藤川は首筋から顔をあげて冴島のあたまを撫でる。
そのまま服を脱がし、出来るだけ丁寧に乱暴にしないようにする。
これは最低限のマナーだ。
冴島は少し不安そうにこちらを見ている。

「冴島さ…もしかして初めて…」

「いえ、初めてじゃないです。でも、かなり前ですし…」

「そっか、俺も実は久しぶりなんだよな…痛かったらごめん。出来るだけ優しくするから…」

藤川の癖なのだろうか何か安心させるときは必ずあたまを撫でる。

「さっきから謝ってばかりですね…」

「そうだな、俺はいわゆるチキンだからさ…」

そう言いながらも自分の扱いは慣れていて悔しい気持ちになる。

藤川の手が身体に触れると自分のものとは思えない声がでる。
何をするにしてもこっちを気遣う藤川の優しいが切なかった。
冴島は身体に流れる快感に藤川の背中にしがみつく。
藤川の手が敏感なところに触れて自分にも聞こえるぐらい濡れているが分かる。
お互い身体がほてり、汗ばんでいく。
藤川は冴島の頬に触れた。

「入れるから痛かったら背中でも引っ掻いて…」
そう言うとゆっくりと入ってくる感覚に思わず
冴島は藤川の背中に爪をたてる。

大きく息をはき深呼吸をする。
藤川の激しくもないが動かないわけでもない律動が冴島を刺激する。
二人とも絶頂にのぼっているのが分かる。
藤川が最後にストロークが大きくなり軽く呻く声がした。
冴島自身も最後の律動で絶頂しあたまが真っ白になりしばらく放心状態だった。
藤川はどこからかテッシュを取り出しお腹にかかった白濁色のものをふき取っていた。
朧げな目で見ていると藤川が声をかけてきた。

「大丈夫か?」

「はい…私こそ引っ掻いちゃってすいません。」
「いいよ、俺が引っ掻けって言ったから」

藤川は汗で張り付いた冴島の髪をはらいおでこにキスをする。
その後はまたあたまを撫でる。冴島は少し体温が高い藤川の手が心地よい。

「あの・・・藤川先生・・・」

「うん、どうした?・・・何処か痛い?」

「そうじゃなくて・・・・あの・・・二人でいるときにはカズさんって呼んで
いいですか・・・」

藤川はカズさんという響きに思わずメガネがないのにメガネを上げる動作を
してしまった。その行動に冴島は噴出す。

「カズさん、メガネないですよ・・・」

「わかってる、癖なんだよ。笑うな!!」

藤川はベッドから降りて服を着だした。その行動に冴島はあわてて身体を起こす。

「ごめんなさい!!藤川先生、帰らないで!!」

声の後にすすり泣くのが聞こえ藤川はジーパンを穿き、Tシャツを着たところで
振り返り冴島をシーツごと抱きしめる。

「ごめん、いじわるし過ぎた。ごめん、泣かせるつもりじゃ・・・」

冴島は藤川の背中に手をまわす。体温のぬくもりに安心する。

「うれしかったんだ・・・カズさんって呼んでくれて、今まで呼ばれたことなかったから・・・」

「あの・・・」

藤川は抱きしめる力を強める。

「カズさんって呼んで、俺もはるかって呼ぶからさ・・・」

藤川に名前を呼ばれ心が満たされていく。

藤川は一端身体を離した。

「とりあえず、シャワー浴びたら?俺、帰らないからさ一緒に寝よう?
変な意味じゃなくてね。」

ポンポンとあたまを叩き笑顔で言う。

「はい、そうですね・・・本当に帰っちゃダメですよ・・・」

冴島はシーツと身体に巻きつけ着替えをもってバスルームに向かった。
藤川は部屋からシーツを見つけて新しくベッドメイクをする。
今までは冷徹とか怖いとか思っていたが意外に優しくかわいいところがある。
藤川はシーツのしわを伸ばすときに笑ってしまった。自分はだいぶ彼女に惚れていると・・・
何分かして冴島が戻って来た。まだ、髪は濡れているようだ。

「おかえり、勝手にシーツ変えさせてもらった。あと、ちょっとこっち来て座って。」

冴島は言われたままにベッドの端に座る。

「ドライヤー何処?」

「あの引き出しの中です。」

冴島は引き出しに指をさす。
藤川は引き出しからドライヤーを取り出し部屋の電気を付けた。
そして、コンセントをさし込み何処からか見つけ出したかわからないがくしを持っていた。

「髪乾かさないとカゼひく。」

後ろに座られ、髪にドライヤーを当てられた。

「あの、自分で・・・」

「いいって、前向け。」

藤川は丁寧にドライヤーをかけていく。思った以上に上手く髪を乾かしていく。
冴島は藤川の器用なドライヤーの使い方に驚いた。

「上手いですね。」

「まあ、妹がうるさくてさ・・・覚えた。」

最後に冷風にして整えてスイッチを切った。
藤川はもとあった場所にくしとドライヤーを戻す。冴島は布団の中に入った。
藤川は電気を切って冴島の隣に横になった。

「カズさんはこの状況で大丈夫ですか・・・」

「俺だって、そこまで盛ってないよ。嫌ならあっちで寝るけど・・・」

「いいです。ここに居てください。」

冴島は藤川の腕を掴む。その手にもう片方の手を重ねて冴島に近づく。

「案外、寂しがり屋なんだな、はるかは・・・」

「そういうわけじゃ・・・」

藤川は腕を首の後ろに入れ腕まくらをする。

「もう寝ようぜ、明日があるし・・遅刻したら怪しまれるだろ。」

「はい、おやすみなさい。カズさん」

冴島は吸い込まれるように眠る。
藤川も冴島の体温を感じながら眠りについた。
言い終わると吸い込まれるよに眠った。藤川は冴島の体温を感じながら
眠りについた。

次の日も変わらない職務につく。
その日の夜、フェロー一同は医局で伸びをしている。
そこに冴島が四人分のコーヒーを持ってきて一人一人に配った。

「何、ちょっとどうしたの急に気持ち悪い・・・」

「人の行為に気持ち悪いって言うの失礼ですよ。気まぐれですよ・・・」

緋山は冴島からの差し入れが信じられずただコーヒーを見つめている。
白石はうれしそうにそれを飲んでいる。藍沢もコップを回しながらおいしそうに
飲んでいた。
藤川が飲もうとすると自分が持っている方にピンクの付箋が貼られてあった。

見ると冴島の文字で

”カルテ整理お疲れさまです。
 無理しないでくださいね。”

と書かれてあった。藤川は思わず赤面し他の三人にばれないように付箋をはがし
冴島を見る。こちらに背を向けているが耳が赤いのがバレバレだった。
その付箋をポケットにしまいなんでもないようにコーヒーをすする。
一気に飲み終え普通に冴島にお礼を言った。

「冴島、ありがとうな。美味かったぜ。」
そう言ってゴミ箱に空のコップを捨てた。
いいえという返事が返ってくる。
藤川は冴島の手伝いをした。

「お礼に手伝うね。こっちは俺がやるよ。」

はたから見れば普通の行動だが二人は心臓がバクバクだった。
藤川はバレないよに冴島に耳打ちする。

「ありがと、元気でたよ。はるかも無理すんなよ。」

「はい・・・」

二人だけの会話で思わず顔が緩む。
これからもこうして笑って過ごせたらいいと思った夜だった。






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