湯川学×内海薫
![]() 「あ、おかえりなさいせん・・・学さん」 「千昌夫のような言い方は慎みたまえ」 「ゆかわs・・・学さん」 「薫・・・君は病院の受付か?」 さすがの変人ガリレオも自分の妻を「内海君」、ましてや「湯川君」などと呼ぶことはなく、 呼び名をさりげなくシフトチェンジした。 当然というか何というか、苦戦しているのは薫である。 『マ』『ナ』『ブ』『サ』『ン』 たった5文字を言うのに、どうしても慣れることが出来ずにいた。 薫にとって「先生」「内海君」と呼び合っていた時間はそれほどに濃密で、居心地が良かったのだ。 「確かに慣れた呼び方の方が先に出てくるのは脳神経の構造上仕方のないことではある。 しかし人は時間と共に自然と学習するものだ。そう、学習を」 薫は顔を真っ赤に染めて、楽しそうに『学習』を強調する夫を見た。 その顔つきは、からかう側を愉快な気持ちにさせるもの以外の何物でもない。 「薫・・・無理をする必要はない。呼びたいなら『先生』と呼んで構わない」 「でもせんせ・・・「ほら、また出た」 「うう!」 「だって、夫婦なんですもん・・・夫婦らしくしたいです・・・」 実にいじらしい。口に出さずとも、湯川は内心この新妻が愛しくて仕方がなかった。 だからこそ湯川は、可愛い可愛い妻のために脳を働かせて、優しい言葉をかけたのだ。 「つまり、『先生』と呼び、かつ『夫婦らしい』状態にあればいいわけだろう?僕にいい考えがある」 もちろんその脳に描かれているのは、自らも思う存分楽しむことが出来る、一石二鳥の案。 つまり、制服プレイ(設定付き)。 湯川にあれよあれよと言う間に服を脱がされ、制服(かつて痴漢逮捕のために使ったもの)を着せられた薫は、 なぜかかつてより短くなったスカートの裾を押さえながら叫んだ。 「先生の変人!!変態!!信じられない!!」 「『先生』に向かってそんな態度をとるとは・・・いけない生徒だな、内海君」 それにしてもこの天才、ノリノリである。 「ど、どうして先生そんな、嬉しそう・・・楽しそうなんですか」 「何故?決まっているだろう。いけない生徒にはお仕置きが必要だからだ」 笑みを浮かべる湯川にドン引き通り越して怯える薫。 彼女がこんなに怯えたのは「クモハフハハハハ事件」以来かもしれなかった。 そんな彼女に湯川は耳元で笑いながら囁いた。 「思う存分乱れて、僕に縋り付いて、『先生』と呼んでくれたまえ」 もちろん、次の日から、薫が日常で『先生』と呼ぶことは無くなった。 「体で覚えた・・・ということか。動物と一緒だな」 「その台詞、学さんが言うと何か厭らしいです!!」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |