僕に嫉妬させた、君が悪いんだよ
湯川学×内海薫


「それで草薙さんがですねー」「本当に草薙さんったら」

草薙草薙草薙。先ほどから聞いていれば草薙の話ばかりだ。
仮にも恋人と称される自分と二人きりの研究室でーー無神経すぎないか。
彼女の笑顔に、どす黒い苛立ちが募る。

「せんせ?聞いてますか?」
「・・・・・・・・」
「無視ですか?」
「・・・・・・・」
「・・・・・もう」

ためいきをついて彼女が背を向けた瞬間、すばやくその後ろに立った。
しゅるり、とポケットに入っていた一枚の鉢巻を、彼女の目に巻く。

「えっ!きゃ、せんせ?!」

突然視界が阻まれて彼女はあわてて湯川の腕を振り解こうとするが、それもむなしく。

「・・・・・君は、僕を男としてみているのか?」
「せんせ?」
「・・・・覚えておくといい。僕の前でほかの男の話をしたら、どうなるのか」
「きゃっっ!」

そのまま彼女を抱きかかえ、ソファのほうへと移動し、ボスン、と乱暴に落とす。

「先生、なんなんですか!これはずしてください!」
「実にいい眺めだ」
「先生ったら!」
「内海君」

顔を赤くする彼女の耳元に唇をよせて、ささやきかけた。

「僕が直々に、特別指導をしてやろう。存分に、僕にすがるといい」

自分を怒らせた、お仕置きだ。

「んんっふぁっ・・・・・やあ!!」

突然のことに混乱している彼女の唇にくらいつき、貪るように舐め、きつく吸う。
なかなか開かない唇のために、太ももに指を食い込ませると、面白いくらいにはねた。

「今日はずいぶんと感度がいいな、どうしてだ?」

わざと耳に唇を寄せてささやけば、

「ちがうっっ、せんせ、もう、やめ・・・・・」
「本当はやめてほしくなんかない癖に」

意地悪く微笑み、白い首に顔をうずめた。後をつけるには激しすぎるほどきつく吸い、あらゆるところに紅い花を咲かせる。

「んん・・・・・!!」

唇をかんで声をこらえる彼女を意地悪く見下ろし

「声をだしてかまわない」

と求めれば、彼女はぶんぶんと首を振る。そのしぐさがまた、黒い感情を波立たせる。

「いつまでそのやせ我慢が続くかな?」

スカートの中に乱暴に手をさしいれ、ゆっくりと秘部をなぞる。

「ひゃあっっ!!」

甲高い声とともに、おおきく体がうねった。

泣かせて鳴かせてうめかせて。
体中に自分を刻みこんで。
自分しか求めないからだにして。

「せんせいっ、はずしてぇ・・・・・」

体中を舐めまわされながら、彼女は懇願した。

「・・・・・いいだろう」

ようやく鉢巻から開放された瞳は、こちらを強くにらみつけてきた。

「最悪、です」
「最悪なのはどちらだ?」

自身を取り出して、湯川はそれを彼女のそこにあてがう。
薄桃色のひざに手を差し入れ、足を抱え込むと、彼女はまた暴れだした。

「いやっ!やめてくださいっ!」
「言っただろう。これはお仕置きなんだ。途中でやめたら意味はない」

ぐいっ。

「ひっ!いやあっ!!」

彼女と自分が無理やりつなげられた、そのときだった。

プルルルル・・・・・・。

電話の音が、鳴った。
湯川の携帯だ。ディスプレイには「草薙俊平」との文字。

「せんせ・・・・・?」

湯川は無言で携帯を手にとると、「湯川だが」と答えた。

『あー湯川か?今時間ないか?』
「あいにくだが一緒にいる人間がいてね」
『へえ誰だよ?とうとうお前にもそういう女ができたのか』

会話をしながら、彼女の掌で包めるくらいの胸に下を這わせ、その頂点を指ではじく。

「ひあっ・・・・・」

と甘い声があがるが、電話の相手に悟られないように、声を押し殺している。
それがまた気に入らなかった。

『ところでこの間内海がさ』
「・・・・・・彼女が何か?」
『いや、お前が時々怖くて仕方がないって言ってたけど、なんかしたのかおま』
「草薙、なんなら彼女にかわろう」
『・・・・・・え?』

通話相手を無視し、組み敷いた彼女の耳元に携帯をもっていく。
そして、白い二の腕は束ねてつかむ。

『内海、か?』
「くさ、なぎ、さん・・・・・・」
『どうして湯川のところにいるんだお前』
「あの、私・・・・ひゃあっっ!」

弱弱しい声が嬌声に変わった。
会話する彼女の中に、湯川が自身をうちつけたからだ。

「やっ、せんせぇ、やめてくださいっ!今わたし、くさなぎさんと・・・・・!」
「そんなに草薙が好きなら、草薙に君のそのみだらな声を聞いてもらうといい」
「先生、ちがうんで・・・・やああ!」

『内海?どうしたんだよ、お前』
「おねがい、です、草薙さんっぁ!でん、わ、きって・・・・・くださぃ」
『もしかして、お前っ?!』
「やっ!!うやっ、あぁ、くさ、なぎ、さん、おねが、」
「・・・・・・草薙に聞かれているから興奮しているのか?ずいぶん濡れている」
「先生、でんわ、きって・・・・・!」

必死に電話から顔をそむけながら願う内海に、湯川は意地悪く笑った。

「だからいっただろう?これはお仕置きなんだ、と」

さて、そろそろ潮時か。
彼女の嬌態をこれ以上草薙に見せるのも惜しくなり、彼女に気づかれないように電源を切った。

「僕に嫉妬させた、君が悪いんだよ、内海君」

いまだに草薙の名をつぶやいている彼女の唇に再度かじりつくと、暴れる彼女の首筋に顔をうずめた。



おまけ

「内海、昨日、お前・・・・・」
「ああああ!!草薙さん!あれはマッサージだったんです!!!」
「いやでも、隠さなくてもいいんだぞ?」
「先生が悪乗りしちゃって!!!本当に気持ちよかっただけなんです!!」
「内海・・・・・」
「草薙さんも今度是非やってもらってください!!最高ですから!!!」
「・・・・・そうか」

(一瞬でも発情した俺が馬鹿みたいじゃないか。)






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