はっきり言ってみたまえ(非エロ)
湯川学×内海薫


ドサッ

「どうして潰れるまで飲んでしまうんだ。僕には全く理解出来ない」

少し乱暴に薫をソファに横たえながら、湯川は独白した。
目の前には愛しい女。
しかし酔いつぶれ、ほにゃほにゃと何事かを呟きながら夢の中にいる。

「仕方ないな」

力無く投げ出された手足を、せめてみっともなくないよう揃えてやろうかと
手を伸ばした瞬間、薫の目がとろりと開いた。

「はれぇ…ゆかぁひぇんしぇ?はにしへゆんれすかぁ」

発音も覚束ず、まだ半分以上夢の中なのであろう薫は、湯川の肩に手をくたりと乗せ、

「ゆかぁせんしぇーはじゅるいひとれす…」

そう呟きながらゆるゆると起き上がり、湯川に抱きついた…と言うより、のし掛かった。

「内海君危ないじゃないかほらしっかり…」

言い終える前に湯川は、薫を寝かせていたソファに押し倒される形となった。
酔って力の抜けた人間というものはどうしてこうも重たいのか。
頭の隅に一瞬数式がよぎるが、薫が湯川のシャツのボタンをおもむろに外し始めた為、どこかへ消えていった。

「何をしている?内海君」
「せんせぇばっかり、いつもよゆーで」

湯川のシャツがはだけられる。

「それで?」
「いつもわたしばっかりはずかしくって」
「だから?」
「だから…」

薫の指がシャツの襟口からするりと肩をなぞり、湯川の逞しい上半身を眼前にさらす。

「だから…きょおはわたしが…」

湯川の口元がニヤリ、と上がり、口ごもる薫を促すように囁く。

「わたしが?その後は何だ?はっきり言ってみたまえ」

酔いで上気した顔が、たまらなく湯川の劣情をそそる。
呂律の怪しい薫を見据えたまま、再び訊く。

「わたしが?」

「わたしが……ゆかぁせんせをはじゅかしくします!」






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