湯川学×内海薫
![]() 多分、”嫉妬”だったんだと思う。 だって、私はただ”見てるだけ”の日もあるって言うのに、あの人は。 ・・・あの人って言うの草薙さんのこと。 昔から仲が良かったのは知ってるけど、何故か最近毎日のように研究室にいて先生と話してる。 今日なんかは外のベンチに二人して座って、何をやるのかと思ったら草薙さんが持ってきたギター何か弾き初めて。 ・・・先生が。 「先生ギター弾けたんですね!」 っていうつもりだったのに、・・・そこで私はアホめいた言葉を発してしまった。 「ゆっ、湯川先生!」 「・・何だ?」 「わっ、私!今思ったんですけど!ギター弾く人はギタリストなのに、どうしてドラム叩く人はドラミニストじゃなくてドラマーなんでしょうね!」 あぁ・・・今でも後悔してる。 ・・・っていうか凄く恥ずかしい。 だってあの時の先生の顔・・・。 どこで見たより呆れたような顔してたし。 「え、えっと・・・、し、失礼します!」 居たたまれなくなってその場から逃げてしまった。 うぅ、尊敬してる草薙さんも居たってのに、何してるんだ!私は! 「内海君!」って湯川先生の声と、「おもしれー」って大爆笑してる草薙さんの声が・・・聞こえたような気がした。 「あぁうぅぅ!な、何してるんだ私はっ!」 ・・・もしかしたら嫌われた? 呆れた? ・・・・・ちょっとムカついたとか? 「わかんない、・・・・全然っ!わかんない!」 あの人の考える事が分かったら、それこそ凄いって話になりそうだけど。 ・・・ 刑事って、人の考える事も結構分かるのになぁ。 ・・・・あの人だけ、何なんだろう? ・・・特別? ・・・・嫉妬? 「い、いや!そんな訳ない!べ、別にあの人の事、好きじゃ・・・!」 それに、あの人だって私の事好きじゃない! ・・・でも、そう考えると何かヘコむ・・・。 「あーもう、訳分かんなくなってきた・・・。」 ・・・あの人って、・・・湯川先生って本当に分かんない。 だってあの人の事考えると私自身、何かおかしくなる。 ・・・・好きなのかな・・・、 いや!真面目にそうだったら絶対認めたくない! あぅ、でもなー・・・うぅ・・・。 「あっ、見つけた!おーい内海ー!」 ・・・呼ばれた声に気づいて振り返ると、そこにいたのは・・・、 「く、草薙さん!?」 ・・・の後ろにはさっきずっと考えてた湯川先生。 「え、えっとー・・・何でしょうかー・・・?あっ!よ、用事を思い出し・・・」 「待つんだ、内海君。」 湯川先生の声が聞こえて思わずピタッと立ち止まってしまう。 「な、何でしょうか湯川先生・・・。」 「さっきの楽器の話だが。」 うっ、やっぱりその話ですか・・・。 何て思ってると耳元でこう呟かれた。 「キミも可愛い事を考えるんだな。」 「・・・・・へ?」 予想外の事を言われ、思わず私の顔は・・・・紅く火照っていく。 や、やだ!何かドキドキしちゃう・・・。 「せっ、せん」 「あとで、研究室に来てくれ、・・・・言いたい事が山積みだ。」 ・・・その先生の言葉に私は笑顔で 「はい・・・!」 と、答えた。 っていうか、よく分かった。 ・・・認めたくないけど、草薙さんに嫉妬してたって事。 あと、 ・・・何を考えているか分からないから、 私は貴方に夢中なんだって事が。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |