寂しい日々(非エロ)
村井茂×村井布美枝


授賞式以来、仕事は沢山舞い込み、家も増改築。さらに第二子の妊娠。人は皆、口を揃えて「良かった」と。確かに、生活はだんだん安定してきたが、今までに味わった事が無かった寂しさを感じはじめていた

「最近、おとうちゃんと話したの・・・いつだったけ」

何とも言えない寂しさに涙ぐむ布美枝。

「おとうちゃんは一生懸命頑張っとる、私も頑張らんと!」

必死で気合い入れるも・・・

「やっぱし、寂しい・・・・。おとうちゃん。」

涙がポロポロ溢れ出てくる。

「おい、コーヒー頼む」

茂が台所に行くと、泣いている布美枝を目にする。

「どけした?腹でも痛いか?」

慌てて、布美枝の元に駆け寄る。

「何でもないですよ、あっ、コーヒーですね。」

布美枝が慌てて、やかんに火をかける。

「どけした・・・。何でもないはずないやろ」

と茂は少し声を荒げる。

「漫画で手いっぱいなんだ、心配かけてんでくれ」
「ひ、ひどい。私は、私はただ」
「ただ?」

怪訝そうな顔をする茂。

「おとうちゃんと話がしたい」

涙が溢れ出し止まらない。

「話ならしちょるだろ」
「違う!もっと・・・」
「意味が分からん!」

怒り出す茂

「私は、寂しい。寂しよ、おとうちゃん」
「家族の為に、頑張っとるだけだ」
「こんなんなら、貧乏で良かった、おとうちゃんがどんどん離れていく」
「えっ?」
「仕事の手伝いも食事も・・・なんも関われん」
「腹に子供がおるけん」
「私は、頑張ってるおとうちゃんの力になりたい・・・」

ポリポリ頭をかく茂。

「力になっとる」
「えっ?」
「おかあちゃんが、居るだけで、仕事が安心して出来る」
「で、でも」
「あんたが居るだけで十分だけん」
「おとうちゃん・・・」「今日は、よー肥えた餃子が食いたい」
「はい。皆さんの分も作らないといけんですね。忙しくなりますね」
「いや、今日はわしの分だけでええ」
「?」
「今日は久しぶりにゆっくり過ごそうか」

「おとうちゃんだんだん」






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