本当のプロポーズ(いちせん夫婦ネタ)
番外編


「誕生日おめでとう、綾子。」
「ありがとう、ゆうちゃん。」

今日は綾子の23歳の誕生日。
小さな広告会社で働く綾子と、家業のせんべい屋をきりもりする祐一が、
つきあいだして4年ちかく経った。週休二日の綾子と、平日が定休日の祐一は、
休日が合わないのでなかなかゆっくりデートもできない。
今日は、明日の定休日に合わせて綾子が有給休暇をとってお泊りデート。
感じのいいレストラン。スプマンテで乾杯すると、祐一がプレゼントを渡した。

「わあ。かわいい。」

箱の中のピアスを取り出して耳に合わせてみせる。ふだんよりちょっと
ドレスアップした綾子の、ノースリーブのワンピースから伸びる腕がうつくしい。

「あの、さ・・・綾子。」
「ん?なに?」
「いや、何でもない・・・。」

祐一はまぶしそうに綾子から目をそらした。

ホテルの一室。窓からクリスマスのイルミネーションが見える。

「わあ。もうイルミネーションやってるんだ。きれい・・・。」

歓声をあげて窓辺に近づいた綾子を追って、祐一もそばに立った。

「なあ・・・。こういう時って、ご両親にはなんて言うの?」
「ああ・・・。うちの父ね、『もう大人なんだからなんでも自己責任でやれ!』

って言うひとなの。でもね、母から聞いたところでは、だからといって
それを娘の口からは聞きたくないらしいの。だから、母に「デートに行ってきます。
帰りは明日になります。」って言うだけ・・・。それが暗黙の了解。」

「ふうん。娘を持つ父親って、やっぱりつらいんだな。」
「ふふ・・・。ゆうちゃん、申し訳なくなっちゃった?」
「・・・この話は、これでおしまい!」

祐一は、綾子のむき出しの肩に口づけした。綾子が祐一の髪をいとしそうに撫でる。

祐一が綾子のほほを手で包んで口づけしようとした時、

「ん・・・ゆうちゃんの手、おせんべいのにおいがする・・・。」

綾子が小さく笑った。祐一はあわてて手をひっこめた。

「・・・よく洗ってるのに・・・。しみついちゃってるんだな。」

祐一がちょっと暗い顔をした。

「なんでだめなの?香ばしくていいにおいなのに・・・。」
「ダサいだろ?」
「ふふ・・・。」

綾子はいたずらっぽく笑うと、祐一の指をパクッと口に入れた。
長くて、形のいい祐一の指・・・祐一には内緒だけれど、時々その動きにみとれて
しまう、綾子の大好きなそれを、口にふくんで舌でチロチロなめる。

「よせよ。くすぐったいっ。」

祐一はちょっと抵抗したが、その行為がなんだか扇情的で、綾子はほんの
冗談のつもりだったのに、祐一に火をつけてしまったようだ。

「ふゃっ!」

祐一が綾子の口の中で指を折って、上口蓋をひっかいた。くすぐったがって
指を離そうとする綾子の顔をとらえてなおも口中を指で愛撫する。

「ん・・・んっ・・・ふっ・・・うぅん・・・。」

唾液が口のはしからこぼれ、ちょっと戸惑っている綾子の顔を引き寄せて指をぬき、
唾液ごとなめあげるように口づける。

「ふ・・・ぅふぅ・・・んん。」

下唇を食べたり、舌と舌を突き出してなめあったり、恋人同士にしか出来ない
セクシュアルなキスの応酬に、綾子の膝からだんだん力がぬけていった。

「いますぐ・・・いいか?」
「だ、め・・・シャワー・・・浴びなきゃ。」
「シャワーなんかいいよ・・・。今ほしいんだ。」

祐一が綾子をひょいっと抱えあげてベッドまで運んだ。

「やっ・・・やぁん!おろして、おろしてって!」

恥ずかしがって脚をばたつかせる綾子をそっとベッドにおろすと、キスしながら
背中のジッパーをおろす。下からあらわれたランジェリーの冷たくなめらかな感触に
手をすべらせ、すそのレースにたどり着いた指が、綾子の肌をなであげながら
全てをはぎとってゆく。
綾子も、祐一のワイシャツのボタンをはずし、たくましい胸から肩に手をすべらせる。
ふたりは深く口づけあいながら素肌と素肌をからませ、たかまりあっていった。
綾子の両手をあげさせて指をからめ、祐一が胸の突起を口にふくんで吸う。

「はぁ・・・ん。あ、あ・・・。」

もう一方の乳首を指でこねると、綾子がピローを握りしめてあえいだ。
祐一がだんだんと愛撫の位置を下げていく。綾子の両脚の間に身体を入れて
大事な場所のふくらみにキスすると、ひざの裏に手を入れて脚を持ち上げた。

「それ・・・しなきゃ、だめなの?」

いつもは秘められたその部分が、急に大気にさらされてひやっとする。
だがその冷たさとは逆に、羞恥と欲望が内側から綾子の身体を火照らせた。

「・・・綾子は、気持ちよくなってればいいの!」

祐一はかまわずにそこに口づける。思わずかばおうと下りてきた綾子の手をとって、
自分の両腿を持たせた。

「ほら・・・恥ずかしがらないで、ちゃんと持ってるんだぞ。」

祐一に舌と唇でここを愛される時は、自分の手で両脚を大きく広げさせられる。
祐一にすべてを見られていると思うだけで、そこが赤く充血し、愛液がとろとろと
とめどなくあふれてくるのがわかる。

「今さら恥ずかしがることないだろ?俺、綾子のこと、すみからすみまで
ぜ〜んぶ、知ってるんだからな。」

はじめてこうさせられた時は、恥ずかしくて恥ずかしくて泣いてしまった。
もちろん、その後、このうえなく優しくなぐさめてはくれたのだけれど・・・。
今だって、恥ずかしいのは変わらない。責められ始めると、本能的に脚を閉じて
しまいたくなる。

「どうして、こんなかっこう・・・させるの・・・?」
「だって、綾子すぐ脚とじたり、逃げようとするだろ?じっとしてなきゃだめだよ。」

友達感覚でつきあってはいるけれど、ベッドでは圧倒的に祐一がリードしていた。
祐一にみちびかれ、自分の中から引き出される怖いくらいの快感と、彼の残酷なやさしさの
とりこになっている自分を(ちょっと危険かも・・・。)と不安になることもあるけれど、
祐一のことを大好きな気持ちに変わりはなくて、全てを受け入れてしまう・・・。

祐一は脚の間に顔を入れ、わざと周辺部から軽い口づけを始めた。自分の両脚の間に
祐一の顔があるのを正視できなくて目を閉じると、こんどは100%の感覚に直撃される。
これから与えられる責め苦のような快感のまえでは、綾子はまったく無力だった。
指よりもやわらかい舌は、綾子の真珠を確実にとらえ、またとがらせて侵入してくれば、
綾子を狂乱させるほど残酷な動きをした。

「かわいいよ・・・あや・・・。」

祐一が綾子の中に指をしのびこませる。長い指を中で折って責めながら舌で敏感な
部分を舐め擦られ、綾子の脚をつかむ指が白くなるほど力が入った。

「がまんしないで、いっちゃえよ・・・。」
「ん・・・ゆうちゃ・・・あぁ・・・ん。ゆうちゃ・・・ん・・・・・・んぅっ…!」

綾子は、祐一の巧妙な愛撫の前に、なす術もなく腰をふりたて、この責め苦からの
解放を求めて無意識に秘部をつきだした。
広げられた部分をさらに剥き出しにし、祐一が舌を押し付けた。

「やっ・・・やぁ、んっ・・・。だめっ・・・そっ・・・あっ・・・ああ―――――!」

容赦なく圧迫をくわえると、綾子の内部は中に入ったままの祐一の指を食いしめ、
脈動をきざんで絶頂をつたえた。

「ぅ・・・うぅ・・・ぅっ・・・。」

綾子が顔をおおって泣きだした。つぷり、と指をぬいて祐一が綾子のところまで
顔を近づける。

「・・・ごめん。いじめすぎた・・・?」
「は、ずかし、すぎるよ・・・。」

祐一が、なだめるように小さく口づけながら、涙を吸ってやる。

「食べたいんだよ、あやのこと・・・。」

祐一は、ふだんは綾子、と呼んでいるのだけれど、愛しあう時は「あや」と呼ぶ
ことが多かった。そう呼ばれる時はこういう性愛のさなかにいる時、とすりこまれて
いるせいか、呼ばれるだけで綾子はだらしなく溶けていってしまう。

(なんだか、ふわふわする・・・。)

しびれる身体が、シーツの上で浮かんでいるように気持ちいい。

「もっと食ってもいい?」

・・・もちろん、唇で食べるだけではすまないことはわかっている。

「ほら・・・あやのこと欲しくて、こんなになってるよ・・・。」

祐一に握らされたものは、これ以上ないほどみなぎって、綾子の手に脈動を伝えている。
キスしようとして頭を下げかけると、祐一がそれをおさえて、

「だめだよ。もたなくなっちゃう。また後でして。」

横向きに向かい合ったまま、綾子の左脚をあげさせる。じゅうぶんすぎるほど
うるおってうずいているそこに昂ぶりをあてがうと、グッと突き上げた。

「はぁっ・・・ん・・・あぁ・・・ん・・・ん〜っ。」

深く突き入れながら、祐一が起き上がって、綾子の肩をつかんで引き寄せ、さらに
奥までつらぬいた。

「ああ・・・ん。ゆうちゃ・・・ん・・・ゆ・・・うちゃ・・・ぁん。」
「気持ちいいよ・・・あやのなか。」

祐一はしばらく綾子の内部の感触をたのしんでから、リズミカルな動きをはじめた。

「あぁっ・・・ま・・・た・・・っちゃ・・・ぅう・・・ん。」

深く突きこんでこねあげると、達したばかりの綾子の内部は再びけいれんした。

「感じやすいよね・・・あやは。」

祐一は嬉しそうにそう言うと、今度は綾子の両腰をつかんで揺さぶった。

「ぁん・・・だめ・・・だめっ・・・ゆうちゃんっ・・・!」
「あや・・・俺も・・・。」

きつく抱きしめあって同時に昇りつめながら、お互いの鼓動を全身で感じあった。

・・・愛しあったあと、シーツの中でこうしていつまでも祐一と寄り添っているのが
綾子は好きだった。あたたかくて、でもさっきのみだらな余韻がのこって少しエッチな
気分・・・。いつまでもこうしてまどろんでいたい・・・。

「ちょっと待ってて。」

祐一が起き上がってベッドから出て行った。綾子はちょっと寂しい気持ちで待った。

「綾子・・・起きて。」

(え〜?なに?)

綾子はしかたなくシーツを胸に巻きつけてベッドの上に起き直った。腰にバスタオルを
巻いただけの祐一が、ベッドのわきにひざまずいている。

「綾子・・・。俺と結婚してください。」

そう言って、祐一はベルベットを張った小箱をさし出した。

「え・・・。」

小箱をあけると、小粒のダイヤモンドの指輪。

(な・・・なんでこんな時にこんな所で・・・しかもこんなかっこうで?)

「・・・だめ?」
「だ、だめじゃないけど・・・。」
「ごめん・・・でも、今じゃないと、言えなくなっちゃいそうで・・・。俺、今日ずっと
綾子にプロポーズしようと思いながら言い出せなかったんだ・・・。」
「な・・・なんで?」
「急に自信がなくなってきたんだ。俺と結婚することで、本当に綾子がしあわせに
なれるのかな・・・って。今の綾子って、夢だった仕事ができてイキイキしてるだろ?
俺と結婚したら店も手伝ってもらわなきゃならないし、親ともつきあって
いかなきゃならない。そんなに儲かってるわけでもない小さい店の女房って、
今の仕事と比べたらやりがいあるのかな・・・って。」
「・・・ゆうちゃんは、おせんべい屋さんに、やりがい持ってないの?」
「俺は・・・持ってるよ。大学でるまでなんにも考えてなかったけど、3年修行して、
やっと納得できるせんべいが焼けるようになった。親父が倒れてからこの1年、
店の切り盛りもやるようになって、責任感も出てきたんだ。でも・・・だからこそ、
毎日店にいると、このせんべいの匂いの中に、綾子を引っ張りこんでいいのかな?
って思っちゃうんだ・・・。」

「・・・だから、さっき、おせんべいのにおいがするって言った時、手をひっこめたの?」
「せっかくのデートなのに、気分こわれるだろ?」
「・・・私ね、バイトしてる時、ゆうちゃんが厨房で働いてる姿見て、好きになったんだ。」

綾子は、恥ずかしそうに、でもまっすぐ祐一の顔を見た。

「ゆうちゃんが『いつか結婚しよう。』って言ってくれた時、ずっとゆうちゃんの
働くところ見ながら暮らせるんだ・・・って思って、すごくうれしかったの。
・・・ずっと、待ってたんだよ。プロポーズしてくれるの・・・。」

最後の方は涙声になって、綾子は両手で口をおさえた。

「ごめん・・・。俺、一人前になってから・・・って思ってたから、3年も待たせちゃったな。
ほんとはまだ、自信ないけど・・・。ぐずぐずしてたら、綾子をとられちゃうかも
しれないって思ったら決心ついたんだ。」
「え?・・・どういうこと?」
「綾子は会社に勤めてるだろ?どこでどういう出会いがあるかわからないじゃないか。
バイトしてる時だって、けっこうモテてたし。」
「ええ?私が〜?なんだぁ、そういうことは早く言ってよ。」

(言うわけないだろ?・・・俺が狙ってたんだから。)
(ゆうちゃんの方がすごかったのに、知らないのかな?ゆうちゃん目当てのお客さん、
けっこういたんだよ。)

「とにかく!俺は綾子以外の女と結婚とか考えられないの!・・・ところで、さっきの
返事、まだちゃんと聞いてないよ?」

「え・・・あ。えーと、その、はい・・・、私、祐一さんと、結婚・・・します!」
「やったあ!」

祐一が綾子を抱きしめた。・・・さっきまで激しい愛を交わしていた肌が密着して、
濃密な記憶がよみがえる。
抱き合いながら、ふたりは同じことを考えていたらしい。綾子が祐一の耳元で
ささやいた。

「『どんなシチュエーションでプロポーズしました(されました)か?』って
披露宴とかでよくある質問だよね・・・。」
「うん・・・。」
「これって、ちょっと、誰にも言えないよね・・・。」
「明日、横浜かどっか行って、改めてプロポーズするか?」
「うん・・・公式にはそっちってことにして・・・。」

本当のプロポーズは、誰にも言えない、ふたりだけの秘密・・・。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ