可愛い女(いちせん夫婦ネタ)
番外編


「あ〜あ、ボードの方がいいなあ・・・。靴だって楽だし、ウェアも可愛いし。今どきスキー
なんてやってる子いないよ〜。」

ちょっと調子が出てきてスピードを出し過ぎ、思い切り新雪に突っ込んでしまった綾子は、
急いで登って来て救出してくれた祐一に思わず泣き言を言った。

「綾子みたいなニブイ奴はボードやったら危ないの!・・・それに、変な奴が寄って来たら
イヤだからな。」

・・・実際のところ、祐一が綾子にスキーをすすめたのは、綾子があまり運動神経が良くない
こともあるが、ボードをやっているとナンパの心配があるからと言う理由の方が大きかった。

「綾子はスタイルいいから、絶対スキーの方が似合うって。」

祐一は小さいころから、家業の忙しい両親に代わってスキーの得意な叔父さんに冬じゅう
連れて来てもらっていたとかで、スキーもスノボもものすごく上手い。
学生時代、居酒屋でバイトしていた頃、盛り上がって何人かでスノボに行った。その時の
綾子は初めてということもあって惨憺たるもので、途中で祐一にスキーに変えられてしまった。
他のメンバーがある程度滑れるようになった後、祐一は綾子につきっきりで教えてくれた。
祐一のキツい教え方にちょっとムッとした綾子だったが、二人の距離がぐっと縮まったのは
あの時からだった気がする。

「・・・ん?なんだあいつ。まっすぐこっちへ向かってくる。・・・危ないな。」

すごいスピードで二人の方へ迫ってくるボーダーに気づき、祐一が綾子を庇って身構えた。
ザッと雪けむりを立てて止まったその男は、ゴーグルを上げて祐一に微笑みかけた。

「見覚えのある滑りだなと思ったら・・・やっぱお前か。」
「・・・沢入?!」
「なにー、いつから来てんの?」
「え・・・いや、今日来て明日帰るんだよ。」
「なんだよ、それっぽっちか?」
「・・・俺もう、うちの仕事手伝ってるから。本当は土日だって休みじゃないんだけど・・・。」

祐一は、傍らの綾子をちらっと見やった。

「あー、もしかして、その人・・・。」

沢入がそう言いかけた時、数人のボーダーがまたしても3人のそばに止まった。

「沢入さん、どうかしたんすか?」
「おう。誰だと思う?祐一だよ、佐々木祐一。」
「えっ?」「きゃー!うそ、ユウ先輩?」

女の子たちが黄色い声をあげた。

「あれ・・・このメンツ・・・?」
「相変わらずつるんでるんです。悲しいですよね〜。全員非リア充だもん。」
「・・・こいつは、違うみたいだぞ。」

一同の視線が、沢入に指さされた綾子に一斉に向けられた。祐一は無意識に庇うように
寄り添い、皆に綾子を紹介した。

「あ・・・この人は平泉綾子さん。えーと、こっちは大学時代のサークル仲間で・・・。」

皆がくちぐちに名乗った。

「ふーん、この人が居酒屋の彼女?」

女子3人の内のひとりがそう言った。なんとなく感じの悪い言い方だ。

「バイトは学生時代。今は広告会社に勤めてるんだ。」
「えー、すごーい。」
「あ、でもちっちゃい所ですから。・・・私、デザイナーなんです。」
「ああ、そっち系?」
「やっぱ今は手に職だよな。佐々木もせんべい屋の若旦那だろ?気楽なご身分だよな。
俺なんか就職決まんないもんだからしかたなく大学院行ったけど、何の当てもないしな。」

その女性といい、沢入といい、なんとなくバカにした言い方に、綾子はハラハラした。

「・・・話はこれくらいにして、滑ろうぜ!・・・その板、アルペンだろ?」
「あ・・・でも、彼女、初心者なんだ。」

超初心者の綾子につきっきりで、祐一は退屈しているかもしれない。好敵手という感じの
沢入と思う存分滑らせてあげたい・・・綾子は気を利かせて言った。

「あ、私なら大丈夫。ゆうちゃんに言われたこと復習してるから。」
「きゃー!ゆうちゃんだってー。」

女の子たちがわざとらしく騒ぎたてる。綾子はしまったと思いつつ、祐一に目で『行って、
行って。』と合図した。

「ん・・・じゃあ、なんかあったら電話しろよ。」

一行は男子2人に女子3人。女の子たちはフリースタイルだけれど、サークルに入っている
だけあって、かなり上手い。

「カノジョさん、わりぃ。ちょっと借りるよー。」

祐一と沢入を先頭に、あっという間に去って行ってしまった。ひとり取り残された綾子は、
さっき転んだ時の雪がまだお尻に着いているのを、情けない思いで払い落とし、また
滑り始めた。初心者用ゲレンデを、祐一に言われたポイントを思い出しながら何度か滑り
降りる。祐一たちはずっと上の上級者用ゲレンデに行ってしまったようで、一度も出会う
ことはなかった。
楽しみにしていたスキー旅行なのに、ひとりぼっちで寂しく滑るはめになってしまった。
ものわかりのよい彼女なんかを演じなければよかった・・・綾子はちょっと後悔していた。
だんだん退屈になってきて、思い切って林間コースへ行ってみた。変化に富んだコースは
見た目ほど難しくなく、美しい雪景色に、寂しさが少しまぎれた。

「今の人はみんなスノーボードだけど、スキーもいいもんですよ。」

リフトで一緒になった初老の夫婦は、ウェアは古臭いけれど華麗に滑り降りていった。
あんなご夫婦になりたいな・・・綾子は少し胸が温かくなって、元気を出して滑り続けた。

『昼メシにしよ?カフェテリアにいます。』

祐一から入ったメールを見て、休憩所にあがって来た綾子は、祐一がまださっきの一行と
一緒にいるのを見て、ちょっと暗い気持ちになった。ここで嫌な顔を見せてはいけないと
思い、綾子は皆の交わすほとんどわからない思い出話を微笑みながら聞いていた。

「・・・じゃ、俺たちはこれで。・・・楽しかったよ。」

食後、祐一がそう言ってくれた時、綾子はホッとした。板を履きながら、祐一は綾子に
平あやまりにあやまった。

「ごめん・・・綾子。ひとりで寂しかった?・・・おわびに午後はドレイになるから。」
「もぉ〜。いいよ、ドレイになんてならなくて。それより、ゆうちゃんが思いっきり滑れて
楽しかったんなら、私もうれしいし。」
「ありがと。・・・沢入さ、就職決まんなかったり色々あって・・・ちょっと屈折してあんなこと
言ったんだと思う。・・・でも、滑ることだけに集中したら、昔のまんまの奴に戻ったよ。」

午後はつきっきりで指導してもらい、綾子は昼前のちょっと不愉快な出来事のことは
ほとんど忘れていた。あっという間に冬の短い日は傾き、雪が舞い始めた。

「疲れただろ、綾子。今日はこのぐらいにして、フロ入っていこ。」

スキー場につきものの温泉施設。ほんわかした空気と温泉独得の匂いにほっとする。

「・・・髪も洗って来ちゃえよ。時間かかってもいいから。」

祐一は、そう囁くと綾子の手を一瞬だけキュッと握って、男湯に消えて行った。

(もぉ・・・ゆうちゃんたら。)

二人きりで泊まりで旅行に来るということは、もちろんそういうことも含まれているのだ
けれど、その事実が急に迫ってくる。脱衣所で服を脱ぎながら、自分の裸身がやけに
意識されてしまう。早くなる鼓動をなだめるように、綾子はそっと胸に手を当てた。

温まってから髪を洗っていると、戸が開いて2、3人の女性客が入って来る気配がした。

「あ〜あ、今日はちょっとショックだったな。」
「・・・ユウ先輩のこと?」

聞き覚えのある声が、祐一のことを話し出した。綾子は泡だらけのまま凍りついた。

「わざわざ私たちのなじみの場所に、彼女連れで来なくたって・・・ねぇ?」
「麻衣さぁ・・・。あの彼女さんのこと、どう思った?」
「どうって・・・ねぇ・・・美人だけど・・・。」
「うん・・・美人だけど・・・。」

(二人で)「デカイよねー。」

幸いなことに、3人は綾子とは離れたところで身体を洗いながら話に夢中で、綾子には全く
気づいていないらしい。当の本人がいるとは夢にも思わず、自分たちのユウ先輩を横から
さらった(と、彼女たちには思える)『彼女さん』についてくさし続けた。

「美沙より、25センチは高いよねー。」
「ユウ先輩、『可愛い子がタイプ』って言ってたのにね。美沙の方がストライクじゃない?」

綾子は、3人の女子の中に、『美沙』と呼ばれている身長150センチそこそこの、色白で
華奢なとても可愛い子がいたことを思い出していた。

「沢入先輩の方が先に、美沙のこと好きだってカミングアウトしちゃったから、ユウ先輩、
言い出せなくなっちゃったんじゃない?」
「だよねー。ユウ先輩、あれからサークル来なくなっちゃったし。親友のために身を引いた
んだよ、きっと。」
「美沙も、まだユウ先輩のこと、好きなんでしょ?あれから沢入さんとちょっとつきあった
けど、すぐに別れちゃったじゃん。」

ここまで、ずっと黙ったままだった当の美沙という子がようやく口をはさんだ。

「・・・でも、バイト先に好きな人いるからっ・・・て断られたんだよ、私・・・。」
「あの彼女さんとは、卒業してからつきあい始めたって先輩言ってたし・・・本命じゃないの
かもよ?」
「次善の策・・・っていうやつよ、きっと。」
「もう・・・やめて。ユウ先輩が今あの人とつきあってるのは事実だし、今さらどうしようも
ないじゃない。」

憤慨しつつ面白がっているような他の2人に比べ、美沙の声はつらそうだった。
綾子はいたたまれなくなって、3人が湯舟に入り、雪景色に歓声を上げてへ窓際へ殺到した
のをさいわい、注意深く死角を選んで急いで浴室を出た。

「綾子・・・疲れた?さっきからなんか静かだけど。」

今日の宿泊先のホテルにチェックインし、少しだけドレスアップした綾子は、ホテルの
ダイニングで祐一と夕食をとっていた。

「え・・・あ、ううん。ここ・・・お料理おいしいね。」
「だろ?学生時代は、泊まるのは無理でも、メシだけ食いに来たりしてたんだ。」

それは、あの美沙さんたちと・・・?祐一が馴染みのスキーリゾートに連れて来てくれたことが
うれしかったのに、あの人たちと会ったことで、自分が昔の祐一のことをほとんど知らない
ことを思い知らされ、そのうえ知りたくもないことまで知ってしまった。さっきの3人組の
会話が頭から離れず、綾子はついつい言葉すくなになりがちだった。

「綾子・・・午前中放ったらかしにされたの、まだ怒ってるの?」
「え?・・・あ、そ、そんなことないよ。」
「ふうん・・・でも、いつもの綾子らしくないな。」

祐一は、心配そうに綾子の目をのぞきこんだ。修行中の身で休みなどないくらいがんばって
いる祐一が、無理をして休みをとり、せっかく連れて来てくれたスキーなのに・・・楽しく
しなければと思えば思うほど、笑顔がぎこちなくなってしまう綾子だった。

「あーやーこ、これ、好きだろ?・・・俺の分もやるから、機嫌なおして?」
「べ、別に機嫌とか・・・。」

そう言いつつも、綾子は差し出された苺のパブロバに手を伸ばした。器に取りつけられた
金属の取っ手に手を触れたとたん、ビリッと静電気がはしった。

「いっ・・・たい・・・。もぉ・・・。」

祐一が下を向いて笑いをこらえている。

「ひどい・・・祐ちゃん。人が痛がってるのに・・・。」
「ごめんごめん。・・・さあ、カリッとしてるうちに食べろよ。」

綾子は気を取り直して上に乗っている大きな苺をフォークでえいやと突き刺し、大口を開けて
パクリと食べた。現金なもので、大好きな苺のデザートを堪能するうちに、少し元気が戻って
きたようだ。祐一はそんな綾子を、コーヒーを飲みながらやさしい目でみつめていた。

「・・・じゃ、行こっか。」

祐一が伝票にサインしている間、綾子はなにげなく部屋のキーを手にしていた。レストラン
を出てエレベーターで部屋へ向かう。特に考えもなく部屋のドアを開けようと綾子がノブに
さわったとたん、またビリッ。

「きゃっ・・・また。・・・もぉ〜!」

綾子は電気がはしった手をさすりながら、小さく足ぶみをした。祐一は、今度こそこらえられ
ないというように肩をふるわせ、口をおさえてむこうを向いた。

「ゆうちゃん・・・っ!」

ようやく笑いがやむと、綾子が腰に手を当てて仁王立ちしている。まずい。

「わざと私にドア開けさせたでしょ。知ってるんだから。祐ちゃんが、静電気でビリッと
なって痛がってる女の子見るの好きなの・・・。」

祐一は、綾子の痛む手をとって温かい手で包みこんだ。

「・・・ひとを変態みたいに言うなよ。好きな子のだけだよ・・・。」

もう片方の手で綾子を抱き寄せ、甘く唇を奪う。

「ん・・・ゆ・・・ちゃ・・・だめ・・・ここじゃ・・・。」

小さく開いたままのドアを押し開け、二人がもつれあうようにして部屋に入ったとたん、
何人かの客が談笑しながらエレベーターから降りてきた。

「ふ・・・ぅ・・・ぅうん・・・。」

ドア一枚へだててすぐそばを他人が通り過ぎていくというのに、祐一はキスを深め、舌を
からめながら、息が出来ないほど強く綾子を抱きしめた。

「ふう・・・危なかったね。」

唇を離した祐一は、いたずらっぽく笑ったが、綾子は早くも身体の力が抜け、祐一の肩に
すがりついていた。他人に聞かれてしまいそうな状況で、わざと弱いところをついて来た祐一を
にらむ瞳はうるんで、文句を言いたくても息が弾んでなかなか言葉が出てこない。

「あや・・・大丈夫?抱っこしてあげよっか?」
「・・・いい!」

祐一が綾子を呼ぶ呼び名が、早くも「あや」に変わっていることに気づき、綾子は力が
入らない足に無理やり力を入れて部屋の奥へずんずん歩いて行った。部屋に入った時から
二人だけの時間が始まることは覚悟していても、今日のいろいろな事でなんとなく素直に
なれない綾子だった。

「ゆうちゃんって・・・S、だよね・・・。」

ベッドに座るといきなり押し倒されそうなので、用心して綾子は窓際の椅子に座った。

「ん・・・?俺はムチとかローソクとか使わないぞ。」

祐一は、綾子の向かい側の椅子には座らず、綾子に近いベッドの端に腰かけた。

「・・・そーいう意味じゃなくて・・・!」
「んー・・・。ちょっと困ってる綾子が好き・・・っていうのはあるな。」
「静電気でしびれてるところとか?・・・やっぱりSじゃん!」
「俺の中のS要素を呼び起こすところが、綾子にはあるんだよ。」
「それって・・・私がM女だってこと?」
「んー・・・ひらたく言うと、そうかな。」
「ち、違う・・・私、そんな変態じゃないもん!」
「変態とか、変態じゃないとか、そんなことどうでもいいじゃん。」

祐一は立ち上がると、綾子の座っている椅子の足元にひざまずいて、シフォンのチュニック
のすそに手を突っ込んだ。

「・・・固くなってる・・・。感じてるくせに。」

探しもせずに一発で乳首をつまみ、きゅっとねじりあげる。

「ひゃっ・・・ん。」

たったそれだけのことで、綾子は椅子から跳びあがりそうになり、両手で椅子の肘かけを
つかんで身体を支えた。祐一は綾子の脚をわざと拡げるようにして身体を割り込ませると、
チュニックをまくりあげてブラをずらし、痛いほど尖っている淡いピンクの突端を両方とも
指でつまんでこすりあわせた。

「ゃ・・・ぁ・・・ぁっ・・・あん。」

強がっていた綾子の顔が蕩け、椅子の上でどうしようもなく身悶える。

「・・・脱いで。」

祐一が立ち上がって命じる。急に取り残された綾子は震えながら身を起こし、チュニックを
脱いだ。レースとリボンのついた可愛いキャミソールとブラがずり下ろされ、尖った
乳首が両方とものぞいている姿は娼婦のようでとても羞ずかしい。光沢のあるパンツを脱ぎ、
下着をおろそうとして、それがあり得ないほど濡れているのに気づいて脱ぐのを
躊躇した。祐一の方をうかがうと、ベッドに腰かけて上着を脱いでいる。彼が見ていないうちにと
急いで下着をとったのに、ちょうど上着を脱ぎ終わった祐一にしっかり見られてしまった。

「・・・来いよ。」

祐一がうすく笑って立ち上がり、手をさしのべる。近づくと奪うように抱きしめられ、
唇が重なり合った。綾子がまた脚に力が入らなくなって祐一にしがみつくと、祐一は太腿を
綾子の両脚の間に差し入れて支えてやった。

「ふぁ・・・ぁん。ぁっ・・・ぁ・・・ん。」

祐一が腰を抱いて綾子を乗せた脚を揺すぶると、綾子の濡れた女性に引き締まった筋肉が
あたり、綾子は夢中で祐一の太腿に秘裂をこすりつけた。

「はぁ・・・ぁ・・・ぁあん・・・ゆ、うちゃ・・・。」

太腿から滑り落ちそうになり、必死で祐一の腕にすがる。祐一は腰を抱いたままゆっくりと
かがんで綾子を脚の上からおろした。無情にも愛撫を中断され、綾子はくたくたと床の上に
座りこんだ。祐一はベッドに腰かけ、綾子が間に入れるよう大きく脚を開いた。

「キスして・・・?」

床に手をついて大きく息をしていた綾子はのろのろと這い寄り、祐一の股間に顔を寄せた。
もう充分綾子を貫けるほど漲っている屹立を目の前にして、綾子は身体中の力が抜けていく
ような気がした。逞しい幹から発散される熱を感じながら根元に口づける。何度かキスして
から、舌で舐め始める。舐めている所とは違う場所に頬や髪が触れ、祐一が少したじろぐ
気配がした。大きく口を開けて呑みこみ、口いっぱいの雄根に口壁をこすられて夢中で
頭を動かす頃には、秘裂からあらたな蜜が涙のようにこぼれ出していた。

「・・・イかされちゃいそうだから、それくらいにして・・・つけて。」

手渡されたものは、二人をさえぎる無粋な人工物なのだけれど・・・祐一は、それすらプレイの
一環にしてしまっていた。

「ゆ・・・ゆうちゃんがつけてよ。」
「この間教えただろ?・・・俺がコソコソつけてる間、綾子がただ待ってるっていうのも
興ざめだし、綾子がつけてくれればエロい気分が盛り上がるから・・・たのむよ。」
「もぉ・・・。」

綾子はしかたなく、祐一に教えられたとおり渡されたものの先端をつまんで空気を出し、
それを祐一の先端にかぶせた。ゆっくりとしごきながら丸まった縁を伸ばしていく。

「爪、立てないで・・・破れちゃうから。できたら、口でやってくれないかな。」
「そ・・・そんな器用なこと、出来ないよ・・・。」

綾子はなるべく指の腹を使って膜を伸ばし、時おり唇も使ってなんとか根元までかぶせた。
半透明の膜から透けて見えるみなぎり切った雄根の肌合いはたまらなく淫らで、さっきから
ほとんど触れられず、疼きっぱなしの秘口がズキズキと痛いほど充足を求めていた。

「綾子・・・顔、真っ赤。」
「もぉ・・・ゆうちゃん、絶対面白がってる・・・。」

祐一が脇に手を入れて綾子を抱き起こし、綾子を乗せたまま後ろへ倒れた。抱きしめ合った
ままベッドの上を転がり、祐一が上になってやさしく口づけた。やっと充たしてもらえる・・・
そう思ったのもつかの間、もう一度くるりと反転して、綾子が上にさせられてしまった。

「あやが・・・挿入れてみ?」
「え・・・やだ・・・出来ないよ・・・。」
「上になったこと、あるだろ?」
「だって・・・あれは途中からで・・・。」
「だいじょうぶ。騎乗位って、ちゃんとあるんだから。ほら・・・。」

祐一に肩を押され、綾子はしぶしぶ身体を起こした。
どうやったらこの角度に合わせられるか、羞ずかしそうに脚を拡げたり、腰を浮かせたり
する綾子を、祐一は下から余裕の表情で見ている。

「見・・・ない・・・で・・・!」
「だめだめ・・・初めてなんだから、見ててあげなきゃ。手、つかってもいいからさ。」

猛烈な羞ずかしさをこらえ、屹立に手を添えて自分の秘所にあてがうと、腰を落とした。
固い肉弾が秘襞をかきわけ、押し入ってくる力に圧倒され、綾子は大きく開いた脚を思わず
閉じて動きを止めてしまう。

「こ、これ以上・・・無理・・・。」
「こんな中途半端で止めちゃダメだよ!・・・力抜いて、体重かけてみ。」

言われたとおりにすると、剛直はじりじりと綾子の中におさまり、綾子は大きく吐息をついた。

「すっご・・・ビショビショだよ。」

綾子の中からあふれ出た愛液が、祐一の下腹部をも濡らしている羞ずかしい様子を正視でき
なくて、綾子は目を閉じた。

(ゆうちゃん・・・なんだか最近、意地悪じゃない・・・?)

祐一と初めてこういう関係になってからまだ半年も経っていなかった。祐一は綾子の初めてを
やさしく奪い、辛抱づよく綾子の心と身体を慣らしてくれた。綾子が悦びを知るようになると、
祐一は次々と新しいことを教え、二人の交わりは急速に深く激しいものとなっていった。
身体は強い快感に充たされながら、綾子の心はあまりに急激な性愛の深まりに戸惑っていた。

(私・・・あんまり大切に思われてないのかも・・・。元々、私から告白したみたいなもんだし・・・。)

祐一と綾子が学校を卒業してバイトを辞める時、バイト仲間が開いてくれた送別会の後、

(もう二度と会えなくなる・・・。)

たまらない思いで、綾子は去っていく祐一の後ろ姿を
追いかけた。ケンカばかりしていたけれど、綾子は二人の間だけに流れる温かい想いのような
ものを感じていたのに、祐一はとうとう何も言ってくれなかった・・・。祐一に追いついた時、
小雨の中ずっと走って来た綾子の髪には、雨粒がきらきら光っていた。

「待って・・・ください。もう会えないなんて、イヤです・・・。」

祐一は綾子の髪の雨粒をそっとはらうと、ニッコリ笑ってこう言った。

「じゃ・・・俺たち、つきあおっか?」

(軽い・・・軽すぎる・・・。やっぱり、最初から私の片想いだったのかな?)

そう思うと、いろいろ思い当たることもある。初めて結ばれた時、祐一は「将来結婚しよう。」
と言ってくれた。会うたびについ結婚に対する夢を祐一に語ってしまう綾子を、祐一はどう
思っているのだろう。ふたりはまだ若く、祐一はせんべい職人になる修行を始めたばかりで
結婚どころではないはずなのに・・・。

(私・・・ゆうちゃんに重たい女って思われてるかも・・・?)

「重た・・・あや、重いよ。」

現実の祐一の声に、心を読まれたのかと心臓が跳びあがる。

「じっとしてちゃダメだろ?動いて・・・。」

あわてて腰を前後させると、甘い衝撃につらぬかれ、綾子は思わず声をあげた。

「あせらないで・・・。いつも俺がやってるみたいにしてみ。」

羞恥と快感に耐えながら、いつもの祐一の動きを思い出して腰を浮かせたり沈めたりしてみる。

「うわ・・・すげーエロい。あやも見て・・・。」

おそるおそる目をやると、蜜にまみれてテラテラと光る剛直が、秘裂を押し拡げながら
出入りする様はたまらなく淫靡で、綾子はたまらずに目をそらした。

「ゆうちゃ・・・お、ねがっ・・・これ以上、ムリ・・・。」

絶え間なく強い快感が押し寄せてくるのに、この体勢を保ったまま達するなんて、綾子には
とても不可能に思えた。

「自分のいいトコ探してみ?・・・手伝ってやるから。」

祐一が下から何度か突き上げて、リズムを作ってやると、綾子は少し前かがみになって
ベッドに手をつき、腰を前後させ始めた。

「ぁ・・・ぁあ・・・ん。」

祐一の先端がある部分にあたり、しびれるような快感が押し寄せてきて、綾子は啼きながら
そこをこすりつけるように腰を揺すった。

「ふぅん・・・そこが快いんだ?」

からかうような祐一の言葉に、羞恥でカッと顔が燃えながら、それでも動きが止まらない。

「あや・・・すごく、可愛いよ・・・。」
「ゃっ・・・ぁああ―――――っ!」

総身を突き抜ける絶頂にみまわれ、綾子はガックリと祐一の上に突っ伏した。

「よしよし・・・よく出来ました。」

祐一は小さい子にするように綾子の頭をポンポンして、自分の上で震えている綾子の、
少し汗ばんだ身体をギュッと抱きしめた。

「んぁう・・・。」

強く抱かれたまま、くるりと体勢を入れ替えられ、綾子は思わずヘンな声が出てしまった。

「ん・・・んぅ・・・。」

甘く唇を食べられ、やさしい目で見下ろされる。

「あやのイくとこ、一部始終見ちゃった・・・すごく可愛かったよ・・・。」
「わ、私・・・可愛くなんか・・・。」
「ん?どうしたの?・・・可愛いって言われるの嫌い?・・・んじゃ、キレイ、色っぽい・・・
いや・・・やっぱ、可愛いが一番しっくりくるな。」

まるで「可愛い」の大安売りだ・・・。綾子には、祐一がそう繰り返すことで自分に言い聞かせて
いるのではないかとさえ思えてくる。

「もいっかい、可愛いとこ見せて・・・。」

祐一が上体を起こして腰を使い始める。肩にすがってきた手をつかみ、指と指をからませて
シーツに押しつけ、大きなグラインドでかきまわすと、綾子はたまらずに身体をのたうたせた。

「んぁ・・・だっ・・・ゆ・・・ちゃ・・・ぁあっ・・・。」

綾子の膝の裏に腕をまわし、思い切り持ち上げる。少し浅めに挿入れた雄根で天井を突く
ように責めると、綾子は首を激しく横に振ってシーツをわしづかみにした。

「ここ・・・快いんだろ?・・・ほら・・・正直に言えよ・・・。」
「そっ・・・んな、こと・・・んんっ・・・。」
「ちゃんと言わないと、イかせてやんないぞ。」

もう少しで到達しそうなのに、祐一は意地悪く動きを止めた。綾子は身悶えて懇願した。

「ぁあっ・・・ゃ・・・ん・・・そ、こ・・・快いの・・・やめない・・・でぇっ・・・。」
「素直で、可愛いよ・・・あや。」
「も・・・ゃ・・・そこぉ・・・・い・・・ぁああ―――――!」

弱いところを思う存分突かれ、綾子は真っ白な世界に突き落とされた。身も心もバラバラに
砕け散るような絶頂感の中で、このひっくり返ったカエルの様な姿も、羞ずかしい言葉を言わ
されることも、祐一にされるのならかまわないと思った。だが同時に、もしかしたら自分は
おもちゃにされているだけなのかもしれないと言う恐ろしい疑念が綾子の胸をふさいだ。

「どうしたの・・・綾子?イッたのになんか悲しそうなんだけど・・・。どっか痛かったら
ちゃんとそう言えよ。」

気がつくと、二人のつながりはもう離れていて、祐一が心配そうにのぞきこんでいた。

「・・・ゆうちゃん・・・。」
「ん?・・・なに?」
「や、やっぱり、いい・・・。」
「言いかけてやめるなよ。気になるじゃん。」
「・・・ゆうちゃんの、好きなタイプって・・・どんな?」
「なんだよやぶから棒に・・・。んー、まあ・・・可愛い子がいいかな・・・って、なんでこんな時に
そんなこと聞くんだよ・・・ぅわ、なんで泣くんだよ?!」

綾子はもう耐え切れなくなって両手で顔をおおって泣き出した。祐一は途方にくれて、綾子の
しゃくりあげが少しおさまるまで、ただ抱きしめていてやった。

「・・・なんかあったのか?・・・もしかして、あいつらになんか言われた?」
「・・・面と向かって、言われたわけじゃないけど・・・。」

綾子は温泉施設であったことを話した。祐一は聞き終わると、昔のことを話してくれた。

「俺と沢入はさ・・・1、2年の頃はスノボに燃えまくってて、本当にライバルで親友だった。
ホモ疑惑が出るくらい仲良かったから、3年の時沢入が美沙のこと好きだって打ち明けて
くれた時、これで疑惑も晴れると思って・・・ってのは冗談だけど、心から応援したよ。
でも、美沙は俺に告ってきて・・・俺はつきあえないってはっきり言ったんだ。気まずくて
合宿はバックれたんだけど、沢入はそこで大怪我して、留年確定しちゃったんだ。
俺が見舞いに行っても会ってもくれなくてさ。俺はサークルにはそれっきり・・・。」

そう言えば3年の冬ごろから、祐一は居酒屋のバイトのシフトを増やし、毎日のように
厨房に入っていた。

「俺も将来のこととか考え始めて・・・料理好きだし、将来食品の仕事するんなら調理師免許
とるのもいいかな、とか思って、それからはバイトに燃えてた。まあ、バイトにのめり
こんだのは、他の理由もあるけどね・・・。」

祐一は意味ありげに綾子の顔を見たが、綾子は自分の心配事で頭がいっぱいで気づかない。

「ゆうちゃんは・・・沢入さんのために身を引いた・・・んだよね?」

「はあ?・・・何のこと?」
「ゆうちゃんも、美沙さんのこと・・・好きだったけど、沢入さんに遠慮して・・・。」
「か、勝手に決めるなよ。沢入に遠慮なんかしてないよ。・・・俺はそのころもう好きな奴
いたから・・・だから断ったんだ。」
「だ・・・誰?」
「お前ひとの話ちゃんと聞いてんのかよ?・・・まあそいつはニブイくせに生意気な奴なんだけど、
じっくり攻めればバイト終わるまでにはなんとか落とせるかなーって思ってたし。」

祐一はニヤニヤしながら、驚きの表情のまま固まっている綾子の乳首をきゅっとひねった。

「ゃんっ・・・!」

綾子は胸を押さえて後ずさった。

「綾子って、身体は敏感なのに、心はニブイのな。」
「に・・・鈍い鈍いって言い過ぎ!」
「俺がこんなに惚れてるのに・・・もっと自分に自信もてよ。」
「だ・・・って、ゆうちゃん、『可愛い子がタイプ』って・・・。」
「だって、綾子って可愛いじゃん。」
「か・・・可愛くなんかないよ・・・デカいし。」
「・・・可愛いよ・・・こことか。」

さっきからつままれ続けて勃ってしまっている尖りを強く吸われ、綾子は大きく身悶えた。

「ここも・・・んー、ここもだ。」

あらがおうとする手を押さえつけ、唇の届く範囲にくまなく口づける。最後に甘く唇を重ね
られ、綾子は身も心も蕩けてしまった。

「綾子ってさ・・・パッと見女王様系なのに、中身はMっぽかったり、可愛い下着つけてたり
・・・そのギャップがいいんだよな。」
「M・・・じゃ、ないっ・・・たら・・・。」
「認めちゃえよ?・・・ちょっと意地悪された方が感じる・・・って。」
「そ・・・そんなことないもん!」
「あやが可愛いいもんだから、俺またそそられちゃうんだよなー。エンドレスってやつ?」

祐一は綾子の胸の突起を執拗に責めながら脳天気にノロケ続けた。紅く色づいた実はいよいよ
尖り、綾子の中心部へしびれるような快感を送ってくる。祐一の言葉は嬉しいのだけれど、
綾子は感じてしまってうまく会話が続けられない。

「な・・・んで、こういう・・・時だけ「あや」って呼ぶ・・・の?」
「バッカ・・・。気持ちよすぎて「綾子」とか長ったらしく呼んでられないだろ?」
「あや」も「綾子」もたいして変わらないのに・・・綾子は泣き笑いの表情になった。
「好きな子とつきあえて、そいつが・・・俺が初めてで・・・そのうえエッチの相性抜群とか・・・
俺ってすげー幸せもん?」

祐一は綾子の手をとって、またきざしてきた雄根を握らせた。

「約束して・・・一生、俺としかセックスしないって・・・。」
「・・・ぅ・・・ん・・・やくそく・・・私、ゆうちゃんだけだよ・・・。」

綾子はふるえながら、一生懸命涙にかすむ目で祐一を見てうなずいた。

「・・・そんじゃ、つづき・・・。ここも、可愛いな・・・いや、ここも甲乙つけがたい・・・。」

祐一はちょっと照れて目をそらすと、今度は綾子の胸から下にキスし始めた。

「んー、脚、すべすべ・・・膝も可愛い・・・お尻も・・・。」

綾子の長くてまっすぐな脚を持ち上げ、下僕のように口づけしながらまた上がってくる。

「・・・でもやっぱ、ここがいちばん・・・かな?」

三角形の秘められたしげみに口づけられ、綾子がぴくりと身を固くした。

「ゃっ・・・ダメ・・・だ、め・・・そこはっ・・・。」

両腿をつかんで拡げようとする祐一の手を、綾子は必死でおさえた。

「なんでー?こっからが本題なんだぞ。」

逃げようとする綾子の手を祐一がつかんで、そのまま両腿をおさえる。先ほどの激しい行為で
紅く充血してふくらんだ綾子の女性に、祐一は音をたててキスした。

「ひぁっ?!ゃっ・・・ダメ・・・だったら・・・ぁあ・・・ん・・・。」

身体のすみずみまで灯された官能の火が一点に集中し、綾子をまた翻弄していった。

「ぁ・・・ぁっ・・・ゅぅ・・・ちゃ・・・ん・・・ゅうちゃ・・・ぁあ―――――っ!」

しんしんと雪は降り積もり、あたりの物音を吸い込んで、この世界に祐一と綾子しかいない
ような錯覚を起こさせる。静かな部屋の中で、綾子の甘いあえぎが急速に高まっていった。






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