最終回の直後2
東海林武×大前春子


福岡までトラックに揺られ無事に仕事を終え、引き返す途中。
春子が運転に疲れていたので、(本人は寝ずに名古屋まで帰るといっていたが)
東海林は気を使って安いホテルを一部屋借りた。
彼女は着いてすぐに風呂に入り、備えられていたタオルを首に巻きながら両手に冷えた缶ビールを持って東海林の前に乱暴に置く。
俺は、酒を飲みながら夜景を眺めている春子をじっと見ていた。

「あのさ、」

春子は気だるそうな目で東海林を見た。

「何ですか?」

「俺はソファ使うから、お前はベッドに――」

「気を使って頂かなくて結構です。」

ピシャリと言い放つ。

「でも、運転したのはお前だし 俺は明日助手席で寝てるから、だから」
「大丈夫と言ってるんです」

彼女が自分の意見を意地でも突き通すということは、
あの三ヶ月で痛いほど分かっている。

しかし、疲れている彼女を狭いソファに寝かせ、
自分が広いベッドに寝るのはいくらなんでも、できない。


「…本当は休憩なしで、名古屋まで行くはずだったんですから…。」

ぼそっと下を向いて呟い春子に、俺はため息をついた。


「俺は、さ」
「…何ですか」

「あの時から、お前に、もっと体を大事にして、欲しいと、思っていた。」

今まで淡々と会話を流していた春子が、少しだけこちらを向いた。

「…どうして…? 」

「どうして、って……お前が、好きだからだよ。」

「好き」という言葉に反応したらしく、彼女の目が見開かれ、二人の視線が絡み合う。

「名古屋に来てから、俺、お前にずっと会いたかったんだ。」

背中から春子の小さな体を抱きしめる。
こわばった体とは裏腹に東海林に体を向けて、背中に腕が回された。
肩に体を預けるように寄りかかる。

「…私は…」

彼女らしくなく、声が震えている。

「会いたくなかった。一度会ったら、また、別れが、辛く、なるからっ」

彼女の、過去は痛くて悲しいことも知っていた。

「じゃあ、俺だけは別れないでいてやるよ。」
「え?」

こんな薄い約束が自分達を引き留めておけないことも。

でも――――、


「ずっと、絶対に、離れてやらない。」


東海林は春子の手を包むように握る。

(もう眉毛を抜かれないようにという策でもあったが)

相手も何をするのか分かったのだろう。その挑戦的な目を閉じた。

そして―――――、

二人の唇が触れ合う。

最初は軽く、それからどんどん深くなっていって、
どちらも止めることが出来なくなる。

「…んっ…」

小さく声をあげる彼女を東海林はベッドに押し倒し、
まだ少し濡れている髪を優しく撫でた。

もう片方の手で春子の服を脱がせ、
胸の先端に触れると、それだけで彼女の口から甘い息が漏れる。

キスを止め、紅い果実のような突起を舐めると、
ざらざらした感触に耐えられず、春子の体が痙攣するようにビクッと跳ねた。

「…はぁっ…んっ…」

白い腕を伸ばして東海林にしがみつく。
春子は東海林の肩に顔を擦り寄せて、必死で快楽に耐えていた。

舌で突起を舐め上げ、転がす度に、彼女の体が少しずつ仰け反っていく。
東海林は春子の体に跡を残すように口付けながら、
スカートと下着を引き下ろし、
茂みに隠れている赤く染まった肉芽を親指で潰すように刺激した。

「あぁ…ん…やぁっ…」

「イヤじゃ、ないだろ。…イイくせに。」

「……はぁ…んっ……ん、ずる…い…」

さっきまで指で刺激していた場所にゆっくり顔を近づけ、
軽く吸い付くと、彼女の声は部屋の中にさらに甘く響いた。

充分に湿った春子の中へ指を沈め、かき混ぜるように動す。
彼女の腰が指を動かす度に跳ねた。

「…し…東海、林、……主任……」
「…武、って、呼んで…くれ」

彼女の目は涙で濡れていて、熱に浮かされているように虚ろだった。

「…はぁっ…武ッ…っ」
「…何……?」

彼女は少し困ったような顔をして、出来るだけ俺の耳元に近づく。

そして、聞き逃してしまいそうな程に小さな声で、

「…キス、して…」

と呟いた。

驚いて春子の顔を見ると、
彼女は少し赤くなって、苦しそうな顔を隠す様に微笑んだ。

何だか幸せで少し泣きそうになったけれど、
ぐっ、と堪えて彼女の唇に優しくキスを落とした。

やがてそのキスも深くなっていき、混じり、溶けていく。

指をに2本、3本と増やしていくうちに、
手が愛液で汚れていった。

指を抜き、ズボンと下着を脱ぎ捨て、
膨れあがった自身を彼女の中へとゆっくりと侵入させていく。

「はあっ…あぁんっ、んっ!」

「…っ…春子…」
「あっ、…武っ、…んんっ…」


唇で首筋をなぞっていくと、
春子が中で自分を締め付けていくのが分かった。

壊れそうなくらいに抱きしめ、
快楽を得るために奥へ、奥へと、春子の中をかき乱していく。


視線が合ってもう一度口付ける。
息を吸って何度も、何度も。
舌を絡めて、唇に吸いついて。
苦しさにまた、声を漏らす。

「んっ、…はぁっ…んんっ…!」

開いた手でお互いをかき抱いて、離れない。

「…はぁん…っ……も、う…無理…ッ、あっ!」


頭が真っ白に染めあげられていくのが分かる。

春子は体を反らせ、ビクビクと痙攣しながら達した。

東海林が起きた時、時計は4時を差していた。

彼女はいつ起きたのだろうか、服をもう身に付けていて東海林に抱きつきながら
寝息をたてている。
結局、同じベッドの上で寝てしまった。

「…東海林…主任……」

小さい寝言が耳に入って、胸がドクンと脈打つ。

寝ぼけているのか東海林の胸に顔を擦り寄せて、幸せそうに笑った。
一体どんな夢を見ているのだろうか。
二度と離さないと誓ったこのオンナは。


東海林は彼女を起こさぬ様に、小さな体を抱きしめた。






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