我侭猫
東海林武×大前春子


久しぶりのキスは、不覚にも温かく感じた。
相手の体温が直接伝わる感じ。
でも、それの心を蕩けさせちゃいけない。
自戒の言葉。
バスに駆け込んだ。

そうだったはずなのに、
私は彼の部屋で彼のベッドの上で薄掛けに包まっている。
東海林くんの匂い。
落ち着く。
そのまま、眠ってしまいたい。

湯気の匂い、彼がどたどたと慌ただしく、ベッドに滑り込む。
彼の体から滴る水滴が冷たい。

「…ちゃんと、体を拭いてください」
「いや、慌てて拭いてきたから」
「慌てる意味がわかりません」
「なぁ、ほら冷えるから、そっち入れろよ」

無言。
意地悪く、そっぽ向いて小さく丸まる。
ちょっと、照れも入ってるかもしれない。その顔が見られたくないから。

「がぉーっ」
「ぎゃっ!」

変体天パ全裸男が、後ろから抱きついてきた。
今、絶対顔が赤い。絶対、振り向かない。

「…、これね、背中さむい」
「それが、何か」
「ケツもさむい」
「知らん!!」
「知っといてよ」

そう言って、薄掛けを剥ぎ取る。

「ぎゃー!追い剥ぎっ」
「叫び声が可愛くねぇよ。じゃなくて、追い剥ぎじゃねーし、
俺の部屋で俺のものだし!」

いい年下男女が、子供みたいに、どったんばったん。
無理矢理、包まってた薄掛けに潜り込んで、だらしない笑顔を向けてくる。

「不細工」

恥ずかしくて、彼の顔を手で押し退ける。
それなのに、彼は満面の笑みでクルクル頭をこすりつけてくる。
まるで犬のよう。
主任より、犬気質なんじゃなかろか。

「何、見惚れてんの?」
「寝言は寝てから言ってください」
「寝かせないし、寝ないから当分無理だな」

へらへら笑いながら、抱きしめてくる。
本音、これだけで充分。
人って、触れ合うと温かいんだなー。あぁ、だから、雪山とかで
遭難する人は肌を寄せ合うんだ。でも、私はレスキューする側かな。

うつらうつらと、取り留めのないことばかり考える。
身体は温かいし、湯気の匂いと東海林くんの匂いが混ざり合って、
なんだか、眠いし。

東海林くんは、許してくれるかな。


心臓がばくばくする。

俺の胸の中で、小さく丸まっている大前春子。
可愛くないはずなのに、すげー可愛い。
死んでも、言わねーがっ。
ああぁ、手とか、ぐーにすんなっ。
きゅんとか、きゅんとかしちまうだろ(二回言う必要はありません)
しかも、じっと見つめてくるし!

『何、見惚れてんの?』

お約束の突っ込み。でも、寝かせないのは本当。
俺的プランは、こうだ。
まず、ロマンチック且つ素敵テクでメロメロにさせる。
そして、とっくり(着てないけど)は俺を激しく求めて………、
あぁっ、めくるめく、らぶいずおーるおーばーざわーるどっ!
意味、わかんねー!!
落ち着け、俺。

あー、憎まれ口ばかり叩いてるけど、寝顔はこんなに可愛い…って、

「起きてー!起きてくださーい!!」
「うにゃ…、しょおじしゅにんにわたしのあんみんを
ぼおがいすぅけんりは…むぅ…」
「何、そのねむねむな可愛さ!じゃなくて、権利とかいいから、起きろ!」

胸ん中で、もぞもぞするこいつは可愛い。
それは認める。
だが、それは事後でもいーんでないの?
はっきり言って、俺はこのままじゃ寝られない。

「ひゃはっ」

擽り攻撃。
丸まってた背筋が、ぴんとした。

「…やめなさいっっ」

起きるまでやめない。
くすぐったいのを必死で堪えてて面白い。
面白くて、『ひひひ』なんて、思わず、悪いやつの笑い声になってしまう。

「…ひぁ、…やめっ……っ」

伸ばしてた背筋が、また丸まり、両腿を擦り合わせている。
指を伸ばして、腿の内側に差し挿入れてみる。
指が濡れて、つるりとすべる。
嬌声があがった。

「…起きた?な?」

びくんびくんと波打つ身体を抱えるとっくりに囁く。
そのまま、指を増やすとすぐに、水音が聞こえていやらしい気分になる。
2本指で拡げてみせると、冷たい外気が直に触れるらしく、
か細く制止の声。

「やめんの?」

濡れてふやけてしまった指で、胸の先を抓むとまた可愛い声で誘う。

「やぁ…、ん…」

俺の首に腕を絡ませて、甘える強気な女は、俺だけのもの。
二つのふくらみを交互に吸い付いたり、揉みしだくと涙目でぎゅっと
抱きついてくる。
いとしくて、仕方ない。
漆黒の乱れたストレートをわしわしと掻き撫でる。
とっくりは、きょとんとした顔でまた、みつめてくる。
猫みたいだ。
そっぽ向いたり、甘えてきたり…。
子犬ケンちゃんと、我侭猫ハルコ。
俺、変なのばっかに囲まれてんのな。苦笑。

こいつの髪、指で梳かしてても気持ちいい。
春子も気持ちいいみたいで穏やかに寝息を
って、ダメだろ!寝かせつけちゃ!!
俺の気持ちを何処まで知ってるのか、この我侭猫。

あー、このちんこどうしてくれよう。






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