東海林武×大前春子
「あはは、似合ってねー!」 腹を抱えて笑う東海林。 「…うるさい」 東海林の部屋で、春子はいつもと違った格好をしていた。 白のレース付きブラウスの上に グレーのスモッグを重ね着。 下はピンク系の花柄のプリーツスカート。 まるで森美雪のようなスタイル。 勿論春子が好んでこの服を買ってきたわけではない。 春子の服には色気がないと、東海林が買ってきたものだった。 「貴方のセンスのなさが伺えますね。」 春子は顔を歪めながら東海林を睨んだ。 「うるさいな、マネキンが着ていたのをそのまま買ってきたんだぞ。 森美雪もこんな感じの服着てたじゃないか」 「じゃあ森美雪にあげなさい」 「なんだそれ、可愛くねーなぁお前は。だからそんな可愛い服も似合わないんだよ」 その言葉に腹が立ったのか 春子はぷいっと顔をそむけ隣の部屋へ向かおうとした。 「もう二度と貴方の買ってきた服は着ません。着替えてきます。」 「…!ちょっと待って」 東海林は春子を引きとめようと、思わず後ろから抱きしめる。 大きな手で腕を包み込まれて、思わずドキッとする春子。 力強く抱きしめられたわけでもないのに、なぜか体が動かせない。 「ごめん、可愛くないなんてい言って。…似合ってるよ、とっくり。」 「今日はとっくりは着ていませんが?」 「…そうだな、は…春子。」 後ろから耳元で名前を囁かれる。 春子は思った。 抱きしめられたのが後ろからでよかった。 こんな赤い顔を見られなくて済んだから。 自分の名前を呼んでもらうのがこんなに恥ずかしくて嬉しいものだなんて…。 すると、東海林の手が春子の腕から胸にゆっくりと移動して 服の上から優しく撫でられる。 「…あっ」 思わず吐息が漏れる。 春子の体がかすかに震えだした。 「春子、こっち向いて…」 東海林は春子の頬を引き寄せキスをした。 お互い吸い付くように唇を合わせて その中では舌を絡ませている。 絡ませる速度が速くなるほど、東海林の手は 春子の胸を激しく揉みあげた。 東海林の下半身はどんどん硬くなり、春子も下着の中が 濡れていた。 そんな春子に気付いたのか 東海林はスカートの中に手を入れて 春子の中を指で掻き乱す。 「…いやっ、あん…」 「どうした…?今日はやたら可愛い声出すじゃないか」 着ている服が可愛いと、気持ちも少女の様になるのだろうか。 いつもより甘えた声になってしまう。 私としたことが…でも、なぜか可愛いといわれて嬉しい自分がいる。 春子は両手を壁に当てて前屈みの体制になった。 東海林はズボンを脱ぎ、春子の中に挿入し ゆっくりと左右に腰を振る。 「春子…気持ちいいよ…」 「はあっ…私もっ…」 「……名前、呼んで」 「………武」 繋がったまま、東海林は春子をぎゅっと抱きしめる。 とっくり。 くるくるパーマ。 いつも互いを仇名で呼んでいたからか 名前で呼ばれると 何だか恥ずかしくて、くすぐったくて 初めて裸を見られた時のような気持ちになる。 「春子…好きだよ」 東海林が春子のぐしゃぐしゃになった髪をかきあげ耳元で囁く。 そんな臭いセリフも、今はとても愛しく思えて 春子も思わず呟いた。 「私も、す…きよ」 春子は腕を後ろに回し、東海林の髪を触る。 撫でるほど東海林の天然パーマが 春子の指に絡まった様に いつしか二人の心と体が絡みつく。 力尽きると、二人は床に座り込んだ。 ずっと膝を曲げていたので 間接が痛くてなかなか立ち上がれない。 荒れた息を整え、春子は東海林に言う。 「もうとっくり以外の服は着ません。」 「どうしてだよ、もっと着ろよ…それとも名前で呼ばれるのが嫌なのか?」 「嫌ではありません…恥ずかしいんです。」 下を向きながら、口を尖らせて言う春子がとてもかわいらしくて 今度は前からぎゅっと抱きしめる。 「可愛いところあるじゃねーか、とっくり」 「…もうとっくりですか。」 「なんかとっくりって呼ぶと安心するんだよなぁ。ミドルネームみたいなもん? 大前とっくり春子みたいな。」 「何ですかそれ…」 春子は苦笑しながらも、東海林の背中をそっと包み込む。 花柄のスカートには小さな染みがついていた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |