道明寺司×牧野つくし
![]() どうして、こんなに好きになってしまったのだろう。 つくしは思う。 最初は何てイヤな奴なんだろうと思っていたのに。 パシリを使って、酷い目に合わされそうになったこともあった。 でも今は、そのイヤな奴の腕に抱かれている。 そして何より驚くべきなのは、いつしかつくし本人がその腕に抱かれることを願っていたことだ。 「あたしって、ホント馬鹿だ…」 誰にともなく呟く。腕枕をしながら幸せそうに眠っている隣の少年を起こさないような声音で。 「こんなに嬉しいこと、ずっとお預けさせてたんだね…」 最初に彼を「男」として意識したのは、学校で乱暴されそうになった時だ。 図らずも、男の本当の力を思い知らされた。 どんなに暴れても、びくともしない彼の腕。 しかし、そんな彼がくれたキスは凶暴な表情を裏切るように優しい。 あの時は認めたくなかったが、唇が重なった瞬間、体に電撃が走ったのは事実。 そして今日、その時と変わらない優しいキスに身を委ね、つくしは女になった――。 道明寺が帰ってきた。 つくしの全てを記憶に留めた、道明寺が。 あの時投げたボールが、彼の記憶を蘇らせたのを知ったのは、もう半ば諦めかけていた時だ。 もう、二人で何処へだって行ける。昼間、二人で手を繋ぐことだって出来る。 この恋を、諦めることは、もう無いんだ――。 「取り敢えず、二人になれるとこ、行こうや」 「えぇっ!!」 「なに驚いてんだよ、さっさと来い」 半ば引きずられるようにして、着いた先は豪華な家。そう、道明寺の家。 「ここには、いろんな思い出がある…」 小さな声に出して呟くつくし。 応えるように、司が口を開く。 「あぁ、でもこれからはイイ思い出しかつくらねぇからな」 悪戯っ子のように微笑むと、つくしの肩を抱いて玄関へと向かった。 カーテン越しに見え始めた月が、夜の帳が降り始めていることを物語る。 緊張が二人を包んで、ぎこちない会話が続く。 「あ、あたしの事だけ忘れちゃうなんて、なんて薄情な奴っ」 「しょうがねぇだろっ。お前が薄情だからだよ」 「なっ、なんであたしが薄情なのよっ!」 「だってずっと勿体ぶってんだろ」 「もっ、もったいぶってなんかっ…」 「じゃ、いいんだな」 「だっ、ダメっ!!」 「ほら、やっぱり勿体ぶってんじゃんか」 呆れ返った表情でつくしを見る司。その大人びた表情に、一瞬つくしはどきりとしてしまう。 それを誤魔化すように言った言葉が、司に火をつけた。 「…も、もう忘れたりしないでよっ」 目線を外しながら言うつくしの顔を自分の方に向けて、司はその瞳を見つめながら囁く。 「じゃぁ、もう二度と忘れらんねぇようにしてくれ」 そっと口付けを交わす。つくしは恥ずかしがりながらも、その唇を受け入れる。 司の唇は、優しく、時に強く、つくしの唇を弄ぶ。 柔らかく、時に意地悪く動くその唇は、ずっとつくしが求めていたものだった。 「んっ…」 キスの心地よさに、艶を幾分含んだ吐息を漏らすつくし。 それまでつくしの肩を抱いていた司の腕が、腰に回る。 ビクリと動くつくしの肢体に反応するかのように、司はつくしを抱きかかえ、ベットの元まで運んだ。 「ちょっ、道明…」 「シッ…」 ベットに抱き下ろすと同時につくしの唇にそっと人差し指で口封じし、再度唇を重ねた。 『頭が痺れてる…。もう、どうなってもいい…』 つくしがそう考えるのを見透かすように、司はつくしのブラウスの前ボタンを外しながら、 その唇はつくしの耳朶を甘く吸い、首筋に柔らかく痕を残す。 「んっ…道っ…」 堪えきれない快感を感じながら、つくしは必死で理性を保っていた。 「誰も来ねぇよ…姉ちゃんだって、今はアメリカだ。…俺たちだけだ…」 その司の言葉に、少しずつながら、身体と声を開いていく。 「んっ…あっ…」 完全に前がはだけたブラウスは、言ってみれば全裸よりもそそるのだろう、 司の鼓動が感じられるほど、お互いの胸が高鳴っているのが分かる。 鎖骨の上を滑るようにキスの雨を降らせる司の唇。 と同時に、下着の上から、つくしの胸を柔らかく揉みしだく司の手。 「あっ……やっ…」 抵抗はするが、もはや本気の抵抗ではない。吐息とも溜め息ともつかない声が漏れる。 司はつくしの背中に手を廻し、ホックを外して下着の下へと手のひらを潜り込ませて行った。 未だ誰にも触れられたことの無いその頂は少し固く、丘の柔らかさとは対極にあった。 「あっ……んっ…」 小さく蠢く喉から発せられる音は、甘く司を包み込む。 意地悪をするように、司は頂にそれ以上触れずに、腰や首、太腿の内側などに触れる。と、つくしはまるで電撃が流れたかのように動き、つかさはそれを可愛いと思っていた。 「やっ…道明…意地悪っ…」 堪えきれず、つくしは司を物言いた気に、少し涙目で見つめた。 「ん?…どした?」 意地悪な微笑を口元に残し、優しく問う司。 「…して」 つくしは顔を真っ赤にして、蚊の泣くような声で言う。 「…ん?聞こえねぇよ…」 なおも意地悪く問う司。 「…胸にっ…キスして…」 我慢できないように告げたつくしの声に、司はやっと下着をたくし上げ、綺麗な桜色の頂を口に含んだ。 「んっ!!」 つくしは乳首にキスを受け、仰け反りながら悦楽に浸った。同時に下半身に強烈な快感が走った。 「あぁっ…道明寺っ…」 自然に腰が動き始め、両手は所在無げに司の髪を撫でる。 「やっ…あぁ…気持ち…い…」 右の乳房は唇に預け、左の乳房は右手に預け、そして左手が、内腿を弄る。微妙なラインで、つくしの最も敏感な場所をすり抜ける。 つくしの腰は司の指を求めて彷徨う。まるで触れてくれと言わんばかりに。 その場所は、触れなくても分かるくらい、熱く湿っているのが分かった。 「牧野…」 限界が近い。司は自ら服を脱ぎ、そしてつくしのブラウスとスカート、そして上下の下着を剥がすように脱がせ、一段と激しい口付けを交わした。 「いいのか…?」 司が聞く。最後の砦だ。道明寺はいつまでも優しい。 ここで自分がイヤと言えば、彼は留まるに違いない。 でも、今は違う。この期に及んで、どうして彼を求めることを止められようか。 つくしはコクリと頷く。 「司が、好きっ…もう、どうしようもないくらいっ……早く来てっ…」 目に涙を浮かべながら、つくしは司へと腕を伸ばす。 その腕へと沈んでいくように、司はつくしの胸へと顔を埋めた。 そして、自分自身をつくしにあてがい、ゆっくりと腰を沈めて行った。 「んんっ!…イタ…っ……!」 下半身に引き裂かれるような痛みが走る。道明寺がこんなにも優しくしてくれているのに、こんなにも激しい痛みがあろうとは。 「大丈夫か?」 司の動きが止まる。つくしは首を振って、笑顔で応える。 「うぅん。大丈夫…早く一つになりたい…」 その笑顔に、司は更に慎重に腰を沈めた。 二人の腰が重なり、司はまるで壊れ物を扱うように優しく腰に波を打たす。 小さな凪は、初めての痛みを忘れさせ、徐々につくしに快感をもたらす。 「あっ…あっ…んっ…っ…」 小さな喘ぎは、いつしか司の吐息をも荒くさせる。 「つくし…好きだ…俺の女だ…」 「あっぁっ…つ、つかさ…つかさぁ…」 つくしは我を忘れ、無我夢中で司の名を呼ぶ。もう腰は自分の物ではなくなってしまったかのように、司の動きに応えており、その腕は司を離すまいと、しっかりと司の背中へと回っている。 その一段と熱くなったつくしの手を背中に感じ、もっともっと自らを高波へと打ち上げていく司。 「あぁっ…!!だ、だめっ…そんな、…あぁ…っ!!」 徐々に激しくなる司の動き。その動きは明らかにつくしをも高みに登らせている。 「あっ……つか、さっ…もうっ…!!」 ひとしきり大きな動きのあと、つくしの動きが急に緩慢になる。 そして、その刹那、司自身も大きなうねりに飲み込まれていった―――。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |