道明寺司×牧野つくし
「ったく・・・俺がフランスでもイタリアにでも連れて行ってやるって言ったのによ・・・・」 北海道という国内旅行はまったく予定外だったらしく、軽くため息をつく司。 「まあまあ、あたし、カニを一度でいいから、お腹いっぱい食べたくって。 アメリカもカナダももう行ったことあるし、ヨーロッパで買い物、っていうのも興味ないしね」 無邪気にはしゃぐつくし。 「腹いっぱいって・・・お相変わらず色気ねえな」 そう言いつつも、喜ぶつくしの顔に、司はホッとしていた。 牧野のそういう顔を見るのは、久しぶりだな・・・ ここでは二人を知る者は誰もいない。もちろんあれほどしつこかったSPも。 その開放感からか、二人には自然と笑顔がこぼれる。 しかし、すっかり夜もふけ、雑踏の中、少し前を歩く司を追うつくしの足が、ふと止まる。 うつむくつくしの元へあわてて司が駆け寄る。 「どうした?」 「もう、だめなのかな、って思った。あの時。 もう、あんたの中にあたしはいないのかな、って。 醒めない悪い夢みてるみたいだった・・・ だからさ、もしかして、今こうしているのも、夢なのかな、なんて」 顔はあげられないが、司が心配しているのは明らかだった。 ーだめだ、こんなこと言ったって、道明寺を困らせるだけだ・・ 「へへへ、なんてね」 わざと軽い調子で言い、にじんだ涙を見せまいと背を向けるつくし。 「さあ、次どこ行こ・・・」 後ろから司はぎゅっとつくしを包み込む。 街中で抱きしめられ、恥ずかしさで一瞬身を離そうとしたつくしだが、 強い力に抗えないと悟り、そのまま司の腕に身を委ねる。 「もう絶対忘れねーよ。誓う。 お前は心配しないで、ずっと俺と一緒にいろ」 「・・・ん・・・」 「色々食いすぎて、明日、何食おうか考えたら不安になったんじゃねえか。 安心しろ、明日は俺がうまいもの食わせてやる」 司の軽口にぱっとつくしは身を離し、いつものように言葉を返す。 「ば、ばーーか。明日はね、ラーメン食べるって決めてるんだから。 よしっ、あたしが美味しいラーメンおごってあげるね」 「げっ、ラーメンかよ・・・」 辺りを見回し、司が軽く伸びをしながらつぶやいた。 「疲れたんだろ。そろそろホテルに戻るか」 つくしはソファにもたれかかりながら、目の前にあるクイーンサイズのベッドをぼんやり眺めていた。 旅行の約束をしたときから、こうなることはわかっていた。 道明寺なら・・・・大丈夫。今度は拒んだりしない・・・・ ふと気付くと、司はバスローブを羽織り、ドアの前に立っていた。 「汗かいただろ、お前もシャワー浴びてこいよ」 「う、うん・・・」 シャワールームの鏡に映るつくしの肌は、上気し、普段よりも赤みを帯びているように見えた。 ーーこれから道明寺に抱かれるあたし。道明寺にはどのように映るのだろう・・・・ シャワールームを出ると、司はもうすでにベッドに入っていた。 恥ずかしさに、司を直視できないつくしは、小走りに駆け込み、シーツの間に滑り込んだ。 「牧野、寝るか」 「ねるっ??う、ううん、うん」 「まだ眠くないのか?じゃあ、前みたくトランプでもするか」 どこにしまってあったのか、司がトランプを取り出す。 「ぶっ、道明寺、あんた、どこにそんなのしまってあったの?」 笑い転げるつくしの右手を引き、体を寄せ、司が唇を重ねる。 つくしの鼻孔を、あのコロンの香りがくすぐる・・・・ 「んっ・・・」 司の舌がつくしの唇を割って、奥へと入っていく。 その舌は慎重につくしの舌を拾い上げ、貪るように深くからんでくる。 ずるずるとうなだれるつくしの肩に、司はそっと重みをかけ、ゆっくりと覆いかぶさっていった。 バスローブを滑らせるように脱がしていく司に、羞恥心からつくしは軽く抗おうとするが、 唯一自由になるはずだった右手はすでに司に抑えこまれていた。 あらわになったつくしの小さな乳房を、司の大きく、しかし繊細な手が ゆっくりとなぞり、そして包み込んでいく。 「ど、道明寺・・・・」 「牧野、すっげーきれいだ」 離れた司の唇が、耳元から首筋へと進み、そして胸元の小さな膨らみをとらえる。 「あ・・・」 舌先でころがすように、そして時には軽く噛むように、膨らみを弄ぶ。 指は、つくしの中心へとゆっくり進む。 「あ、道明寺・・・・いや・・・・やめ・・・」 言い切らないうちに、また司の唇がつくしの唇を塞ぐ。 その間にも、司の指は、つくしの敏感な部分へたどり着き、つくしは声にならない声をあげる。 「ん・・・んんっ・・・・・」 司の長い指は、初めはなぞるように、そして小さな蕾を捉え、 ゆっくり円を描くようにこねまわしながら、不意に蕾を弾く。 もはやつくしの下半身はつくしのものではないかのように、溶けるように熱い。 「牧野、目を・・・開けろ」 いつからだろう、きつく閉じていた瞼を、ゆっくり開くと、 少し汗ばんだ、怒ったような切なげな司と目が合う。 と同時に、司の指がつくしにずるっと吸い込まれる。 「あ・・ん・・道明寺・・・・」 痺れにも似た痛みがつくしを襲うが、奥から溢れ出る快感と共に、それは一瞬のものとなる。 指を引き入れたそこは、つくしの意思とは無関係に妖しく蠢めき、司を誘う。 司は・・・もう、限界に達していた。 抑えきれない自分を、司は、ゆっくりとつくしにあてがう。 その大きさにひるむつくし。 瞳の奥に、小さな恐怖を読み取り、司は躊躇したが、 しかし、意を決したように、つくしの中に腰を沈める・・・ 司が自分の中に入ってくることを感じたつくしは、無意識に腰を引いていたものの、 屹立した司の侵入を阻むことはできなかった。 司に大きな快感が訪れると同時に、つくしに裂けるような痛みが襲う。 つくしの痛みを読み取った司だが、自分を熱く包み込むあまりの快感に、 律動を止めるどころか、細い腰に自らを大きく打ちつける。 逃げ場がなく、せり上がったつくしの体を、甘い司の香りが包む。 「くうっ・・・・痛っ・・・・・」 つくしの声に、司はハッと我に帰り、動きを止める。 「大丈夫か?」 「ごめ・・・・大丈夫・・・・」 痛みに耐え苦悶の表情を浮かべるつくしを見て、たまらなく愛しさがこみ上げる。 それと同時に、つくしの体に、自分を・・・一生消えない自分を刻みつけたい、という衝動が沸き起こる。 頬にはりついた髪をそっと梳き、うっすら汗が浮かぶ額に口づけし、司はもっと深く、奥へと、 つくしを求め、楔のように自らを突き立てる。 つくしの敏感な部分に、司の熱い塊が押し付けられ、押しつぶされるように擦り上げられたその時・・・ 「あ・・・ああっ・・んっ」 挿入してから頑なに閉ざされていた、つくしの唇から甘い吐息が漏れるー その声にますます昂ぶった司は、激しく、深く、大きく抽送を繰り返す。 脈打つ司は大きく膨らみ、それに呼応するように体を硬くするつくしの中に、 熱いその思いの丈全てを注ぎ込んだー 「道明寺・・・」 「ん?」 シャワーを浴びようとするつくしを、司は抱きかかえたまま、離そうとしなかった。 「ありがとう」 「ああ?」 思ってもいない言葉に、ポカンとする司。 「待っててくれて」 「お前しか考えられないって、何度も言ってただろ?」 「ふふ」 素直に司の胸に顔を埋めるつくし。 司をつくしのサラサラした髪がくすぐる。 つくしは・・・ふと、自分の下腹部にあたる硬いものを感じ、そしてそれが何であるか悟った。 「ちょ、ちょっと・・・・だめだよ。 まだヒリヒリするんだから・・・・」 真っ赤になって跳ね起きるつくし。 「馬鹿、これはだな、男のせいき現象ってやつだ!!」 「な、何て言い間違いするのっ!!馬鹿はあんたでしょ!」 ー満たされたばかりの二人には、東京で起こっていることを知る由もない。 それも、まさか桜子と美作が、とはー SS一覧に戻る メインページに戻る |