敗北感に似た味
道明寺司×牧野つくし


おまえをめちゃくちゃにしてやる―

突然豹変した司につくしは訳もわからず校舎の中を逃げ惑う
恐怖のあまり、ひざが震え足が思うように動かない。
廊下で転び、倒れこんだつくしに司がにじり寄る。

『やめて…近寄らないで!…やだっばかっ、こっちこないでっ!』

司はつくしに覆い被さり、躰の下につくしを組み敷いた。

『やあっ!』

制服のブラウスのボタンが千切られ、リボンが乱暴に解かれる。
腕の力に抑えこまれ、身動きが取れなくなる。
唇を奪われ、唇を割って挿し入れられた舌は、つくしの口の中をやさしく探る。
つくしは一瞬、甘いキスに身を任せている錯覚に陥った。
しかし、次の瞬間、逃れようと伸ばした右手を抑えこまれ、それは錯覚にすぎないことを思い知る。
廊下のひんやりとした冷たさが、つくしの心と躰を凍らせてゆく。

『やめて…道明寺…お願い…』

つくしは涙ぐみながら司に哀願する。

『おまえが…悪いんだ…』

低く絞り出すような司の声に、つくしは、すがるように問いかけた。

『どうして…どうしてこんなことするの?わかんないよ…。』

廊下の壁はつくしの声を反響させ、ふたたび静まりかえる。
司が起こした騒ぎの影響で、午後の授業が中断になり、他の生徒は既に下校している。
教職員室からも遠く離れている。助けは望めそうに無い。
いくら暴れても、びくともしない司の力に、つくしは焦りを感じていた。

『あたしのこと…あたしのこと…そんなに嫌い?』

目にいっぱいの涙を溜めながら、つくしは、怒り狂う司を見上げた。
つくしの悲しそうな顔に、司はあらためて自らの想いに気づかされる。
嫌いなわけがない。つくしの想いが、自分に向けられていないという事実に打ちのめされても、それでもなおつくしへの想いを止められない。
今まで思い通りにならないことなど、何ひとつなかった司にとって、初めて味わった苦味。
それは敗北感にも似た味だった。

『ちくしょう…ちくしょう…』

司はつくしの胸元を力任せに押し開き、あらわになったつくしの胸に顔を埋めた。
つくしの肌から匂い立つ、飾り気のない、柔らかな甘い香り。
司は心に広がる苦味をかき消すように、その甘やかな香りを胸いっぱいに吸い込んだ。

『牧野…』

司は溜息のようにつくしの名を呼ぶと、やわらかな胸のふくらみにそっと唇を寄せた。

『やあっ…いやあっ…』

つくしは躰を捩りながら司の唇を拒むが、司はつくしの両腕をしっかりと組み伏せ、動きを封じる。
つくしの胸の蕾を口に含み、舌先で転がす。

『ああっ…だめえっっ…』

白い喉を仰け反らせながら、つくしは切なそうに拒絶の言葉を繰り返す。
司はそれに構わず、蕾を舌で突つき、唾液を塗りこむように舌で舐め上げる。
甘く歯を立て、弄ぶように吸い上げる。
やがて、胸の蕾はつくしの意思とは無関係に硬く尖りはじめた。
つくしの躰の反応に気づいた司は狂喜し、つくしの顔を覗きこんだ。

『イヤだなんて言ってても、躰は正直だぜ。俺に抱かれてうれしいんだろ?』
『違っ…違うっ…ううっっ…』

司の愛撫に反応してしまった躰。
つくしは自らの躰を恨めしく思いながら涙を溢れさせた。

つくしの躰を満足そうに眺めながら、司は自らの暴走を加速させてゆく。

『もっと、もっと感じさせてやるからな…』

司はつくしの腕を頭の腕で組ませ抑えこむと、脚の間に躰を割り込ませ、花芽を下着の上からなぞるように愛撫しはじめた。

『やだ…あっっ…やだっ…』

自慰の経験すらなかったつくしがはじめて味わう、痺れるような、恐ろしい、甘い感覚。
司は注意深くつくしを抑えこみながら、花芽を弾き、擦りあげるように愛撫を繰り返す。

『いやあっっ…んっっ…』

円を描くように指先でなぞり、摘み上げる。溝を確かめるように指を這わせ、襞を探る。
自らの思いに背くように、つくしの躰は少しずつ熱を帯びはじめる。
司は、わずかに弓なりに背をそらすつくしの躰を見て、ひとりほくそ笑んだ。

『いい反応してるじゃねえか。気持ちいいんだろ?』

つくしは唇を噛みしめ、司の言葉にただ、ただ、うなだれるだけだった。

『牧野、俺を見ろ…俺の目を見ろ…。』

司はつくしの思いを確かめるように、その瞳を覗きこんだ。
しかし、つくしは司を拒むように、視線をそらしてしまう。
司はつくしの顎を掴み、むりやり自分の方を向かせた。
それでもつくしの視点は定まらず、ぼんやりと宙を彷徨うだけだった。

『どうして俺を見ないんだっ…』

司は苛立ちをつくしにぶつけるように、スカートの中に手を伸ばし、乱暴に下着を引き下げた。

『いやああっっ!助けてっ!花沢類っ…』

つくしが咄嗟に叫んだその名は、司の怒りを一気に頂点へと押し上げた。

『なんで類の名を呼ぶんだ!そんなに…あいつのことが好きなのか…?』

司の問いかけに、つくしは無言のまま静かに頷き、そっと目を伏せた。

『類のことが…そんなに…』

司は怒りに震え、息を荒げながら躰を起こすと、ベルトに手をかけ、外し始めた。
つくしはその手の動きに顔色を変え、泣きながら頭を振った。

『いやあ…そんなのいやあっ…』

熱くそそり立った司自身が、つくしの目の前に差し出された。
つくしはその猛り狂う姿に戦慄を覚え、激しく抵抗する。

『そんなのいやああっ…』

つくしは司の躰を押し退け、司から逃れるように床を這った。

『逃げるんじゃねえっ!』

司は逃げようとするつくしの足を掴んで引き戻すと、背後から抑えこみ、スカートをたくしあげた。
そして、わずかに潤みが溢れ出した秘部に自らのものをあてがった。

『おまえを女にしてやるのはこの俺だ…』

司はその手に握り締めた凶器で、つくしの躰を背後から一気に貫いた。

『いやああっっ――!』

破瓜の激しい痛みがつくしを襲う。

『痛い…いやっ…あっ…んっっ…やめてっ…』

はじめて味わう女の躰に、司は舌なめずりをしながら、激しく腰を遣いはじめた。

『気持ちいいぜ、牧野。』
『あっ…はうっ…あんっっ…ああっっ…』

司の律動に呼応するようにつくしの苦しげな声が洩れる。

『やらしい女だな。喘ぎ声出てるぜ…』
『やあ…違…あうっ…はうっっ…』

司は痛みから逃れようとするつくしを抑えこみ、恍惚の表情を浮かべながら、つくしの中で自らを熱く突き上げる。

『すっげえいい…イッちまいそうだ…』

つくしは司のつぶやきに色をなして叫んだ。

『やっ…中でするのだけは赦してっ…お願いっ…』

せめて精を受けるのだけは避けたい。
そんなつくしの悲愴な思いとはうらはらに、司はより深く自らの躰を沈めようとつくしの腰をぐっと引き寄せた。

『やだあっ…やめてえっっ!』
『おまえの躰にたっぷり注ぎこんでやるからな…。』

司はにやりと不敵な笑みを浮かべながら冷たく言い放つ。

『いやあっ、お願いっ、それだけは…』
『なんだ、不満か?』

司はつくしの躰を上半身を抱き上げ、抱え込んだ。
背後から突き上げながら、花芽を擦り潰すように愛撫する。

『ここが好きなんだろ?ん…?』

司は指先で花芽を弄び、口角を歪めながら囁く。

『やあ…はうっ…ああっっ…』
『こっちも好きか?』

胸を鷲掴みにし、激しく揉みしだきながら、司は自らのものに最後の脈動が駆け抜けるのを感じた。

『烙印を押してやる…』

司はびくんと躰をしならせると、熱く滾るものをつくしの躰の中へと放った。
願いも空しく、容赦なく注がれる精。
司の欲望が躰の奥深くに広がり、逆流となってつくしの鮮血とともに流れ出るのを感じながら、つくしは深い絶望の淵に沈み、司の腕の中に崩れ落ちた。






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