敗北感に似た味 続編 ラブラブver
道明寺司×牧野つくし


気が付いたとき、つくしはふかふかのベットで寝ていた。

ここは……?

見慣れない、豪華な造りの部屋。
身体を起こそうとすると、下腹部に違和感と、鈍い痛みを感じた。
頭の中を、忌まわしい記憶が走り抜け、つくしは両手で顔を覆った。

「気が付いたか」

道明寺の声がして、つくしは体を硬くした。

「何か、飲むか?」

気づかうような、優しい声。

「ここ、どこ?」
「俺んちの、軽井沢の別荘」

道明寺は、自ら運んできたワゴンをベットの側に置く。

「何か、飲め。食いたいもんがあったら、言えよ」

道明寺はそれだけ言うと、部屋から出ていった。

何よ…、あいつ…

ワゴンの上には、ミルク、オレンジジュース、紅茶、コーヒー、日本茶等、様々な飲み物が乗せられていた。サンドイッチなどの軽食もある。
なんで…?…なんで、……あんな事、したの…?

恐怖が、つくしの胸を締め付ける。

あいつは、自分の言うこときかない奴を、弄んでるだけなんだ…

おぞましい記憶が、つくしを絶望させた。

部屋の中が暗くなり、夜が訪れたことをつくしに教えた。
つくしは目を開けたまま、ベットに横になっている。
シミ一つない天井に、忌まわしい記憶が映し出され、何度も強く目を閉じた。
ドアの開く音がして、道明寺が部屋に入ってきた。

「何も、飲まなかったのか?」

ワゴンの上の物を見て、道明寺が言う。

「何か食べたい物、あるか?」

あるわけないでしょう?あたしは、あんたに……レイプされたのよ?!
言ってやりたかったけれど、それすら疎ましく思えた。
ベットが揺れ、道明寺が腰掛けたことを感じ取ると、つくしの身体ははじけるように、反対側へ飛び退いた。

そんなに、俺が嫌か…

つくしを思う気持ちが、怒りにも似た苛立ちに変わる。
道明寺は、つくしの手首を素早く掴むと、引き寄せる。
手首の痛みと恐怖が、つくしの身体を硬くする。

「おまえは、俺の女だ。」

つくしの頭の中で、恐ろしい記憶がよみがえった。
目をつぶっても、目を開けていても、鮮やかに光を放ち、浮かび上がる。
身体がこわばり、全ての感覚が遮断され、身体が冷たくなっていく。
道明寺は、つくしのただならぬ様子に動きを止めた。

「牧野…?」

血の気が失せ、人形のように動かないつくしの肩を掴み、揺らす。

助けて……、花沢類…

あの時、口にした台詞が、無意識のうちに唇から漏れていた。

道明寺は、側にあったワゴンを蹴り飛ばし、ベットサイドのランプシェードを投げ飛ばした。
大きな音が部屋中に響き、つくしの意識は覚醒された。
何が起きたのか分からず、体を硬くする。

「そんなに、類がいいのか?!」

吐き捨てるように言い放ち、激情のまま、つくしの肩を押さえ込む。
まっすぐに見つめられた瞳から、目がそらせない。

「俺より、類がいいのかよ!……俺じゃ、だめなのか…?」

細められた瞳に、切なさがにじみ出ていた。

「俺は、おまえが好きだ」

まっすぐな思いが唇から漏れる。

「みっともないほど、嫉妬…してた。…今でも、だ」

嫉妬…。その激しい感情が、道明寺を突き動かしたことを、つくしはようやく気が付いた。

憎いから、あんな事したんだと思ってた。嫌いだから、あんな酷いこと……

「おまえが、欲しい…」

切なくかすれた声で呟くと、覆い被さるように抱きしめた。

道明寺が…、あたしを…?

壊れ物を扱うように、抱きしめられ、耳元に道明寺の息づかいを感じる。
つくしの手は、無意識のうちに、道明寺の頭を撫でていた。癖のある髪に指を潜り込ませ、優しく撫でる。
つくしの優しい指先の感触が、道明寺の激情をとかす。
道明寺は、信じられない、という風につくしの瞳を見つめる。つくしも、まっすぐに見つめ返した。
道明寺は、気づかうように抱き直すと、つくしの髪に口づけた。

「おまえが、好きだ。気がおかしくなるほど惚れてる。俺が欲しいのは、おまえだけだ。」

道明寺には似合わない静かな口調が、つくしの心にしみ込む。
言葉は見つからなかった。けれど、本気の道明寺には、ちゃんと向き合わなきゃいけないように思えた。

「道明寺、あたしやっぱり、あんな事したあんたを許せないよ。」

道明寺の身体が、強ばったように感じた。それでも、腕の中は柔らかくつくしを包む。

「けど、こうしてるの、嫌じゃないの。何でだろう。」

今でも、道明寺が怖い…。けど、嫌じゃない…。……なんでだろう…。

考えようとしても、頭の中が甘くて、何も考えられない。そんなつくしの唇に、道明寺の唇が重ねられた。
そこから、道明寺の熱い心が伝わってくるような気がして、きつく閉じた。まだ、受け入れられない…。けれど、それはどこまでも優しく、いつしかつくしの唇から力を奪った。

なんで、こんな優しいキス、するの……?

身体がとろけてしまうような感覚…
全てのものから守られているような、安心感がつくしを包む。
唇が離れ、閉じていた瞳を開けると、まっすぐな道明寺の瞳とぶつかった。
とたんに、忌まわしい記憶がよみがえり、顔をそらす。
つくしの顎に指をかけ、自分の方へ向ける。

「俺を見ろ」

かすれた声、切ない瞳…。つくしの鼓動が早鐘を打つ。
再び唇が合わさり、抗いようのない感覚がつくしを支配する。

引き裂かれた制服は、すでに着ておらず、代わりに着せられていたパジャマのボタンに、道明寺の指がかかった。
その手を止めようとすると、逆に組み敷かれ、甘く拘束される。
薄く開かれたつくしの唇に、道明寺の舌が滑り込む。
滑らかに、優しく口腔内を彷徨ったかと思うと、全てを手に入れようとするかのように強く吸う。
あんな、ひどいことされたのに、なんであたしは、嫌じゃないんだろう…?
甘くて強いさざ波のようなキスが、つくしを酔わす。
丁寧に、ボタンは全て外され、パジャマを肩から滑り落とすと、何も身につけていないつくしの肌が露わになった。
思わず、道明寺の瞳が釘付けになる。

「見ないで…」

頬を赤らめ、両腕で隠そうとするつくしの手首を道明寺が捕まえる。

「隠すな。……きれいだ」

道明寺の唇が、つくしの首筋を味わう。つくしの敏感な部分を見落とさないように、丁寧に愛撫する。

「……んっ…」

声を押し殺すように、つくしの唇から吐息が漏れた。
体重が掛けられ、ベットへ倒れ込むと、堰を切ったように道明寺がつくしを抱きしめた。
強く、つくしが痛みを感じるほど、強く…
道明寺の手が、つくしの胸の膨らみを包み込むように揉みしだく。
やわやわと、弾力を楽しむように弄び、ピンク色の蕾を口に含む。舌先でちろちろと舐め、硬い感触を味わい、甘く吸う……。道明寺によって与えられる刺激が、つくしの身体を支配する。

硬く尖った蕾を甘く噛み、舌を這わせる。背中を指でなぞると、ぴくんと身体がしなった。パジャマのパンツを引きずり降ろし、下着越しにクレパスを撫でた。

「っひゃあっ……あっ…」

つくしの唇からは、甘い吐息が漏れ、時折声が混じる。
あんな酷いことされたのに、どうして……こんなに感じちゃうの…?
身体が熱を発しているように熱く、道明寺から与えられる刺激を待っている。
つくしの背中に道明寺の唇が彷徨い、いくつもの淫靡な痣をつけていく。その度につくしの身体はしなり、甘い声がこらえきれずに漏れだした。

「声、聞かせろよ。」
「い…いや…。恥ずかしい…」
「それが、いいんだ。」

背中に熱い唇を感じ、胸の膨らみを大きな掌が揉みし抱く。もう片方の手は、柔らかな内股を撫で、時折、クレパスに触れた。
わざと外しているようなその手の動きが、つくしをじらす。控えめに触れるその手に、苛立ちすら芽生え始めた。
もっと、触って…。
言葉が頭の中によぎり、恥ずかしさに身体が発熱する。
やだ、あたしっ。何考えてんの?

不意に、道明寺の吐息が耳にかかり、思考が飛ぶ。耳の輪郭を舌がなぞり、甘く噛む。耳朶を緩く吸い付け、ちゅっちゅという音を立てた。

「っはあっ…」

刺激に弱い耳をいたぶられ、掌が膨らみを包み、時折蕾を摘む。背中には厚い胸板を感じ、内股には、控えめに動く掌を感じている。

お…おかしくなっちゃいそう…

「ま…きの…?」

無意識のうちに、内股を撫でる手に、クレパスを擦り付けるように腰を動かしていたらしい。

「あ…。」

つくしは、急に羞恥心を思い出さされ、顔を真っ赤に染めた。そして、シーツを引きあげ、潜り込もうとする。

「っきゃっ…!」

つくしの両手首を道明寺が捕まえ、ベットに押しつける。

「逃げるな。おまえは、俺の女だ。」

引き剥がすように下着を外し、つくしの淡い茂みに目を奪われる。
道明寺に見られていると思うだけで、つくしの身体は熱く火照る。内股をぴったりとくっつけ、視線を遮ろうとする。その様子が初々しくて、道明寺を煽る。
つ……と、指先が茂みを探り、クレパスに触れた。
つくしの身体はぴくんと反応し、身体を強ばらせる。それを感じ取った道明寺は、片方の手で膨らみを揉み、堅い蕾を弄んだ。

「はあっ…ふうっ…あぁ…」

身体の力が抜け、柔らかくしなり始めた。それを見て、道明寺の手が、背中や脇腹、首筋の等の性感帯をなぞる。
温かい手が体中を彷徨い、つくしの中に甘い疼きを再燃させた。先ほどから感じていたつくしには、十分すぎるほどの愛撫に、脚の力がほどけた。
ゆるりと開かれた脚の間に身体を割り込ませ、クレパスに指を這わせる。

「ま…きの…?すげぇ、濡れてる。」

そこからは、とろとろと甘い蜜が溶けだしていた。

「っやぁっ…!」
「や、じゃねぇ。すげえ、いい。」

クレパスを指が行き来し、蜜を誘い出す。その湧き出てくる中心に指を差し入れ、何かを探るようにうごめく。他の指が花芯を探り出し、くりくりと刺激を与えた。

「っはぁっ…あっ…」

たまらず漏れ出す声が、道明寺を煽り、満足させる。

「ここが、感じるんだろう?」

花芯を指先で挟み込むように擦りつけると、鳴き声のような嬌声が漏れ出た。

「っくふっ…うっ…ん…」

片手で全身を愛撫し、もう片方の手で花芯を弄ぶ。

「もっと、俺を感じろ…。」耳元で言い、耳朶を甘く噛んだ。
電気のような痺れが、何度もつくしの身体を走り、快感が体中を支配した。

道明寺の唇がつくしの秘所に寄せられた。

「っやっ!だ…だめぇっ!」
「なんで?」
「だって、…恥ずかしい。汚いよ…。」
「汚くなんかない。すげー、かわいい。」

そのピンク色の花弁に口づけ、舌先でちろりと舐めた。

「っひゃあっ…!」

今まで感じたことのない快感がつくしを襲う。
道明寺の舌が、クレパスの襞を丹念に舐め、時折花芯に触れる。蜜壺に舌を差し入れ、滑らかに動いた。

「っくふっ…うっ…ん…」

道明寺がつくしを盗み見ると、とろけた瞳で快感に酔いしれていた。

すげーかわいい…。

好きだから、愛しているから、乱暴に犯してしまった。それは、後悔していなかった。けれど、つくしが自分を拒否することが怖かった。でも、今、自分を受け入れている。感じ、酔いしれている様子に、道明寺は有頂天になった。
花芯に舌を這わせると、嬌声は一段と大きくなった。舌で十分に刺激を与え、吸い付けると、背中を反らせる。
くちゅくちゅと、音を立てて舐め、吸い付ける。淫靡な水音がつくしを煽る。

「こんな音がするほど、濡れてんだせ。」

言いながら、指を花弁の中心へ差し入れた。くちゅりと音を立て、吸い込まれる。
つくしの中を掻き回しながら、花芯を舌で弄ぶ。指を二本に増やし、出し入れすると、甘美な蜜があふれ出た。

「道…明寺…」

つくしの唇から、自分の名を聞き、うれしさが込み上げる。

つくしの心の中では、自分を悦ばせようとしている道明寺に、不思議な感情が込み上げていた。
憎いはずなのに、愛おしさすら感じる。
自分の欲望を果たすだけではない、道明寺の愛撫が、つくしの心にしみ込んだ。
愛されるって、こんなに気持ちいいんだ…。
乱暴に犯され、気持ちを踏みにじられたように思っていたけれど、それは、愛情の裏返しなんだと、今では分かる。
道明寺の優しさや、つくしへの気持ちを全身で感じ、快感だけではない感情が、つくしの身体を酔わせていた。
つくしは秘所に、硬いものを感じた。その先端が、クレパスを行き来する。その熱さと強ばりを感じるたび、蜜が溢れ出す。

「っふぅ…っん…っあ…あっ…」

硬いものがほんの少し、蜜壺に差し入れられた。先端だけが出し入れされる。それだけでも、つくしには十分すぎるほどの刺激だった。
僅かずつ深さを増し、つくしの痛みを和らげるように押し入れられる。

「痛かったら、言えよ。」

優しい声がして、見ると、道明寺が悦びに顔をしかめていた。

道明寺も、…気持ちいいの?

自分の中に道明寺の熱を感じ、悦びが沸き上がる。それが吐息に変わり、声が漏れた。

「もう少し、入れるぞ。」
「もう…だめ…。もう、いっぱいなの…」
「だめだ。まだ、全部じゃないんだ。」

そう言うと、自身をゆっくりとつくしの中へ沈めた。

「っあぁぁっ…」
「痛いか?」
「ううん…。…奥まで、感じるの…」

自分の口からこぼれる言葉に、顔を赤らめるつくしが、愛おしくてたまらない。
不思議と、痛みはなかった。道明寺の愛撫が、つくしの中をほぐしていた。

「少し、動くぞ。」

つくしの様子を伺いながら、ゆっくりと腰を動かす。その度に溢れ出す蜜と甘い声が、つくしの快感を表している。

「っふぅ…っん…ああっ……!」

つくしの中は温かく、きつく感じた。

まだ、慣れてねぇからな。

鼻にかかっているような甘い声。いつの間にか道明寺の手を握っているつくしの手。つくしの喘ぐ表情を見ているうち、道明寺の腰の動きが早くなる。
つくしの中がひくつくように締め付ける。それは不規則なリズムで道明寺を頂点へ誘う。

「牧…野…?」

意図的にしているようには思えない。それは強さを増し、道明寺を煽る。

「そんなに締めたら、もたねぇ…。」

つくしの腿がわななき、背中を弓のように反らせる。甘い声は泣いているような嬌声へ変わった。

「いきそうか?」

そう聞かれても、初めての感覚に、答えが見つからない。
けれど、大きな波のような快感に飲み込まれそうになり、恐怖すら感じた。

「道…明寺…!」

名前を呼んだ瞬間、つくしは頂点へ登り詰めた。
つくしの中は強くひくつき、頂点へ誘う。道明寺は、深く強くつくしに自らを打ちつけ、果てた。

「今夜は、このままでいさせてくれ。…何も、しないから」

そう言うと、道明寺は身じろぎもせず、つくしを包み込んだ。
どうして、道明寺の腕の中は、こんなにあったかいんだろう…?なんで、あたしの身体は、道明寺の身体に添うんだろう?
答えは、つくしの心の中に芽生えていた。

けど、今は、気付かないふりをして、腕の中で眠りたい……






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