道明寺司×牧野つくし
道明寺家ーとある一室 −コンコン 扉がノックされた。 「誰?」 「あたし」 扉の隙間からつくしが顔をのぞかせた。 「おう」 「見舞いに来たよ」 「入れよ」 「う、うん」 司は風邪をひいて3日間、学校を休んでいた。 「調子どう? はい、これ。あんたの口には合わないと思うけど」 そう言いながら、ベッドの上の司にクッキーを差し出した。 「あーもう元気。体なまったぜ。サンキュ。・・・おまえ、バイトは?」 「今日は休んだ。誰かさんが寂しがってると思って」 「うるせーよ」 ベッドの脇の椅子に座りながらつくしは言った。 「相変わらず静かだし広い部屋だね。こんなとこいたら一日が長そ・・」 「まーな」 「おまえ、コートぐらいぬげば?」 温かい部屋で、長いコートを着たまま話し続けるつくしに司は言った。 「い、いいよ、すぐ帰るつもりだしっ」 慌ててコートの前を押さえるつくし。 「っておまえ、コートなんて持ってたっけ」 「いや、あのちょっと、・・いや、なんでもない。あはっ」 「あはっ、じゃねーよ。おま・・まさか俺が風邪で苦しんでる間に他の男に・・」 「ちが、あのちょっと、あたしもか、風邪、そうよっ風邪ひいてっ。ゲホゲホ」 じーっ。疑いのまなざしの司。 「あ、あたし帰るよ。元気そうだし、じゃーねっ」 立ち上がるつくしの腕を、司が引き寄せた。 「ど、道明寺、ちょっと」 「もう少しいろよ」 つくしの頬を撫でるように、髪の毛をそっとすいて唇を重ねた。 いつものように優しくて柔らかなキス。 つくしは、自分の体から力が徐々に抜けていくのを感じた。 少し開いた唇に侵入してくる舌先は、 少しずつ激しさを増しながら、さらにつくしの舌を求めた。 司の手がコートのボタンにかけられ、一つ、二つ、はずされていく。 このままどうなってもいい・・そう思った瞬間 「ど、道明寺、待ってっ」 「おまえ、そのカッコ・・」 コートの下から、純白のナース服が現れた。 「いや、これはちがうのっ、あのっ|||||||」 −つくしはいつものように校門を出ると、 脇にとめられていた車から滋がおりて来たー 「きたきた、つくしっ」 「滋さん・・どうしたの?」 「司のとこにお見舞いに行こうと思ったんだけど、 ほら、あたし一人じゃつくしに悪いしさ。いっしょに行こうよ」 滋が制服姿のつくしをじっと見る。 「な、なに、滋さん」 「つくし、そのまま司んち行こうと思ってた?」 「うん、そのつもりだけど・・?」 言い終わらないうちに滋がつくしの手を引き車に乗せた。 「帰るわっ急いでっ」 「ちょ、ちょっと、滋さんっ」 「じゃーねっ、つくし。司によろしくっ」 ポイッ。 道明寺家の前で車をおろされるつくし。 「って、滋さんお見舞いは」 「ふっふっふっ。じゃましちゃわるいし、 つくし一人で行って。じゃーねっ!」 ニヤリとした滋を乗せた車が小さくなっていく。 「じゃーねってオイッ!」 「・・・あいつのやりそーなことだな」 「というわけで、制服も滋さんちにおいたまま・・あたし帰るわ・・」 ヨロヨロと立ち上がるつくしに司が言った。 「・・おれはいーけど」 「いーけどって、あんた」 「だって、おまえさいしょやってから、なかなかさわらせねーし せっかく滋が気ぃきかせてくれたんだしよ・・」 「さわらせねぇってあんた。だめだめ、だめだってば」 「ちぇーっ看病してくれたっていーのによー・・ブツブツ・・」 ちょっと拗ねたような伏せた目が、でかい図体と反比例して可愛く見えた。 「・・ちょ、ちょっとだけならいーよっ」 さっきまでの激しいキスで、唇はすでに柔らかくなっていた。 温かく熱を持った唇が、つくしの頬、耳、うなじ、そして首元へと這っていく。 つくしの頭を支える優しい大きな手、 そして細く長い指が鎖骨のしたの小さなふくらみを愛撫した。 服の上からそっと、下から上へとやさしく包むような動き。 もう一度見つめ合い、唇を重ねた。 司の舌が、つくしの舌を奥へ奥へと求める。 一つずつはずされるボタン。 静かにベッドに寝かされたのと対照的に、 少し荒々しく服は脱がされ上半身がむき出しになった。 「あっ・・」 司の舌が首元から少しずつ胸へとおりていく。 胸の硬く尖った突起への愛撫は、 自分への愛しさで溢れているのが伝わってくる。 恥ずかしさで顔をゆがめるつくし。 声を必死に押さえる。 「声出せよ」 そう言って、つくしの口に左手指をそっとあてた。 「ぃやっ・・はああっ」 ずっと堪えていた声が、指をかんだ口元から思わずもれる。 その声に触発されるように、司の息が少し荒くなる。 胸を愛撫していた右手が下へとおりていく。 その手は腰の位置で下敷きになった服の上を通過し、 スカートの下から、つくしの、その熱をもった部分を捉えた。 「あぁあっ・・」 つくしの手が司の背中にしがみつく。 下着の上から執拗に刺激されたそこは、より湿り気を増す。 そしてその薄い布のすきまから、柔らかな茂みをそっとかきわけ、 さらに体内へと指が入ってくる。 「まだ痛いか?」 じっと見つめるつくしはほんのり紅潮し、 その泣きそうな顔を横にふった。 高い天井の広い部屋に、もはやどちらのかも知れない吐息が響く。 身につけたものはすべて脱ぎ剥がされた。 静かに司自身が入ってくる。 「少し力抜け」 「ん・・」 静かに入ってきて、そしてつくしを突き上げた。 「ああっ」 つくしの頭を抱え、さらに腰を突き上げる。 「あぁっ、いっ(たー)」 「わり・・・でも、もう止めらんねぇ・・」 「だいじょう・・」 つくしのそっと開いた目に、 初めて見せる司の切なげな表情が飛び込んで来た。 自分の愛する男に抱かれている現実−。 つくしは司の広い背中に力いっぱい抱きついた。 何度も何度もくりかえし愛される。 そして次の瞬間、体がふわっと持ち上げられて、 つくしは司の腰の上に座らされた格好になった。 「え、あ」 「どうした?」 「こんな・・かっこ・」 言うが早いか、つくしの唇は司の唇で塞がれた。 肌をやさしく撫でる手が、やがてつくしの腰をつかみ 一方の手がその結合部をまさぐる。 「あぁっ・はぁっ・・ぁあんっ」 自分にこんな悩ましげな声が出せると思わなかった。 その淫らな自分の声。それが口から吐き出される度に 欲情を増す司。 それを思うと、恥ずかしさと愛しさで頭がのぼせる。 「あぁっ・・道明寺、あたし、だめかも・・」 抱きついた手に力が入る。 自分で自分の体が分からなくなる。 重なった部分はこんなにはっきりとした感覚があるというのに。 耳元で司の震えるような声がした。 「牧野・・・愛してる・・・」 「あっあっあっ・・あぁあっ!」 体が小刻みに震え、体の中が真っ白になった。 「・・やっぱりコレ、怪しいよね」 つくしはベッドの上で背中を丸め、 細かなしわの刻まれたナース服を手にため息をついた。 「いーじゃん、クリーニング出しといてやるよ」 「だ、だめだめだめっ。そんな恥ずかしいことっ」 パニックになるつくし。 「制服は滋さんちだし・・あぁっ・・ちょっとだけと言ったのに・・。 看病するって・・されて・・あたしって||||||||||」 頭を抱え、そのまま横たわる。と思ったとたんガバッと起き上がる。 「とりあえず、このままコートを着て・・ってあたしは変質者かいっ。 あんたの服を借りて、コインランドリー行って・・そうよっそれよっ」 「気にしすぎ」 頭にポンと手をおいた司の顔がふっと笑った。 −ああこの笑顔− 自分はなんでこんなに焦っているのだろう。 ずっと探していた平和な時間が、いまここに流れているのに。 「あとで考える」 そう言って、つくしは司の体に入り込むように顔を埋めた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |