結婚記念日
道明寺司×牧野つくし


「なぁ、つくし・・・機嫌治せよ。俺が悪かった!この通り
謝るから。」

ドレッサーのスツールに座り髪を梳くあたしに必死で謝っている。
この男、道明寺司。
司と結婚して1年になる。最初は照れくさくてなかなか呼べなかった
けれど、やっと、「道明寺」から「司」と呼ぶことに慣れてきた。

「知らないっ! 初めての結婚記念日だったのよ?レストランを
予約してあるから、一緒に食事しようって言い出したのは
司なのに、すっかり忘れてたってのはどうゆう事よ!電話も
繋がらないし、待ちぼうけ食わされてすっごく、
心細かったんだからっ・・!」

「悪かったよ。ほんっと、すまない。この通りだ。埋め合わせは
必ずするから。なっ? つくしちゃぁん、機嫌直して?」

司が、後ろからあたしを抱きしめる。

「そっ、そんな甘えた声出したって無駄!」
「ちっ、冷たいな、オマエ」

司が小さく呟いたのをあたしは聞き逃さない。

「あ?何か言った?」
「いや、何にも・・・(コイツ地獄耳・・) マジ悪かったよ。
だから、な?」

司が胸の頂に手を伸ばす

「あんっ・・」

って、何反応してんのよあたし・・・

「駄目っ! ペシッ!!」
「ってぇ。なにすんだよ!」
「罰として暫くオアズケ!」
「何でだよ。おまえだって今、あんな気持ちよさそうな声・・・」
「そ、それは・・・・ とにかく、それとこれとは別!」
「なぁ、つくし、駄目か?」
「駄目です」
「どうしても?」
「どうしても。」
「つくしぃ・・・」

いつも鉄の鎧をきて、道明寺財閥を背負っているこの人が
唯一あたしにだけ見せる、甘え顔。
そんな捨てられた子犬みたいな瞳で見ないでよ。

「わ、わかったわよ。但し、キスだけね。」
「ちぇ。ケチ」
「嫌ならいいのよ?」
「いえ・・・有り難くいただきます。」

(こいつ、段々ばばぁに似てきてないか?)

「ほら、つくし、おやすみのキス・・・」

そう言うと、顎を持ち上げ舌を絡ませた。

「あっ・・・んっ・・・っふぅ・・・」

司の濃厚なキスはいつもあたしの感覚を揺さぶる。
なし崩しにベッドへ倒れこむと、司は更に激しく
唇を貪った・・・。

「あんっ・・・司・・だめ・・・」
「分かってるよ。キスだけ、だろ?約束通り他には
なんもしねぇから、もうちょっと味あわせろよ。」

舌を絡ませ、何度も唇をついばむ。やがてその唇は
耳朶へと移行し、首筋へと落とされる。

「あっ・・んんっ。」

ブラウスのボタンが外され、胸元があらわになる。

「・・んんっ・・司・・そんな所・・卑怯・・・」
「何言ってんだよ。キスってのは、唇だけにするもんじゃ
ないだろ・・・」

司はあたしをうつ伏せにするっとブラウスを脱がせ、
腰の辺りから背骨に沿って丁寧にキスしていく

「はっ・・・ああんっ・・司・・・今日はもう・・・
だめ・・・」
「・・・まだだ。」

唇が首筋まで来た時、司はあたしを仰向けにして、ブラを
ずり下げいきなり胸の頂に口づけた。

「つくし、ここ好きだよな?」
「あ・・・ん・・・ばか・・何言って・・・んんっ・・」

チュッ・・・チュッ・・・

司はわざと音を立てて、あたしの反応を愉しんでいるようだった。
いつも指で愛撫されている場所ですら、司は触れようとはしない。
司の唇が太腿まで来たときにはあたしの秘部は恥ずかしい位
潤っていた。

つくし・・・司があたしの下着に手を掛けた時、それを
知られるのが恥ずかしくて頑なに拒む・・・

けれど、かなう訳はなく、あっさりと下ろされてしまう
司は脚の間に顔を埋め、双丘にも口づけた。

「はっ・・・あぁっ・・・ああぁぁっ・・司・・・
こんなの・・・反則・・・」

あたしのその言葉を無視するかのように、愛撫は続く

「んっ・・んんっ・・・」

部屋には淫らな声と司があたしにくれるキスの音だけが
響き渡っていた。

「あんんっ・・司・・・あたし・・んっ・・あぁんっ・・」

あたしが絶頂を迎えようとしたその時を見計らった様に、
司の唇が離れる
・・・・・司?
「駄目だ・・これ以上やっちまうと押さえが利かなくなる。
キスだけって約束だからな」

そう言うと司は額に一つキスをし、あたしを抱きしめ眠ってしまった
この人は意地悪だ。ここまでされてあたしが我慢出来ないのを
知っていて、わざと・・・。自分から言い出したこととはいえ
身体の火照りは鎮まる事はなく、あたしは自分の身体を持て余していた。

「司・・・寝ちゃった?」

声を掛けてみたけど反応はない。その事にあたしは少しホッとする。
これからあたしがしようとしている事を司に知られたくなかったから・・・
そっと背を向けるとさっきの司の唇の感触を思い出しながら
双丘に触れてみる。

「あっ・・・」

僅かな声が漏れた。その声で司が起きなかったか少し心配になったけれど
何も知らず横で寝息を立てている。あたしは司に知られないように
声を押し殺し指を動かした。

「んんっ・・・」

もう充分に潤っていたソコは簡単に指を飲み込んでいく
その時、あたしは初めて、自分の中の感触を知った
知らず知らずのうちに指の動きにあわせ腰も動いてしまう

司に気付かれてしまう―――――
そう思いつつも、中途半端に火を点けられた身体は治まる事を
知らない。
あたしは、愛しい人の名前を小さく呼びながらイッた・・・・

「イッたか?」

その時、背後から司の声が・・・

「つ、司!?起きてたの?」
「ああ。」
「いつから・・・?」
「最初から。」

見られてた? 司に全部?
あたしは、自分がした一部始終を司に見られていた事に、
体中の血液が逆流するのを感じた

―――恥ずかしい―――

「司のばかっ!!」

余りの恥ずかしさに枕を投げつける。

「おっ、おい。待て、つくし」

アレを見られていたなんて―――
こぼれ落ちる涙を止める事も出来ない

「 つくし 」

司があたしの名前を呼ぶ。

「いやっ。嫌い!」
「つくし、落ち着け」

司はあたしの両腕を掴むと自分の方に引き寄せ貪るような
キスをした・・・
つくし・・・

「・・・・落ち着いたか?悪かったな。ちょっと、
度が過ぎた・・・」
「でも、これでオアズケ喰らう俺の気持ちが分かっただろ?
おまえも悪いんだぞ。オアズケなんて言うから・・・」
「何ですって!? 元はと言えば、司があたしとの約束を
忘れたのが原因でしょ!」

あたしは涙を拭いながら司に言葉を返す。

「・・・っんだと!」
「なによっ!」

二人で顔を見合わせる

「 ぷっ 」
「ねぇ、司。あたし達、出会った頃から全然成長しないね」
「ああ、そうだな。」

司が相槌を打つ。

「ずっと、一緒に歩いていこうね」
「ったりめーだろ」

司があたしに笑顔を向ける

「なぁ、それよりさっきの続きしようぜ?」
「つ、続きって・・・」
「おまえ、エロ過ぎるから俺もう限界・・・」
「知らないっ!」
「今度は、おまえが嫌だっつってもやめねぇからな。
覚悟しとけよ。もう、キス以上も解禁、だろ・・・?」
「・・・ばか」


―――――――こうして、二人の夜は更けて行くのでした。






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