道明寺司×牧野つくし
二年前と変わらない道明寺の部屋。タマさんや椿お姉さんが何度も遊びにおいで と誘ってくれたけど、寂しさに負けてしまいそうでどうしても来れなかった。 この部屋でこんな風に二人でいられることをどれだけ焦がれていただろう。 なのに、素直にそう言葉に出来ない。バイト帰りに信じられないような気持ちで この家に向かってきたこと、つい涙がでてしまったことを道明寺は知らない。 二年ぶりに間近で見る道明寺は、何度も夢見たその姿よりずっと精悍で口惜し いくらいイイ男になっていた。 「なーに見とれてるんだよ。まっ、俺ぐらいのイイ男、日本じゃお目にかかれ ないから当然だけどな」 自信に満ちたその笑顔。私の大好きな道明寺の笑顔だ。道明寺がNYに行ってか ら二年ぶり。本物の道明寺だ。やっと会えた。まだ少し信じられないけど、嬉 しさで目の前が滲む。 「お前なに泣いてるんだよっ、何だよ、俺変なこと言ってねーだろっ」 「うっさいな!泣いてなんか無い!!…ただ、あんたが急に帰ってくるから。 日本にくるなら連絡してくれれば良かったのに!」 「お前を驚かせようと思って、さ。つーかよ、これから帰ります、よろしく。 なんて天下の道明寺様が言えるわけねーだろ」 相変わらずの道明寺の強がりに、不覚にも泣きながら笑ってしまった。 「とにかくここ座れ」 道明寺はベッドに腰掛け、隣を指差した。 「いや、そんな帰って来たからってそんなに急にベッドインなんて、そんな、え、 いや、嫌じゃなくて、えぇっ!?」 「バカか。おめーは。誰もやるなんって言ってねーだろ。近くに来いよ」 「や、やる!?」 「だから、やるなんて言ってねーだろ。……ま、今すぐには、だけど」 不敵な道明寺の笑顔が、いつになく子供っぽくて、顔をこわばらせちゃうくらい緊 張しながらもベッドの隣に腰掛けた。 「いやー、ひしゃしぶりでしゅね、道明寺さん」 「お前、何だよ、その喋り方。しかもさん付けだし」 「なっ、なんか緊張しちゃって。へへ」 会ったら話したいこといっぱいあったのに、いざとなると何も喋れない。道明寺が 目の前で笑ってる。それでけで頭も胸もいっぱいだ。 「ま、今夜一晩ゆっくり過ごして、その緊張をといてくれ」 「え? 一晩って、何??」 「何って愛し合う男女が二年ぶりに会ったんだぞ。一晩一緒に過ごすのが当たり前 ってもんだろ」 「で、でも、き、きっとパパもママも心配するだろうし」 「お前の家族には連絡済みだ。一晩でも二晩でも、何ならいつまでもって言ってた ぞ、何だよ牧野は俺と一緒にいたくねーのかよ?」 「……一緒にいたい……」 「じゃ、決まりだな」 そういうと道明寺は触れるか触れないかのような軽いキスをした。体の奥がジュンと なるのを感じた。 「道明寺、少し痩せた? なんか雰囲気変わったみたい」 「まーな、向こう行って色々あったからな」 窓の外を見ながらそう言った道明寺が急に遠くに感じた。私の知らない道明寺がこの二年間 にたくさん作られてしまったようで切なくなった。 「どうした?腹でも減ったか?飯でも食うか?」 汲み取るような優しい道明寺の声に少し安心が戻った。元気ださなきゃ。 「そうだね!何か食べよう!腹が減っては戦はできぬって言うしね!」 「戦って…。やる気満々だな。牧野」 「そっそんな意味じゃない!違うってば!」 「違わなくていいから、飯行こうか」 笑いながら腕を取り、道明寺に連れられるまま部屋を後にした。 道明寺家のバカみたいにでかいテーブルで二人で並んで食事を取ったあと、 道明寺は私のためにと言ってカクテルを作ってくれた。道明寺が作ってくれたカク テルは甘く口の中ではじけた。 「あんたこんなこといつ出来るようになったの?」 あんまりにもキレイにシェーカーを振る姿に嫉妬を感じてしまった。 道明寺はかるく微笑んだだけで返事をしなかった。 部屋に戻った後も、シェーカーを振る道明寺の姿が頭から離れなかった。 「NYでも誰かにカクテル作ってあげたの?」 「何だよ、んなことあるわけねーじゃん」 「うっそだー。なんか慣れてる感じした」 「うっせーな。お前のために練習したんだよ。言わせんじゃねーよ」 道明寺は照れながらそう答えてくれたけど、少しだけ酔ってた私は聞こえないフリ をした。 離れてた時間を埋めたかった。 私の知らない道明寺をなくしてしまいたかった。 「道明寺、セックスしよう。今すぐ」 「何だよ、牧野。どうした? 熱でもあんのか?いきなし何いってんだよ」 「わかんない、久しぶりに会えて嬉しくて。でも、急に二年間の時間の重さっていうか離れ てた大きさみたいなの感じた。笑ってたと思ったら寂しい気持ちになるの。あんたが戻っちゃ う前に少しでも時間を埋めたいの」 覚悟を決めて道明寺のとなりに行くと、道明寺は優しいキスをくれた。道明寺の舌が口唇を 添うように優しくなぞり、深く入って行く。私も道明寺の口唇を舐める。その舌を追うよう に道明寺の舌が絡み私の頭は痺れる。道明寺の舌が首筋から耳へ、吐息が耳の奥を熱くする。 じらすように瞼をすべる口唇に堪えられなくて、道明寺の鎖骨を噛む。 「やっぱりやめた」 道明寺は私の肩を両手で掴み優しく体を離した。 「えっ!? なんで!? なんで、道明寺…」 「牧野らしくねーよ。負けたくねーからやるとか」 「別に負けたくないなんて言ってないじゃん」 「離れてる時間に負けたくない、戻っちゃう前にやっときたいっておかしくね?」 道明寺の真剣な眼差しに何も言えなくなった。 「だいたい俺もうNYには戻らねーから。仕事は軌道に乗せた。やるべきことも済ませて来 た。あとは、日本で出来るから」 「…本当に? もうずっと一緒にいられるの?本当に?」 「ああ。だから別に慌てることはねーよ。やるためだけじゃねーじゃん」 これからは、ずっと一緒だ。そう思ったとたんにぎこちなさと緊張から一気に解放された。 嬉しさのあまり道明寺に抱きついてしまった。 「ったく。お前はわかってねーなー。やりたくないわけじゃないんだから体くっつけるな よ、理性飛ぶぞ」 「いいよ、飛ばして」 「だから、慌てなくても…」 言いかけた道明寺の言葉を口唇でふさいだ。 「いま。したい。本当に」 驚いた顔をした道明寺を押し倒した。 押し倒したはいいけど、端正な道明寺の顔を見つめるのが精いっぱいで固まってし まった。ここまでしといてどうしたらいいかわかりませんは無いよね…、どうしよ。 固まった私に気付いたのか、道明寺がだんだん勝ち誇った笑顔になる。 「牧野、いつでもかかってこいや」 「………」 「うっそ。かわいいなお前。俺に全部まかせればいいから」 道明寺はゆっくり服を脱ぎはじめた。 「牧野の服は俺が脱がしてやるから待ってろ」 「いや、自分で服ぐらい脱げるよ」 「バカ、色気ねーな。脱がしてやるから待ってろ。あっもう待てねーのか」 「待てないなんて、」 今度は道明寺が口唇をふさいだ。舌が深く侵入してくる。 自分がこんなに道明寺を求めていたなんて知らなかった。 キスをされてるだけなのに、じっとりと熱くなっていくのがわかる。 服の上から硬くなった乳首を探るようにゆっくりと道明寺の指が動く。 指が探しあてるのをじれったくなるくらいに待っている自分がいる。 深く入った柔らかな道明寺の舌の動きは理性をものすごいスピードで溶かしてゆく。 道明寺の唾液を全部飲んでしまいたい。もっとその口唇に飲み込まれたい。 道明寺の指が乳首を確かめるように優しくさする。服の上からじゃなく、直接肌に 触れて欲しい。 舌を絡めたまま、声が漏れる。 「…んっ、……あっ、どうみょうじ…、脱がせて…」 道明寺は小さく「愛してる」と呟くと丁寧に服を脱がせてくれた。胸の膨らみを包み 込むように道明寺の手が優しく動く。指先で弾くように擦るように乳首をもてあそぶ。 「…あんっ。いやっ。あ…ん」 愛する人に体を預けることがこんなに快感を呼ぶものだなんて知らなかった私には声 を抑えることもできない。 「牧野…。すげー綺麗だ…」 道明寺が深く長いキスをする。溶けそうな甘いキス。だけどもうキスだけじゃ足りない。道明寺の手をとり、硬くなった乳首へと誘導する。道明寺の指は強く乳首を弄る。 腰から下が痺れたように感じて来ているのがわかった。太腿までぐっしょり濡れていた。 道明寺のキスが口唇から離れて首筋を撫でる、鎖骨から胸の膨らみを丁寧に何度も舐め ていく。乳首を口に含み舌先で転がす。我慢できず大きな喘ぎ声をだしてしまった。 「あっ、あん…はん…あ……あん…」 「…牧野の声すげーそそる、声だけで俺も感じる」 道明寺の指が熱く濡れた部分に触れた。今までよりも強い快感に体が震えた。 「すっげー濡れてる…」 溢れてくるのを確かめるように、道明寺の指がゆっくりと動く。道明寺の指が一番敏 感な部分に触れた。 「ああんっ、あ…ん…はん……あん」 敏感な部分に円を描くように指を動かされる、その動きと一緒に快感の波が体の奥に 強い焦燥感を呼ぶ。道明寺の指がびっしょり濡れた中に入って来た。 「気持ちいい? 牧野、感じてる?」 強すぎる快感に言葉がでない。道明寺の指は強弱をつけて激しく動く。 「あ…、あん…、あっ、ん…、…どうみょうじ…、すきだよ、あいしてる」 頷いた道明寺はぎゅっと強く抱きしめてくれた。 「いれていい? もう我慢も限界みてー、早く俺のものにしたい」 返事代わりのキスをすると、道明寺は私の足を大きく開かせ、ゆっくりと挿入してきた。 「いた…い…かも…」 あまりの痛さに目をきつく閉じる、道明寺をがっかりさせたくないのに痛さは強くなる。 奥まで道明寺が入って来たのがわかった。 「牧野、目開けて。わるい、もう少し我慢して」 痛さに堪えながら目を開けると、道明寺もつらそうな表情だった。 「俺、今世界で一番幸せだぜ」 涙がでてきたのは痛さのせいじゃない。道明寺、世界で一番幸せなのはあんたじゃない、私だよ。強く思った。 「…牧野、少し動かすぞ…」 道明寺の腰が浮き、今までより深く挿さる。 「……んっ、やっぱり…、い…たい…かも」 道明寺は、その言葉を聞いて少し躊躇したように見えた。 けれど、そのまま腰をゆっくりと動かし続ける。 自分の中がひきつれちゃいそうだ。 「 牧野、 俺、 ずっとこうしたかった 」 短い吐息を繰り返しながら、道明寺の口づけがふる。 道明寺の口唇が熱い。ふたたび弄られる乳首に快感と痛みが交互に訪れる。 ひきつれそうだった中は次第に豊潤さを取り戻して行く。 「あっん…うん…あっ…。なんか…あつい…」 さっきより早く動く道明寺の腰にいつの間にか手を添える自分がいた。 私の様子に気付いたのか、道明寺はさらに腰を激しく動かす。 「牧野、おまえの中…、ほんとにすげーあつい…、すげーいいよ」 道明寺の言葉に快感は痛みより強くなっていく。 ちゃんと道明寺につたえなきゃ。 「…どうみょうじ…あっあっん、…きもち…いい」 道明寺は両手で私の足首を持ちあげ大きく開かせると、さらに奥深く入って来た。 道明寺が今までより硬く大きくなるのがわかった。 奥深くで動く大きなものに突き動かされるように、痛みはきえ快感が襲う。 「ああっ あん あっ あっ ああっ 」 「…牧野、俺、もう…」 道明寺が短く呟くと、大きなビクンビクンとした動きが私の中につたわった。 私たちは、そのまま裸で抱き合って寝た。 どれくらい時間がたったのだろう。 目を開けると、道明寺が私の顔を覗き込んでいた。 「ど、道明寺。ご、ごめん、私一人で寝ちゃった?」 「あー、すげーいびきだった。喘ぎ声よりでかかった」 「バ、バババッカじゃないの!?」 「うっそ、静かに寝てたよ」 言葉の続かない私に、道明寺が優しく頭を撫ではじめた。 「牧野、ありがとうな」 「ええっ!? そんなお礼いわれるようなことじゃないよ…! ほっ、ほらあんたも言ってたじゃん。 愛し合う二人が一晩過ごすのは当たり前だって…」 何かすごいこと口走ってしまった気がして、言葉がつづかない。 道明寺は、今まで見たことないくらい優しい瞳で抱きしめながらこう言った。 「ちげーよ。生まれて来てくれて、ありがとう」 今日は、ほんとよく泣く日だ。と、思いながら涙がとまらなかった。 SS一覧に戻る メインページに戻る |