夢幻 続編
道明寺司×牧野つくし


つくしがNYに逢いに来て、初めて結ばれた司とつくし。

つくしが滞在したのは、授業の調整ができたほんの1週間ほどだった。
司も、その間休みがとれたのは1日だけで、大学へ通いながら仕事もこなし・・・と、決してゆっくりと二人の時間を過ごせた訳では無かったが、
司にとっては、仕事が終われば邸につくしが待っている、つくしを胸に抱いて眠ることが出来る、それだけで、本当に幸せな1週間だった。

1週間、つくしは司の求めるままに応えてくれた。
それは、この1週間が過ぎてしまえば、またいつ逢えるか解らないという気持ちから。
司は、どんなに疲れていても、毎日つくしを求め、満たされて眠りについた。


司の母である楓は、NYにつくしが尋ねて来た事は知っていた。
つくしが邸に滞在中、楓はヨーロッパへ行っていたため、顔を合わせる事はなかったが。

司は2年前NYに来て以来、学業も仕事も意欲的に頑張っている。
それが牧野つくしとの『4年後の約束』のためだという事も解っていたため、とりあえずは、黙認する形をとったのだ。


夢のような1週間は瞬く間に過ぎ去った。

つくしは帰国後、今までにも増して学業に励んだ。
それは、NYで司の忙しさを目の当たりにし、将来、少しでも司の役に立てるようにと、二人の未来に思いを馳せてのことだった。

つくしは、大学進学の際、栄徳大学の4年分の学費を司が支払ってしまったので、学費の心配は全くない。
離れて暮らす両親も、何とか自分達の収入で生活をしている。
弟の進も高校生になったので、バイトが出来るようになり、つくしは自分の最低限の生活費だけを稼げば良くなった為、勉強に割ける時間も増え、大学での成績は優秀だった。

ある時、某起業が、学生の発想を取り入れようと、ビジネスプランを公開募集した。
企業名は明かされなかったが、優秀な案件は、社内コンペに提出され、その大手企業で採用の可能性があると言う。
そこで目に留まれば、その一流企業への就職が有利になると聞き、つくしも勿論、それに応募したのである。

つくしのビジネス案は、斬新且つ、長期的に安定した収益が見込めるもので、社会的需要も充分にあり、企業側にも、消費者側にも有益なものだった。
つくしのビジネスプランは、その企業の社内コンペに提出されることになり、優秀な社員達が提出した並み居る候補プランに打ち勝って、事業化される事が決まったのだ。

その一流企業というのが、実は、道明寺財閥だった。
楓は、将来有望な人材を囲い込むために、数年に一度、このような機会を設けていた。

道明寺の優秀な社員のプランにも打ち勝ち、最終選考に残ったのが、牧野つくしのプランだった事を知った楓は、正直、驚いた。
そのプランの内容を目にし、更に目を見開き、呟いた。

「あの娘は、きっと化ける・・・」

司との事は別に考えても、道明寺に欲しい人材である事を確信したのだ。

道明寺に嫁ぐ女性は、将来、財閥のために働かなければならない。
それなら、我がまま放題に育ったお飾りにしかならない令嬢よりも、天性のビジネスセンスを身に着け、何故か人を惹き付ける魅力を持ったつくしのような女性の方が、道明寺にとって、必要なのではないか・・・
しかも、司の力を最大限引き出すことができるのは、牧野つくし以外に考えられない。
楓の中に、そんな思いが生まれていた。


その頃司は、『つくし欠乏症』に陥っていた。
つくしが帰ってしばらくは、周囲が目を見張るほどの頑張りを見せていた司だったが、だんだんと集中力が無くなり、イライラと落ち着きが無くなって、全ての効率が落ちてきたのだ。

元々、超人並みの体力がある司が、愛する女から得られる、この上ない快楽を知ってしまった。
司は、自身の性欲を持て余していたのだ。
だからと言って、他の女で解消できる程、つくしへの思いは中途半端ではない。
相手はつくしでなければダメだ。
仕方無く、自身で処理するしかない日々を送っていたが、やはり、つくしの中で迎えるこの上ない満足感とは、雲泥(うんどろ)の差である。←間違ってるよ〜(by-ドラマ類)

自分でもこの気持ちをどうする事も出来ず、悶々とした日々を送っていた。

そんな司の様子を見た楓は、ある事を実行に移すことにした。


1ヵ月後、道明寺で新しいビジネスプランが動き出した。
学生が発案したプランという事で、あらゆる方面から注目を浴びている。
そのプランの指揮を司に任せ成功させれば、司にとって、社外へのこの上ないアピールになる。
発案者がつくしの案件と司が知れば、失敗などするはずがないと考えた楓は、司に新規事業の一切を任せた。

初めて自分の力だけで行う、大きな事業。
その発案者との顔合わせという名目で、司はメイプルホテルの一室に来ていた。
しかも、秘書を伴わず、ただ一人で・・・

楓の命令でここへ来た司だが、

「何で、事業の発案者との顔合わせが、ホテルのスウィートなんだよ?しかも、秘書を連れて行くなって、何を企んでやがる!?」

楓は司の疑問には答えず、今日はその後の仕事は良いから、とにかく行くようにと言い渡し、司は釈然としない面持ちで相手が現れるのを待っていた。

しばらくして、部屋のドアがノックされた。
司がドアを開くと、司の前に事業の発案者として現れたのは・・・強く思いすぎて焦がれ死にするかと思うほどに思い焦がれた、牧野つくし、その人だった。

息をするよりも先に、司はつくしをその胸に抱き締めた。

「牧野・・・牧野・・・牧野・・・」

どんなに逢いたいと願っていたかを伝えたいのに、名前を呼ぶことしか出来ない。

瞳を見つめると、互いの瞳には、お互いを求め合う気持ち以外、映し出されてはいなかった。

司は、その情熱の全てをぶつけるように、つくしの唇を求めた。

つくしの唇を覆いつくし、全てを自分のものにするかのような、司の口付け。
息苦しさに開いたつくしの口の隙間から、長い舌を滑り込ませ、歯の表面から裏側の隅々までなめまわし、舌を絡めとる。
口の中に溜まった二人の唾液を吸い尽くし、口腔内をくまなく味わうと、司はやっと唇を離した。

あまりにも情熱的な司のキスに放心状態で、肩で息をするつくし。
司は、そんなつくしを大切に抱き上げ、ベッドへと運んだ。

逸る気持ちを抑えて、つくしの着ているワンピースのボタンを一つ一つ外していくと、そこには、求め続けたつくしの白い肌があった。

数ヶ月ぶりに見たつくしの身体は、あの時司に愛されて以来、女らしさを増していた。
胸に手を伸ばし、揉みしだきながらも、司の頭の中はある欲望に支配されていた。

『今すぐ、入れてぇ・・・』

「牧野・・・入れさせて・・・」

司はうわ言のように呟き、つくしの身体をうつ伏せにすると、腰を持ち上げ、ショーツを剥ぎ取り、バックから一気に貫いた。

つくしは先ほどの情熱的なキスですでに濡れており、性急に求めて来た司を受け入れた。

数ヶ月ぶりに司を受け入れたつくしの中は、初めての時のように締まっていた。
その感触が、一層、司の喜びと快楽を引き出す。

司は夢中でつくしを突き上げた。

「あうっ、うぅっ、ぐっ・・・」

司の情熱を一心に受け止めたつくしは、もはや切なく喘ぐことしかできない。

あまりに激しい打ちつけに、うつ伏せにされて下を向いたつくしの乳房がゆさゆさと大きく揺れる。
司はそこへ片手を伸ばし、揉みしだきながら、もう一方の手でクリトリスを刺激した。

途端に、つくしの締め付けは一層強くなり、司に至上の快楽をもたらす。

「牧野・・・お前、最高だよ・・・俺・・・頭・・・おかしくなりそ・・・くぅっ」

つくしと再開してわずか数分後、司は欲望の丈を、つくしの白い背中に放った。

少しの沈黙の後、司は、バツが悪そうに口を開いた。

「牧野、俺、またやっちまった・・・お前を見てると、おかしくなっちまう。自分じゃどうにもならねぇほど、俺はお前にいかれてるんだ・・・」

「いいの・・・道明寺、逢いたかった・・・」

大きな瞳を潤ませながら囁いたつくしの切ない声を聞いた途端、果てたはずの司自身は力を取り戻し、司はつくしへと覆いかぶさる。

「今度は、お前が気持ち良くなる番だ。今まで見たこともねぇような天国へ連れてってやるよ・・・」

司は、持てる愛情の全てを注ぎ込み、つくしを愛していった。


存分に愛し合い、この上ない満足感と喜びに包まれた司に、つくしは言った。

「この事業が始まるって決まった時、あんたのお母さんから連絡があってね・・・私、こっちの大学に通いながら、この事業を発案者として手伝っていく事になったんだ。
・・・それでね、あの・・・住まいは、道明寺邸で・・・あんた達家族と、一緒に暮らすようにって・・・」

「えっ!?お前・・・マジかよ?」

「うん。」

「やっりぃ〜!!!」

司の歓喜の叫びが、部屋中に響き渡った。


つくしがNYに渡ってから6年後、数々の新規事業を発案し、成功に導いた道明寺財閥の若手敏腕女性と、経済界の逸材と世に名を馳せる同財閥の若き後継者が、紆余曲折を乗り越え、周囲の誰からも祝福されて、NYの抜けるような空の下、永遠の愛を誓った。

それは、二人の出会いから10年後の事だった・・・






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