道明寺司×牧野つくし
司がNYから念願の帰国を果たして初めての大晦日。 道明寺邸では大掛かりなカウントダウンパーティが開かれていた。 仕事の関係者をはじめ、友人たちも集まり、盛大なものだ。 つくしはそこで初めて司の婚約者として公の場で紹介され、当然、司のパートナーとしての務めを果たしている。 3月には英徳大学を卒業し、道明寺財閥に就職することも決まっている。 道明寺財閥に就職することは、意外にも楓の意向だった。 大学在学中のつくしの学業成績が優秀だったこともあり、財閥の将来を担える人材であると判断したのだった。 あくまでもビジネスだと言い切る楓だったが、そこには息子が世界中の誰よりも大切に思っている女性を認める気持ちが含まれていることは、周囲の人間にとっては周知の事実だった。 だからこそ、この場での発表となったのだ。 「みなさま、今年一年大変お世話になりました。 この場にてご報告がございます。 愚息・司の妻となる、私の新しい娘となる牧野つくしさんをご紹介させていただきます。 司の長年の想い人であり、ご存知の方も多いかと存じます。 ですが、ここで改めて彼女をご紹介させていただきますとともに、今後、若い二人を温かく見守っていただきたく、この場でご報告させていただきます。」 思いもよらなかった楓の言葉に、司もつくしも驚きを隠せなかった。 二人のけなげな努力を、楓は認めてくれたのだ。 そう思うと、つくしの頬には温かい涙がつたわる。 そんな彼女をそっとエスコートし、壇上に上がる司。 「牧野つくしさんは、私にとって生涯ただ一人の女性です。 彼女と幸せになることをここに誓い、そして彼女とともにこの道明寺財閥を盛り上げていきたいと思っています。 今後とも、よろしくお願い申し上げます。」 挨拶を終えた司は、つくしの手を取って壇上を駆け下りる。 つくしも転ばないように片手でドレスの裾を持ち上げて司に続いた。 二人の姿が会場から消えると、場内はカウントダウンの準備が始まる。 財閥系列の芸能事務所の人気バンドによるカウントダウンライブが始まった。 その頃、司とつくしは、思い出の場所である邸の東の角部屋にいた。 ライブが行われている西側の広い庭とは反対側なだけあって、うっすらと聞こえてくるライブの演奏以外は音もなく、人けもないため静かだった。 走ってきたために息の上がるつくしを、そっと優しく抱きしめる司。 つくしもその背中に腕を絡める。 「やっと、認められたな。」 「うん……。」 司は上気するつくしの頬を両手で覆い、柔らかな唇に自分の唇を重ねる。 丁寧にその唇を味わい、ゆっくりと口内に舌を差込み、そこをなぞっていく。 「……っん……。」 つくしの口の端から甘い吐息が漏れ出す。 ふわりとつくしを抱き上げた司は、あのときと同じように鎮座するベッドへ彼女を運び、優しく下ろす。 「何か、思い出すね。」 「ん?」 「この部屋……。」 「ああ。高校のときな。」 「あのときは、司のこと怖いって思ったっけ。」 「ブラのホック外しただけで、おまえ泣いたんだよな。」 ふっと口角を上げて司が微笑む。 「だっ、だって……、あんときは怖かったんだもん……。」 「あれから5年か……。」 「そうだね……。」 「結局、5年待たずに済んだけどな。」 司の長い指が、つくしの額をピンとはじく。 司が約束の4年で帰国した直後、二人は初めてひとつになった。 逢えなかった時間に急かさせるように、それは自然の摂理のように、甘い時間に包まれた二人。 「ったいなっ!もうっ!」 弾かれた額を両手で摩るつくし。 なおも悪態をつきそうなつくしの唇を、また司の唇が覆う。 大きな手のひらはつくしの頬を撫でながら首筋を這い、背中のファスナーをすばやく下ろしてシルクの布を白肌から剥ぎ取る。 互いに身につけるものがなくなり、肌と肌が直に触れ合う。 何度も何度も触れ合ってきた肌と肌はしっとりとなじみ、重なり合う身体はジグソーパズルのように沿う。 互いの感触を確かめ合い、飽きることなく唇を合わせる。 徐々に二人の息遣いは熱を帯び、司の手のひらはつくしの白肌を這い回り、つくしの手のひらは司の背中を漂う。 司の長い指先がつくしの敏感になった蜜つぼにちゅぷりと入り込む。 くちゅくちゅと室内に水音が響く。 その音に導かれるように、司の唇は水音を奏でる蜜つぼにキスを落とす。 「はっあっっ…ん……。」 艶やかな声がさらに司を煽る。 その形をなぞるように司の舌が這い出す。 蜜つぼに差し込まれた舌が甘い汁をじゅるじゅると絡め取る。 「つ……かさ……ぁ…。」 早く欲しいという合図がつくしの口から漏れる。 司はつくしの細い太ももを持ち上げ、一気に己を埋め込む。 「うっはぁぁん……」 挿入の快感がつくしを襲う。 「くっ……すげ……。」 いつもよりも大きな快感が司を襲う。 初めて身体を合わせたときから、司は男の義務として避妊具を使用してきた。 大財閥の後継者ができちゃった結婚では、その妻となるつくしに非難が集中することはわかりきっていたからだった。 薄いゴム越しに感じるつくしにもそれなりに満足はしてきたが、その隔ては司にとってはもどかしいものでもあった。 でも。 自分たちは公に認められたのだ。 もう遠慮はいらないと、司は初めて避妊具の使用をやめた。 直に感じるつくしの中は、司にとって思った以上の“良さ”だった。 つくしも……。 初めて直に感じた司自身を温かいと思った。 二人を隔てるものはもう……………何もない。 興奮しきった司の突き上げに、つくしは嬌声をあげる。 「うっはっ、あっああっあ……、つっ…かさっあ!!」 西の庭からはカウントダウンを告げる観客の声が聞こえてくる。 ―――――10っ、9っ、8っ、7っ、6っ、5っ、4っ…… 「あっ……つく……しっ……。」 カウントダウンに合わせるかのように、司は腰を打ちつけ、“ゼロっ!!”の声とともに、つくしの中に初めて発した。 温かく滑らかな肉の間に、思いの丈をぶちまける。 つくしも初めて感じる熱い液体を受け止め、そのまま白い世界で脱力した。 熱く、しっとりとした肌と肌を合わせた二人は、息を整えながら抱きしめあった。 「おまえの中、やべぇよ……。」 「……っな……何、言ってんのよ……。」 「2年越しだな。」 「……え?」 「ひとつになったまんま、新しい年を迎えた。」 「そっ、そんな恥ずかしいこと……。」 「これからはずっとこれでいこうぜ?」 「はぁ?」 「今年もたくさんすんぞ。」 「……ばか…。」 その頃カウントダウンライブの会場の片隅では……。 「司と牧野、戻ってこねぇな。」 「今頃、2年越しのお楽しみの最中なんじゃねぇの?」 「くくっ、ありえるね。」 「アイツ、帰国してからますます牧野に骨抜きだもんな。」 「だな。」 2008年も幸多かれ。 SS一覧に戻る メインページに戻る |