3度目のチャンス
花沢類×牧野つくし


「ごめん、ありがとう。花沢類。」

長い抱擁の後 背中に回した手をはずしながらつくしは言った。

「もういいよ。あんたのごめん、ありがとうは聞き飽きた。」

    確かに、あたしは何度この人にごめんとありがとうを言ったのだろう。
    そして何度助けられて来たのだろう・・・・・・。

「きょうで最後だ。明日からあんたの泣き顔はもう見たくない。」

今までにない類の強い口調に驚き、顔を上げるがそれと同時に唇を奪われる。そのキスに今までにない熱さを感じ、とっさに離れようとするが、類の力強い腕がそれを許さない。

「−もう、誰にも渡さない。」

いつも冷静な類のどこにこのような情熱が隠されていたのだろう。
今までに何度か交わしたキスとは違う。
それは今まで押し込めていた感情が一気にほとばしって出てきたようにも思える。それほどに激しく深いキスだった。

   いけない。あたしの心の中には道明寺がいる・・・・・・。

そう思うつくしの心を見透かしたように類が言う。

「司からあんたを奪うんじゃないんだ。
 あんたを取り戻しに来たんだ。」
「取り戻しに・・・・?」
「そう、漁村のときもNYのときもそのつもりだった。その度にうまくいかなかったけどね。
 そして今度の司の記憶喪失。司には悪いけど、おれは、これが神がおれに与えてくれた3度目のチャンスだと思ってる。そしてもう、後はない、って。」

つくしの返事を聞く間もなく、類がつくしをベッドに横たえる。

「おれたち・・・・こうなる運命だったんじゃないか・・・・?」

耳元で類がそっと囁いた。
みたことのない真剣な瞳の類がそこにいた。
激しく絡めてくる舌、熱い吐息、頭の奥がしびれていくような不思議な感覚を感じながら、つくしは類のなすがままに身を任せた。

   不思議だった。以前道明寺の部屋で同じように求められたことがあったが、怖くて怖くて涙があふれてくるのを抑えることが出来なかった。
   途中で椿おねーさんが乱入してくれて安堵したのを覚えている。
なのに今・・・・類の手で衣服を脱がされ、生まれたままの姿にされても怖いという気持ちは不思議と感じなかった。
類の言った通り、こうなることが運命だったのかもしれない。
こうなることを心の奥底で望んでいたのかもしれない。

類の唇が、そっと耳たぶを噛みうなじに下りる。体がフワッとうくような快感を感じ、思わず吐息が漏れる。
それと同時に類の冷たい手がそっと乳房を包み込む。ビクンと体が反応して固くなるのが自分でも分かる。
類の手が乳房の先端に触れる。ますます緊張して固くなるつくしを見て、類が手を止め、プッと小さく吹き出す。

「・・・・?  なに?」
「クックックッ・・・・、ゴメン。だって、牧野があんまりガチガチになってるから・・・・。直立不動でお地蔵様みたいだ。」
「ひっどーい!仕方ないじゃない!本当に緊張してるんだからっ。」
「クックックッ・・・・ゴメン。」
「花沢類!あんまり笑うんだったらあたし帰るからねっ、もう!!」

そういって起き上がろうとするつくしを類は再び押し倒す。

「帰さない・・・・。今夜は牧野はオレのものだから。」

    再びふたりだけの時間が始まる。

類の手が再びつくしの胸をなぞる。小さいながらも形の良いその胸をそっともみしだく。少し固くなっているその先端を指でつまむとつくしの吐息・・・・というより喘ぎ声に近いものが洩れる。
その声を待っていたかのように、類の唇が桃色の先端を責め始める。
その舌は、時に優しく 時に激しく動き、先端を揺らしつづける。

「ん・・・・。」

思わずつくしの声が洩れる。
類の手は腰のラインをなぞり、更に下のほうへと伸びる。思わず緊張して固くなるつくしに類はそっと話しかける。

「大丈夫。・・・・力抜いて。」

軽く耳たぶを噛みながら囁かれ、小さくコクンと頷く。
誰にも触られたことのない部分にそっと類の手が触れる。
熱い。すごく熱い。
体中に電気が走ったかのようにビリビリと快感が走る。つくしはこの初めての感覚をうまく理解が出来なかった。

「花沢類・・・・?」
「何・・・・?」
「何か・・・・へん。しびれてるみたい。あたしの体。」
「牧野の体が、感じてるからだよ。さ、もう黙って。」

類の唇がつくしのおしゃべりを止める。

・・・・・・・・・そっか。これが感じてるってことなんだ。

いつもは冷たい類の手が熱を持っているように熱く感じる。
類の手、唇、触れられたところ全てが熱く火照ってくる・・・・。

不意に類の体が離れたかと思うと、少しの間があって再び、戻ってくる。先程よりも更に体が密着させる。

「どうしたの?」
「安心しな。ちゃんとつけたから。」

・・・・ということは今から・・・・?

つくしが予想したとおり、類自身がゆっくりとつくしの中に入ってくる。

「・・・・!」

あまりの痛さに声にならない声を上げる。

「大丈夫か?」
「うん・・・・。」

痛みは予想以上のものだったが、やめて欲しくはなかった。類とひとつになりたい。この体で類を受け止めたい。

「類・・・・。お願い・・・・、キスして。」

お互いの口の中で二匹の生き物が動くかのように激しく舌が求め合う。
類のものがさらに深く入ってくるのを感じ、つくしは類の背中を強く強く抱き寄せる。
入ってくる痛みを逃すように大きな吐息が洩れる。

「つくし・・・・好きだ・・・・。」

熱に浮かされたような声で類が囁く。

      『あたしも・・・・・。』

そう言おうとしたがうまく言葉が出ない。

「ああっ・・・・。」

喘ぎ声だけが洩れる。
ゆっくりと下半身を動かし始めた類の背中を更に強く抱きしめ、見た目よりもずっとずっと厚いその胸に唇を寄せる。

「んん・・・・。類・・・・。」

更に激しくなった類の動きの後、つくしは類の・・・・類自身の動きを体の中で感じた。
本能的に類が果てたのを感じた。






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