このまま一生
花沢類×牧野つくし


「会いたかった」

空港近くのホテルの部屋に入るなり花沢類はあたしを抱き寄せながらそう告げる。
あたしの返事を待たずに重ねられる唇。
乾いた類の唇から伝わる熱気が胸を熱くする。
上唇を何度もなぞる。それだけでくらくらするような刺激が体中に流れる。
ゆっくりと類の舌が中に侵入して奥にあるあたしの舌を捉える。何度も交わしてきたキスなのに気持ち良くてたまらない。たどたどしく類の舌に答えはじめるとどちらのものかわからない唾液が入ってくる。そんな獣じみた行為があたしの欲望のスイッチを入れる。
類の首に手を回し、大胆な台詞を吐く。

「ね・・・早く抱いて」

くすっとした笑いが聞こえ、唇を離すと困ったような類の顔。

「残念ながらご希望には添えそうにないな」
「なんで・・・」

自分がどんなに物欲しそうに見えるかもわからない。それほど余裕がない。がっかりした顔で見上げると、類はいつものふんわりした笑顔であたしの頭をぽんぽんと軽く叩く。

「10何時間も機内だったろ?シャワー浴びたい」

シャワーのことも忘れて類を欲しがっていた自分に気づきカァーッと顔が赤くなる。

「それとも今すぐ俺が欲しい?待てないくらい?」

そっと腕を回し覗き込むようにあたしの顔を見つめる。瞳の奥ではどんな答えを待っているの?正直に言っていいの?今すぐ類が欲しいって。
わずかに残ったプライドが言葉を押し止める。赤くなったまま横を向き黙って類のシャツを掴む。
一ヶ月ぶりに会えたのに、片時も離れたくないって思っているのはあたしだけ・・・なのかな?
会える前からあんなにうきうきしていた自分がなんだかばかみたいに思えてくる。

「まき・・・の・・・?」

何も答えないで下を向く私の頬をそっと類の手が持ち上げる。

「会いたかったの・・・」
「うん・・・」
「すっごく会いたくって・・・すっごく・・・」
「したかった?」

首筋に静かに落ちてくる類の唇。

「ずるい・・・・花沢類ばっかりなんでそんなに余裕あるのよ。まさか・・あっちで私以外の誰かと・・・」
「つまんないこと言うなよ」

いつもは穏やかな声が急に鋭く響く。

「こっちは空港からここまでに何度も襲おうとして我慢してきたってのに」
「このままじゃ入れたら即行で終わりそうでさ。シャワーでも浴びて1回ヌイたらいいかなってちゃんと計算してるっていうのに、男心のわからないやつ、あんたって」
「そ、そ、そんなことわかるわけないじゃん!」

あたしを胸に抱き、髪にキスを落とす。

「あんまり格好悪いこと言わせるなよ」

そう言ってバスルームに向かおうとする類。思わずあたしは類の腕にしがみつく。

「やっぱり・・・やだ・・・あんたには・・・あたしで気持ちよくなって欲しい」

!!!   自分で言ったくせに顔から火が出そう・・・

「そんな顔でそんなこといわれたらお手上げだ」

類はあたしを抱き上げベッドへと運ぶ。
そのまま横になると耳たぶの内部まで舐め上げながら類の手が首筋をなぞる。
ぞくぞくとするその感触にどんどん感じさせられていく。
類の手がもどかしそうにブラウスのボタンに手をかける。するりと音をさせてブラウスが身体から離れるとあらわになった肌をゆっくりと彼の唇が味わっていく。跡がつきそうなくらいに強く何度も吸い付かれる。

「はあっん・・・」

ブラのホックを外し既に固くなっている蕾の周辺を舌でなぞられ、先端を口に含まれ転がさせる。
執拗な類の愛撫を受けながら彼の足があたしの膝を割って入りこんでくる。
服の上からでも彼のそれが熱くなってあたしにその思いを伝えてくる。
少しずつ腰を振ってあたしのすっかり熱くなった部分に更に刺激を加える。

「や・・・あ・・・ん」

あたしの身体が類を求めている。腰が動き出すのが自分でも分かった。

「牧野・・・俺を誘ってるだろ?」

類の静かな声。きっと彼だって余裕はないはずなのに。くやしすぎる、その落ち着いた声。

「お・・ねがい」

類の手を取りあたしの一番触って欲しい場所へと誘導する。
そこがもうどんな状態なのか自分でもよくわかっていたけど触れて欲しい気持ちのほうがはるかに強かった。

「もう、こんなにして・・・」

薄い布越しにあたしの気持ちを確かめる。
何度も何度も溝を確かめるようになぞりながら、類があたしに問い掛けてきた。

「俺がいない間、ちゃんと我慢してた?」
「あたりまえでしょ!浮気なんてしないわよ、あたし」
「いや、そうじゃなくて、自分で・・・」

類の聞きたいことがわかると、ぱぁっと顔は赤くなる。

「してただろ?」

こんな状況でうそはつけない。類の指はあふれる蜜とともにあたしの本音を引き出していく。

「うん・・・」
「俺のこと考えて・・・?」

小さく肯く。

「どんな風に・・・?ここでやって見せて」
「え・・・?ここで・・・?」

秘部に触れていた類の手が戸惑う私の手をとり、下着の中へ滑り込ませる。

「俺とのどんなこと想像したの・・・?」

押し殺したような類の静かな声。

「い・・いろんな・・・こと・・されてること・・」
「どこを・・・?」
「ここ・・・こんな風に何度も・・・ああっ・・・」

類の目の前でこんな風に淫らに指を動かしてしまうあたし。

「ねぇ、こんなあたし。嫌いにならないで・・・」
「なるわけないよ、それなら俺なんてもっとだし」
「は?」

一瞬の沈黙の後、類のそういうシーンが頭に浮かんできてくらくらしてくる。

「あっ、今想像しただろ。いやらしいよなー」
「なっ、いやらしいのはそっちでしょ」
「そうかもな。でもやっぱりこうやって牧野の顔を見てしたかったよ」

そういいながらあたしの下着を脱がせ、自分も手早く服を脱ぎ捨てるとゆっくりと重なってきた。
あたしの入り口を何度もなぞる。焦らされているのはわかったけど、その焦らされることさえ今は幸せだった。

「類・・・入れて・・・」

今日何度目かのお願いでようやく類は私の中に入ってきてくれた。
十分に濡れているはずなのに受け入れるとき引きつれるような感じを受ける。
ゆっくりと動きはじめる類の腰を更に深く受け入れるように知らず知らずあたしも腰を動かす。

「ああん・・・いいっ・・」

幾晩も幾晩も彼を想った。こんな風に攻めて欲しかった。こんな風に私を揺らして欲しかった。

「・・・その声・・・もっと聞かせてくれ」

聞かせようとしてるんじゃないの、自然に出てくるだけなのに。

「ふ・・・ぅん・・・」

円を描くようにに何度も突き上げる。時々微妙に角度を変えながら私を刺激する。
頭の中がとろけそうに熱く、彼のものを抱え込む。
快楽だけで体中が満たされていく そんな淫靡な感覚にあたしは飲み込まれていた。

「牧野・・・好きなんて言葉じゃ足りないよ。・・・愛してる」

類があたしの身体の上で熱っぽい吐息を吐きながら囁いた。
初めて聞く彼の「愛してる」の言葉に本能も理性もみんな突き動かされる。

「あたしも・・・」

もうこのまま一生繋がっていたい・・・・そう想いながら頭の中が真っ白になっていった。






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