俺は手放さない
花沢類×牧野つくし


俺は表参道のカフェで牧野が来るのを待っていた。
しかし牧野は待ち合わせの時間に既に1時間も遅れている。

「花沢類ごめんなさい」

牧野は慌てて俺の元に駆け寄ってきた。

「よお類、久しぶりだな」

何で司が一緒なんだ?

「牧野と偶然会ってよ、急いでるみて―だっだから車でここまで送って来てやったんだぜ。感謝しろよ類」
「ふ〜ん、それはどうもご親切に」

牧野は俺と司のやり取りを見て慌てている。

「は、花沢類これには色々と事情があって、あの・・・・・・」
「話は後でゆっくり聞かせてもらうから。先に邪魔者に退散してもらおうよ」
「なんだとテメー俺を邪魔者扱いすんのか」
「司、いい加減牧野のこと諦めなよ。司の魂胆はみえみえ何だよ!!」
「うるせー!!俺は未練がましい男なんだよ。悪かったな邪魔して。じゃぁな」

司は俺たちに背を向けたまま軽く手を振った。

「ど、道明寺送ってくれてありがとう」

無言のまま手をあげて司はカフェから出て行った。
さぁどうしてくれようこの不届き者を。
俺は牧野に目線を移した。

牧野は拝み倒すように手を合わせ俺に向かって必死に頭を下げていた。

「怒ってるよね。怒るのは無理もないよ。私が全部悪いの。本当にごめんなさい」
「立ってないで座れば」

俺は椅子をひいて牧野を座らせた。
ウェイトレスが水を運んで来た。牧野はミルクティーを注文した。
牧野は俯いたまま俺の顔を見ようともしない。
暫らくしてウェイトレスがミルクティーを運んで来た時、体を後ろに退いて少し顔をあげ去っていくウェイトレスの後姿を横目で追っている牧野の顎を捕らえて強引にキスをしてみた。

「うわぁ!!な、何すんのよこんなところで」
「あんたが顔もあげず何にも話さないから、チョット悪戯してやりたくなった」
「もぉ〜人前で恥ずかしい」

顔を真っ赤にしながら怒っている牧野がとても可愛く思えた。

「まったく1時間も遅刻した上に元彼とご登場とは参ったね」
「本当にごめんなさい」
「もういいよ。どうせ司に待ち伏せでもされたんだろう。あいつの浅知恵なんかに屈する俺じゃないよ」
「花沢類と待ち合わせしているって言ってるのに道明寺の奴わざと車遠回りさせて、しかも店の手前で降ろしてって頼んでるのに全然いう事聞いてくれない上、店にまでついて来ちゃって・・・・・
私、道明寺のことなんかもうなんとも思ってないよ。ほんとだよ」

俺の顔を覗き込むようにして牧野は訴えていた。

牧野は司ではなく俺を選んでくれた。
結局司は道明寺の名を捨てることができず、牧野より道明寺家を選んだ。司の両親による圧力に司は負けてしまったのだ。
司は牧野とは別れたくないと言い張ったが道明寺家を選んだ時点で既に答えは出ていた。牧野は酷く傷つき司との別れを決めた。
それから1年後俺たちは付き合い始めている。
来月からニューヨークに行く事になっている司は残された時間で何とか牧野の気持ちを引き戻そうとしているのだが時既に遅し。

必死に俺に詫びを入れている牧野が可哀相に思えてきたので許すことにはしたが、俺の中で再び悪戯心が頭を擡げてきていた。

「もういいよ。わかったから」
「ホント、ホントに許してくれる」
「うん、許す。けど1つ条件がある」
「何?」
「今日1日俺の指示に従うこと」
「私ができることなら何でもゆうことを聞きます」
「約束だよ」
「うん、約束する」
「じゃぁ行こうか」
「何処へ?」

俺は戸惑っている牧野の手を取って席を立った。
会計を済ませ外に出ると目的地に向かって歩き始める。

「ねえ、花沢類何処へ行くの」
「良い所」
「良い所って?」
「ついてくればわかるよ」

かなり長い距離を歩きそろそろ牧野が疲れ始めていた。
俺の歩幅に合わせて歩くとかなり疲れるらしい。普段は牧野にあわせてゆっくり歩いている俺だけど今日は気持ちが先走っていてそれどころではなかった。
坂道にさしかかると牧野はやっと気がついたようだった。

「花沢類もしかして・・・・・」
「その通り。俺こういうホテルに入らないからたまには入ってみたい」
「嫌だ!!こんな真昼間からこんな所に入りたくないよ」
「夜だったらいいわけ?」
「そ、それは・・・・」
「約束は守ってもらうよ」

牧野はしまったというような顔をして仕方なく俺に付いて来た。
ホテルの中に入ると各部屋の案内がパネルに表示されていた。
さすがに午後3時にここを訪れる客は少ないらしく殆んどの部屋が空室だった。

適当にパネルのスイッチを押してみると鍵が出てきた。
部屋番号を確認してその部屋に向かった。
部屋に入ると自然と照明がついた。しかし部屋の中は薄暗い。
なんてチープな作りなんだろうと俺は思った。まぁ料金が安いのだから仕方がない。
大きなベッドが真中においてありベッドの上にはなにやら様々なスイッチがついていた。俺はそれに興味を持ち1つずつ押してみた。
ベッドの真上の天井に星座が瞬いたり、部屋の照明が赤くなったり青くなったり、テレビがついたり、ダウンライトになったりと
結構面白い。
牧野は部屋の照明が変わるたびに驚いていた。

「こっちに来なよ」

部屋の中をクルクルと見渡している牧野に俺は手招きした。

「私こういうホテル始めて入ったよ」
「結構おもしろくない?」
「でもチョット薄暗くて気味が悪い」
「こういう雰囲気が気分を盛り上がらせるんじゃないの」
「そうかなぁ」

なんとなく落ち着かない牧野の肩に手を回し俺は唇を重ねた。

「シャワー浴びといで」

無言のまま牧野は頷くとバスルームに向かって歩いていった。
シャワーの音が耳に届くと、牧野の後を追って俺もバスルームへ向かった。
バスルームのドアを開けると予想通り牧野は大声をあげた。

「キャァ―イヤ!!入って来ないで!出ていってよ!!」

椅子に座っていた牧野は胸を両手で押さえて叫んでいる。

「いいじゃん別に、一緒にお風呂入ったって」
「よくない!!恥ずかしいでしょう」
「約束はどうしたのかなぁ」

牧野は途端にうっと押し黙った。

バスタブの栓をひねってから俺は牧野の後ろに回り込んだ。

「体洗ってあげるよ」
「いいよ、自分で洗えるから」
「いいから、いいから」

俺はボディーソープを手にたっぷり乗せ少し湯をふくませると牧野の体を洗い始めた。というよりは触り始めたんだけど。

「キャァーやだ、くすぐったい、変な手つきしないで!!」
「別に普通だよ」
「嘘、なんかいやらしいよ手つきが」
「だって俺の大事な彼女の体に傷でもついたら大変だから優しく洗ってあげないと駄目でしょう」

その言葉に顔を真っ赤にする牧野。可愛い奴。
首筋、肩、腕、背中、足(膝から下)と洗っていきてそしていよいよ胸。
牧野の胸は小さいけど形が良いし、とても張りがある。俺のお気に入りの胸なんだ。
少しボディーソープを足して後ろから胸を持ち上げるようにして洗い始めると胸の先端が固くなっていることに気づいた。
掌で包み込むようにして揉みあげる。固くなった部分を円を描くように触ると牧野は俺の手を止めた。

「駄目だよ、こんなところで」
「いいじゃん、気持ちいいんでしょう」

再び頬を染める牧野を見ているとたまらなくなってきた。
片手で胸を揉みもう片方の手はウエストから下に向かって這わせる。

「・・・あぁ・・・・」

牧野は声を押し殺している。無理しなくても良いのに。

「ここも洗わなきゃね」

そう言いながら俺は牧野の割目へと手を伸ばした。
そこは既に濡れていて、牧野は体を震わせた。

「は、恥ずかしい、ヤメテ花沢類」
「恥ずかしがることないよ。感じているんだろ」

何度か割目を掌で擦るように洗い上げ、秘部に中指を入れてみる。

「あぁぁん・・・ダメ・・・いや・・・」
「気持ち良いくせに、イヤじゃないよな」
「花沢類の意地悪」

頬を膨らませてプイっと横を向いたが俺の指は休まず動いているので牧野の体はすぐに弓なりになり俺に体をあずけてきた。

「はぁ・・ぁああ・・・うぅん・・・ふぅ・・」

泡だらけになって牧野の素肌はよく見えないけれどそれはそれでまた色っぽく感じられる。もう少し泡だらけの牧野を見ていたいと思う感情と素肌に口付けたいと思う感情がぶつかる。
結局後者が勝ってしまった。
秘部に入れた指はそのままに、シャワーをひねり牧野の肩から泡を流した。全身を流し終わると俺は牧野の前に回り込み、舌を牧野の胸に這わせた。硬くなった先端を口に含み舌で転がすと牧野は全身から力が抜け始めた。
倒れないように牧野を片手で支えながら胸への愛撫を続けた。

「はぁ・・・いや・・・もぉ・・・あぁぁ・・んぅ・・・」

艶っぽい声を出している牧野を抱き上げて椅子からおろし、バスマットの上に寝かせて再び秘部に指を差し入れ内壁を掻き乱すように指を操った。
イヤ、イヤと頭を振る牧野を押さえ込んで強引に唇を割って舌を入れる。舌を絡め、蜜を吸い込み、口腔内を犯すかのように舌を操った。
息苦しさとのぼりつめていく感じに牧野は俺から唇を離して叫んだ。

「・・・ふぅ・・あぁぁ・・私もぉ・・・」
「イきそう?」

体をよじりながら牧野は軽く頷いた。
指を1本から2本にしてそれぞれ別々の動きをする。途端に牧野の声がバスルーム内に響き渡った。

「あっ・・・・あぁぁぁ・・・」

俺は牧野がイった様子を見届けると満足して自分の体を洗い始めた。
バスマットの上に転がったままの牧野にシャワーをかけて意識を戻させると俺は牧野を抱きかかえて湯船に浸かった。

「意識ハッキリしてきた?」

俺の首にしっかり腕を回し俺と目を合わせないようにしている牧野の耳元で囁いた。
黙って牧野は頷いた。

「おりる?」
「恥ずかしいからこのままでいさせて」
「牧野って恥ずかしがりやだよな。もういい加減慣れたら」
「花沢類の瞳がいけないんだよ。その瞳がドキドキさせるって言うか私を狂わすって言うか・・・」
「ふ〜ん、俺の瞳がね。じゃあもう一度狂ってもらいましょうか」

俺は牧野を抱いたまま立ち上がりバスルームから出た。
バスタオルで手早く自分の体を拭きバスローブを着て、もたもたと体を拭いている牧野を手伝ってベッドの前まで牧野の手を引いてきた。
ベッドの上のスイッチを押して天井を星座にする。
キラキラと人工の星が瞬き始めた。

「牧野こっちへおいで」

素直に俺の言う事に従う彼女。
俺は牧野を自分の上に乗せた。

「いつもは俺が主導権を握っているけど、今日は牧野に主導権を渡す。だから俺を感じさせて」
「エエエッ!!私が主導権を・・・・」
「そう。いつも牧野が俺にされているみたいに今日は牧野が俺にして」
「できないよそんなこと」
「約束は!!」
「はい。わかりました」
「素直でよろしい」

どうしていいのかわからない牧野は少しどぎまぎしながら俺に顔を近づけてくる。
俺は目を開けたまま仰向けに寝ていた。

「は、花沢類。目を閉じてよ!」

仕方ない目を閉じてやるか。
目を閉じると牧野の唇が俺の唇に重なった。
何度も何度もキスを繰り返すがなかなか舌が唇を割って入ってこない。俺は少しもどかしく感じていた。

「花沢類、口少し開いて」

俺は牧野の要求に応じる。
やっと牧野の舌が入って来た。俺の舌に自分の舌に絡めようと必死になっている。

“何、何なのこの緩慢な舌の動きは。いつももっと激しく動かしてくれるじゃない”

牧野は唇を離し俺を睨みつけていた。
俺は牧野が唇を離したことを不審に思い目を薄っすらと開けると恐い顔をした牧野が見えた。

「花沢類、もう少し私に協力してよね!」
「それはどういう意味?」
「どういう意味って・・・・もう少し・・・動かすとか」
「エッ?聞こえない何て言ったの」
「もぉ〜いいよ!!」

大事な部分を小声で言ったので俺の耳には届かなかったが牧野の言いたいことはわかっていた。

「俺はさぁいつもの牧野と同じようにしているだけだからね」
「私と同じ?」
「そうだよ、いつも俺が牧野を抱く時と同じようにしているだけ」
「じゃぁ私はいつもそんなに舌の動きが緩慢なの!!」

そう言ってからシマッタという顔をしている牧野をみて俺は噴出しそうになっていた。

「ぷっ!」
「わ、笑わないでよ!!」
「ごめん、ごめん。牧野はいつもそんな感じなんだよはじめはね」
「わ、わかったわよ。フン」

“もうこうなりゃヤケダ。やってやるわよ”

「目を閉じて」
「はい、はい、わかりました」

目を閉じると牧野の唇が再び俺の上に落ちてきた。
ついばむようなキスを何度か繰り返した後、今度は俺の下唇を舐め始めた。たまに口に含んで吸ったりもしていた。
ゆっくりした動きで牧野の舌は俺の唇を割って入って来た。
俺も今度は協力してやろうと舌を積極的に絡める。
牧野は少し驚いていたみたいだった。

“何よ初めからそうしてくれればよかったのに”

牧野は少し照れながらも俺にキスをし続けた。
唇が離れると牧野の唇は俺の耳に移動した。軽く息を吹きかけられ、耳の中を舌が這う。俺はゾクゾクして体を震わせた。

“耳感じるんだ。やったね”

牧野は嬉しそうだった。
執拗に耳を攻められ俺は身悶えた。
左の掌は俺の胸を擦りながら時折乳首をクリクリといじる。
俺はたまらず声を漏らした。

「・・あぁ・・・」

“うわぁ〜またまた感じてるみたい。嬉しい”

牧野はすっかり羞恥心を振り払い俺を感じさせることに徹していた。
バスローブの紐をほどいて前を開いたが彼女は脱がそうとはしなかった。
牧野の唇は耳から首筋を伝って、鎖骨、胸へと移動してきた。
俺の乳首を舐めまわす。俺は再び感じてしまい声をあげた。

「・・うっ・・・・」

俺の方が恥ずかしくなってきた。照れ隠しに俺の頬を撫でる牧野の右手を掴み指を1本ずつ舐めてみた。指先に少し震えを感じた。

「ダメだよそんなことしたら、今は私が類を感じさせるんでしょう」

そうだった。しかしいつもしてあげる側がされる側になるというのは少し手持ち無沙汰というかなんと言うか・・・・。

「ごめん」

俺は謝って牧野に身をまかせた。
どんどん牧野の唇は下に向かっておりてくる。
ようやく俺のものへと手が伸びていった。

“とうとうここまで来た。けどこれを口にするというのは抵抗がある。どうしてもこれが類の体の一部だと思えないほどグロテスクなんだもん”

牧野は手で俺のものを擦り始めた。
牧野の手の中で俺は力をつけどんどん大きくなっていく。

“うぅ、もう頑張るしかない。類のためだ”

牧野は俺の先端をチロチロと舌で舐め始めた。

うわぁ気持ちいい。もっとしてくれよ牧野。
俺の声が聞こえたみたいに次第に牧野の舌使いは激しくなっていった。ひとしきり俺のものを舐めあげた牧野は意を決したように俺のものを口に含んだ。

「・・・うぅ・・・・・」

根元までくわえ込んで何度も出し入れを繰り返す。
牧野の口の中で俺のものはビクビクと振るえながら膨れあがっていった。上目遣いに様子を見ながら必死になって俺を感じさせてくれる牧野をいとおしいと思った。

「類、気持ちいい?」

牧野はくわえていた俺のものを離し聞いてきた。

「うん、とっても気持ちが良いよ」
「そう、よかった」

そう言って牧野は微笑み再び俺を口の中に入れてくれた。

牧野の動きがもどかしく感じて俺は彼女の頭に手をやる。
自分で腰を動かすと牧野は少し苦しそうに顔を歪めた。喉の奥まで突き刺さってかなり辛いのだろうと俺は思ったがもう動きは止められなかった。

「・・・はぁ・・・ま、牧野もう俺限界近い」
「・・・・・・」
「受け止めてくれるのか?」

牧野は静かに頷いてくれた。

“ヤダ、どうしよう。飲み込めるかな”

俺のものは牧野の口の中でビックンと跳ね一気に喉の奥へと白い液体を放出した。
牧野は息苦しそうに目をつぶったままそれを飲み込んだが飲み込みきれない液体が口の端から伝って零れ落ちてきた。
俺はティッシュでそれを拭いてやり牧野をしっかりと抱しめた。

「ありがとう牧野、凄く気持ちよかったよ」
「ホントに?頑張った甲斐があったのかなぁ」
「よく頑張った、偉い。今度は俺がお礼する番だね」
「お礼?」

俺はすかさず牧野のあそこに手を伸ばした。かなり濡れていた。

「いやぁ〜ん。急に触らないでよ!!」
「ここ凄く濡れてるね。俺を感じさせるんじゃなかったの?もしかして自分が感じちゃってたのかな」

牧野は顔を赤くし俯きながら小さな声で呟いた。

「類を気持ちよくさせてあげようと頑張れば、頑張るほど私の体の中が熱くなってきて、類のものを口に含んだ時あそこが疼いちゃったの。こんなこと言うつもりはなかったんだけど本当のことだから・・・・・・は、恥ずかしい」

正直に話す牧野が可愛くて、いとおしくて腕に少し力をこめて抱しめた。
こんなに可愛い奴を手放した司はバカだと改めて思った。

牧野と司は2人の前に立ちはだかる障害を幾度となく乗り越え、長い棘の道をくじけそうになりながらも何とか歩いて来た。
やっと平坦な道を歩けるようになってきたはずだったのに。
突然司の両親から俺達へ思いもよらぬ圧力をかけられた。

あれにはさすがの俺も驚いた。俺の親父の会社もあきらの親父の会社もかなりのダメージを受けた。
どちらもさすがに大企業だけあって倒産とまではいかないまでも、傾きかけた経営を立て直すのにかなりの時間と労力を要した。俺もあきらも会社のために必死に動いた。

総二郎は親父のスキャンダルをマスコミに流され西門流は分裂の危機に瀕した。
司にしたら苦渋の選択だったと思う。あいつなら間違いなく牧野を選ぶと俺達は思っていた。しかし司は俺達を選んだ。牧野と出会ってあいつは他人を思いやることを学んだ。
司は俺達を守るため両親の出した条件を呑んだんだ。牧野にはなんと言ったのだろう。牧野は司の気持ちをどのように受け止めたのだろう。
牧野は総二郎の親父の事は週刊誌に載っているので電車の中吊り広告などで目にすることもあるだろうが、俺やあきらの身に起こったことは知らないはずだ。
彼女の口ぶりからすると司は牧野に嘘をついているのだろうと思う。けど司が牧野を手放したお陰で今彼女は俺の腕の中にいるのだし、親父の会社も元通りになった。
司には感謝しなければいけないのに今日俺のとった態度は冷たすぎたかな?
以前の俺なら牧野を司にかえしたかもしれないが今はもう無理だ。体を重ねてしまった後では・・・・・・
事が収まった後で司は自分の出した答えを後悔したに違いない。
しかし、どんなに司が後悔し牧野を追いかけようと一度失ったものは2度と手に入らないということをわからせなければならない。

俺は抱しめていた牧野の体を離し、バスローブの紐をほどいた。
肩からバスローブを外すとそれはストンとベッドに落ちた。
白くて艶やかな肌に天井で瞬く人工の星の光が肌に一層輝きを与えていた。

「綺麗だ牧野」

俺は牧野をベッドに押し倒した。
胸を持ち上げるようにして掌全体で揉みあげながら、先端の固く尖ったところを時折摘む。
仰け反って白く浮きあがった喉もとに舌を這わせ、あんたは俺のもだと目印をつけるように赤く痕が付くほど吸い上げる。
滑らかな肌の感触を掌と唇で楽しみながら肩や胸元、ウエスト、腿の内側にも赤い痕を残しつつ俺は一部分を除いて牧野の体全体を優しく愛撫していった。

「・・んぅ・・はぁ・・あぁぁ・・ふぅ・・」

泉へと手を伸ばすとそこはドクンと脈打っていた。
くちゅと音をたてて俺の指はあっさりと沈んでいった。指から中の熱さが伝わってくる。

「待たせてごめん。ここに1番触れてほしかったんだよね」

耳元で囁くと牧野は顔を赤くしながら体をよじった。
指を何度か出し入れすると蜜が溢れ出てきた。
膝を折らせて足を開かせ俺は泉に舌を差し入れた。泉からあふれ出る蜜を舐めあげつつ、膨らんだ蕾へも刺激を与える。

「・・・あぁ・・いや・・うぅぅん・・・・」

喘ぎながら強く腰をよじる牧野を掴みながら我慢できなくなった俺のものを泉へと向かわせた。

「・・・うぅ・・・」

かなり濡れているので痛くはないはずなのにいつも牧野は入れる時、呻き声をあげる。
繋いだ部分が離れないように牧野の腰を引寄せ、ゆっくりと動き始めると彼女は大きく息を吐き出し、右に向いていた顔を左へとゆっくりと移動させ。

薄っすらと目を開けた牧野は何かに驚いたように目を見開いたのを俺は見逃さなかった。牧野の視線の先を追ってみる。
写っていた、繋がった俺達が。壁が鏡張りになっていることに今気がついた。俺は動きを止めて牧野に聞いてみた。

「見た?」牧野は目をギュッと閉じて首を振った。
「嘘、見たでしょ」今度は少し激しく首を振った。
「嘘つき。俺達が繋がっているところその鏡で見たくせに。正直に言わないと動くの止めちゃうよ」
「見ました」牧野は小さな声で呟いた。
「どんな感じだった?」
「・・・・・・」
「俺達が1つになっているのどう思った」
「・・・・・・」
「牧野、答えてよ」
「・・・・・・・」
「もう1度見て」

俺は牧野の顔を手で鏡のほうへ向けながら少しだけ動いてみた。

「・・ん・・ふぅ・・・意地悪・・・しないで」
「ごめん、ごめん、ついね」

潤んだ瞳の牧野を見てやりすぎたと反省した。
俺は再び一定のリズムで動き出した。
自分たちが繋がっているところをみて刺激されたのか牧野の喘ぎ声は大きくなった。その声を聞いていると俺もたまらなくなる。
少しスピードをあげて一段と深いところに自分自身を打ち込んだ。

「あっ・・いやぁ・・・あぁぁ・・・」

うっ、牧野の中今日はよく締まる、キツイ。
俺は牧野にどんどん追い詰められていった。
牧野がのぼりつめるより先に俺が限界にきそうだったので動きをゆるやかにした。少し不満そうな顔をした牧野の口を塞いで唇を割って舌を入れた。俺は喉の奥へ奥へと舌を進めていった。

「・・・・・んぅ・・・・」

息苦しそうに牧野が顔を歪めたので俺は唇を離した。
一番深いところまで挿入し小刻みに牧野を揺らし続けた。
牧野の様子から絶頂間近なのを読み取ると俺は逃げて行く腰を押さえて大きな律動に変えて彼女を貫いていった。

「・・・あぁ・・もうぉ・・・いやぁぁぁ・・・・」

俺も限界。牧野の中から引き抜き、彼女のお腹の上に白濁した液体を吐き出した。

髪を梳くように撫でながら、俺は好きだとか愛してると言う言葉では表現しきれないこの情熱を牧野にどのように伝えたらいいのか、どうしたら彼女を繋ぎとめておけるのかを悩んでいた。

「どうしたの?」

黙ったままの俺に牧野が尋ねてきた。

「いや、別に」

牧野は再び俺の胸に頬を寄せた。
牧野は司のことはもう何とも思っていないと言った。本当だろうか?再び司の胸に戻ってしまうことはないのだろうか?
牧野にとって俺は司と別れた寂しさを紛らわすためのただの身代わりなんじゃないだろうか?
そう考えると不安になる。司が正直に俺達の身に起こった出来事を牧野に話せば牧野の気持ちは司に引き戻されてしまうだろう。

司はそれをするだろうか?
司に牧野を完全に諦めさせる方法は1つしかない。
俺は頭を軽く振った。余計なことを考えるのは止めよう。
今俺の腕の中にいるのは紛れもなく牧野なんだし、司の身代わりであったとしても俺は満足している。牧野の中から完全に司を追い出すまで俺はこれからも努力を惜しまないだろう。

すやすやと気持ちよさそうに俺の胸で眠っている牧野をギュッと抱しめ、髪にそっと口付けた。

「つくし、愛してるよ」






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