一番大切
花沢類×牧野つくし


なぜか急に実家から送られてきたアルバム。
その中で、私はF4に囲まれて笑っていた。
あの時の私はやっと自分の意志で歩くことを決めて、自信でいっぱいだったっけ。
未来は明るくて自分の思い通りになると思っていたのに―――。



「どうしたの?」

何気なくかけられた声でハッと我に返った。
部屋の入り口の方を見ると、今しがた入ってきたばかり、という顔をして愛する夫が立っている。


「ううん、ちょっとボーっとしてただけ。あなたたちの卒業式のときの写真を見てた」
「俺たちの・・・どっち? 高校? 大学?」
「高校」


ふん、と少し不満げに鼻を鳴らしながら夫が私の隣りに座る。
高級なソファは夫の体重を受け止めるべく沈み込み、自然に私の体も夫の方に傾いてしまう。


結婚してやっと一年。
彼と寄り添うことにようやく慣れてきたばかり。
これまで何度、同じことでケンカを繰り返してきただろう。


――私よりずっと、あなたの隣りにふさわしい人がいる。


そう何度思い、涙を流しただろう。
卒業式の自信を粉々に打ち砕かれたあの時から、
私はすっかり自分に自信が持てなくなっていた。

「ああ・・・懐かしいね。つくしこの時ドレス破いちゃったって言ってたっけ」


そう言いながら夫はくっくっくっ、と笑った。
笑いながら当たり前のように私の方に腕を回して引き寄せる、
そんな動作を信じられるようになったのもやっと最近。


「何笑ってるのよ・・・」
「だってTOJの時も服の裾踏んづけて破いちゃってたじゃん。進歩なさ過ぎ」


笑いながらも愛しそうな瞳で私を見つめる夫――花沢類。
あなたのそのビー玉のような瞳に吸い込まれるようにして、私はここまで立ち直れた。



4年後、必ず迎えに来ると言ってNYに旅立っていった道明寺。
私はその言葉だけを信じてF4のいない学園生活も耐え切った。
それまでの反動でかなりひどいいじめを受けたけど、そんなことなんか気にもならなかった。
ただ道明寺のことだけを信じて耐えていたのに・・・



「・・・また」
「え?」
「また、あいつのこと考えてるだろ」

花沢類が真顔で私の顔を覗き込んでいる。
この人に隠し事はできない。道明寺と違って・・・


「・・・・・・仕方ないの」
「・・・・・・」
「・・・だって、本当に信じてたんだもん、あの頃の私・・・」


「つくし・・・」


花沢類はほおずりをするように自分の頭を私の頭にこすりつける。
彼がこんな愛情表現をすると知ったときは、その子供のような愛らしさに思わず胸が締まった。
花沢類、愛してる―――。


「・・・でも、今は花沢類だけだよ」
「当たり前」
「ぷっ。何それ」


思わず吹き出すと、花沢類は憮然とした顔をして見せた。
ずるいんだから、わざとそういう顔をして・・・。

「しょせん俺は司の代わりですから」
「そんなことないってば。なんでそういうこと言うのよ」
「だってあんたはしょっちゅう司のこと思い出しては泣いたり沈んだりして」
「違うよ花沢類」
「違わないよ。俺がどんなに辛いかわかってる?」
「違うよ・・・」


花沢類の目は欺けないな。
本当は違わない。
私はしょっちゅう道明寺のことを思い出してしまう。

でも、今目の前にいる花沢類のことが一番大切なのは間違いなく真実。
道明寺に捨てられて自暴自棄になっている私を助けてくれた人。
何の価値もないと思っていた私を愛してくれた人。
私と一生離れずにいたいと言ってくれた人。


「・・・ごめんね」
「・・・・・・」
「怒ってる?」
「・・・・・・」
「許してよ・・・悪気はなかったの・・・ね?」


拗ねてそっぽを向く花沢類を何とかなだめようと、
彼の顔の向く先に体を移動して真正面から顔を見詰め、大きな手を両手で包み込んだ。
花沢類は私の顔を見詰め返してくる。

「・・・・・・はぁ」
「なに? なんでため息つくの?」
「あんたは何もわかってない」

「何もってなにがよ?」


はぁぁ、ともうひとつため息をついてから、花沢類は私に覆い被さってきた。


「俺がどんなにあんたのことを好きなのかってこと」









言うなり花沢類はキスをしてきた。
顔の角度を何度も変えながら、少しずつ感情を昂ぶらせるためのキスを。

彼 は 私 を 欲 し が っ て い る 。

そう感じた瞬間、私の中の激しい部分に火が着いた。

花沢類のキスは優しく、情熱的だ。
道明寺とは全然違う。
一見優しそうに、上品に、素っ気なさそうに唇を合わせておいて
その内に熱いものを秘めている花沢類のキス。

唇を重ねているだけでわかる。
落ち着いているように見せているだけで本当は欲しくてたまらないということが。

チュ・・・チュッ・・・ぴちゃ・・・


――二人の唇が立てる音だけが部屋に響き渡る。
少し、嫉妬しているのか、今日の花沢類のキスは先走っているような感じ。
キスをするそばからまた次のキスを求めてくる。
唇を重ね、吸い、少し噛み、また深く咥え込み・・・


「ん・・・」


どちらからともなく舌を絡めて求め合う。
できることなら相手のすべてを舐め尽そうとするかのように。
つくしの息は見る見る乱れ、熱く潤んだ下半身を類の足に自分から押し付けたいと思う気持ちが止まらない。
だがそれは羞恥心が許さず、ただ手だけが類の体を縦横無尽に行き来する。


くすり、類が笑った。

「溺れてるみたい。手が必死でもがいてる」

つくしの顔が真っ赤に染まる。
結婚して一年も経とうというのに相変わらずの羞恥心が残っていることを
類はこの上なく愛しいと思っていた。


 (可愛いよね、あんたって)
 (そういうとこ最高)


指摘された恥ずかしさで急に縮こまったつくしの耳にそっと囁く。


「もっともがいてよ。そうしたら俺が助けてあげる」
「・・・花沢類」


頬を赤く滲ませながら、つくしはそろそろと類の肩に手を伸ばした。
華奢な膝から滑り落ちたアルバムのことなど気にも留めず、
二人は貪るようにお互いを味わい続ける。


 (花沢類・・・今日はあたしの舌に絡み付いてくる。すごく熱い・・・)

類の口付けは激しさを増していき、
つくしの舌にねっとりと絡みつく類の舌は情熱そのものかと思わせるほど
甘くとろけそうな唾液を滲ませている。


「はあ・・・」


体中の火照りに促されるようにうっとりと目を潤ませながら息をつき、
つくしは微かに目を開いた。
類の唇からつくしの唇まで光る糸が伸びている。
それが甘く粘度を増した二人の唾液が引いた糸だと気づいた時、
下半身の火照りを起爆点とした体中の熱さが急に倍になったように感じた。


「あ・・・はぁっ・・・」


光る糸に気づいた二人は、もう一度濃厚に口付けた。
まるでその糸を切るまいとするかのように深く深く、味わい合う。


「あぅっ・・・!」

口付けに飲まれて恍惚としていたつくしを、
突然別の快感が襲った。

快感に溺れているつくしの固くピンと張った胸の突端に類が前触れなく触れたのだった。
思わずびくりと体を硬直させるつくしだったが、すぐに次の愛撫を求めて類の指の先へ体ごと擦り寄っていく。


「どう・・・気持ちいい?」
「はぁ・・・ああん・・・あ・・・きもち・・・い・・・」
「もうすっごい固いよここ。欲しいんでしょ?」
「いやぁ・・・いじわる・・・」
「それじゃわかんないよ。ちゃんと言わないとやめる」
「やめないでっ・・・お願い・・・あぅんっ」

「じゃあちゃんと言って」
「・・・・・・」


これまで何度もこういったやりとりはあったのに、
つくしは未だに慣れないのだった。
それをわかっているからこそ類は何度もその言葉を求める。


 (悪いけど、そうやって恥じらって躊躇してるあんた可愛いんだ。
  理性も羞恥心も吹っ飛ばして俺を欲しがるあんたを見ると
  俺も何も考えられなくなる。だから早く聞きたい。一緒に昇りつめたい)

類は直接敏感なふくらみを攻めず、服の上から線を引くようにかすめる。
上から下へ、下から上へ、指を上下させるその度に
つくしはビクン、ビクンと背中を反りかえらせる。


「いつまで経ってもここ、弱いね」
「だって・・・気持ちいいから・・・」
「じゃあ早く言って」
「・・・・・・」


 ――もっと触って欲しい・・・


「・・・触って」


待ち望んだその一言に目を輝かせながらも、類は少しもったいぶる。


「なに? どこを?」
「もうっ、いじわる!」
「ちゃんと言わないとわかんないよ?」
「・・・・・・胸・・・を触って」
「うん。じゃあ触る」


言うなりそれまでの上下運動を止め、
類は大きな手を優しくつくしの乳房に添えた。
始めはじらすように胸を下から持ち上げる形で揉みしだき、
突端には触れようとしない。


「花沢類・・・もっと上の方・・・」
「わかってる。・・・でもまだお預け」
「・・・・・・」


類はつくしが恥ずかしがって早く欲しいとは決して言わないことを知っている。
彼女はお預けの宣告を不服そうに身をよじらせるが、
その不器用な感情表現を楽しむようにわざと突端だけを避けて愛撫を加え続けた。

柔らかいリズムで乳房を揉み上げ、
同時に、人差し指で突端の周辺を円を描くようになぞる。
段々円の周囲を狭めていき、突端に辿り着くぎりぎりのところで指を遠くに退く。


「あ・・・あん・・・ああ・・・・・・意地悪・・・」


類の指先にのみ神経を集中しているつくしは
なかなか求める場所に触れてもらえないにも関わらず、
既に火照った下半身がじわじわと潤ってきていることを感じていた。
期待して、じらされて、また期待することを繰り返しているうちに
少しずつ昇りつめるのに似たような気持ちの高まりの波に飲み込まれていく。

「お願い・・・早く触って」


吐息にも似た哀願に類は目を見開く。


「初めてだね、そこまで欲しがったの」
「やぁぁ・・・恥ずかしいから言わないで」
「・・・ふふ。赤くなってる」


―――可愛いよ


つくしの耳に口を寄せた類はそう囁いて、耳たぶにそっとキスをした。
その長い指はついにピンと立った突端に触れる。


「あぁっ・・・!」


ビクン、と背中を反り返らせたつくしの耳元を追って類は体を寄せる。
指は突端の先で優しく円を描くようにしながら、同時に舌でちろちろと耳たぶをなぞる。

「はっ・・・」


ぞくっとした感覚が耳から首、脇腹を走り、下半身の一点に集約されていく。
類が口と手で愛撫を繰り返す度にじんじんと痺れるような感覚に支配されて行き、
意識が飛びそうになる。

だが体はさらに鋭敏になり、類の愛撫すべてにびくびくと反応する。


 (あたし・・・なんか変・・・)





快感の予感に耐え切れず、ぐにゃりとしたつくしの体を類は軽々と抱え、
そのまま隣りの寝室へと向かった。
広いベッドにつくしの細い体を横たえ、自らも上着を脱いでその脇に寄り添う。

「さあ、ここだったら伸び伸びと乱れられるよ」
「伸び伸びって・・・」
「だってソファじゃ狭いでしょ」


 (伸び伸び乱れるっていうことは、さっきよりもっと・・・)


想像しただけで体が熱くなる。
つくしはまるで熱に浮かされたような心地でぼんやりと
類が自分の服を脱がせていくのを見ていた。

つくしは服を脱がせる類の丁寧な手つきを目で追いながら
またしても道明寺のことを考えてしまっていた。

 ――あいつ、あたしのことなんか思い出しもしないのかな・・・
 ――あんなに好きだった気持ちを簡単に忘れちゃうなんて・・・

 ――あたしは今でもこんなにやるせなくなるのに・・・

アルバムを見てしまったせいで、いつも気づかないふりをしている思いが次々と現れてくる。
すぐに忘れられるはずのない道明寺への気持ちを無理やり閉じ込めて封をしたのは
もうだいぶ前のことなのに、どうしてこんなに色褪せないのか・・・。

気づいたら服を脱がせ終わった類が静かにこちらを見ている。

 ――しまった、気づかれた?

「なに? なんで見てるの?」
「なんで見ちゃいけないの?」
「いけないわけじゃないけど・・・」

「・・・・・・」

はぁ、とため息をつくと、類はつくしの上に覆い被さった。
後ろめたさからやや性急に、つくしも類の肩に腕を回す。

つくしに自らの体重がかからないように気をつけながら、
類はつくしの唇に優しく下りてきた。
再び交わされる甘美な口付け――


 (司のことをまだ割り切れないのか・・・)
 (待つのって結構辛いんだよ、つくし)


口付けながら左腕で自分の体を支え、右腕を伸ばしてつくしの髪に触れる。
その細くて柔らかい髪を自分の指に巻きつけ、手の平全体でつくしの顔を包み込んだ。

「ん・・・」

類はより甘く、切なげにつくしの唇を求める。
目を閉じて触れ合う唇の感触から類を感じようとしているつくしを、
類は一瞬も目を逸らさずに見つめた。
つくしはうっとりとした表情で口付けを味わっている。

類の視線には気づかずに。


ふと、類が指に巻きつけた髪の毛先でつくしの耳をくすぐった。

「きゃあっ!」

ぞくっとする感覚に思わず身を引き、逃げようとする。
しかしそんなつくしの上に類が体重をかけてのしかかってきた。
ベッドの柔らかいスプリングのお陰で重さはそれほどでもないが、
体が沈んでしまって逃げられない。

「ふふ。逃げられないよ」
「な・・・何するのっ」
「こうするの」

言うと類はまたつくしの毛先で敏感な耳をくすぐる。

「いやっ、くすぐったいっ・・・やだっ」
「ぞくぞくする?」
「当たり前でしょ!」
「良かった」

にこぉっと無邪気に笑った類の顔を見て、つくしは呆気にとられてしまった。
その間も類はつくしの耳をくすぐり続ける。

「やだ・・・やめて」
「ぞくぞくするんでしょ?」
「するけど・・・くすぐったいだけ・・・ああぅっ」

突然、類がつくしの耳の穴に舌をねじ込んできた。
それまでの毛先によるくすぐりで敏感になっていたつくしの体を
ぞくっと快感が走る。

痺れるような感覚が今度は舐められた左耳の方から首、肩を伝って左腕に抜ける。
腕がぴりぴりとして動かない。

そんなつくしの様子を知ってか、類は何度も耳の穴に舌を出し入れしたり、
耳に沿って舐め上げたりと行為を続ける。

「ああっ・・・あっ・・・」
「・・・感じてるの?」
「わかんない・・・ぞくぞくする」
「胸をそんなに突き出してるのは触って欲しいからじゃない?」
「あ・・・!」

つくしは体を走り抜ける感覚に突き動かされ、
自分でも知らぬ間に背中をそらして胸を突き上げた格好になっていた。
類の言葉でそのことに気づいて、思わず顔が真っ赤になる。

「やだもう・・・恥ずかしい・・・」
「恥ずかしいことないよ。触って欲しいんでしょ? さっきみたいに」
「・・・うん」

くす、と笑って類の唇はつくしの敏感な耳から離れ、
ほっそりとした首を伝って少しずつ下がっていく。

「あっ・・・あっ・・あ・・・・・・」
「どうしてそんなに気持ちよさそうなの?」
「あっ・・・知らないっ・・・」
「知ってるくせに。意地っ張りさんだね」
「・・・意地悪ばっかり・・・ん・・・」

「だってつくしをいじめるの、楽しいから」
「はぁ? ・・・んんっ・・・なにそれっ」
「そういうところが可愛い。ふふ」

言うなり類はつくしの突端をいきなり大きく舐め上げた。

「はぁっ・・・!」

いきなり襲った快感に思わずビクンと仰け反ったつくしの背に素早く右腕を回し、
胸を突き出させた格好をままで再び舐め上げる。

「あ・・・ああ・・・」
「どう、嬉しいでしょ」
「あ・・・もっと・・・」

つくしは眉根を寄せて、悦びに潤んだ目で類を見た。

「もっとして欲しいの?」
「・・・うん」
「反対側も?」
「・・・うん」
「いやらしいね」

クスリと笑った類の声に羞恥心を呼び覚まされ、思わずつくしは目を逸らした。
さっと頬が火照るのを感じながら、同時に体の奥も火照っているのもわかる。

 (あたし・・・いやらしいんだ・・・あそこが熱い・・・!)

ぎゅっと目を閉じて顔を逸らすつくしを見つめながら、
類は大きく突端を舐め上げた。

「ああっ・・・あっ・・・」

強く押し付けるように舌をあて、何度も何度も舐め上げる。
べろり、べろり、と舐められる度にその場所から衝動が体中を走り抜け、
つくしは思わず大きな声を上げた。

「ああっ・・・ああっ・・・」
「ふふ・・・」

快感に耐え切れずに思わずつくしが類の頭をかき抱くと、
類はつくしの左の突端に口を寄せて舌先でちろちろと突端を刺激した。
かと思うと打って変わってつくしの突端から舌を離さず、
熱い唾液で胸の頂に灯った火を消そうとするかのように小刻みに舐め続けてみせる。
つくしはその舌の動きに誘われるかのように胸を寄せていき、
我知らぬうちに類の顔に乳房を押し付けていた。
類の舌の動きによって生じた電流のような快感は少しずつ集まり、ちりちりとはじけていく。
背中には何度も電気が走り回り、いくら反り返らせても収まらない。

そんなつくしの状態などお構いなしに、類はつくしを愛撫した。
激しく舌を震わせたかと思うと緩慢に、舌全体で突端を包み込みように愛撫し、
大きく円を描くように舐めたかと思えば、突端だけをクルクルちろちろと舌先で突付く。
それと同時に空いた左手でつくしの右の乳房を同じように攻めにかかった。

熱く柔らかな舌で舐め回されながら、力強く優しい左手で揉みしだかれ、
突端を突付かれ、指で弄ばれる。

固く立ち上がった突端からは何倍も強い電流が背中を駆け抜け、さらに体を仰け反らせる。
快感に包まれてなす術のないつくしは必死に類をかき抱き、
すんなりとした足は我慢できずに棒のように伸びたり膝を立てたりを繰り返している。
その足の真ん中で、ひときわ熱くじんじんと快感を溜めている部分は
もう抑えきれないほどに火照っており、
もはや誰にも制御できないほど体中が快感を―類を求めていた。

「ああん・・・ああっ・・・すごい・・・!」
「ん?」
「すごいよ・・・花沢類・・・気持ちよすぎ・・・・・・あんたって上手すぎ・・・」
「つくしが敏感すぎるんだよ。だってもう欲しがってる」

気づくとつくしは両膝を立てて開き、間に類を抱えていた。
かっかと燃えるように熱い秘部からはとろとろとした液体が漏れ、
ますますつくしを快感の絶頂へ向かって進ませようとしている。

「さっきから何度も腰を上げてた。もう欲しいんでしょ」
「やだ・・・あたし・・・気づかないうちに・・・」

恥ずかしさと熱さと気持ちよさに翻弄されて何も考えられなくなっているつくしは、
潤んだ瞳でじっと類を見上げた。その目は今すぐに欲しいと言っている。

「欲しいの・・・?」
「・・・・・・うん」
「でもまだ全然触ってないよ。下も・・・」
「いいの・・・入れて欲しいの・・・花沢類の・・・」

「指より先に?」
「うん・・・」
「俺の何を入れて欲しいの? 言ってご覧」
「・・・・・・もう許して・・・お願い・・・花沢類・・・いじめないで」


 (本当はね、俺もすぐに入れたかったんだ)
 (じらされてるのは俺も同じだからね)


「お願い・・・入れて・・・」

慈しむようにゆったりと類の広い背中を撫でながら、
つくしはもう一度せがんだ。
この願いを突っぱねられるほど、類にも余裕はない。

「いいよ、入れてあげる。足開いて」

類を挟みつけていた足を緩め、つくしは大人しく待っている。

 (俺にだけ従順でいて・・・)

それでも類は固く太くそそり立つ自分の分身をつくしの熱く潤った部分にあてがい、
名残惜しそうに軽く前後にこすりつけてつくしの敏感な種を刺激した。
つくしの体がびくっと反応する。

「あ・・・は・・・早く・・・ちょうだい・・・」

苦しげに乞うつくしの様子を見て類はじらすのをやめ、
今度こそ濡れた花弁の中心に自らを定めてぐっと腰を押し付けた。
狭く閉じたつくしの中をはちきれんばかりに膨らんだ類が沈んでいく。

「あ・・・っ」

自分の中を貫いていく類の感触を確かめる間もなく、
繋がった部分から強い快感が押し寄せてくる。
快感は波のように腰をわたって押し寄せ、体の中心とぶつかって弾けた。

 (この・・・入れられた瞬間が最高に好き・・・)


「つくし・・・どう?」
「うん・・・最高・・・」

ずっぽりとつくしの中に分身をうずめながら、類はまじまじとつくしの姿を眺めた。
さっきまでの恥じらいはどこへ行ったのか、つくしの腰は類に絡みつくようにうねっている。
両腕は類の腕にしっかりと掴まり、どんなに激しく突きたてられても離れまいとするかのようだ。

「つくし・・・」

小さなつくしの体に覆い被さり、その顔を覗き込みながら類は腰を動かし始めた。

「あ・・・ああん・・・ああっ・・・」

つくしの中に挿入してからしばらく、
類は様子を見るために軽いリズムで腰を前後させた。

  (今日はどこが感じる?)

ごく軽い動きにも関わらずつくしの中は熱く、
前後に動く度に液体が溢れるほどぬるぬると湿り、
きゅっと類の分身を締め付けてくる。

  (これじゃどう攻めても同じだな)

それでもこころもち抜き差しに角度をつけて、
つくしの中にある快感のポイントを優しくこするようにする。

 「ああっ・・・! あっ・・・そこ・・・は・・・」
 「ここは、何?」
 「そこ・・・気持ちいい・・・」
 「うん、だからこうしてる」
 「あ・・・っ・・・もう・・・」

 「もっと声を出して、つくし」
 「!!・・・そんなの無理・・・」

快感のままにあえぐことが急に恥ずかしくなったつくしは、
なんとかして声をひそめようと口を結んだ。
くすり、と類が笑う。

 「恥ずかしくないから・・・」

そう言ってつくしに何度も口付け、愛おしむようにゆっくりゆっくり唇を開いていった。
繋がったままの秘所は動かさず、ただ濃厚なキスだけを与える。
いつの間にか二人の舌はお互い絡み合い味わい合い、熱く甘い感触はつくしの意識を遠くさせた。

  (もうダメ・・・最高に気持ちいい・・・何も考えられない)

ボーッとする頭の中とは裏腹に、類の分身を打ち込まれている部分はどんどん熱くなる。
ただ類を刺し込まれているだけなのにそれだけで液体が後から後から流れ出し、
繋がっている場所からシーツに垂れて広がっていく。

  (動かして欲しい・・・我慢できない・・・)

熱く腫れぼったい秘所を持て余したつくしは、閉じていた瞳を薄く開いて類を見た。
優しくつくしを見つめていた類と目が合う。

 「どうしたの? もう我慢できない?」
 「・・・うん」

 「じゃあたくさんしちゃうよ。いい?」
 「たく・・・・・・うん、いい」

つくしは一瞬驚いたものの、体の奥からわき上がってくる衝動に勝てずに
潤んだ目で切なくうなずく。類はもう一度短くキスをして再び腰を動かし始めた。

 「ああ・・・! あっ、あっ・・・ああっ」

つくしの感じるポイントを確実に突きながら、類はリズミカルに腰を動かした。
溢れる液体がぐちゃっ、びちゃっ、と二人が繋がっている証を部屋に響かせる中、
寄せてくる快感に、思わずつくしは鼻にかかった可愛い声を出してしまう。
類はつくしの内壁をこすりながら奥まで一気に走り、行き止まりに衝突する力はあくまでも優しい。
腫れぼったく熱いつくしの秘所は類によって快感を与えられ、さらに敏感になっていく。
快感は次第に積み重なり、つくしの下半身を重い圧迫感が覆いだした。

  (もう・・・イキそうになってる)

類の分身を締め付ける力も徐々に増し、びしょびしょに濡れて熱を持った柔らかいつくしの内部は
タイミングよく出入りする類にだんだん強い力をかけ始めた。

 「つくし・・・もうダメなの?」
 「だ・・・だめみた・・・い」
 「仕方ないね・・・」

そう言うと類はいきなり腰の動きを強く早く切り替えた。
パンパンパン!という音が部屋中に響き渡り、激しい息遣いが二人の口から漏れる。

 「ああっ! ああっ! あああっ!」
 「はっ・・・はあっ・・・」

つくしは下半身からわき出す重苦しさにも似た強い快感に支配され、
ただ叫ぶことと類にしがみつくことしか出来ない。
下半身に力が集まり、一気に圧力を増してぐいぐいと類を締め付けている。
逃げ出したくなるほどの快感と圧迫感が次第に高まっていく。

 「あああっ! もうダメ! ああっ!!」

類の体に回している腕にひときわ力がこもり、背中は弓のように反り返る。
つくしはもう自分さえ自分自身では制御できないほどになっていた。

 「ああああっ! あああっ! あっ・・・ああ!」
 「・・・つくし・・・」
 「・・・・・・っ!!」

急にふっと体が浮いたようになり、つくしの意識は空へ飛んだ。
あれほどまでに緊張して硬直していた体中から力が抜け、糸の切れた操り人形のようにぐったりと横たわる。
絶頂を迎えて放心状態のつくしを確認すると、類は一旦動きを止めた。

  (やばかった・・・)

つくしと繋がったままで体を起こし、座った姿勢になって息をつく。
類の方も先ほどの動きで絶頂に近づいていたので、必死で気持ちを逸らして持続力を回復させた。
そのまま少しの間、息を整える。

数分後、やっと荒い息遣いが収まると、まだ脱力しているつくしに声をかけた。

 「・・・つくし」
 「・・・な・・・・・・に?」
 「呆けてるとこ悪いけど、まだ終わりじゃないよ」
 「うそ・・・」
 「ホント」

ニコッと笑うと、類は開いたままのつくしの両足を自分の腕に絡ませ、
その状態でつくしの上に覆い被さった。つくしの腰が上向きになる。

 「あっ、つくしのここ痙攣してる」
 「!! やだ! 見ないで!!」
 「無理」

顔を真っ赤にして慌てて体制を変えようとするつくしにかまわず、
類は再び腰を動かし始めた。今度はトン、トン、トン、トンというやや遅めのリズムを刻む。

 「あっ・・・あっ・・・ダメ・・・すぐイっちゃう」
 「できるだけ我慢して」
 「我慢って・・・んっ・・・あ・・・」

勢いはそれほどではないが、直前に絶頂を迎えたつくしにとってはそれで充分だった。
すぐにまた快感の波が寄せてくる。

 「やばいよ、もうあっ・・・イキそう」
 「まだ全然乱れてないのに、つくしもうダメなの?」

  (これでまだ乱れてないって・・・)

思わず絶句するつくしだったが、快感が口を突いて出てくるのは止まらない。

 「あっ・・・ああ・・・」
 「つくしぐちゃぐちゃだよ。本当にもうダメみたいだね」
 「だからそう言って・・・ん・・・」

もっとじらすつもりだった類としては不本意だが、
目の前のつくしは快感に翻弄されて自分を抑えられなくなっている。
類は少し残念に重いながらも、つくしに合わせることにした。

 「・・・どうしても我慢できない?」
 「無理だよ・・・」
 「・・・じゃあ、一緒にいく?」
 「・・・うん」

見詰め合ってそう確かめると、二人はお互い抱きしめあった。
類はつくしの足を絡ませたままの腕をつくしの細い体に回し、
つくしは足を高く上げて腰を突き出した格好のままでしっかりと類の首にしがみつく。

 「俺のこと、ちゃんと見ててね」
 「うん」

  (司じゃなく、俺のことだよ)


 「大丈夫、花沢類から離れない」

類の心を見透かしたようなタイミングでつくしが答えた。
偶然だと思いつつも、類は思わず子供のように素直に微笑む。

 「ありがと・・・」

つくしも微笑を返したのを見届けると、類は一気に絶頂に向かうように激しく腰を動かし始めた。
上を向いたつくしの秘所に突き立てるようにして一思いに貫き、もどかしく抜き出す。
理性をかなぐり捨ててただひたすら動く類によって、
つくしもまたすぐに先ほどの重苦しい快感に突き落とされていった。

 「ああっ! すごい・・・あああ!」
 「つくし・・・つくし・・・」

険しい表情で我を忘れたようにズンズンと突いてくる類から目を逸らすまいと、
つくしは耐え切れない快感に体を逸らしてしまいそうな衝動を必死でこらえていた。
お互いの息づかいは激しくなり、抱きしめ合う腕に力がこもる。

  (壊れちゃいそう・・・!)

 「ダメッ! もうイク!」
 「いいよ・・・!」

爆発寸前でつくしは力いっぱい類を抱きしめた。
ありったけの力を感じて、類も精一杯つくしを貫き立てる。
つくしの秘所はこれ以上ないほどの力で類を締め付け、
絶頂を迎えようと気を緩め始めた類が予想していた以上に激しい快感を生み出す。

  (もう持たない・・・!)

 「ああああっ!! っ・・・・・・!!」
 「・・・・・・!!」

その瞬間ビクン、とつくしの体が跳ね、2度目の絶頂を迎えた。
それを見届けた類も最後の自制心を手放し、思いのままに自らを放出する。
つくしの体の奥深くにとぷん、とぷんと精液を注ぎ込むと、そのまま二人とも脱力した。

 はあっ、はあっ、はあっ、はあっ・・・

しばらく荒い息遣いだけが部屋を支配し、快感の余韻に浸る二人があった。
つくしも類もびっしょり汗をかいて胸を上下させている。

荒い息遣いが収まった頃、どちらからともなく身を寄せ合ってキスを交わす。

 「ねえ・・・中に出した・・・よね?」
 「うん、出した」
 「赤ちゃんできちゃうよ?」
 「いいよ」

  (司のこと、もう乗り越えたって信じてるから)

 「そっか。そうだよね」

夫婦だもんね、と呟くつくしの頭を自分の胸に乗せ、類は満足そうに笑顔を作った。

 ――もう、あいつのこと考えるのはやめよう・・・この人のために・・・

夫の胸に頬をすり寄せて顔を伏せたつくしも、ふわりと微笑んで目を閉じる。


隣りの部屋のソファの上で、つくしの実家から送られてきたアルバムが、
つくしと類の結婚式の写真があるページを開いたままで置き去りにされていた。

そして二人はまた愛し合う。






SS一覧に戻る
メインページに戻る

各作品の著作権は執筆者に属します。
エロパロ&文章創作板まとめモバイル
花よりエロパロ