花沢類×牧野つくし
![]() 逢いたい。その口実で俺は牧野を映画に誘った。 「花沢類と映画なんて初めてだね。」 牧野が声を弾ませて言う。 「ああ、そうだっけ?ちょうどチケットが二枚あったし、あんたこう言うの 好きそうだから。」 「うん。さすが花沢類。よくわかってる。」 満足そうに牧野が言う。 土曜だけあってさすがに映画館は混んでいた。シートに座ると牧野がコーヒーを 差し出しながらくすくす笑う。 「何?」 「ん?いや、花沢類ってこんな人込み苦手でしょ? なのに映画だなんて。しかもアクション映画。意外で」 「俺だってたまには映画館くらい来るよ」 「一人で?」 「あぁ。その方が気楽だし。」 「じゃ、今日もあたしは邪魔?」 「牧野は特別。」 「口がうまいんだからっ。」 俺達は、手を繋いで暫くそんな掛け合いを楽しんでいた。 (本当の目的は映画じゃなくて別の所にあるんだけどね) 上映時間が来ると、牧野はポップコーンをつまみながら映画に見入っている。 くるくると変わる表情。面白い奴。暫くそんな牧野を眺めていたけど。ふと、気付く。 もしかして俺忘れられてる?一時間以上たった頃だろうか。だんだん退屈になってきた俺は、ある事を思いついた。 思いつくと言うより、最初からそれが目的だったんだけど。 俺は繋いだ手をスルリと離すと牧野の肩に腕をまわした。 「ひゃっ。」牧野が驚いて飛び上がる。 「牧野、ここ映画館。」 周りの奴の視線が一斉に集まった。 「ご、ごめんなさい」 そう言うと牧野は慌てて腰を下ろす。 「ちょっと、花沢類っ」 「あ?あーごめん。牧野、俺眠い。肩かして・・・」 「花沢類、あんたってこんな騒々しい所でも眠れる訳?」 「うん。俺、睡魔と性欲には勝てないから」 「性欲って・・・ば、ばか。こんな所で何てこと言うのよ」 「牧野、ちょっと静かにして。俺もう・・・」 そう言って牧野の肩に凭れるフリをして耳に息を吹きかけた。 「・・・・・・・っ!」 ビクッっと肩が反応する。あれ?感じちゃった?そう聞きながら耳朶に舌を這わす。 「や、やめて」 「やだ、やめない。だって牧野感じちゃってるじゃん」 「か、感じてなんか・・・」 「感じてない?ホントに?」 そう言いながら、肩に回した右腕でニットの上から胸をさする。それに反応するように牧野の胸に小さな蕾が浮き出たのを俺は見逃さなかった。 「牧野?コレ何?」 俺はその蕾を指でつまみ上げる。 「ふっ。んんっ。」 恥ずかしげにうつむきながら首を横に振る牧野。ほんと、苛めがいの ある奴。反応を楽しみながら指の動きを早めていくと、牧野の、声に ならない吐息を感じた。そして、強く掴まれた俺の左脚に立てられた爪で 小さな絶頂に達した事を知る。 「イッた?」 意地悪く聞いてみる。 「は、花沢類のばか。」 牧野、涙目になってる。そんな顔見せられるともっと苛めたくなっちゃうんだけど。 「可愛かったよ。」 「もうっ知らない」 「ごめん・・・」 この腕からは開放してあげるよ。そう言うと牧野は少しホッとした 表情を見せた。 でもね。牧野、お楽しみはこれからだよ。俺の中のいたづらな小悪魔が 顔を覗かせる。くすっ。 腕を解いても警戒心からか牧野はなかなか手を繋ごうとしない。 映画にも集中出来ないようだった。 ふぅ。仕方ないな。 俺の右手が空いてるって事は、物凄〜く危険だって気付いてないだろ? でも、先ずそれには牧野のガードを解かなくては・・・。 取り敢えず、牧野の肩に凭れ、寝たふりをしてみる。暫く様子を伺って いたけど俺が眠ったと思ったのか、安心してスクリーンに目をやった。 牧野、油断大敵って言葉知ってる? 俺は隙を見てほっそりとした脚に手を伸ばした。 突然の事に牧野が驚いて目を丸めこっちを見ている。 「花沢類ぃぃぃっ」 「え?俺なんかした?」 「その手」 「わりぃ。手冷たくて眠れないから牧野に暖めて貰おうと思って」 「あのねぇ」 「駄目?」 「だ、駄目とかそう言う問題じゃ なくて・・・」「ならいいじゃん俺のことは気にしなくていいから。」 「う〜〜〜〜っ」 そんな恨めしそうな顔したって無駄な事を牧野はまだ知らない・・・。 「牧野、黙って前見てて。でないと怪しまれちゃうよ?」 そう言って俺は牧野の脚を中指でなぞり往復させる。 何度も、何度も・・・。 そうしているうちに硬く閉じられていた牧野の膝が徐々に開いていくのに 気付いた。牧野・・・・・?牧野のその行動が無意識なのか故意なのか それは俺にも分からない。ただ、それが俺の中にある何かに火を点けたのは 確かだった。少し膝を割り内腿に手を伸ばすと柔らかな その感触を味わう。 「だ、だめ・・・誰かに・・・み、見られ・・・ちゃ・・・」 押し殺した牧野の声。そんな声出すなよ・・・。やっとのことで 保っている理性の糸が切れるだろ。 ゆっくりとしたその動きにあたしはもどかしさを感じる。 一番触って欲しい所に花沢類は触れようとしない。 こんな場所でされている、恥ずかしい行為の筈なのに、 それさえも忘れさせてしまうような感覚・・・・。 なんて細くて綺麗な指・・・。 あたしは、知らないうちに花沢類の指の動きを追ってしまう・・・。 そして何よりもそれを求めている自分に気付く。 全神経が花沢類に触れられた部分に集中し他の感覚は全て無くして しまったかの様な錯覚。 映画の大音量さえも耳には届かない。 あたしの感覚を無視する様に花沢類はその動きを止めようとはしない。 花沢類、あたしもうっ・・・。 そしてあたしは二度目の絶頂に達した。 牧野が必死で声を抑えている、そのしぐさがたまらなく愛しい。 俺は牧野の手を取り唇を寄せる。そしてゆっくりとその手を膝に 戻すと、敏感な部分に触れ下着の上からクレバスをなぞる。 一瞬牧野の甘い声が漏れた。 「んっ・・・。」 しかし、俺はその声を無視するかのように 刺激を続ける。そして、これ以上の快感を拒むような牧野の腕を 押さえ、下着の中に指を滑り込ませた。ほら、やっぱり こんなに濡れてる・・・ それを確認すると、指を差し入れゆっくりとスロートさせ牧野の中の 一番敏感な場所を探そうと二本の指を動かす。 「やめ・・・花沢る・・・周りのひと・・・に・・音、聞こえ・・・」 牧野の声が途切れ途切れに聞こえて来る。 「イキたかったらイってもいいよ?」 牧野の耳に囁くと牧野は大きくかぶりを振った。何でこんな時にも意地を張るかなぁ・・・ そう、じゃあ・・・。そう言って俺は、クレバスの間の敏感な花芯を 親指で刺激しながら指の動きを早めると秘唇からは更に蜜が溢れ出し、 ただでさえ狭い場所が俺の指を締め付ける。牧野は声を抑えようと 手の甲で必死に口元を押さえていたが僅かに声が漏れた。 「いや・・・あっ・・はあっ・・・もう、お・・・ねがい・・」 次の瞬間、牧野は俺のシャツを強く掴んで、そして、果てた。 暗い映画館の中でスクリーンの光が牧野の顔を照らし出す。 俺はその美しさに思わず息をのんだ・・・ 気がつけば映画は終わっていて、花沢類が心配そうにあたしの顔を 覗き込んでいた。 「・・・大丈夫・・?ごめん、ちょっとやりすぎた・・・」 「し、知らないっ」あたしはそっぽを向いて頬をふくらませる。 「くっくっくっ、取り敢えず出ようか?」 そう促され映画館を出た所で、花沢類があたしに信じられない 一言を言った。 「牧野、下着脱いでおいで。」 「や、ややややだ。花沢類、な、な、何言い出すのよっ!そっ、そんな事 出来る訳ないでしょっ。それに・・・」 「かっ、かっ、かっ、換えの下着もないし、ぜっ〜〜〜ったい無理っ!」 あたしは精一杯の抵抗をしてみせる。ノーパンで街なんか歩けないわよっ!!! 「ふぅん・・・。でもさ、下着、そんなに濡らしちゃって冷たくない?」 「こ、これはあんたがっ・・・」そう言いかけて止める。 今更ながら、あの行為を思い出し自分でも顔が赤くなるのが解った。 「俺が・・・?」 「いいから、脱いでおいで。そしたら、俺好みの ランジェリー、牧野にプレゼントしてあげるよ」 そう言うと花沢類はあたしの額に軽くキスをした。いつになく 意地悪な、花沢類の優しいキス・・・。 「ここで待ってるから行っておいで。」そんなにこやかな顔で・・・ ・・・あたしは花沢類の言いなりになるしかなかった・・・・ はぁ。なんでこんな事になっちゃうの・・・ 自己嫌悪に陥るあたしとは対照的に花沢類はご機嫌だ。 外に出ると頬を切る冷たい風にあたしは首をすくめる。 「寒〜い」 「・・・牧野。」花沢類があたしに手を差し出した。 ああ。あたしは花沢類のこういう何気ない優しさが好き・・・ それからあたし達は手を繋いで歩いた。 「あっ、あの。花沢類・・・もうちょっとゆっくり歩いてくれると 嬉しいんだけど。」 「悪い、ちょっと歩くの早かった・・・?」 「えと、あの、そうじゃなくて・・・。その・・」 「あのね、ああっもう! 下着、穿いてないから、大股で歩くと その・・・見えちゃいそうで・・・。」 「くくくっ・・・。」 (花沢類、もしかしてわざと!?) 「でさ、牧野今どんな気分?」 「どっ、どんな気分って・・・その、、、」「恥ずかしいし、さっ、寒いから あたし・・・」 「ん?」 花沢類が小首をかしげる。 「あたし、その・・もっ、もう帰るね?」そう言って踵を返した次の瞬間・・・ 花沢類があたしの腕を強く掴んだ。 「いやだね。帰さないよ。」 さっきとは全く違う雰囲気にあたしの身が竦む。さっきまでの花沢類とは 別人のようだった。 「やっ、離して! あたし、もう帰る。」 「牧野!」 花沢類は半ば強引にあたしを路地裏に引きずり込んだ。 ―――― 怖い ―――― 逃げようにも、足が竦んで動けない。もう駄目だ・・・。そう思った瞬間、 花沢類の甘い香りがあたしを包んだ。 「 花沢類・・・?」 「お願いだから帰るだなんて言わないで・・・」 後ろから優しく抱きしめる花沢類の腕を、あたしは振り解けない。 「牧野・・・」 あたしの首筋に紅い痣を残して冷たい唇が首筋を這う・・・。 吐く息が白くなるほど寒い筈なのに自分の躯が熱を帯びて行くのが 手に取るように解る。 「牧野・・・、今夜は俺の傍にいて・・・」 「いや・・・離・・して・・・」 「ほんとに嫌なの? ここはもうこんなになっているのに?」 強引にニットの中に手を入れ 胸を揉みしだき膨らんだ胸の蕾を 摘む。 「止めて・・・いやぁっ・・・あっ・・あぁぁぁっ」 花沢類を拒む言葉とは裏腹に、あたしの躯はそれを求めている。 「そんなに嫌なら、俺を止めてみせなよ」 花沢類が冷たく言い放つ。 そんなこと、出来るはずがなかった。 何よりそれを望んでいるのはあたしだったから。 ―――そしてあたしは、花沢類の手に堕ちた――― 「牧野・・・」 愛しい女の名前を呼ぶ。どんなに抗われても 俺はこの手を止めるつもりはなかった。 敏感な牧野の躯は、嫌がる言葉とは正反対の反応を示す。 当然だよな。俺がそう仕込んだんだから・・・ 牧野の胸の蕾を摘み揉みしだくと壁に手を付かせ、腰を突き出させる。 「牧野、下着付けてないから丸見えだよ?」 俺は司にさえ見せた事はないで あろう牧野のその淫らな姿を見て楽しんだ。 「やっ・・・恥ずかしいから見ないで・・・」 「こっち向いて、牧野がどんな顔してるか見せて?」 多分羞恥心いっぱいの顔なんだろうな・・・。 もっと優しくしてやりたいのに自分で自分を止める事が出来ない。 情けないよな、俺。女に対してこんなに余裕がないのは初めての経験で どうしたらいいか自分でも解らないんだ。 多分、牧野の中の司の存在がそうさせているのかもしれないな・・・。 「花沢類・・・あたし・・・もう、これ以上は・・・」 牧野のかすれた声が理性をそそのかす。・・・俺はもう限界だった。 何の前触れもなく牧野のそこに熱いたかまりを深く差し入れると、 牧野はすぐに絶頂に達したようだった。 けれど俺のたかまりは治まることを知らない。 「牧野、まだ挿れたばかりなのにもうイッたの?」 「しょうがないな・・・ でももう少し俺に付き合ってもらうよ?」 そう言って牧野の花芯を弄びゆっくりと抽送を繰り返す。 「んっ、あぁん・・・・はっ・・あっ・・・あぁぁっ」 「あっ・・ふっ・・・んっ・・んんんっ・・・」 「花・・沢・・る・い・・・ もっと・・・」 ゆるゆるとした俺の動きに耐えられなくなったのか牧野が ねだる様な声を出す。 「もっと何?」 解りきっているのに、俺はわざと牧野に答えを求める。 俺ってこんなサディスティックな性格だった? 「牧野、俺にどうして欲しいの?」 俺は腰の動きを止めた。 「言わなきゃ解らないよ?」 「牧野・・・?」 牧野は恥ずかしげに首を振るばかりで、答えようとはしない。 「そう。じゃあ仕方ないな。今日はここまでだね。」 「やっ、待って・・・お願い・・・花沢・・類が・・・花沢類が欲しいの・・ もっと・・奥まで・・・・」 あたしは自分がどんなにはしたないおねだりを しているのかよく解っている。でも、もう止められない。 花沢類によって植えつけられた快楽の種はすでに芽吹いてしまったのだから。 「牧野・・・可愛いよ。」 俺は牧野のニットをたくし上げ腰から背中に かけてゆっくり舌を這わせた。何度も、何度も・・・。その度に 牧野の締め付けがきつくなる。そして、牧野の望むとおりに 激しく腰を突き上げた。その間も、蕾を弄ぶ手を休める事はない。 「あっ、やぁぁ・・・そんなに激しく・・る・・・い・・・っんっ・・ んんっ・・・あっ・・あぁぁ・・・」 誰に見つかるか分からない状況がそうさせるのか牧野の乱れ具合は いつもとは違っていた。 俺は牧野のそんな声に俺は酔いしれる。 「牧野・・・もっと声を聞かせて・・・」 牧野の花びらから滴る蜜は濃厚さを増し、牧野の中は俺を離すまいと襞が 絡みつき締めがきつくなる。 「ふっ・・・んんんっ・・・んぁぁぁぁぁっ・・」 「花沢類・・あたし・・・もう・・イッちゃう・・・」 「お願い・・・ 一緒に・・・」 牧野はもうその時の準備が出来ているのだろう。 半ばすすり泣きのような声に変わっていた・・・。 いつもだったらそれを受け止める筈の俺はそれをしなかった。 「まだ駄目だよ。牧野・・・」 そう言って、牧野が欲していたそれを 引き抜く。 「いやっ。もっと欲しいの・・・」 牧野がねだる。 「言っただろ?まだ駄目だって・・・」 「もっと感じさせてあげるから我慢して?」 「こっち向いて、壁にもたれて脚を開いて。」 俺は跪いて牧野にそのポーズを取らせると牧野の花びらを開き丁寧に舐めあげた。 滴り落ちる牧野の蜜が今の牧野自身を物語っているようだ。花芯を優しく 吸いさっきまで俺を受け入れていたそこに指を挿れ、スポットを探る。 「いやぁっ・・・ああっ・・・そこは・・・駄目・・・」 「お願い・・・ もう・・・赦して・・」 牧野は本当に限界に達しているようだった。もう少し味わいたかったけど 仕方ないな。首に腕を回させると、さっきとは違うポーズで 牧野を抱きしめ一気に突き上げた。 「あっ・・あぁっ・・・花沢る・・い・・・」 「もっと・・・・」 牧野の望むまま何回も抽送を繰り返す度、牧野の襞が俺を締め付ける。 「くっ・・・やばいな・・」 でもまだイク訳にはいかない。 激しく腰を動かすと、牧野の花は淫靡な音を奏でた。 「やっ、そんなに動いちゃ・・・、駄目・・・。」 「っふっ・・・んっ あっ・・・んんっ――っ」 「花沢類・・あたしもう、イッちゃう・・・お願い・・いかせて・・・」 そんな声聞かされちゃ、俺ももう限界だな・・・ 「牧野・・一緒に・・・」 「んんっ、中は・・・駄目・・・」 駄目と言われても今更止められる訳ないだろ。そんなつもり更々ない。 「牧野、俺の全部を受け止めて・・・」 「やっ・・・あっ・・・あぁっ・・・っふぅ・・」 「あっ、んんっ・・・ る・・・い・・んっんっ・・・ああっ・・あぁぁぁぁっ――――」 「・・牧野っ・・・」 ―――俺は牧野の躯の奥深くに熱い雫をほとばしらせた。 そして、ゆっくりと崩れ堕ちる牧野を強く抱き止める。 あぁ、牧野に俺のものって印を刻み忘れたな。ま、いいか。 ―――冷たく冴え渡る空に浮かぶ銀の月 夜はまだ始まったばかり・・・――― ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |