起きない牧野 つくし視点
花沢類×牧野つくし


朝起きたときあたしは多分赤面しながら起きたと思う。
なんていう夢を見てしまったんだろう。

花沢類が・・・?

考えないようにしよう。ぶんぶんと頭を振る。

「何やってんの?」

くすくす笑いながら花沢類がベッドサイドに腰掛けた。

「おはよう。」

夢の中の印象がまだ残っていて恥ずかしくて顔を上手く見ることが出来ない。シーツをぎゅっと握ってうつむいたまま朝の挨拶をした。

「おはよ。」

そんなあたしに笑いながら返す。

「よく眠れた?」

そうだった。あたしは昨日少し落ち込んでた。道明寺から全然連絡が無くて、時差があるからって思って電話を待ちながら結構夜中まで起きてる日が続いて全然眠れてなくてもう精神の限界だった。
そんなときに、いつも現れるのは花沢類だった。
あたしがつらくて仕方の無いときにタイミングを計ったように現れる。
それはまさにどっかのテレビ番組のヒーローのようで眩暈さえ覚えるほど。

ぼろぼろ醜いくらい泣いているあたしをぎゅぅと抱きしめてそれからこの家に連れてきてくれた。ベッド以外何にもない部屋。それがさらにあたしを落ち着かせた。

「ほら、着いててやるから。寝ろよ。」

ぶっきらぼうにそういってあたしの手をぎゅっと握った。ほとんどぬくもりもない手があたしに触れてあたしの熱が移って少し暖かくなって、そんなことが嬉しくて、また泣いてしまいそうになりながらあたしは夢路へと旅立った。

慰められたいと思ったのかもしれない。あんな夢を見たのは。

最初は道明寺だった。
あたしにキスを落として、胸を優しく揉み、鎖骨や首筋に唇を落とした。本当に幸せで、それだけであたしは微笑む。首に手を回して引き寄せるようにする。
もうどこにも行かないで。
そう叫んでしまいたかった。

NYはとても遠い。
あたしが思っているよりもずっとずっと。そして、いつもは強気なあたしなんだけど道明寺が絡むと妙に乙女になって弱気になってしまうのもいけない。手放したくなかった。

けれど、いつしかそんな道明寺の顔は花沢類になっていた。膣内を舌で攻められているときに突然秘所にうずめていた唇を離してあたしに口付けを落としたあのときに、自分がキスしているのが花沢類だってことに気がついた。

優しいキスとはいえない激しいキス。執拗にあたしの舌を追い回し、絡め、吸い上げた。

「んん。」

息苦しくなって何回も唇を離そうとするけれど上手く出来ずにあたしはずっとなすがままだった。
切なそうに額に皺がよっている花沢類が、愛しくなってあたしはもう一度首に手を回した。
好きだったのはずっと前のこと。今はちゃんと自分が道明寺を好きだって分かってる。

でも、前好きだった気持ちは簡単に消えるものなの?

混乱する気持ちは、快感に押し流されて、分からなくなっていった。
大分蜜があふれてきた膣内に指が入ってきたとき、あたしの体は震えた。初めてのその感覚に自分の声を抑えるなんて理性が働くはずも無くてあたしはみだらに声を出す。

「あぁん。だ・・駄目。やぁ。」

親指があたしの蕾を刺激して、何がなんだか頭の中が真っ白になる。
わけも分からずに何かが来ることを感じる。
あたしは今、何かに向かっている、それだけを感じて怖いような気がして身震いをする。
膣内で、指が何回もあたしの感じるところを擦っていく。もっとして欲しくて、でもしてもらったらどうなってしまうか分からなくて、何回も「駄目」と繰り返す。
そして、それはやってきた。
真っ白なスパーク。その一瞬に花沢類の顔が見えた気がした。

なんて夢を見ちゃったんだろう。そして、今なんでこんな鮮明に思い出しちゃってるんだろう。恥ずかしくなってあたしは立ち上がって自分の服を着る。

「じゃ、じゃぁ帰るね。」

顔が見られなくて背中にそういうと

「もうちょっと居ても大丈夫だけど?」

そういってあたしを優しいまなざしで見る。そのまなざしは最初にあったころとは違うくらい本当に優しいことに気がついてしまってあたしはさらに困ってしまう。
あの茶色いビー玉が。

「うぅん。大丈夫。」

そういって部屋を出る。
朝特有のさわやかな風が吹いて髪がなびく。

あたしは知らなかった。
そのなびいた髪の下からのぞく 首筋に赤いキスマークがあったことに。






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