ドタキャン
花沢類×牧野つくし


花沢類と付き合いだしてもうすぐ3年…花沢類は今年大学を卒業して、実家の仕事を手伝いだした。
大学に通ってた頃と違い、なれない仕事と人間関係に疲れきってる様子が私にもわかる。
最近では2人で会う時間もなくなっちゃうし…
もちろん会う約束はするんだけど、直前でキャンセルになったりしてた。
仕事を始めた花沢類が忙しいのはわかるけど、何回も続くドタキャンに私もイライラがつのってきて…
そんな時、花沢類からの電話

『牧野、俺明日1日OFFになったから…久々にどっか行こ!』

昨日の夜は嬉しくて、眠れなかったな。諦めていた私の誕生日、覚えててくれたんだね。
誕生日だし久々のデートだからたまにはお洒落しようかな、なんて思ってたら携帯が鳴った。

 ♪〜♪〜

あっ!この着信は花沢類
あわてて出た私に聞こえた花沢類の声は、さっきまでの楽しい気分を一瞬で吹き飛ばす物だった。

『ごめん、今日ダメになった』
「・・・・」
『夜には帰れるから、俺の部屋で待ってて』
「・・・・」
『牧野、聞こえてる?』
「・・・でよ」
『何?聞こえない、も一回言って』
「最初から無理なら、約束しないでよ!」

自分で自分の声に吃驚した。や、やだ、こんな事言うつもり無いのに…

重なったドタキャンにイライラしてた気持ちがよみがえって来た。もう、止まらない

「いつもいつもドタキャン!約束してはしゃいで用意してる私、バカみたい!これで何回目?出来ない約束ならしないでよ!もう沢山!!」

一気に言い終えるまで花沢類は何も言わなかった。
暫く沈黙が続いたが『ごめん…』一言言って電話が切れた。
どれくらいそうしてたんだろう…切れた携帯を握り締めたまま泣いていた。

やだ…あんなこと言うつもり無かったのに…花沢類が忙しいのは誰よりもわかってたはずなのに…
どうしよう…

そこまで考えて私は慌てて部屋を出た。
こんなとこで泣いてても仕方ない。夜には戻るって言ってたし、花沢類の部屋で待ってよう。
そして「ごめんなさい」って謝ろう…
足早に彼の部屋へと向かった。

久々に訪れた花沢類のマンション、以前貰った合鍵で中に入ってからの私の行動は早かった。
まず掃除をして洗濯、もちろん食材なんて無いから買物に行き夕食の準備に取り掛かる。
最近疲れてるって言ってたし何か体にいいもの作ろ〜なんて考えながら、テキパキと食事を作っていった。
けど…よく考えたら昼間の電話でかなり酷い事をいってしまった…花沢類は夜には帰るって言ったけど、あの電話の後だし帰って来るんだろうか…

怒ってるかもしれない…その証拠にあの電話の後は何の連絡も無い…もし花沢類が帰ってこなかったら…
そんな風に考えていたらいつの間にか窓の外は暗くなり、この部屋の自慢でもある夜景が広がっていた。
一気に暗い気分になり、とにかく落ち着こうと思い冷蔵庫の中を覗くと2人で飲もうよって一緒に買ったシャンパンが目に付いた。
いつもだったら、アルコールに弱いから飲む事無いんだけど暗く沈んだ気持ちを戻す為にためらいも無くシャンパンに手が伸びていた。



はぁ〜今日は本当についてない

折角の牧野の誕生日、いつも忙しくてなかなか会う時間も無かったんだけど今日だけはOFFにしようって頑張ってきた。
何とかOFFになり牧野と約束したまでは良かったんだけど、今朝取引先からのトラブルの連絡で急遽キャンセルしてしまい…
牧野怒ってたな〜って当然か…最近では約束してもキャンセルばかりだったし、その度に牧野は「仕方ないよ、仕事でしょ。そんな事より体に気を付けてね」なんて言うから俺も牧野の言葉に甘えてたんだと思う。
我慢してたんだろ〜な〜 今日の電話での牧野は本当に怒ってた「もう沢山!!」か…
本当に呆れられたのかもしれない…さっき牧野の部屋に寄ったけどいなかったし…

そんな事を考えながらマンションへ帰ると、俺の部屋に明かりがついてるのが見えた。
もしかして!と思い俺は慌ててエレベーターに乗り部屋へと急いだ。

牧野がいるかもしれないと思い部屋に入るが、何の物音もしない。

『牧野、来てるの?』と問い掛けても何の返事も無かった。

けどリビングの電気はついており、テーブルの上には牧野が良く作ってくれる料理も並んでる。
牧野何処だ?なんて上着を脱いで奥にあるソファーの上にかけようとしたら、ソファーの上で大の字で寝ている牧野を見つけた。
プッ!なんて格好で寝てんだよって起こそうと思ったその時異変に気付いた。
寝ている牧野の傍らに一緒に飲もうと買ったシャンパンの空瓶が転がってた。
ま、まじかよ…

このシャンパン結構度数あるし、普段全く酒を飲まない牧野が飲んだって事は酔っ払って寝ちゃったのか。
とりあえずこのままって訳にもいかず、起こす事にした。

『牧野、起きてよ牧野』
「う〜ん…」
『こんなとこで寝てると風邪ひくよ』
「う〜ん…」

反応はあるけど全く起きる気配がない。困ったななんて思ってると目の前の牧野が突然ガバッと起き上がって辺りをきょろきょろと見ている。
『牧野大丈夫?頭痛くない?』と問い掛けると俺の方を見て
「うるさい!彼女ほっといていい気なもんよ!今日は私の誕生日なのに!!」と俺の顔を見て叫んだ。

だ、誰だこれ…?牧野か…?何か言おうとした瞬間

「ごめんね花沢類。酷い事言ってごめんなさい」とさっきまでとは違い涙を流しながら俺に抱きついてきた。

急な牧野の態度に吃驚していた俺は支える事も出来ずに、そのまま牧野に押し倒される形になってしまった。






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