拒否権
花沢類×牧野つくし


「あのさ、道明寺ってアホなの。野生の勘だけやたら発達してるけど…
 それに性格も最悪だし ガキんちょだし…」

いつもの癖だね、牧野。
アンタがやたらと饒舌なのは 緊張してる時と
―言い出しにくい事を隠してる時。
オレは多分聞きたくないその続きを
それでも促す為に言葉を紡ぐ。

「…牧野。」

その声にぴくんと体を強張らせて 
少し眼を伏せ それから牧野は真っ直ぐオレを見た。

オレが好きになった眼。
夏の風みたいな凛とした眼だった。

「―だからね、私アイツを守ってやる事に決めたの。ずっと。」

知ってたよ 牧野。
今では誰でも知ってる。
アンタはちゃんと司を待ち続けた。
司もちゃんとアンタを愛し続けた。
その本気さが到底ありえなかったおとぎ話みたいなハッピーエンドを引き寄せた。
司がアンタを迎えに来て、初めてのお披露目パーティでは
アンタに対して陰口というにはあからさますぎるほどの悪口が会場中を埋め尽くしていた。
ブランド意識にどっぷりつかった愚鈍な連中の中にはアンタに向かってそれを言うヤツすらいた。
そんなヤツらにあの鉄の魔女が

『私の義娘に何か?』

ときっぱり言い放った事はもはや伝説みたいに語られてる。

「だからね…だから。」

語尾が震えて 牧野の眼に涙が浮かぶ。
オレはそれ以上言わせたくなくて
彼女を引き寄せて唇を塞いだ
唇も華奢な肩もどこもかしこも震えていて オレは気が狂いそうな気がした。
彼女に触れたのは勿論これが初めてで
そして最後になることはわかっていた。
こうしないとオレの中のアンタを殺せないとオレもアンタも知ってる。

…だからアンタはオレに抱かれに来たんだ。

思い込みにしか過ぎないだろう その可能性に
わかっていながらオレはしがみつく。

「ふ…ぅっ…んん」

深く舌を差し入れると ねっとりと甘い舌が震えながら応えてきた。
押し返すような抵抗も気付かない振りで封じ込める。

「あ・・・たしっ、アレなのよ・・・」
「アレ・・・? アレって・・・?」
「アレはアレよっ!そんな恥ずかしいこと言わせないでよね。」
「アレ?・・・ごめん・・・考えたけどわかんないや。なに?」

普段は人一倍敏感な癖に、なんでこんな時にその勘が働かないのよ・・・

「あーのーねーっ!だから、あたしは、"処女"だって言ってんのっ!!」

肩で大きく息をしながら、自分がとんでもない事を口にしたのだと気付いたのは
数秒後。 目のには固まったままの花沢類・・・

「・・・ち、違うの 今のは間違い!お願い、忘れてっ。」

なんて言ってはみたものの、後の祭りだったりする訳で・・・

「牧野、まじで?」

お?花沢類が驚いた顔してる?もしかして、功を奏したのかも。
これで、あたしに手を出す気もなくなったよねっ!
なぁんて思ったのは間違いの元で・・・・

「もしかして、男にフラれるのってそれが原因?」

うっ。そんなあからさまに言わなくても・・・

「悪かったわね、だっていざとなったら、身体が拒絶反応を
起こして、つい手足が出ちゃうんだもん・・・」

「ぷっ くくくっ。牧野らしいや。相手の男、気の毒に・・・」

「ちょっと!そんなに笑う事ないでしょ。」

「でもさ、相手の男に感謝しなくちゃね。」

「へ?感謝? 何で?」

「だって、それって俺が牧野の初めての男になるって事でしょ。」

ちっがーう!違うだろ、それは・・・

「あのね、だからね、花沢類あたしに、その気は・・・」

「牧野。」

「え・・・?」

「俺、すごく嬉しい!」 

―――花沢類の零れるような満面の笑顔―――

・・・・・もしもし?ハナザワルイさん?人の話聞いてます?
しかも、その笑顔はなんでしょう?

人の気持ちはお構いなしに、どんどんと手を進めていく花沢類に
あたしは必死でストップをかけた。

「だめったら駄目!」

「牧野、往生際が悪いよ。ここまで来たら覚悟決めちゃいなよ」

「そ、それは・・・」

「俺の事、嫌い?」

「・・・きら・・いじゃ・・・ない」

「じゃ、いいじゃん。」

・・・そうゆう問題なのか・・・?
あたしが不安そうな顔をしていたのを読み取ったのだろう。
花沢類は、あたしに一つ提案をした。


「わかったよ。じゃ、こうしよう。牧野に拒否権をあげるよ。」

「・・・拒否権?」

「そう。もし、俺が今からする事に牧野が少しでも嫌だと感じたら、
はっきりそう言って?そしたら、俺はそこから何もしない。」

「・・・ほんとに?」

「ああ、約束するよ。牧野に足蹴にされるのは嫌だしね。くくっ・・」

・・・・なんか複雑だ・・・。

「・・・キス・・・してもいいよね?」

花沢類の一言に、あたしはうつむいて、頷くことしかできなかった。
その後の記憶は殆どなくて・・・気が付いたときには、あたしは
花沢類の腕の中で、なされるがまま・・・

まったく、強情な彼女は中々首を縦に振ってはくれなくてちょっと
焦ってしまったけれど、他の男に取られるのを手を拱いて見ているのは
もう我慢の限界だったから。

牧野の許可をもらってくちづけた後、彼女の顔は今まで見たことも
ない位真っ赤で、こっちにまで緊張が伝わる程震えていて・・・

思わず俺は自分の方にシーツを手繰り寄せて、恥らうフリをしながら

「初めてなの・・・優しくしてね?」

なーんて言ってみたりした。牧野には、枕を投げつけられたけど、
少しは緊張がほぐれたかな・・・

牧野の腰を抱き寄せついばむようなキスを繰り返し、慣れた頃に
深く唇を求め、逃げる舌を追い絡ませる。

「んっ、んんっ〜〜〜〜っ」

彼女が何か必死に訴えようとしているけれど、もう聞く耳さえ
持てなくて、そんな余裕も全然なくて。

バスローブのはだけた胸元や、裾から覗く白い脚に我慢の限界を感じ
すぐにでも牧野の中に入りたい衝動に駆られたけれど、それよりも
キスに酔いしれる牧野の表情を、もう少し見ていたかった。

唇の輪郭を指でなぞりもう一度深くキスをする。
バスローブの上から優しく胸に触れると、ピクッと牧野の身体が反応した。
ゆっくりと撫でるようにしながら、小さな突起を見つけ甘噛みする。

「あんっ・・・」

今まで聞いたことのない様な甘い声が、牧野の口から漏れた。

「牧野、ここ感じるんだね」

耳元でそっと囁くと、潤んだ瞳で何かを必死で訴えようとする牧野。 
邪魔なバスローブを一気に剥ぎ取って直接、口に含み舌で転がす。

「あっ・・・あんんっ・・・はなざわ・・るい・・ やぁっ、
ま、待って・・・」

「ん?どしたの?もう、拒否権発動?」

「ち・・・がっ・・。恥ずかし・・・から、あんまり・・見な・・いで」

「どうして? 小ぶりだけど、かたちのいい胸も、華奢な首筋も、
白くてすべらかな肌も・・・こんなに綺麗なのに。大丈夫だから、
俺に全部任せて?」

俺のその言葉に恥らいながら伏目がちに小さく頷く牧野。
そんな牧野がたまらなく愛しくて、自分のものだけにしたくて、
身体中に赤い印を刻み付けた。

下着の上からクレバスをなぞると、抗うように固く膝を閉じる。

「んっ、やっ・・・駄・・・」

牧野が拒絶の言葉を口にしようとする度にキスで唇をふさぎ、
啌内を指で蹂躙する。「駄目」なんて拒絶の言葉は、言わせないよ。
牧野にはああ言ったけれど、元から「拒否権なんて与えるつもりはない」しね。

強引に脚を割り、クロッチから指を差し込んでその場所の反応を
確かめる。

「牧野、もうこんなに濡れてる・・・始めてなのに感じやすいんだね。」

「んんっ・・・そんな事・・・」

「そう? じゃあ、これはなに?」 

愛液ですっかり濡れてしまった指を、牧野の目の前にかざして舐めて見せた。

「牧野の味がするよ。」

「や。もうやめ・・・」

「ここでフェードアウトする?」

そんな気も無い癖にわざと意地悪く聞いてみせる。

「ふぁっ。あぁっ・・・・んんっ。」

牧野は指の動きに翻弄されて、返事も言葉にはならないらしい。
もっと俺の指に、唇に乱されて、俺の事しか考えられなくなればいい。
そして、その愛らしい唇も、うっすらと桜色に染まった肌も、甘い吐息も
全部、全部俺のものになればいいのに・・・・

下着をそっと抜き取り、膝を割って、クレバスに舌を這わせる。
何度も往復を繰り返し牧野の反応を愉しんだ

牧野は身体を捩って少しの抵抗を見せたけれど、そんな事で
手を緩めたりはしない。

閉じきった花びらを開くと小さな突起を捕らえる。

「んっ・・・なに・・するっ・・・」

「くす。なにするのか聞きたいの?牧野が気持ちイイコトだよ。」

そう言って牧野のまだピンク色の花芯を、ちゅぅっと わざと音を立てて
吸い上げた。と、同時に牧野の腰が浮き、身体がしなったかと思うと、声を上げて
ベッドに沈んで行った。

「んっ。あぁっ・・・あぁぁぁぁぁぁっ。」

でもまだこれで終わりじゃない。

「もう一回イこうか、牧野。」

まだ息の荒い牧野の秘穴に指を差し入れ、内襞をこすりあげると
その刺激に敏感に反応する彼女に

「ほら、牧野・・・指が入ったよ」

なんて羞恥心を煽りつつ牧野のイイ所を探して攻める

「やぁっ、あんんっ・・・はな・・ざ・・わ・るい・・・あたし・・
また・・・」

「またイッちゃうの?いいよ、イっても。」

「はっ・・・んっ・・・いやっ・・だめ、だめっ・・・ああぁっ・・・」

そんなかわいい顔されたら、俺も我慢の限界。イッたばかりの牧野の
花びらに、自分自身をあてがう。

「牧野・・・入れるよ。」

「ま、待って・・・や・・・」

う〜ん。ここで抵抗されると流石につらいんだけど。

「牧野、瞳を開けて俺を見て・・・?」

「や・・・恥ずかし・・・」

「いいから、 俺を見て・・・」

――――――俺だけを、見て――――――

「・・・花沢、類・・・・?」

牧野の黒い大きな瞳が俺を見つめる。

「牧野、愛してる。だから、このまま俺だけのものになって?」

耳元で甘い言葉を囁きながら、もう一度深く口付けると
牧野の返事も待たず、熱いたかまりを一気に挿入した。

「うんぅっ。っ痛ぅっ・・・・」

眉根を寄せ、必死で痛みに耐えようとしている牧野を見ていると
たまらなく愛しく思える。

「ごめん、大丈夫・・・?」

「ん・・・ちょっと痛いけど・・・平・・気・・。」
 
牧野のシーツを掴む指の力加減で、どれだけ痛みに耐えているのか
分かる。ちょっとどころじゃないだろ。
あんた、こんな時まで意地を張るんだね。

「俺の背中に腕をまわして。辛かったら爪を立ててもいいから」

牧野の指が俺の肌に触れたのを確認すると、ゆっくりと腰を浮かせては
沈め反応を見ながら抽送を繰り返した。
そのうち苦痛交じりの牧野の声が艶を帯び、俺の動きに合わせて
中が収縮し始める。

「あっん・・・んんっ・・花沢・・る・・・い」

切なそうに俺を呼ぶ声が、うっすらと涙を浮かべる瞳が、とても愛しくて
俺の腕の中にいる牧野と、牧野の中に在る自分を確かめるように
ただひたすらに牧野を求め続け、そして

牧野の最奥に 欲望の丈を すべて そそぎ込んだ。

目を覚ますと、目の前には花沢類のビー玉の瞳

「はよ。」

花沢類がふわりと微笑む。

「お・・・はよ。」

そうかあたし昨夜、花沢類と・・・

「牧野?どうしたの?」

花沢類が、慌てた様子であたしに声を掛けた。

やだ、涙が止まらない・・・

「もしかして、強引すぎた?それとも、俺の事嫌いになった?」

「ち、違うの。花沢類は、いつもあたしにとって大切な人で、でも
だからこそ、怖くなったの。いつかまた失っちゃうんじゃないかって不安で・・・」

「それだけ?」
「それだけって・・・」

「はぁ・・・牧野に嫌われたのかと思ってまじで焦った。あんたさ
何でも深く考えすぎ。俺たちは、高校生だったあの頃とは違う。
今なら、どんなことがあっても俺は牧野を守ってあげられるよ。
そんなに俺の事、信用できない?」

「花沢類・・・」

「それにさ、俺を傷物にした責任はキッチリ取ってもらわなくちゃね。」

「なにぃっ!?」

世間一般では、それはあたしの台詞では!?

「ほら、これ。」

花沢類の背中には、くっきりと痛々しい赤い爪痕・・・

「これじゃあ、お婿に行けない・・・牧野、責任取って。」

「ご、ごめんなさい。でもそれは花沢類が・・・」

そこまで言いかけて昨夜の事を思い出した。

「ぷっ・・・くくくくくっ。あんた、顔真っ赤だよ。
何、考えてるのさ?」

「あれは、花沢類が強引に・・・っていうか拒否権あげるって
言ったのに・・・」

「牧野、一言も『嫌だ』なんて言わなかったじゃん。それに
そんな物最初から与えるつもりなかったし」

「はっ、花沢類ぃぃぃぃーーーーーっ!!」

やられた・・・色んな意味で、ヤラレタ・・・・

牧野の鉄のパンツ脱がせてもらえるのに足掛け6年も掛かったんだから
これくらいの意地悪は許されるよね?

愕然とするあたしを尻目ににっこりと微笑む花沢類がいた。






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