「雨の日の道明寺とつくしの別れ」の後
花沢類×牧野つくし


親父の仕事関係の会食に強制的に参加させられ、無駄に浪費した
時間とどしゃぶりの雨にうんざりしながらの帰り道。後部座席の窓から何気なく
外を見る。一向に止む気配の無い雨は窓の外の景色を覆い隠し、俺の
ただでさえ重い気持ちを余計に重くさせる。

そんな雨の中を、大きな荷物を手に、びしょ濡れになって歩く牧野を
見つけた時は本当にびっくりした。頭で考えるよりも体が先に動いていた。
車を止めるよう指示をして、傘も差さずに外に飛び出す。俺がいくら話しかけても、
牧野の視線はここではないどこかを見つめたままだ。ラチがあかないので牧野の腕を
引っ張り車に乗せる。俺のうちの、俺の部屋に連れて行く。
そして俺の部屋にいても、牧野の視線はさまよったままだ。

「拭きなよ」

タオルを渡しても、受け取ったタオルを見つめたまま動かない。じれったくて

「貸して」と一言だけ言って牧野からタオルを奪い返す。少しだけ乱暴に頭と顔を
拭く。牧野の体を覆っていた水分を吸い取り、タオルが冷たくなっていく。
けれど、牧野の頬は相変わらず濡れたままだ。

(・・・泣いてるって自覚、あるのかな・・・)

視線はさまよったままのくせに、拭いても拭いても涙が止まっていない。

牧野を拭く手を止め、Tシャツとジャージを渡してバスルームに連れて行く。

「このままじゃ風邪引くから。あったかいミルク持って来るから、シャワー浴びといて」

牧野は服を抱えて静かにバスルームに入って扉を閉めた。
シャワーの音が聞こえるのを確認してから、部屋を出る。
しばらく待ってホットミルクを作ってもらって部屋に戻ると、まだ牧野の姿はない。
バスルームに確認に行くと、中からすすり泣きの声が聞こえてきた。
扉に手をかけたものの、そのまま手を離してベッドに横になった。

考えるまでもないことだった。
あの通りは司の家の近くだ。そしてあの荷物。牧野に司の母親の
やり方を忠告したのは俺だ。それから今この瞬間までにどれだけの
時間が流れてる?答えは簡単すぎるほどだった。

牧野は道明寺家に、いや、あの母親に屈服した。

牧野のあの様子と、司の性格からいって円満な別れなわけがない。

「・・・司、荒れるんだろうなぁ・・・」

そんなことを思っていると、牧野がバスルームから俺のTシャツとジャージを着て出てきた。
牧野の手を取ってベッドをソファ代わりにして座らせる。
まだ温かいホットミルクを渡すと、両手で抱えてコクコクと飲み始めた。表情は、まだ、ない。
牧野の隣に腰を下ろし、その様子をただ見つめていた。牧野はミルクを飲んで
少し落ち着いたのか、マグカップを見つめながら話し始めた。

司に別れを告げたことを。
あの家を出たことを。
それは自分の意志で、決して誰かのせいではないということを。

「もともと無理だったのよ。そう、うまくいくわけがなかったんだもの。だって、あの道明寺よ?
家がどうとかじゃなくて、あの道明寺とあたしが付き合うなんて、そんなことうまくいくわけ
ないじゃない。少し考えれば分かったことなのに。あたしもどうかしてた。道明寺には悪いこと
しちゃったけど、あいつにはもっとふさわしい人がいるのよ。そう、こんなあたしみたいな女じゃない人が」

勢いよくまくしたてる。自嘲気味に笑う。でも俺の目を見ては話さない。俺は知ってる。
牧野、あんた、無理をしてるってバレバレだよ。嘘をつくならもっと上手に嘘をつかないと。

牧野の顎に手を触れ、俺の方を向かせる。俺の視線と、潤んだ瞳がつながる。
そっと唇を重ねた。
唇を割って舌を絡め合うわけでもなく、力強く口付けたわけでもなく、ただ、本当に
触れるだけのキスだった。
牧野は抵抗しない。いつもの牧野なら、顔を真っ赤にして動揺して怒って俺を
突き飛ばしたりするだろう。俺はそんな牧野を見て笑う。
だけど、今日の牧野は違う。ただ俺の唇を受け止めている。
唇を離すと、牧野は大粒の涙をボロボロとこぼし、消えてしまいそうな小さな声を
必死に絞り出し、かすれた声で俺に言った。

「やめ・・・て・・・。花沢類・・・」

俺は表情を変えずにその瞳を見つめた。そんな俺の視線から逃げることなく、
俺を見つめたまま、涙をこぼしながら続けた。

「あたし・・・もう、これ以上傷つけたくない・・・」

そんな言葉は聞きたくない。

牧野が言い終わる前に力強く抱きしめ、唇を押し当てた。牧野の手からマグカップが落ち、
床にミルクがこぼれる。今度のキスは力任せだった。少し強張った唇を無理やりこじあけ、
舌をからめる。俺の成すがままになっている舌を吸い、歯茎を撫で、唇を噛む。
俺の腕と唇で固定されながらも、牧野は小さく横に首を振る。

「やめて。お願い、やめて。花沢類、お願いだから」

そんな声が聞こえてきそうだと思えば思うほど、牧野を抱く腕に力をこめる。

「・・・ん・・・」俺の腕の力に感じる痛さと、息苦しさから牧野の声が漏れる。

牧野。あんたが思い出した景色は俺にも見える。俺がフランスから帰ってきて、浜辺で
あんたとキスをした時のことなんだろう?俺達のキスを見て、司は傷ついていた。
あの時の司の顔を思い浮かべたんだろう?「これ以上傷つけたくない」?無理だよ、牧野。
あんたがどう言い訳したって、あんたはもう十分に司を傷つけてる。あんたが司に
別れを告げた時点で、あんたは他の誰もつけることができない大きな傷を司につけた。
だから、司はもうこれ以上傷つきようがない。

右手を動かし、Tシャツの上から胸を掴む。牧野の体がビクンと強張り、両手で俺を
押しのけようとする。逃げようとする牧野を左手でぐいっと引き寄せ、さらに強く
唇を押し当てる。

「んーんー!」

段々強い抵抗を見せ始める牧野。俺はかまわずに乱暴に右手で胸を揉んだ。
しばらく服の上から乱暴に揉んだ後、Tシャツの中に手を入れ直に肌に触れる。
ブラの上から揉んだのは短い時間。すぐにブラの中に手を入れ、小さく盛り上がった
突起をつまむ。転がす。指と指ではさむ。撫でる。

牧野の体がビクンとのけぞり、唇が離れる。俺は離れた唇を今度は首筋に押し当てる。
悲鳴にもならない吐息が聞こえる。息苦しさから開放された直後の、新たな苦しさ。
首筋を舐められ、耳たぶをかまれ、服の中では俺の右手に好きなように揉まれ、
逃げようにも左手でがっちりと固定されている。
力が入らなくなったのか、少し抵抗が弱まったのでそのままベッドに押し倒した。
右手を服の中に残し、彼女を支えていた左手を今度は下腹部に這わせる。
恐怖で目を見開いて俺を見つめる。
知ったことか。
ジャージの上から彼女の秘所を撫でる。顎を上げ一瞬体をよじらせる。そのまま何度も
撫で続け、時にぎゅっと掴む。そのたびに体をそらせ、逃げようとする。俺は右手で
胸を強く掴む。動きが止まる。そんなことを繰り返し、ジャージの中に手を滑り込ませる。

「や・・・やめ・・・やめて、花沢類!」

泣きながら嘆願する牧野を無視して、下着の上からすじを撫で上げた。

・・・牧野、体は正直だよ。濡れてる。

耳元で囁くと真っ赤になって泣きじゃくり、暴れだした。
大きな声を出されないようにその口を口で塞ぎ、動けないように下着をひっぱったり
すじに押し当てたり乱暴に掴んだりした。もちろん右手も動きを止めてはいない。

「・・・あ・・・はぁ・・・」

キスの合間に甘い声が漏れるようになる。下着はもうびちょびちょだ。
右手を服から外に出す。牧野の視線に一瞬安堵の表情が見えた。

「邪魔だね、服。」
「・・・え?・・・」

一気に両手でジャージと下着を引き摺り下ろす。

「い・・・いや・・・!いや、やめて!」

両手で秘所を隠し何とか逃げようとベッドの上の方に体をずらしていく。
俺は脱がし終えた両足首を持ち、一気に開き、その中心に顔をうずめる。

「いやー!!!」

口付けると大きく体をのけぞらせる。そこを満たしている甘い蜜を吸い上げ、舌で
彼女の豆を転がす。牧野はわかっていないかもしれないけど、体ののけぞらせ方が

「感じてきてる」、それになってる。
悲鳴の後の吐息は甘いものになっている。気持ちいいんでしょう?牧野。

舌を入れ中で激しく動かす。親指で豆を転がす。
「ああ・・・・・はぁ・・・はふ・・・」
牧野は必死に声をかみ殺している。声が漏れないように。
口を離し、今度はTシャツをめくりあげて胸の突起に噛み付いた。右手は下腹部に
残したまま、中指を一本中にうずめていく。牧野が必死に唇を噛む。指を動かし、
舌で乳首を転がす。
俺は指をさらに一本増やす。きつい。それでも動きは激しさを増す。
牧野は唇を噛み切ってしまいそうだ。

牧野。
牧野。
声を出さないようにしているのは、罪の気持ちから?
俺に感じて気持ちよくなるというのは、司を裏切ることだから?そんな自分が許せないから、
声を我慢して感じてないように思おうとしているの?

違うんだよ。違うんだ。今、司を傷つけているのは俺なんだよ、牧野。
あんたを傷つけるのと一緒に、俺が司に大きな傷をつけてるんだ。
だからあんたが気に病むことじゃない。あんたが我慢することじゃない。

指を抜き、唇を離し、牧野の上半身を抱きかかえて起こす。牧野の息が荒い。
俺は今度はやさしく抱きしめて彼女の耳に囁いた。

「あんたの罪を、半分俺にちょうだい。」

「・・・え?」

恐怖と罪悪感と快感の涙で濡れた瞳を俺に向け、その言葉の意味がわからないと
いう表情をする。

「2つに分けたら、1人で抱えるよりも少しは軽くなるから。あんたは頑張ったよ。
頑張ったけどどうにもならなかったんだよ。ただ、それだけなんだ。
そしてそれはあんたのせいじゃない。
だからあんたの罪を半分俺にちょうだい。それでも重かったら、もっと俺にくれちゃっていいから。
あんたを支えたい男がここにいるから。あんたが司を好きでもそれでもいい。
俺を踏み台にしてもいい。だから、1人で抱え込まないで。俺は、あんたが、好きなんだよ」

「・・・花沢類・・・」

牧野の瞳を見つめる。まっすぐに俺を見つめ返す瞳が涙でぐちゃぐちゃになっている。

「あたしね・・・ひどい女なの・・・。あたしね・・・、道明寺が好きなの・・・。
傷つけちゃったの。ひどいこと言ったの。でもね・・・それなのにね・・・」
「うん」
「あたしね・・・今・・・」
「うん」
「・・・嬉しいって・・・思った・・・」
「うん」

もう1度牧野の唇にそっと唇を重ねる。牧野がしばらくしてそっと目を閉じる。
牧野を抱く腕にちょっとだけ力を込める。彼女の腕が俺の首を抱く。

今だけでもいい。
俺があんたに快感を与えたい。そして、それに身を委ねてほしい。司への思いを忘れて
しまえばいい。愛してる。ただ、あんたを愛してる。あんたの全てを愛してるから、
その罪さえも愛おしい。
無理やりだったとしても、擬似的なものだったとしても、一瞬つながったこの心と心。
その快感は、俺が想像する以上のものだった。

やさしく愛撫し、熱く猛った俺自身を牧野の中に挿入していく。
痛みに耐えながらも彼女は俺を受け入れてくれた。

明日目が覚めたらどうなるかなんてわからない。でも、大丈夫。俺は、牧野を守る。
土砂降りだった雨がいつのまにか止んでいたように、彼女の心の霧がいつか晴れる時が来る。

その時に、彼女の手を握っているのは俺であるためにも。






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