愛しくて流す涙
花沢類×牧野つくし


ニューヨークから帰ってきて、花沢類の思いを知ったつくしは
晴れ晴れとした気持ちだった。
独特の、男とい性別を越えたような花沢類の存在があまりにやさしく
自然で、自分の中が浄化され、純粋な気持ちだけが昇華していくような
晴れやかさをつくしは感じていたのかもしれない。

道明寺と約束した。
あいつは守るっていった。大丈夫、待てる。
あいつがまたうちに来るまで何日あるんだろう、何時会えるんだろう?
そんなことを考えていた。


次の日、つくしはバイトを追え、いつの間にか夜になった町を歩いていた。

「お茶しない?」

げ!ナンパ!!

…ってあれ??

「花沢類!!」

「びっくりした〜」

花沢類と二人、いつかの喫茶店に来ている。
前にもこんな風にお茶したことがあった。
あの時は滋と道明寺にも出くわし、勢いに乗って
温泉行ったんだっけ。

「二度目だね、何してたの?またさんぽ?」
「うんそしたら牧野が見えたから…」
「もう猫背じゃないでしょ!結構気にしたんだから!」
「うそつけ絶対忘れてたろ。今日も背中丸かったよ」
「!」

たわいない会話が続く。
やっぱり花沢類は独特だ、なんだか癒されて…。
リラックスしすぎかな…なんだか眠く…。

「牧野、バイト疲れた?眠そうだよ」

確かに、幾ら花沢類といるからってリラックスしすぎ…って言うか
今にも寝ちゃいそう…。

「牧野…」

花沢類、何か言ってる?だめ…遠い…

「ごめんね、お休み」

花沢類が笑ってる。だめ、もう何も聞こえない…。


つくしは机に突っ伏して倒れ、ティーカップが机から滑り落ちた。

花沢類は満足そうに微笑んでいる…。

「牧野…牧野!」
「ん…あれ寝ちゃった……!!」

おきるとそこはきれいなつくりのログハウスだった。
当たりはしんと静まり返り、車の音も聞こえない。

「ここどこ!?…!なにこれ!?」

つくしの手には手錠がはめられている。
華奢な手が傷つかないよう、手首にはやわらかい皮のようなものが巻かれて
いるが、それを通してでも冷たい質感が伝わってくる。

「花沢類!これはなに!?どうして…」

花沢類は優しく見守ってくれた、いつでも。
お兄さんみたいに私が傷つくといつでも癒してくれた。
道明寺のように力強いわけではなく、
それは花沢類から自然に湧き出る何かで、私は癒されていた。

でも今は…これは何!?

「牧野好きなんだ、やっぱり…」
「そんな、ほどいてよ!こんなの花沢類じゃないよ!!」

涙があふれる、信じてたのに…
どうして?見守ってくれると思った、道明寺への気持ちを…
花沢類なら…花沢類だから!

「もうどうしようも出来ないんだ、こんな気持ちになるなんて…
自分でも驚いてる」

「…っ!」

花沢類が私を抱きしめる。
強い力、あのやわらかな雰囲気からは想像もつかない強い力、
耳に唇がつきそう、だめ息が掛かる、くすぐったい…怖い。

「こうしたかった、牧野、やっぱり細いね…
折れちゃいそう。こんなに震えて…かわいいよ」

しゃべられるたび、耳に掛かる息が体を振るわせる。
花沢類のにおいが鼻に掛かる。
高級なコロンじゃない、花沢類のにおい。
髪が頬に触れる、柔らかい、赤ちゃんの髪みたいにふさふさしてる。

体がどんどん敏感になっていった。


花沢類の唇がゆっくり頬へ移る…

まさかキスするつもりじゃ…

真っ赤になってあごを引き、唇を少しでも花沢類から
離そうとする。
しかし、花沢類はつくしのあごをそっとつかむとゆっくり上へあげる

「俺の方が牧野を幸せに出来る…」

花沢類はそう言ってそっと唇を寄せた。
やわらかいキス。手錠がなければ、きっとお姫様みたいだ。
花沢類は私が何もしなくても、私が一番きれいに見えるように
してくれる。
どこをどう動かしたら、女の子が一番素敵に見えるか知ってるみたい…

花沢類は私の輪郭にそうように指を這わせ、愛しむように見つめている

花沢類の大きな手が私の顔を包み込む

「牧野…」

切ない声でつぶやいて何度も何度もキスをする。

不思議…
多分、言葉に出せば、もう道明寺に望みがないことや
花沢類のほうが私を幸せに出来るってことは痛いほど分かる

なのに花沢類は最低限の言葉しか言わない。

花沢類も切ないんだ…。

そう思うとまた涙があふれてくる、
こんなに強引に、手錠まではめられてるのに…
もうさっきの涙とは違う。
これは花沢類が愛しくて流す涙。
恋でなくても、私はこの人が愛しい。

「牧野…」

涙に気づいた花沢類が心配そうに見つめている。
花沢類にも気づいたんだ、この涙がさっきまでとは違う事が…

「…っ花沢類…私、道明寺が好きなのに…

花沢類が愛しくて…私…卑怯だよね…」

「いいんだよ…」

花沢類が私を抱え込むように抱きしめる。
さっきとは違う、壊れ物にでも触れるような、やさしい花沢類だ。

「こんな牧野を見れるのは、俺だけだから…そこから始めればいいよ」

花沢類は私を抱き締めた。今度は赤ん坊をあやすようにそっと…
今はさっきまで敏感に反応していた体が、
ぬくもりを求めるようにおだやかだ。

花沢類にしみこんで、花沢類がしみこんでくる…
道明寺とは違う喜び。
振動が伝わるような鼓動ではなく、ゆるやかに一体化するやさしいリズム。
激しくはない。
でも確実に、花沢類にあわせて、私の体はほてっていく。

「こわいよ、花沢類…」

ふいに言葉が出た、自分でもびっくりするほど
かわいらしい声。自分の声じゃないみたい。

「道明寺が…傷つく…私……」
「牧野、…牧野は傷つかないの?」

面食らった、言葉にだされると、意味が後から後からわいてくる。

「…私」

放心しながらつぶやく私に花沢類は
泣く子にするようにしぃーっとつぶやく。     「俺に任せなよ…」

何?何を言ったの花沢類?
もう一度キス…今度はキスだけじゃない。
花沢類の指がそっと耳、喉にふれる。
感じる所を探して私をなぞる花沢類にびくっと体が震える。

「花沢類!」

首筋をつたう指から火花が散るみたい。
内腿までびりびりする。
花沢類は止めない。
ゆっくりと私を押し倒し、抗議しようとする私の唇をキスでふさぐ。

首筋をはっていた指はいつのまにか内腿にうつり、
さっきびりびりと共鳴したあたりをさわる。

「…っあ、」

何でわかったの?やめて!それ以上は…

声にならない…
さっきまで解け合っていたのに、今は違う。
体をも一つになろうとしている。

やがて花沢類の指はスカートの中へ…






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