新しい朝へ
花沢類×牧野つくし


「おまえは帰れ」

司が言い放った冷たい一言は、いっぱいいっぱいの気持ちでNYにやって来たつくしの心を凍らせるには十分なものだった。
マンハッタンの夜景が見渡せる公園で、類が見つけたつくしは、痛々しいほどに小さかった。
抱き締めたら折れてしまいそうな細い体を震わせ、泣き続けるつくし。
類はそのまま自分のマンションにつくしを連れて帰り、心も体も冷たくなったつくしに熱いシャワーを浴びるよう促した。
なぜ司は最愛の女を冷たく追い返したのか・・・
そこに鉄の女が関与していることぐらい、類には容易に想像できた。
それでも、あれだけ嫌っていた母親の言うなりになり、つくしを追い詰めた司を、類は許せなかった。

―――――司が手放したなら、自分が守る・・・もう誰にも渡さない・・・

つくしがバスルームから出てきた。
未だ目を赤くしたまま、足元が覚束ないつくしを、類はそっと支えた。
バスローブを身につけたつくしの体からは、バスソープの爽やかな匂いとつくしが放つ独自の甘い香りがする。
類はつくしを抱き上げ、寝室のベッドに彼女を横たえる。

「牧野・・・今はゆっくりと休みな。側にいるから・・・」
「ん・・・」

体を離してベッド脇のソファに座ろうとした類のシャツを、つくしが掴む。

「行かないで・・・一人にしないで・・・」
「牧野・・・」
「一人になりたくないの・・・」
「大丈夫。一人にはしないよ。側にいるって言ったでしょ?」
「怖いの・・・眠りから覚めたらまた一人ぼっちになるんじゃないかって」

震えながら自分のシャツを掴むつくしの手に、類はそっと自分の手を添える。
雫を湛えるつくしの瞼に、類は自身の唇を当てた。

「俺はどこにも行かない。ずっと・・・ずっと側にいるから・・・だから安心して」
「はなざわ・・・る・・い・・」

耳元で弱弱しく自分の名前を発するつくしを、類はギュッと抱き締めた。
甘い香りが類の鼻腔を擽る。

「俺が・・・俺が忘れさせてあげる・・・牧野の辛いこと・・・全部・・・」

類の唇がつくしの頬を伝い、その唇に合わさった。
啄ばむように重なり、類の舌がつくしの唇をなぞっていく。
ふと開いたつくしの唇の中に類の舌がスッと入り込む。
その舌は歯の裏側を刺激し、つくしの舌に絡んでいく。
互いの唾液が混ざり合い、そして舌を絡め合いながら深く、深く唇を求め合う。

「はっ・・・花沢る・・・い・・・?」

唇が離れた瞬間に、つくしが驚きの眼差しを類に向ける。

「何で・・・?」
「好きだから」
「え?」
「俺、牧野が好きだから・・・」
「花沢類・・・」
「泣かせないから・・・俺はアンタを泣かせない。こんな風に悲しい涙は流させない」

類は再度、つくしに深いキスを落とす。
そしてすばやく自身が纏っている服を脱ぎ捨てた。

「俺の全部で、俺の想いを感じて・・・」

類はつくしのバスローブを剥ぎ取り、つくしを抱き締めながらそう耳元でささやいた。

つくしは戸惑いながらも類の背中に腕をまわす。
そして類の肌を感じながらその胸の中でコクリと頷いた。
類の唇がつくしの耳たぶをなぶり、そのまま首筋を這う。
チュッチュッと音を立てながらその唇は下っていき、鎖骨をその舌が這っていく。
類の掌がつくしの小ぶりな乳房を覆い、ゆっくりとその柔らかさを確かめる。

「はっあ・・・」

甘い吐息がつくしの口からこぼれた。
つくしの胸元にたどり着いた類の唇が、そこにチクリと赤い花びらをつけていく。
つくしは初めての感覚に戸惑いながらも、すべてを類に委ねていた。
類の優しさに、つくしの全神経が集中し、その行為に応えていく。
類の掌がつくしの白く滑らかな肌を這い回り、下半身の薄い茂みにたどり着いた。
そしてその先の泉に類の指が到着する。
丁寧にその入り口をなぞりながら、ぷっくりと膨らんだ突起を軽く刺激する類の指先。

「んん・・はぁン」

初めて感じる快感に、つくしは驚きながらも零れ落ちる声を止めることができない。
思わず自身の掌を口元にあてがい、声が漏れないようにガマンするつくし。

「ダメ・・・ちゃんと聞かせて?」
「恥ずかしい・・・よ・・・」
「かわいいよ、牧野・・・」

つくしの手を退けて、チュッとキスを落としながら、類の指はつくしの潤み始めた泉に侵入していく。

「ああ・・・」

クチュクチュと水音を発しながら、類の指がつくしの中を円を書くように動き回る。
きつく締め上げてくるつくしの中を、丁寧に拡げていく。
その感覚を指で感じながら、類自身が硬く膨らんでいた。
先端から透明の液体が流れ出てくるのを感じた類は、つくしに告げる。

「ゆっくりするから・・・ちょっとだけガマンして・・・」

つくしの両足を開き、その潤んだ泉にゆっくりと侵入していく。

「くっっぅ・・・」
「力、抜いて・・・」

つくしに優しくキスを落とし、ぷっくりと膨らんだ突起を刺激しながらさらに進入していく類。

「あ・・・」

自身をすべておさめた類の口から歓喜の声が漏れた。
その声を聞いたつくしは、初めて見る類の男の表情に、体の力が抜けていくのを感じる。

ゆっくりと少しずつ、類が動き出す。
つくしは痛みを感じるものの、それが少しずつ快感に変わっていくのを感じていた。
そして自分の体の奥から、快感の液体が流れ出ていくのも感じる。

「はっあっン、あ・・・」

徐々に類の動きが早くなっていき、つくしは類の首に腕を絡めながら、類の動きに合わせた声を漏らしていた。

「まっ・・・きの・・・」
「る・・・いっ・・・ああン。あっああン、はあっンあ・・・」

ピクピクとつくしの中が類自身を締め付けていく。
この上ない快感に、類も限界を感じていた。

「あ・・いっ・・・」

類の動きが早くなり、つくしを抱き締めたまま、その動きが止まった。




翌朝、つくしはゆっくりと瞼を開く。
優しく差し込む日の光。
そしてそこには自分を見つめる穏やかなビー玉の瞳があった。

「おはよ」
「・・・おはよ」

冷たい瞳から解放されたつくしは、その穏やかな瞳に癒され、包まれている幸せを感じていた。






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