後悔
花沢類×牧野つくし


また今日も、パーティー‥。毎日毎日嫌になる。

自分でもわかっていたつもりだった。だけど最近は司とはすれ違いの毎日で、ろくに会話もない。
こうして今は隣で笑っているけど、あたしの心はボロボロだ。
司が取引先の専務と話し込んでいるのを横目にあたしは飲み物を頼もうとその場を離れた。

「牧野。」

聞き慣れた声があたしを呼ぶ。

「類‥。来てくれてありがとう。」

ニコリと笑い答えるあたし。

「どーした?なんか疲れてる。ここんとこ毎日らしいじゃん。司、仕事うまくいっててなによりだけど。」

右手に持っているシャンパングラスを眺めながら類は淡々と話す。

「うん。そうだよね‥。」

何故か鼻の奥がツーンとなって目頭が熱くなる。ヤバイ泣きそう‥、いつもこうだ。類の前では弱いあたしがでちゃう。

あたしは顔を類から反らして涙を堪えながら飲み物を捜す振りをした。

すると急に腕を掴まれ、あたしをどこかに連れていく。

「‥!?ちょっ‥類?!」



−ルイSide

牧野と司は三年前に結婚した。司がニューヨークから帰って来てすぐだった。
俺は今でもやっぱり牧野が好きで、だけど牧野が幸せなら、と気持ちを押し殺し今までやってきた。
牧野とはたまに連絡を取り合っている。司や、他の奴らとはたまに飲んだりするけど学生時代のようには当たり前だけど、できないから。
こんなパーティーなんかでしか牧野とは会えない。
だから俺は必ず都合をつけて顔をだす。牧野に会うためだけ。
いつからだろう。牧野からあの笑顔がなくなったのは‥。

今だってもう泣きそうになってる牧野を見て咄嗟にテラスに連れ出した。

「牧野‥。どうして幸せになってくれないの?」

俺は咄嗟に出てしまった自分の言葉に驚いた。
自分の意思とは裏腹に言いたくもない言葉が次から次へと溢れ出す。

「俺が今までどんな思いでおまえらをみてきたか知ってる?」

とまれ、とまれ、俺の声。

「牧野が笑ってれば、牧野が幸せなら、牧野が喜ぶなら、、」

「‥俺は司だからあんたを譲ったのに‥、どうして幸せになってくれないの‥?」

気付くと牧野を抱きしめる俺がいた。
もう限界だった。何かが切れた音がした。

「‥類‥。痛い‥よ。」

牧野の苦しそうな声にハッとして腕を緩めた。

「ゴメン‥。」

腕を解いて牧野を放した。
牧野の顔を見ることが出来ない、怖くて、自分のした事への後悔の波が押し寄せる。
下を向き牧野に背を向けあるきだす。
なんて奴なんだろう、こんなにも弱い。情けなさと悔しさでフラフラと眩暈がする。

「類!待って!!」

パタパタと足音を立てて牧野が俺を追って来た。

「類‥!」

俺の腕を掴み牧野が俺の正面に立つと思いもよらない行動をとった。

信じられない。牧野が俺を抱きしめている。きつく、きつく、きつく。

「ごめんなさい‥類‥。あたし、類と一緒になればよかった‥。自分に正直になれなかった‥。」

牧野の言葉に耳を疑う。
牧野はつづけた。

「あたし‥類が好きだった。だけど、四年たって変わらずあたしを好きだって言うあいつを裏切る事なんかあたしにはできなかったの‥。」

牧野はもう涙で顔がぐちゃぐちゃだった。
俺は牧野の言葉を聞きながら、いまさらながら自分の根性のなさに嫌気が挿した。

「後悔‥してる。」

「類が‥好きだよ‥。」



−つくしSide

あたしは死ぬまで口にしないと誓ったはずの言葉をいとも簡単にいってしまった。

もう停められないとおもった。
一度崩れ出した決意はもう元に戻る事はないと知っている。

何度も類の胸に飛び込みたいと思った。
類に抱かれたい‥そう思った。

類のせつない思いを聞いてしまったあたしにはもう、この思いを隠す事なんて出来なかったんだ。


もう、限界だったんだ‥。


「類が‥好きだよ‥。」

この言葉を放した瞬間、グッと体を引き寄せられた。

「牧野‥!」

類の苦しそうな声があたしの名前を呼ぶ。

「‥類‥場所‥変えよう‥。」

あたしはここじゃ、マズイと、類と会場を出た。
類が自分で車を運転して来てるというから取り敢えず類の車へと移動した。

「どっかいこっか。」

類は車を走らせた。

「なんか久しぶりだね。類、運転うまくなった。」
「あっ‥なんか‥ごめんね、あたし‥。」

自分がさっき口にした言葉を思い出して、そのうえ久々に二人きりになって緊張してくるあたしは饒舌にになってしまう。

「ぷっ‥くっくっく‥。」

「牧野はちっともかわらないね。動揺するとよくしゃべる。」

花沢類の言葉にあたしは数年前の記憶を引き戻す。
懐かしいな。あの頃はこんな未来を微塵とも予想してなかった。

「あたしたちの会話もちっとも変わってない。」

あたしはため息交じりにつづけた。

「大丈夫かな‥。抜け出しちゃって。自分で自分の行動にびっくりしちゃってる。」

あたしは自分の立場よりも類の心配をしてたのに、

「牧野、俺がちゃんと守るから。元は俺から切り出したことだから。」

「類‥あたしは類が心配で‥あたしは、あたしの事はもういいの。やっと自分の思いが解放されて今はスッキリのが大きいから。」

あたしは自然と笑顔が零れた。

今はまだ後の事は考えたくない。今だけは‥。



類Side

牧野の笑顔が眩しかった。久しぶりに見た。

さっきは後悔したって言ったけど撤回する。

「牧野、好きだよ。もう俺、我慢しないから。これ以上後悔したくない。」

会場を出て、2時間くらいか‥車をとめて牧野を見つめて言った。


「あたしも‥類が好き。もう、嘘はつかない。類‥。」

こんなに素直な牧野を前にしてなんか調子くるう。
目を潤ませながら言う牧野に胸が高まる、今まで生きて来てこんなにも心臓の音が煩く感じたことは初めてだった。


俺は体を牧野の方に向けると牧野のをこっちに引き寄せた。
もう二度と、どんな事があろうと牧野を離したくはない。
そっと体を離し、左手で牧野の柔らかい頬を包み、ゆっくりと顔を近づける。

10センチ‥5センチ‥1センチ‥‥‥

前に砂浜でした時依頼の同意のキス‥

いや、あの時とはくらべものにならない、初めてした静とのキスなんかよりも、ドキドキする。
唇が触れただけで胸の奥から何か得体の知れない感情が湧き出て来る。
薄く目を開くと涙に濡れた牧野の顔があった。

一度唇を離し見つめ合い、震える指で牧野の唇をなぞる。
たまならい気持ちになり、俺は感情的に牧野にくちづけた。

何度も、何度も、何度も‥
触れるだけのキスではもう足りない。それだけじゃ俺の気持ちは伝えられない。
ゆっくりとためらいながら舌を入れてみた。牧野は躊躇うことなく俺を受け入れる。

深く、深く牧野の中を味わう。

「‥んっ‥‥」

牧野の甘い吐息混じりの声に挑発されて、もう止まらなくなる。
一度開いてしまった楽園への扉は、もう立ち止まる事はできない。

「牧野‥。ヤバイよ‥俺、止まらない」

俺は牧野に問うように言ってみた。

牧野は息を切らしながら言う。

「うん‥いいよ。」

近くにあるホテルにはいった。体を離している時間がもどかしかった。早く一つになりたかった。


部屋に向かうエレベーターの中でも俺達は抱き合い深くキスをした。

−−−1207−

カードと部屋の番号を見合わすとカードを通して部屋に入った。
俺は部屋に入るとともに牧野を抱きしめた。

こんなにも欲情するなんて‥、余裕がない。牧野はここに、俺の手の中にいるのに。

「牧野‥愛してる。どうしたら伝わる?伝える術を俺に教えて。」
狂おしくなり牧野に呟いた。
「類‥あたしだって教えて欲しいよ。突っ掛かってたものがとれたみたいに溢れてくるのに、うまく言葉にできないの‥。こんなにも愛してるのに。」

これは夢なんじゃないかと思った。
こんなにも素直で可愛い牧野を見るのは初めてだった、舞い上がるってこういうことを言うんだな。と思った。

まきのを担いでベットに下ろすと俺はスーツの上着を脱ぎ捨てた。



つくしSide

上着着をぬぎすてる類の仕種にたまらなく男性を感じた。

「牧野。」

あたしの名を呼びキスを落とす類の頬にふれてみた。愛おしさが込み上げて涙が零れた。

「愛してる‥‥類‥」

自然と言葉がでてきた。


類はあたしの唇を貪り、右手で小ぶりな胸を優しく掴み、しばらくすると肩のストラップを下げてあたしのドレスをぬがした。

「あたしだけズルイ‥恥ずかしいよ‥類も脱いで」

あたしはシーツで体を隠しながら呟いた。

「牧野、いつからそんな可愛い事言うようになったの?司に調教されたの?‥‥すげぇ妬ける。」

類が悔しそうにいう。
「俺だけが知ってる牧野を教えて。牧野、好き。」

そう言ってあたしを強く抱きしめて優しくキスをした。



類Side

俺は初めて見る牧野を可愛いと思いつつもこんな姿を司にも見せて来た事が脳裏に浮かび、嫉妬の嵐に襲われた。

それを拭い去るかのように牧野に欲情した。

「牧野、俺余裕ないかも。優しくしてやれる自信ない‥。」

そう断りを入れて牧野の首筋に顔を埋めて牧野を貪り始めた。

牧野の唇、額、頬、首筋、胸、指、、ありとあらえる場所にキスを落としながら牧野の細く白い肌を俺の手がすべってゆく
牧野は目を閉じ頬をほのかに染めていた。

そんな牧野にたまらなくなり小さく開いた口に深く舌を入れる。

「ん‥っ‥。」

牧野の声がもれた。

俺は牧野の控え目な胸を手のひら全体で包み込み胸の頂上を親指と人差し指で摘んでみる。

「あっ‥!」

牧野を見ると表情が歪んで目が潤んでいる。

「牧野‥可愛い。もっと感じて。俺だけを‥。」

俺は必死に牧野を求めた。
牧野の胸の蕾を舌先でなぞって、手のひらで乳房を包み込み強弱をつけて刺激する。

「‥やぁ‥。類‥」

牧野はおれの髪の毛を指でとかしながら切なげに俺を見下ろす。
俺は一旦牧野と目線を合わしてキスをした。

「あいしてる‥」

そう告げながら、俺の手は牧野の太腿をなぜながら下着の上から牧野の女の部分をなぜた。

「あ‥‥。」

牧野の声が零れる。

そこは下着の上からでも十分すぎるくらいに濡れていることがわかった。

「牧野‥もうこんなにも溢れてる‥。」

俺は牧野を見つめながら言う。

「言わないで‥いじわる‥」

恥ずかしそうに俺の口を押さえる牧野はかわいくて可愛くて‥。
牧野の下着を剥がし、直でそこを触るととめどなく溢れ出す泉があった。

それを上下になぞるとそれに反応して牧野がなく。

「類‥恥ずかしい‥」

牧野が泣きそうな声で言った。
「恥ずかしくなんかないよ。牧野もっと聞かせて‥」

俺は牧野にキスを落とすと牧野の下半身に顔をうずめた。


「だめだよ‥!だめ!」
牧野は必死に抵抗するものの、俺の愛撫で力は抜け切っていく。

水が溢れる音と牧野の甘い声だけが静かな部屋に響いていた。

「や‥だめ‥るい‥あっ‥」

牧野の蕾を舌先で強く押してやる。

「‥きゃっ‥!あっ‥」

一際大きな声で泣く牧野。
シーツには染みができていた。
牧野の蕾を刺激しながら中に指を入れてやるとまきのの中は痙攣を初めて、あっという間に達してしまった。

「牧野‥イッちゃった‥?」

俺は牧野の上半身を起こしてやり、ミネラルウォーターを飲ましてやる。

「ん‥なんかよくわかんない‥初めてなったから‥」

真っ赤になって言う牧野をうれしさのあまりおもいきり抱きしめた。

「初めて」 そのフレーズが俺に与える慶びは想像以上に大きくて。

「牧野‥もういい?俺も限界‥」
「うん‥あたしも早く類と‥」

「牧野‥そういう可愛いセリフは俺だけにしかいっちゃダメだよ‥。」

牧野はいつからこんなに女になったんだろう。
きっとおれのしらない牧野はたくさんあるんだろう。
俺は逸る気持ちを押し殺し、ゆっくり牧野の中に挿入した。

「‥牧野‥すげ‥。」

牧野の中は想像以上にすごくて、やっと一つになれた安堵と快楽と、いろんな思いが溢れて、気が遠くなりそうになった。



つくしSide

「あっ‥類‥あっ‥」

類があたしの中に入って来た。あたしはそれだけで達してしまった。
色んな感情が掻き出されてあたしを遠くへと飛ばす。
「牧野‥?」

類の声に目を開ける。
「動いていい‥?」

そう尋ねる類の顔は男につかうのはおかしいかもしれないけどなんともいえない色っぽい顔だった。

「ん‥。」

あたしの返事と同時に類は腰を動かす。激しく、深く。
感情をぶつけるかのようにあたしに打ち付ける。
体験したことのない快楽があたしを誘う。
このまま死んでしまってもいい‥そう思った。

「類‥すごい‥いいっ‥」

「牧野‥俺‥もう‥」

類の甘い苦痛に歪む顔にあたしは身も心もくぎづけになり類とともに絶頂に達した。

「あっ‥あたしも‥だめ‥イッちゃう‥」

「まきの‥」「るい‥」

類はあたしの上にしな垂れかかりあたしの額にくちづけた。

「類‥。」

あたしは類にキスした。
類は少し驚いた様子であたしを見ると

「俺と死ぬまで一緒にいて。牧野、おまえの気持ち知ってしまったからにはもう離す事なんてできないから。」


そういった。
あたしはその時初めて司の顔が頭に浮かんだ。

このままじゃいけない。ちゃんとケリをつけなきゃ‥。
「ん‥司ときちんと話してみる。あたしももう自分をごまかせないから。」
類の目をみて言った。

そのあとあたし達はそれぞれの帰路につき別れた。
あれから二年、今は類の側にいる。






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