リレー小説
一同


えーっとどうして私花沢るいの隣で寝てるんだろう???
確か昨日みんなで集まって騒いでたんだよね。
あーーー思い出せない!!!!

「起きたの?早いね」

花沢るいがとろけそうな笑顔でこっちを
見てる。ガラス玉のような目に吸い込まれる。

「あのさ昨日どうしたんだっけ?私よくおぼえてなくって。ハハハ」

頭をかきながらできるだけ冷静に落ち着いて聞いてみるが声が上ずる。

「覚えてないの?」そう言いながら私の手を花沢るいは引っ張った。

体を起こしたからってすぐに頭が冴えるわけじゃない。むしろがんがんしてる。
ゆうべ桜子に飲まされたドンペリとかいうお酒がまだ残ってるんだわ。
だってなんか、だんだん花沢類に近づいていってる気がするんだけど。
スローモーションの画面を見てるみたい。
キングサイズのベッドに横になったまま、右肘をついて頭を支えてる花沢類。
左手伸ばして私の左手首をつかんでる。
・・・ちょっと待って。じゃあこのままだとぶつかっちゃう。
しかも肩のラインが見えてるということは・・・
上半身はまちがいなくハダカじゃない!!!

でもそのことに気づいたときはもう遅くて
私の体は花沢類の胸の上に倒れこむかたちで抱き寄せられていた。
あ、せっけんのいい匂いがする・・・
じゃなくてっ!!

「花沢類っ!何すんのっ!!」

起き上がろうとする私をみつめる花沢類の目が細くなって
きれいな笑顔でこう言った。

「ゆうべの牧野、すごいかわいかったから、もういっかい見たいなと思って」

(嗚呼、綺麗な笑顔・・・花沢類ったらこんな時にもそうやって笑うんだ〜)

そうじゃないでしょ、私!しっかり!

(えっ!?ゆうべの私??う〜ん...駄目だ、全くダメ。)

寝起きと二日酔いとこんな状況のトリプルパンチで混乱している私。
そこに間近で向けられた花沢類の綺麗な笑顔..
え〜っと。なんパンチ目??

ふと気付くとそんな私をよそ目に、黙々と私の身体にキスを落とす花沢類。
おでこ、耳、首筋、、鎖骨、、、優しく包み込むように、、愛おしむように、、キス!?

「ちょ、ちょっと!いい加減にして!」

我に帰って止める。驚かせちゃったみたい。ちょっと大声だったかな。

「あ、おかえり牧野。(にっこり)」

うっ..き、効いてないっ..。

「本当に止めて欲しいの?」

悪戯っ子みたいに何か企みを含んでいる瞳。
瞼と、唇ぎりぎりにまたあのキスを落とされて、、
耳から首筋、鎖骨まで丁寧にゆっくりなぜられて、、
あ、あたし、、何か変、かも。でっでも、、

「悪いけど、ゆうべの事なんて憶えてないわ。(にっこり)」

花沢類を真似て、精一杯の虚勢を張って言ってみる。

「ああ、大丈夫。ゆうべ以上の事をすれば思い出す必要もなくなるよ。」

思い出す必要もなくなる、ってちょっとちょっとちょっとー!!

「ま、待ってよ!」

ふたたび私の首筋にキスしようとしてきた花沢類の胸を押し戻す。

「なんで?」

きょとんとした顔で花沢類が見てる。

うぅ、なんか言い訳しなきゃ...

でもそんな顔で見られてたら考え事なんてできないじゃない!

「ねえなんで?」

私ににじりよりながらもう一度聞いてくる。
すると花沢類の茶色い髪の毛が揺れてふんわりとしたやさしい香りが漂う。
あーもうなんでもいいや!

「シャワー、そうシャワー浴びてないもの!」
「…………」
「…………」

もしかして私...言うこと間違った?
しばしの沈黙の後、にっこり笑う花沢類とひきつった笑顔の私。

そして...

「じゃあ俺が洗ってあげるから一緒に入ろう」
「… じゃあ、お願いし……───って、違うっ!!

花沢類、本当にあたしのことペットか何かと思ってるでしょっ?」

「クックックッ…いいじゃん、何でも。牧野は牧野でしょう?
それよりも、さぁ、シャワー浴びようよ」

花沢類はあたしを引きずるようにしてバスルームに向かう。

あ、あ、あ、あたしって、裸じゃんっ!
なななななな、なんでッ?!

「イヤッ!… は、恥ずかしいっ」

手を振り解き、その場にペタリとへたり込む。

「なっ、なんでこういうことになってんのッ?
… 説明して、花沢類っ!」

「フゥ〜アンタって世話がやけるよね。本当〜に何にも覚えてないの?」

ガクガクガク。思いっきりうなずく。
と、二日酔いの頭が… ズキズキズキ。
はあ、ともうひとつ大きなため息をついた花沢類はひとりでバスルームへ。
ボクサーパンツだけを身に着けたその後姿を目が自然と追ってしまう。

背中も太もももしまってる。無駄な筋肉ついてないんだ・・・
ひきしまったおしりもいいなあ。あぁさわりたい・・・
・・・ってどうしてこんなこと考えちゃうのよ?!
きょうのあたし、、、ほんっっとうになんかおかしいわ!

そんなことを考えてると、目の前には白いバスローブ。

「恥ずかしいなら着とけば」

ひったくるようにしてバスローブを羽織る。
その様子を見て笑いを堪えてる花沢類。

「クククク・・・そんなにあわてなくても大丈夫だって」
「だって、、、なんか変なんだもん」
「変てなにが?」
「その、なんていうか・・・」
「エッチなことばっか考えちゃう?」
「そう!まさにそう!なんだけど・・・なんでわかるの?」

笑いをこらえたままベッドのヘッドボードから何かを持ってくる。

「これ、わかる?」

それは、薄いピンクの液体が入った透明なビン。
なんか見覚えがあるようなないような・・・
すると花沢類がまた綺麗なほほえみで教えてくれた。

「ゆうべはみんなでこれ使って楽しんでた。簡単に言うと・・・媚薬」

ビ、ヤク?・・・媚薬ー?!?!

「媚薬って、あの、マンガとかでよく出てくる・・・あれ?」

答えるかわりににっこり笑う。

「ちなみにアルコールと一緒に飲むと効果倍増」
「体に塗ってもイイんだよ。思い出した?」

首を左右に振るとまた頭痛が。
こめかみを押さえて顔をしかめてると花沢類が覗き込んできた。

「ちょ、ちょっとー!そんな間近で顔見せないでよ!」
「頭痛いの?大丈夫?」

うっ、ぜんっぜん動じてないし・・・

「だだだ、だいじょうぶよっ!単なる二日酔いだからっ!
 だからあんまり近づかないでっ!!!」

頭の上でちゃぽちゃぽ液体の揺れる音。

「…それ二日酔いっていうか、たぶんコイツのせい」
「意味がわかんないんだけど・・・」

こめかみを押さえてたずねる。

「だからさ・・・――まあシャワーにしよ。すっきりするから。
 それから説明するよ」

ふっと体が浮かび上がる。

うわあああ、あたし、花沢類に抱えられてるー!!
これ、オヒメサマだっこじゃない?!はずかしい!

「じっとして。頭痛いんでしょ。それに、けっこう重い」

まっすぐ前をみつめる整った顔立ち。
ハダカの胸にもたれかかる。
この心臓の音はあたし?それとも・・・

ずきずき、ずきずき。
どきどき、どきどき。

「どうせならちゃんと入ったら」

バスタブのコックをひねると花沢類は出て行った。

顔が熱い。
薬のせいだ・・・でも、それだけじゃない。

シャワーを頭から浴びる。
ゆうべいったいなにがあったんだろう・・・

みんなで大騒ぎして・・・
目が覚めたら、花沢類と同じベッドで寝てて。

あー思い出せないーーー!!!

「なんにも・・思い出せない・・」

ため息をつきながら、バスタブの前の鏡に目を向けると、
ぼんやりとした自分がいる。

「でかっ、この鏡・・んっ・・??」

鏡にうつる自分をしばし見つめる・・・

「なっなに?この斑点・・?」

さっきは気づかなかったけど、体の至るところ、
胸にもお腹にも太ももにも、なんだか赤黒い斑点がいっぱい!

「あたし・・病気?!
じゃなくて・・これってもしかして!!キスマーク!!」

「そう、キスマーク」

鏡の中に、にこにこと微笑む花沢類がいた。

「はっ、花沢類っっっ!!なななな、何してんのよっ!」

振り向いたのがマズかった・・・
だって花沢類、、、ハダカなんだもん!!!

「洗ってあげるって、、、さっき言ったのにもう忘れた?」
「覚えてるわよ!!でもそういうことじゃなくって!」

花沢類に背中を向けて鏡越しにどなりつける。

「あんた『もったいない』ってよく言うじゃん。
 なら一緒に入ったほうが経済的」

う、そりゃそうだけど・・・

「それにしてもすごいねそれ」

鏡の中の花沢類が微笑んだまま近づいてくる。

逃げる場所のないバスルームにふたりっきり。
動けなくて・・・目もそらせない。

ありえないシチュエーションに
ありえないくらい聞こえてくる心臓の音。

バスタブから上がる湯気が
派手な装飾の大きな鏡をだんだん曇らせていく。

そして、、、あたしは花沢類に抱きしめられていた。

「んー、いい匂い」

頭の上で花沢類が言った。
あいつの手があたしの腕や腿の辺りを触っている。
もーあたしは、カーっとなってしまった。

「は、花沢類!」
「ん?」

それだけ言って何も言えなくなってしまった。
はずかしいから離れて欲しい。

でも・・・・・・・・・・・

何故だか言えない自分がここにいる。
と、首筋に何かが。それと同時にあたしの胸に手、手がっ。

「ひゃっ。・・・・ハ、花沢類、何を、」
「イ・イ・コ・ト」

耳に直接来た。低くて甘い花沢類の声が、あたしをぞくぞくさせた。

『イイコトってイイコトって・・・なにーーーー!!!!!』

パニくるあたしを尻目に、あたしの濡れ髪には花沢類のキスのシャワー。

「ゆうべの牧野、本当にかわいかった・・・」

耳元でひとりごとのように呟くと、そのまま耳朶にキス。
花沢類の熱い息と、くちびるの感覚。

「はぁっ・・・!」

薄く開いたあたしのくちびるから漏れる吐息。
ぴくっと小さく反応するカラダ。

「耳、感じるんだよね。牧野は」

花沢類は、耳朶を甘噛みし、口付け、音を立てて舐めていく。

「ぃやぁ!・・あっ・やめっ・・あぁ・・・・」

顔が熱くなっていく。
鏡はとっくに曇っていて、もう何も映し出してない。
花沢類の腕の中。
あたしは今どんな顔をしてるだろう・・・

花沢類の手の平が、あたしの胸元を優しく覆う。
ひんやりした大きな手にすっぽり収まってしまう、ちいさな胸。

親指と人差し指が、ふくらみの中心を優しく摘む。
ジン、とカラダが痺れる。

「・・んっ・・・ぁぁ・・花沢、、、る・いっ・・」

ハズカシイとかコワイとか。
そんな感情は、いつのまにか消えていた。

『媚薬とか、熱気にやられてるだけじゃない。
 あたし・・花沢類が・・・・・ほしい』

濡れた髪。
火照る体。
潤んだ瞳。

全てを花沢類に委ねる。

「・・・牧野。かわいいよ。食べちゃいたいくらいだ」

含みのある言葉が、あたしの思考回路をストップさせた。

「食べて・・あたしの、こと・・・・いますぐ・・・ここで・・」

あたしの顎のラインを花沢類のおや指が撫でて。
ガラス玉のようなふたつの瞳があたしを見てる。

振り返ったあたしに、ふっと微笑みかけると

「イタダキマス」

冗談ぽくそう言って。
あたしを抱きしめた。

やさしくやさしく包み込むように。
こんなにも愛おしい、と語る瞳。

そして、微笑みを浮かべたまま、花沢類があたしの唇へ、
下りて・・・きた。

シャワーの飛沫を浴びながら、
あたしたちはキスを交わす。

花沢類の唇からもたらされる口付けはとても熱くて、
一瞬で・・・あたしの躯に火をつけた。

口腔内を、やわらかく舌が踊る。
あたしの舌を捕まえて・・・
その絡み合う音が、少しずらした唇の端から洩れる。

熱い熱いキス。

顎を掴んでいた指が離れると、、、
5本の指が、流れる様に再び首筋を伝い・・・
鎖骨をなぞって・・躯を下りて、行く・・・

「んんっ・・は・ぁっ・・ッ」

全ての指が、ふくらみの輪郭を、柔らかさを確かめるように。
しかし人差し指だけは、掠める様に、先端をそっと滑っていく。

「声、聞きたい。もっと聞かせてよ」

溜息を漏らしたあたしの耳元。
深みのある甘い声が響いて・・消える。

胸に凭れ掛かるあたしを支える花沢類。
その右手は、胸を通り過ぎ、縦長の窪みを軽くなぞって
更に下へと降りていく。

「・・はぁっ・あっ、ぃやぁ・・・んんっ・・あぁぁ」

バスルームに反響する、あたしの恥ずかしい声。
それは、更に気持ちを昂ぶらせるのに、効果覿面だった。

そして、、花沢類も・・・
「・・・その蕩けそうな顔、いいね・・すげークルよ・・・」

虚ろな視線を向けた先には、
さっきまでと全く違う表情。

『余裕がなくなってきてる・・花沢類・・・』

ぼんやりそう思った時、耳に花沢類の熱い息が掛かる。

「ああっっ!!」

思わず身体を反らせたあたしに、
花沢類の長く繊細な指が、入り込んできた・・・

「あんっっ!!・・いゃぁ、だ・めぇ・・」

思わず太腿を閉じてしまう。
黙って俯いたあたしに、花沢類が口を開く。

「ダメだよ。ほら、ちゃんと脚開いて」
「そ、んな・こと、、言わ・れてっ、も・・・」

耳元に寄せられた唇から聞こえてきた声。
それはどこまでも優しく。
しかし、その言葉は・・・

「・・・じゃあ、無理矢理シちゃうよ?」

『ム・リ・・ヤリ・・?』

頭の奥で何かが光る。
なにか思い出せそうな感じ・・・
でも、花沢類を見上げても、微笑を浮かべているだけ。

花沢類が、力の抜けた太腿から右手を抜き、シャワーを止めた。
そういえば・・・花沢類、まだなんにも答えてない!!

「ねぇ――」

その言葉を遮るように、花沢類は、
有無を言わさず、あたしを抱え上げバスタブの中へ。

「ぅわっ!なにっ・・・」
「今日は水の中でしようか。浮力があるから楽だし」

たっぷりのお湯にゆっくり体を沈めていく。
ふたりでも悠々入れる広さのバスタブ。
なのに、、、あたしの背後に花沢類が座って、
ぴったり密着してる・・・

両手は、あたしを抱きかかえるみたいに
胸とお腹にまわされてて、、、

それに・・さっきはそんなに思わなかった・け・ど、
こ、腰に当たってるコレって・・・

「昨夜のことは、、ちゃんと答えるよ。
 ただ、今はなんにも考えないで・・・俺に任せて」

花沢類があたしの胸に触れながら、
頬を擦り付けるようにしてキスしてきた。

「んっ・・・」

敏感になっている肌は、微かな刺激さえも快感へと変化させる。
花沢類が脚を撫でただけで、びりびりと何かが体の中心を走る。

撫でていた手が、そのままゆっくり太腿を開いていく。
湯が動き、僅かに茂みを揺らす。

「っはぁ・・・っっ!」

秘所に触れられていた感覚が蘇る――!

どうしようもなくなってしまって
自分から花沢類に凭れ掛かる。

耳の辺りから首筋まで。
浴びせられるたくさんのキス。
神経が集中する。

背中を、腰を、お腹を。
痺れる様な感覚が襲う。

目を瞑り、声を出さないように必死で耐えるあたし。

「・・ふ・ぅん・・・ぁっ、んんっ・・・!!」

花沢類の肩が動いて、ちゃぷんとお湯が跳ねる。
「牧野・・・目、開けて・・・
 わかる?今、自分が、どうなってるのか・・」

その声に、あたしが見たのは・・・

ゆらゆら動くお湯の中。
花沢類の脚の間で、膝を立ててるあたし。
フトモモの間には、花沢類の両手が、差し込まれてて・・・

その指は・・・片方であたしの秘唇を割り、
もう片方は、あかく膨らんだ芽芯を、
愛しむ様に・・弄っている。

感覚ではわかってた。
でも、このいやらしい光景を直接目にすると、
湧き上がる感覚から、もう・・・逃れられない。

一度発してしまうと、それは、頂点を極めるまで止まらない。
バスルームいっぱいに広がるのは、、、
湯気と、そして・・・切なく甘いあたしの声。

「・・・!」

昇り詰める直前、あたしの中を刺激していた指は不意に引き抜かれる。

「ど・・・して・・・?」

押さえきれないこの感覚をもてあましたまま、あたしは花沢類の茶色い瞳を見つめる。

「いいよ。アンタのその表情。オンナの顔になってる」

そういいながら、うなじに唇を寄せ、再び花沢類の手が太腿を優しく撫でる。

「やだっ。もう・・・」

恥ずかしかったけどそれ以上に、火照った体をどうにかして欲しかった。
花沢類の手に自分の手を添え、秘所へと導く。

「お願いっ・・・、続けて・・・。」

花沢類は一瞬驚いたみたいだったけど
あたしは何も止められなかった。
耳元で花沢類がクスリと笑いあたしの羞恥心を煽った。
それでもあたしは構わなかった。

「牧野本当にかわいいよ」

花沢類が囁いて、あたしは身も心も蕩けそうになるのを感じた。
再びあたしの秘部を弄び始める花沢類。

「お〜い、類。どこだ〜?」

はっと気づくと部屋のほうから誰かが花沢類を呼んでる。
ドア越しの声はくぐもってて誰の声だかわかんない。
あわてた顔で振り向くあたしをそのまま抱きしてめて。

「戻ってきちゃったか。残念。」

ぽかんと呆けるあたしを見つめて、、よほどおかしな顔だったのかくすくす笑いが止まらない。

こ、、こいつっ。。なぐったろかっ!

「くくくく、、だって、その顔、、ぷくくく。。。」

で、笑いながらあたしの耳元にささやいた台詞は!

「だって、牧野。あんなたくさんのキスマーク、俺一人でつけたと思ってんの?」

・・・・・・・
なんですとぉ!?

「本気にした?」
「は?」
「冗談……」

 冗談!?
 花沢類はクスクス笑い続けながら、あたしの鎖骨にキスをする。
 そのまま胸元までおりてくる唇。

「おーーい、類っ。いないんか?」

 あれは、西門さんの声…… ……!

「は、花沢類…っ」

 あたしは焦って花沢類の顔を押しのけようとする。
 けれど、花沢類はキスをやめない。

「ねえってば……っ、ちょっと、まずいよ……!!!!」

 小声で言うと、花沢類が上目づかいにあたしを見上げた。

「……いいじゃん、別に」
「いいって、ちょっ」

 胸の谷間に流れた雫を、花沢類の舌先がすくう。
 優しい手つきで、遊ぶように乳房を揉みしだかれて。

「鍵閉めたから、バスルームに入ってこれないし……」

 さっきまでのクスクス笑いが、不敵な微笑に変わる。

 ――――花沢類……
 それが、凄く魅力的に見えて。
 あたしは頭がクラクラしてきてしまう。
 それを充分心得てるかのように、花沢類はあたしの表情を観察している。
 そしてあたしの瞳を見つめながら。
 乳房の先端を、口に含みはじめた……

「あ・・・・・・」

思わず声を洩らしたあたしの耳元で囁く台詞。

「いいよ。もっと感じて。
 あいつらに聞かせてやって、その声」

思わず顔を上げ、バスルームの入り口に視線を向けると、磨硝子越しに誰かのシルエットが目に入った。

「な、なに・・・ばかなこと・・・あ、あんっ!」

さっきからの刺激で敏感になってた茂みを再び花沢類の細くて長い指が弄る。

「や・・・聞こえちゃうっ・・・」

花沢類の細くて長い指が、あたしのクレバスを撫でる。
その繊細な動きで、自分の中が熱くとろける・・・
頭の中が痺れて、何も考えられない・・・なにも・・・
もっと、して・・・
そんな言葉が唇から漏れそうになるかわりに、吐息に混じって甘い声が漏れる。

「あ・・あぁ・・・」

耐え切れなくなって甘い声が漏れてしまう。

「牧野、いい声だすじゃん。」

花沢類・・・いや、違う!!驚いて目を開けるとそこには・・・

「ひゃっ・・・西門さん・・なんで・・」

バスタブの横にいるのは、西門総二郎!!

「類、昨日の続きならオレも・・・だよな?」

昨日の続き!!??って何よ?!
花沢類!なんとか言って!

「・・・・・だな・・。」

だな・・・って何?
どーする?あたし!!

「いま結構いいとこなんだけど・・・仕方ないか。
 これ以上やるとのぼせるかもしんないし。続きはベッドで」

花沢類は溜息をつきつつ、少し残念そうに笑ってあたしを見る。
そして、脱衣所に向かった西門さんが放り投げたのは白いバスローブ。
それを片手でキャッチし、あたしの腕をとるとそっとバスタブから立たせた。

パイル地の柔らかな肌触りが高級さを物語る。
ローブを軽く羽織って、あたしの髪の毛を拭いてくれてる花沢類を見上げた。
すると花沢類は、短い前髪からぽたぽたと雫を落としながら、
視線をあたしの頭から外すことなく、ぽつりと言った。

「今日こそあんたを独り占めできると思ったのに…」

次はベッドで××、かな。
部屋に戻ると、西門さんがニヤニヤ笑って媚薬の小ビンを弄んでいた。

「類、昨日のこと話した?」
「いや・・・パニクってる牧野って面白いし」
「言えてる。」

背後から花沢類があたしの肩をつかんでいた。
目の前には西門さんが。
どうしよう。ドキドキする。
花沢類があんなことするから・・・
な、なんか泣きそう。
だめだ、つくし。泣いちゃダメ・・・!

そ・・・と西門さんの手があたしの頬を撫でる。

「昨日はさ・・・牧野イキまくりだったんだよな・・・」

花沢類の手が腰に当てられると、体の奥がうずいてしまう。

「失神したときには、マジあせったけど。」

あたし・・本当に何にも覚えていない。
道明寺・・ごめん。あんたは待っててくれたのに・・・
こんなことなら、あの時無理してでも抱いてもらえば良かった。

流れ出した涙が止まらない。
心と体がバラバラになりそう。

その時―――

「悪りぃ!遅くなった―――」

ドアを開けて入ってきたのは、道明寺。
あたしは思わず身を竦めた。
道明寺の氷の様に冷たい表情がフラッシュバックする。
どうしようどうしようどうしよう!

「類、総二郎、ちょっと調子に乗りすぎじゃねぇ?」

いうが早いか、道明寺は二人を殴りつけた。

「牧野泣いてるじゃねぇか!」

道明寺があたしをだきしめる。

「司が遅れるのが悪いんだろー?何やってたんだよ、全く」と西門さん。

憮然とした花沢類がコクコクと頷いている。

「うるせぇ!こんなヘリポートもない山ン中に集まるんじゃねぇよ!」

唖然とするあたしそっちのけで久しぶりの再会を楽しんで?る・・・・

「道明寺さん!お久しぶりですぅ〜!」桜子が入ってきた。

後から美作さんがワゴンを押して「よ。」と一言。

な・・・何なの?この和気藹々とした雰囲気は?
あたしは媚薬を盛られて、なんだかエライことになって、
バスローブ一枚で立ち尽くしている。

同じくバスローブ一枚の花沢類が、あたしの側に来て囁く。

「昨日はさ、皆で牧野のこと弄んじゃったけど、アンタの鉄の処女は守られてるから。」

ククク・・・と笑った所に再び道明寺のパンチが。ああ・・・・

「類っ、てめー牧野に近づくんじゃねー」
「そういうことで、牧野、また、後でね。」
「まあまあ、道明寺さんも揃った所で、皆で乾杯しましょうよ!」

手際良くシャンパンが配られ・・・・・乾杯・・・・????
って、勢いで飲んだ後で皆のニヤニヤ笑いに気が付いた時には時既に遅し。

デ・ジャ・ヴ。やばい・・・・・

あたしの体は再び熱を帯び、触れられることを求め始めていた。
道明寺があたしを見てる・・・・
ドキドキして胸が苦しい。
つーっと内腿を伝い落ちる雫に気付いたろうか。

「道明寺・・・・」

そう呟くのが精一杯。
道明寺の顔が近づく。

そして・・・一番欲しいキスをくれる。
あたしの唇に重なる道明寺の唇。
しかし軽く触れただけで離れてしまう。
驚いて目を開けると、道明寺の真剣な瞳がそこにあった。

「牧野・・・・・・今日は、おまえを離さねえから。絶対。何があっても」

その途端、噛み付くような激しいくちづけ。
道明寺の熱い舌があたしの唇を割って侵入してくる。

でも・・・イヤじゃなかった。
それどころか、より一層潤みを増す下腹部。
ふとももをすり合わせると、くちゅり、とかすかな水音が聞こえた。

――道明寺を・・・こんなにも求めてる・・・・・・

火照ったカラダを鎮める方法はひとつだけ。
どうすればいいのか、本能が知っていた。


優しく下ろされたベッドの上。
今までに何度か繋いだ手であたしの頬を撫で、何度も呼ばれた声であたしを求めてる。

「牧野・・・・」

道明寺が耳元で囁きながら、腰の結び目をゆっくり解いていく。
あたしを見つめる鋭い眼光をそのままに。

見られるだけでカラダが震える。
頭の中が真っ白になる。

「やっ・・・・・・!」

ふいに左胸に熱を感じた。
はだけられたバスローブの間から差し込まれた手の平が、あたしの胸をきつく掴む。
道明寺の視線の先には、いくつも散った紅い・・・痕。

「これは・・・っ、違うの!」

あわてて釈明しようとするあたしに、道明寺が左胸の戒めを緩めて微笑む。

「わかってる」

胸に紅くついた指のあとを優しくなぞりながら・・・囁いた。

「俺があいつらに頼んだんだ。牧野をリラックスさせてやってくれって」
「?!?!何で・・・そんな・・・・・・」

道明寺のまっすぐな瞳が困惑するあたしを捉えて離さない。

「おまえを俺の女にしたかったんだよ、心もカラダも」


いつのまにかみんないなくなっていて、広い豪華な部屋にふたりっきり。
うっとりするようなシャンパンの匂いと道明寺の言葉に、ただ、包まれていた・・・
言葉の出ないあたしに向かって、優しく、呟くようにしゃべりながら、道明寺の手がバスローブをぱさりと取り去る。

「・・・おまえが、前みたいに熱出したり、ガチガチに緊張することがねえようにしてくれ、って言っておいた。
 あいつらならそんなのわけねえし・・・」

覆うものが何もなくなったあたしの肌が、道明寺の眼前に晒される。
ひとつひとつ確かめるように、体中のキスマークを数えていく道明寺の指。
指される度にカラダが反応し、刺すほどに熱いまなざしが羞恥心と罪悪感を煽る。
それが更に内腿を濡らしていった。

――道明寺・・・・・・顔が熱い。カラダも。
   触れられた所から解けていきそうなくらい・・・

頭がぼんやりしてきたそのとき、道明寺はあたしの両足をつかんで引き倒した。

「きゃっ!!な、何すんのよ、いきなりっ!」

ベッドに思い切り頭を打ち付ける形になり、上半身が弾む。
でも掴まれた足首はそのままで・・・
抵抗するまもなく、ぐいっと開かれてしまった。

「やぁっ・・・!」
「ほら、こんなとこにも付いてるぜ、キスマーク」

そう言って、指先があたしの太腿をすべる。

「やめ・・・っ、あぁ!」

脚の付け根のギリギリのところに付いた痕に触れていた指が、急にカラダの中へ入ってきた。






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