可児収×菊池理花
「そうや。クリスマスやし、理花が好きなホテルとかペンションを選んで、 2人でロマンチックな一夜を過ごそうや」 隣に座った可児くんが、いつも通りの優しい笑顔で言った。 でも・・・。 「2人で?未央ちゃんたちは一緒やないん?」 まだ、私たちは一線を超えてない。 だから旅行する時は、いつも未央ちゃんや熊谷くん、大友くんたちと一緒やった。 「そう、2人っきりや」 「・・・・それって。。その・・・」 自分の顔が段々熱くなるのが分かる。 可児くんが言おうとしていることが何か分かるからだ。 「そろそろええやろ?・・・な?」 耳元でささやかれる。 「で、でも!!」 私の言葉を遮るかのように、可児くんが私の首すじに唇を寄せてきた。 「ちょ・・・!」 右手が私のシャツのボタンを開け始める。 何度も私の首すじにキスしながら、少しずつ唇が下へ向かう。 少しだけブラをずらされ、私の胸にキスされた。 「ちょ・・!ま、待って・・!!」 可児くんの愛撫を受けながら、私は思った。 最近の可児くんの様子がおかしかったこと。 突然ぎゅっと抱きしめたり、胸や足に触ってきたり、今までそんなことなかったのに。 それは可児くんのなかの「限界」が近づいたってことなんだろうか? 付き合ってもう2年半位になる。 その間、可児くんにキス以上のことをされたことが無かったと言えば、嘘になる。 時々、ほんの時々だけど、キス以上のことを求められることがあった。 でも、私は怖くて。 例え相手が可児くんでも、どうしても受け入れることが出来なかった。 その度に 「理花のペースでええから。な?」 可児くんはそういって笑顔を見せ、強く抱きしめてくれた。 「心だけやなく、全て俺のものにしたいんや」 そんな可児くんの心からの思いに、私は思わずうなずいてしまった。 「じゃあ、どこ行きたいか考えときや。俺は理花と一緒ならどこでもええで」 駅の改札口で別れるとき、そう言われた。 でも、まだ怖くて、「やっぱり・・・」と言いそうになった時、先に言われてしまった。 「俺は無理強いしたりせんよ。せやから、いざって時怖くなったら言ってや。 でも、旅行には絶対行こうな!!」 そう言われたとき、心配が少しずつ溶けていく気がした。 そう、この人は私の嫌がることなんてしない。 だから私も勇気を出してみようと、素直に思えた。 「うん。旅行楽しみにしているね」 私はやっと笑顔で可児くんに返事が出来た。 可児くんはいつもと変わらず優しい笑顔で「おおっ!」って言ってくれた。 どうなるかは、その時になってみないとわからない。 でも、いつも優しくてあたたかいこの人と、心も体もひとつになりたい、そう思った。 SS一覧に戻る メインページに戻る |