first night
可児収×菊池理花


心臓のドキドキが止まらない。
私は一体どうしたらいいんだろう…。

「理花、ちゃんとベットに入ってないと風邪ひくで」

お風呂から上がってバスタオル1枚でベットに腰掛けて考え事をしていた私は、シャワーから出てきた可児くんが声をかけられた。

「あ、う、うん!」

慌てて私はベットの中に体を埋めた。
やわらかい毛布が私の体を包む。
恥ずかしくて、可児くんの顔が見られない。

可児くんはいつもと変わりないようだ。
それがちょっとムカつくような、安心するような、不思議な気分。

「何か飲む?」

こっちのドキドキなんてお構い無しに、可児くんはいつも通りに話し掛けてくる。

「ううん。いらへんよ」
「そっか。じゃ…」

そう言って可児くんは、ベットに入ってきた。
私が横になっているのとは反対側に寝そべり、腕枕をしてくれる。
いきなりそうなるのかと思ってたから、ちょっと意外でちょっと嬉しかった。

「緊張してるん?」

可児くんに聞かれ、余計ドキドキが強くなった。

「そ、そりゃそうやん。私は可児くんと違うて初めてやし!」

また私の悪い癖が出た。
可児くんの昔の女性関係についてとやかく言うのは、お互い気分が良くないし、
止めようと思っているんだけど、こういう時はどうしても言葉にしてしまう。
そして可児くんの困ったような、申し訳無さそうな顔を見て、私はいつも後悔するんだ。
でも、今回はいつもと違っていた。

「実は俺も、すごく緊張してるんや」

意外な可児くんの言葉に、思わず可児くんの方を向いてしまった。

「なんで?」

経験豊富な可児くんが、緊張する必要なんて全くないのに。。。。

「確かに経験自体はあるけど、本気で惚れた相手を抱くのは初めてだからや」






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