第四部 ダイヤモンドは砕けない
「ちくしょぉ〜〜〜いきなり降ってきやがって もう天気予報なんか信じねぇ!!」 虹村億泰は大声で悪態をつきながら空を見上げた。 今日は朝から見事な晴天で、天気予報でも晴れマーク。絶好の洗濯日和だった。 ここ数日サボり気味だった洗濯を一気に片付けるチャンス、とばかりに庭に大量の洗濯物を干したのだ。 しかし放課後が近づいてくるにつれてなんだか雲行きが怪しくなってきた。 急いで帰らねば と授業が終わると同時に鞄を引っつかみ教室を出た。 だがこういう時に限って掃除当番だったりするのだから運が悪い。 「ちょっと!掃除当番でしょ サボらないでよね!」 クラスの女子に捕まり、イラっとしつつもぶん殴るわけにもいかず、しかたなく箒を手に取った。 やっと掃除が終わった時には ぽつぽつと雨粒が地面に模様を描き始めていた。 猛ダッシュで学校を後にし全速力で走り続け、家にたどり着いたときにはちょっと死にそうになっていた。 しかし休むのは後だ。洗濯物を取り込まねば苦労は無駄になり、それどころか片付けなければならない家事が また増えてしまう。 大急ぎで庭に回り、大量の洗濯物を抱えながら走り回った。 何とか全滅は免れたものの、最後の方に取り込んだものは洗いなおさなくてはならないだろう。 急に強まった雨音に負けない声で愚痴をこぼす。 「あ〜〜〜!せっかく干したのによぉ〜〜 今日はついてねェーなぁー」 くそったれが、と恨めしげに今は見えない太陽を睨んだ。 するとパシャパシャと水を跳ね上げながら走る音が聞こえて、億泰はそちらに目を向けた。 同じぶどうヶ丘高校の制服を着た女子生徒が、土砂降りの雨の中 鞄を頭の上に掲げて走っている。 (…あれは…康一んとこの委員長じゃねーか) ここで億泰の言う『康一んとこの委員長』とは、康一が山岸由花子とトラブルを起こした際に 「康一の掃除を馴れ馴れしく手伝った」という理由で由花子の嫉妬の対象になり、まさにとばっちりで被害を受けた 女子生徒のことである。 ちなみに彼女は学級委員ではあるが委員長ではない。 恐ろしい事に由花子はスタンドを使って彼女の髪を燃やし、大火傷を負わせるところだった。 そこを間一髪ザ・ハンドでこそぎとり、ほぼ無傷で済ませることが出来た。 ただし髪の毛まで一緒にガオンしてしまった為、しばらくの間 人前に出ることが非常に苦痛だったようだが。 彼女はスタンド使いではないので、どうやって自分が助かったのかは解らないが「億泰が助けてくれた」ことは そのときの会話から理解していた。 なのでそれからというもの、彼女は億泰を見かけると挨拶ぐらいはするようになった。 億泰もよく仗助と共に康一の教室へ遊びに行ったりするので、顔を覚えるのは早かった。 名前は未だに覚えられないのだが。 「おーい、委員長!なにしてんだぁ?こっちきて雨宿りしろよ」 急に声をかけられて、驚いて辺りを見回す。見知った顔が窓から覗いていた。 「虹村くん!びっくりしたぁ 誰かと思っちゃったわ」 パシャパシャと、また水を跳ね上げながらバルコニーの下へたどりつき、ほっと息をついた。 「いま帰りか?傘もささねーでずぶ濡れじゃねーか」 「だって、朝の天気予報じゃ今日はずっと晴れだって言ってたんだもの」 唇を尖らせながら委員長は反論する。 億泰は あの天気予報のせいで迷惑を被ったのは自分だけではなかった!と妙な連帯感をひとりで味わいちょっとだけ 気分が晴れた。 「まー入れよ。タオルぐらい貸してやるぜ」 そう言われちょっとだけ考えてから 「じゃあ お言葉に甘えて」 言って小さく笑った。 荒れ果てた外観とは違い、家の中はそこそこに綺麗だった。 引っ越してきたばかりの頃はそれこそ人が住めるような状況ではなかったのだが、今では十分に生活できる。 それというのも仗助が遊びに来るたびにクレイジーダイヤモンドでちょこちょこ補修してもらっているからだ。 玄関先で「ここでいいから」と遠慮する委員長を「とりあえず上がれ」とリビングに通すと、いま取り込んだばかりの 洗濯物の中から無事だったタオルを探し持っていった。 が、委員長の足元を見ると水溜りが出来つつあった。こんなタオルでは役に立たない。 「ごめんなさい こんな濡らしちゃって…」 「あー、いいよいいよ 気にすんな …こりゃ着替えねーと駄目だな 着替え、持ってるか?」 「ううん、今日は体育もなかったし」 委員長は眉尻を下げてすまなそうに肩をすぼめた。 「そっか だよなぁー フツー着替えなんかもってねーよな …おれのでよければなんか貸すぜ?どうする?」 「え?でも 悪いわよ」 遠慮していた委員長だったが、雨に濡れた制服は身体にまとわり付き不快な事このうえない。 体温も奪われ少々寒気がしたところでひとつくしゃみがでた。 「おら 遠慮すんなよ 風邪ひいちまうぜ」 そう言って億泰は返事も待たずにリビングを出る。そして自分のシャツとハーフパンツを持って戻ってきた。 「これ着ろよ 大丈夫だぜ ちゃんと洗濯してあるからな」 「うん ありがと」 受け取りながらにこりとはにかむように笑う。 その笑顔にドキリとしながら億泰はバスルームへ案内した。 「そこで着替えろよ なんだったらシャワーも使っていいぜ 寒いだろ?」 しかしさすがにそこまで甘えるわけにもいかず、丁重に断った。 制服とくつしたを脱ぎ、洗面台で顔を洗う。髪と身体をタオルで拭くと少しずつ寒気も和らいでいった。 ふと気付いた。 (…下着はどうしよう…) 予定外の雨は委員長の下着まで濡らしていた。この下着を着けたまま着替えてしまってはせっかく借りた服も 濡れてしまうだろう。 (だからってノーブラノーパン?…女としてそれはどうかしら) 考えては見たものの他に選択肢もなく、乙女の命題は横にどけておいた。 (風邪ひきたくないしね) 下着も全て脱ぎ、借りた服を身につける。なんだかスカスカとして頼りない感じはするものの先程までの不快感に 比べたら気にならないほどの事であった。 脱いだ服をたたみ、やはり億泰が用意してくれたビニール製の袋の中に入れる。濡れた髪をもう一度タオルで よく拭いてからゴムでひとつにまとめた。 荷物を持ち、リビングへ戻るとコーヒーのいい香りがした。 「おッ着替えたか やっぱでけぇなー ま・いいか コーヒー飲めよ あったまるぜ」 勧められるままにソファへ座り、湯気の立つコーヒーカップを両手で包み込むようにして指先を暖めた。 砂糖をひとつとミルクを少し。一口飲むと身体の中からじんわりと温まる。 ほうっとひとつ息をつき、ほつれてきた前髪を耳にかけながら言った。 「…おいしい それにすごく温まるわ ありがとう」 億泰は先程からなんだかドキドキしていた。 (なんだこれ?なんかおかしいな すげー心臓バクバクしてんぞ …熱でもあんのか?) おそろしいほど鈍感である。 憎からず思っている女子と二人きり(正確には二階に父親と猫草がいるのだが)、濡れた髪もなんだか色っぽい。 外は土砂降り、それによって余計な物音も聞こえずまるで世界に2人だけのような気がした。 「あー…コ、コーヒーもう一杯飲むか? 雨やむまで まぁゆっくりしてけよ」 僅かに声が裏返っている。それをきょとんとした顔で聞いていた委員長は急に笑い出した。 「な、なんだよ おれ変な事言ったか?」 「ううん なんでもない ただちょっと…フフフ」 ころころと笑う委員長に憮然としながらコーヒーのおかわりを注ぎ、隣へ腰掛ける。 「ただちょっと なんだよ」 軽く睨みながら問うと意外な答えが返ってきた。 「カワイイな と思って。フフ」 「なッ なに言ってやがるッ」 一気に顔が赤くなったのが自分でも判る。きっと耳まで真っ赤だ。 女性にカワイイなどと言われたのは億泰の人生始まって以来、初の出来事である。 いつも顔がコワイだの不良だのバカだのと言われ続けてきたのだ。 だからこういう状況でどう振舞えばいいのか全くわからない。 「冗談じゃないのよ? こわもてだけど笑うと意外とキュートだわ」 そう言われて嬉しい反面、恥ずかしくてたまらない。 「ま、待てッ わかった!もう言うな」 真っ赤な顔を委員長から背けるように視線をそらす。すると腕を組むようにすがりついてきた。 「ごめんなさい …怒った?」 どうやら怒っていると勘違いしたようだ。素の顔がコワイと評される億泰なら勘違いされても仕方ないかもしれない。 「…いや 怒ってねーけど…」 言ってチラリと委員長のほうを見る。困ったように眉をハの字にまげて上目遣いで見上げてくる彼女はとても いじらしくかわいらしい。 そして二人の身長差によって億泰は彼女を見下ろすかたちになるわけだが、そこで億泰の目は釘付けになる。 いつもの制服なら問題はなかったかもしれない。だが今は億泰のシャツを着ているのだ。 当然サイズが合うはずもなく、彼女の胸元は丸見えだった。しかも・・・ (ブラジャーしてねえのかよぉおぉおおォォ〜〜!!) 肝心な部分はギリギリ見えなかったが、それにしたって高校生には刺激が強すぎる。 意識してしまうともうどうにもならない。 変な汗は吹き出てくるし、何より腕に当たる柔らかい感触に耐えられそうもなかった。 「虹村くん?」 委員長が首を傾げる。うなじに後れ毛がはらりとこぼれ落ちた。 そこでスイッチが入った。 次の瞬間、億泰はあいた右腕で彼女を抱き寄せ、首筋に顔を埋めた。甘い香りが頭の中に充満する。 唇で柔らかく首筋を噛むと少女はびくりと震えた。 「に、虹村くん!ど どうしたの?あの…」 身体を捩り、逃れようとするがしっかり抱きとめられていてそれは叶わない。 「…身体、冷えてんじゃねーか あっためてやるよ」 今度は両腕で、一瞬 息が詰まるほど強く抱きしめられた。そして徐々に力が抜かれる。 何をされるのかと身体を固くしていたが、それ以上の動きはない。 優しく背中をなでる掌はとても温かく、彼女の緊張をもほぐしていった。 身体を預けるように厚い胸板に顔を寄せる。どくどくと脈打つ鼓動が流れ込んでくる。それに合わせるように少女の 胸も高鳴った。 そっと見上げると優しい瞳がこちらを見返してくる。 (いつもはコワイ顔してるくせに… なんかズルい) そう思いながら求めるように顎をあげた。 唇を合わせる。胸がきゅうっと絞られるような感覚。もう止まらなくなった。 彼女の唇に舌を割りいれ歯列をなぞる。少女も軽く口を開きそれを迎え入れた。舌を絡ませあい、だんだんと息が 荒くなる。快感が呼び起こされその口から小さく声が漏れた。 億泰はサイズの合わないシャツの中に手を滑り込ませた。邪魔するものが何もない背中を撫でさする。 そしてその手を脇腹へと滑らせ、下から持ち上げるように胸に添えた。 ほよほよとしたその感触を楽しむように軽く揉むと、その先端が固くなっていくのがわかった。 それを人差し指と中指の間に挟むようにして胸を揉み、刺激する。 「…ッん…ふ…」 漏れ聞こえる声にさらに興奮が高まる。 億泰は一旦身体を離すと委員長の身体を抱き上げ、向かい合わせになるようにして自分の膝の上に座らせた。 「に、虹村くん これ…ちょっと恥ずかしいんだけど」 「いーじゃんか この方がよーく顔見えるし」 にかっと笑う億泰に、だから恥ずかしいんだってば!と抗議する委員長の口を唇で塞ぐ。 胸を揉みながらシャツを捲りあげた。小ぶりではあるが形のよい胸はぴんと上向いている。 首筋から鎖骨にゆっくりと舌を這わせ、その胸にうずめる様にひとつ口付けた。 「ふあッ…う…んん…」 乳首を口に含んで転がすと委員長の手が億泰の頭を抱えるように添えられた。 刺激するたびに力が入り、まるで胸に押し付けているかのようだ。 左腕でしっかりと委員長の腰を抱き、右手を背中側からハーフパンツに滑り込ませる。 「委員長 パンツも穿いてねーのかよぉ〜 エロいなぁ〜」 「!違っ…だって下着まで濡れちゃってたんだものッ…あ……駄目ッ…」 真っ赤な顔で反論する委員長の尻を撫で、その割れ目に指を這わすとそのまま滑らせていく。 委員長はビクリと反応する。指が熱く蕩けるような粘膜へと到達した。 「ここもだいぶ濡れちゃってんなぁ」 「…ッそーゆー事…言わないでッ……ぁ…んッ」 再び億泰の頭を抱きかかえるようにしながら委員長は脚を閉じようとする。 しかし億泰に跨るように座らされている為どうしても無理だ。億泰はその動きを感じて余計に脚を開かせる。 開く花びらにぬるりと指を埋め込んだ。 「…んッ…あぁ……ぅん…」 ゆっくりと指を動かす。弱いながらもひくひくと肉が絡み付いてきた。 「なぁ委員長 ゴム持ってる?」 指を動かしながら億泰は訊ねる。少女は喘ぎながら答えた。 「…ッ持ってないわよ…んッそんなものッあ…ん はぁ…」 「そっかぁ じゃあ〜しょ〜がねーよなぁ〜」 言って委員長を抱えたまま器用に自分のモノをズボンからとり出す。 委員長はそれを見て途端におびえた表情をする。億泰はふっと微笑み優しく口付けながら言った。 「そんなビビんなよぉー 無理にヤったりしねーからよォ〜 委員長もさぁ手でかわいがってくんねーかなぁ〜」 それを聞いて警戒は解いたもののその目は不安そうだ。まるで未知の生物を見るかのような。 億泰は左手で委員長の手を導き、触れさせた。熱く屹立するそれを壊れ物のようにそっとにぎる。 「…熱い それに…固いのになんだか柔らかいのね」 「おう 怖くねーだろ?」 興味深そうに見つめられ、ちょっと恥ずかしくなって億泰は休めていた指をまた動かし始めた。 「んあッ…ン…ふぅ……」 感じながらも億泰のモノをしっかりと握り、その手でしごくように撫で上げた。 自分の手の中で固さを増すそれを見ながら「これがもし私の身体に入ってきたら…」そう考えて震えた。 その震えが恐れによるものか期待によるものかは自分でも判らなかった。 男根はその先を自らが出した液で濡らしていた。委員長はそれを見て言う。 「…男の人も んッはぁ…濡れるのね」 「ああ〜気持ちよけりゃあなー でも委員長にゃー負けるぜ」 「…またそういうこと言うッ」 「!うおッ」 急に強い刺激を与えられて、一瞬腰が引けた。 「ごめん もう言わねーよぉ だから優しくしてくれよォ〜」 「…もう しょうがないわね」 子供をたしなめるような口調でそう言うと、優しく上下に擦り始めた。 委員長の穿いたハーフパンツは太腿の辺りまで下げられ、溢れ出た蜜は億泰の制服に染みを作り始めていた。 しっかりと抱き合いながら互いの陰部を弄りあうさまは一個の異形の生き物のようだ。 無意識に動く腰をぐっと引き寄せられ、少女の秘所は男根に密着する。熱い塊を感じ、欲望と興奮が渦巻く。 自分の蜜が男根を濡らし、摩擦が薄れる。その分ぬらぬらと吸い付くように密着が増した。 たまらずに自分から腰を擦り付けるように動かすと、蕾が敏感にその感触を伝えた。 だんだんと腰の動きは激しくなってくる。 億泰もそれに合わせるように腰を動かす。そのリズムは心地よく、頭の芯から蕩けてしまいそうだ。 「…あたし…ぁ……も…イっちゃいそ……んんッ…」 切ない声が聞こえた。ふとその顔を見ると頬は薔薇色に上気し、潤んだ瞳からは涙が零れ落ちそうだった。 「…我慢しないでイっちまえ…おれももう限界…!」 それまで以上に強く腰を押し付ける。動かせば入れてもいないのにくちゅくちゅと水音がした。 蕾を擦りつけ、その度に快感が津波のように襲ってくる。そして何度目かで彼女はその波に押し流された。 「あッあ…!はッんあ…ッあぁぁあぁ――!!」 彼女が絶頂に達したのを確認してから、億泰は自分のいいように腰を動かし、そして彼女のしろい腹にさらに白く 熱い液体を吐き出した。 「まーた着替えなきゃなんねーなぁ〜」 委員長は赤い顔でソファに座り膝を抱えていた。口を尖らせながら「…だって虹村くんが…」と拗ねるように小さく 呟いているのが聞こえてくる。カワイイなぁと思いながら声をかける。 「とりあえず今度はシャワー浴びてこいよ 汗もかいたろ?」 「…うん」 上目遣いでタオルと新しい着替えを受け取り、バスルームへと向かう。すると背後から声がかかった。 「委員長ー 今更だけどよぉ〜……名前、もっかい教えて?」 呆れて振り返る。 「あたしの名前、まだ覚えてなかったの!?信じられない!!」 「ごめんて!バカだからよぉ〜なかなか覚えらんねーんだよぉ 特に女子の名前は」 今度から名前で呼ぶから!なッ? そう言われてため息をつきながら子供に話しかけるように言う。 「仕方ないわねぇ ちゃんと覚えなさい あたしの名前は――――」 SS一覧に戻る メインページに戻る |