第四部 ダイヤモンドは砕けない
「お風呂いっしょに… 入っても…」 (なにッ!?) 「いいかしら… あなた… その…ひさしぶりに…ね」 吉良吉影が驚いて振り向くと、そこには小さめのタオルで身体の前を隠した川尻しのぶが恥ずかしそうにたたずんでいた。 小さいタオルでは彼女の豊かな乳房の先端から股間のあたりまでを覆い隠すのがやっとで、 しのぶの艶めかしい肉体のほとんどが吉良の視界に飛び込んでくる。 丸みをおびた柔らかい曲線で形造られた体のライン。 ほっそりとした首すじや手脚に吉良の心臓が鼓動を早めた。 (な…なぜだ?『川尻耕作』との夫婦関係は冷えきっていたはず…) 無言のまま平静を装いながらも吉良は動揺していた。 (まずい… 顔は『川尻耕作』と交換したが、身体は元の私のままだ… 気づかれてしまうかも知れない!) 「せ…背中を洗ってあげるわね!」 吉良がどうするべきか迷っている間に、しのぶはサッと夫の背中にまわりタオルを取って生まれたままの姿になった。 スポンジを泡立てて男の背中をこすりはじめる。 「あ…っ」 思わず声が漏れた。吉良吉影の人生において、生身の女性に身体を洗われるのは初めての経験である。 (女の『手』が… 私の肉体を触っているッ) 「どうしたのあなた?くすぐったいの?」 「い…いやなんでもない」 「そう?じゃあ…」 ボディソープの泡を手につけると、こんどは素手で直接洗いはじめた。 「んッ…!」 (『手』がぬるぬると肌をまさぐる…今まで味わった事のない感覚だ!) 夫の反応を見ながら、しのぶはゆっくりとわきのしたから両手を前にまわし男の胸を洗い出した。 必然的に背中から抱きつく格好になり、彼女のやわらかなおっぱいが男の背中にむにゅっと押し当てられる。 そのまま指先で男の乳首を愛撫するように撫で回し、自分の乳首は円を描くように男の背中にこすりつけはじめた。 「くっ…」 くちびるをかみしめるが、押さえ切れない快感にだんだん息が荒くなる。 「あなた…」 しのぶはそんな夫の様子にたまらず首すじにキスをした。 そしてゆっくりと手を下げていき、夫の股間のものに触る。 それは熱く勃起していた。 「し、しのぶ… もういいから…」 吉良はわずかに残った理性で抵抗するが、 「いいから… ここも洗ってあげるわ」 美しい女の手でやさしく握られただけで理性などふっとんでしまう。 (だ…ダメだ…何も考えられない) 快感を求めて脈動するペニスに全身の血が集中してしまっていた。 しのぶは右手でペニスを握り、ゆっくりと上下にしごきはじめた。 左手は根元の袋をやさしくもみしだく。 「あなた…気持ちいい?」 「ああ…すごくいいよ…こんなの初めてだ…」 吉良も今までの『彼女』といっしょにお風呂に入って股間を洗わせたことはあったのだが、それらは吉良が自分で動かさなければならなかった。 女性の方から自発的に洗ってもらうのは初めての経験だったのだ。 しかもしのぶは人妻だけあって男の喜ばせ方を熟知していた。 緩急をつけて竿をしごきつつ、しなやかな指先で敏感な亀頭部分を責め、裏筋に沿ってつーっと指を動かす。 巧みな愛撫に、吉良の快感はどんどん高まっていった。 「はぁはぁ… も、もう…」 「もうイクの?イキたいの?」 「……………ああ」 (こ、この吉良吉影が…こんな女に… いいようにされている…!) 屈辱を感じつつも快感に逆らえない吉良であった。 「じゃあイッていいわよ、あなた…」 しのぶは鈴口から漏れてきた男の愛液を手のひらになじませ、しごくスピードを早くした。 にゅちゅっ、ぷゅちゅっ、と液体音を響かせながら激しく上下させる。 (き、気持ちいい… 女の『手』が…ここまでに気持ちいいなんて…知らなかった…! ううっ!) 「あっ、くぅっ、いく、出るっ、あっ」 びゅくっ!びゅくんっ! 吉良がのけぞると同時に、しのぶの手の中で白濁液が噴出する。 しのぶはそれでも手を止めずに、しぼりだすようにしごき続ける。 「ううっ、も、もう…止めっ…あぁっ」 快感に打ち震える吉良の肉体を抱きしめながら、しのぶはいとおしそうに最後の一滴まで手で受け止めた。 射精が止まるとやっとしのぶも手を離した。 「すごい…いっぱい出たわねあなた」 手にべっとり付着した精液をうっとりした目で眺めると、ぺろりと舌で舐めて口の中でゆっくり味わってからごっくんと飲み込んだ。 全身の精力を放出してしまった吉良は何も言えずにただはぁはぁと息を荒げるしかできないのであった。 SS一覧に戻る メインページに戻る |