番外編
![]() 「おはよう、美雪!」 「あっ、おはよう、はじめちゃん」 後ろから現れた金田一が美雪に声をかける。 「美雪、昨日の数字宿題やった?」 下駄箱に手をかけながら金田一が尋ねる。 「うん。難しかったけど。はじめちゃんは?」 美雪も靴を脱ぎながら下駄箱を開ける。 「良かった〜、あとで写させてくれよな」 「えっ、またやってないの? 宿題は自分の力で…あれ?」 美雪が上履きを取り出そうとした瞬間、一枚の便箋がハラリと床に落ちる。 「ん? 何だよこれ、ラブレターか?」 便箋を拾いあげた金田一が中を開けようとする。「ちょっとはじめちゃん、やめてよ!!」 顔を赤らめて金田一から便箋を奪い取る。 「あっ、こっちに貸せよ、美雪なんかにラブレター出す物好きが誰だか見てやるからさ!」 急いで便箋をカバンの中にしまい込む美雪。 「『美雪なんか』ってどういうことよ! はじめちゃんなんて知らない! 数学の宿題も見せてあげないから!」 ぷいと顔をそむけて教室へと足早に去る美雪。 「ちょっと待てよ美雪、ごめん、ごめんってばぁ…」 昼休み。 美雪は昼食を終えると、バレーをするという友達の誘いを断って独り中庭のベンチに腰をおろした。 「ふふ。はじめちゃん、この手紙のこと気にしてたな…」 真っ白な封筒から便箋を取り出す。 美雪は年に何度かラブレターをもらうし、告白されたことも一度や二度ではない。 その度に丁寧に断るのだが、女の子としては悪い気はしない。 また、その話を聞いてそわそわしている金田一を見てると何だか嬉しくなる。 急に怒り出したり、妙に優しくなったり…。 「はじめちゃんごめんね。今回もちゃんと断るからね」 今頃、結局貸してあげた数学の宿題を必死で写してるだろう金田一の顔が浮かぶ。 しかし、手紙の内容を見て美雪の表情が強張る。 「何、これ…」 『七瀬さんへ 金田一一と今すぐにわかれろ。 わかれないならこの写真を学校中にバラまく』 便箋に挟まれていた一枚の写真が美雪の膝に落ちる。 その写真は… ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |