素直じゃない
進藤一生×香坂たまき


「…あぁ………はぁっ」

なんでよ。なんでいつもよりこの人素っ気ないの?
いつもならねちっこくて、波があって愛を感じるのに。
今日は違う。

「いっ…せい…」

「…なんだ?」

彼は指の動きを止めなかった。
指はただ強く速く抜き差ししている。

それに合わせ私も声が洩れる。


「…っぁあ…あぁ…うぅ…」


違う。

「ねぇ…」
「なに?」
「…っはぁ……やっぱ、いい…」


聞きたいと思ったのに、この人の指にごまかさた、気がした。
言わなかったのは私だけど…

指はやっぱり単調で正直、やる気あんの?と言いたかった。

「なぁ、」

今度は彼。

「何よ…」

と、指が止まった。
「いや、何でもない」


やっぱおかしい
こんな時までポーカーフェイスなんて。いつもはもっと違うのに。
私だけに見せるあなたの表情が。



これじゃ仕事中と変わりないじゃない。

私は上体を起こした。
彼が指を抜く。



「今日のあなた何?言いたい事あるなら言ってよ」

目を合わせようとしない彼。


「こっち見なさいよ」

「…っれだ…」


ボソボソ声が響いた。

「何?」
「ユウスケって誰だ」


あまりに突拍子もない問いに戸惑う。

「誰よ、ユウスケって」
「こっちが聞いてんだ」
「知らないわよ!」

「寝言…」

また彼が呟く。

「前の時、お前が寝た後聞いた。その、『ユウスケ』って呟いたんだよ」


ユウスケ…あっ。
そういえば学生の頃付き合ってた男の名前だ。


「そいつの事思い出した?」
「何?あなたそんな事で落ち込んでたの?」
「落ち込んではないけど、気になった
普通、した後に別の男の名前言うか?」
「知らないわよ。寝言まで意識はないんだから」
「昔の男よ。学生時代の」
「そうか…」


「あなたも嫉妬するのね」




「お前だからだ」




「お前って呼ばないでよ」


相変わらず素直じゃないんだから私って。



「続き、しようか」「あぁ」

また彼の、今度は暖かい、愛のつまった指の動き。

私の中をゆっくり溶かしていく。






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